* 闇の白虎

慈雨

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12.灯りの途絶えぬ一夜 2

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「飛鳥さん、リュストルの件はWGで話します。今はこちらの問題を優先して、被害を防ぎましょう」

白虎もまた、強い眼差しで飛鳥に返し、最後に少し笑った。


「では、鬼灯さん…お願いします」

「うん。ーー簡潔に言うと、少量の火薬だね。
一つには殺傷能力こそないけど、気体を多く発生させる化合物が使われてるから、爆発した時の音や衝撃は大きい。
それがこの数…混乱は避けられない」

鬼灯はペラペラと饒舌に説明を続けるが、どことなく声が上ずっているような気がする。

WGの中で、火の魔術に重点を置く鬼灯が 火薬や爆薬に詳しいという事は、一部では噂されている事実だった。


「しかも、この火薬…水の皮膜のようなもので守られてるね。例えるなら、割れないしゃぼん玉のような、薄い水の膜。
よって、水の魔術は効かないと思う」

「それじゃあ…」

鬼灯は口を尖らせた。
千里も眉を寄せて、鬼灯の話を聞いている。

火薬に、しゃぼん玉のような皮膜。
子供のオモチャに翻弄され、からかわれている気分になる。


「でも、対策は二つあるよ。
一つは“冷却”。熱が上がらないと、物を燃やすことは出来ない」

右手の人差し指を立てて、鬼灯は言う。


火の魔術は何もないところには発動しない。
燃やす物質があって、酸素があって、尚且つ熱エネルギーがないと火は出現出来ない。

物質が凍ってたら、まず着火することが不可能なのである。

鬼灯がそう説明すると、千里は頷いて理解を示した。


「…学園で習ってないかな? 千里くん、勉強してる?」

「1ヶ月ほど前に習ったばかりですね」

心配そうな鬼灯に、ボソッと白虎が告げ口をする。
しかし、千里が睨むと 白虎は咳払いをして「急ぎましょう」と先を促した。


「じゃあ次、さっきも言ったけど二つ目は“酸素”。
水の皮膜の内側の空気から、5パーセントの酸素を違う気体に変えるだけで良い。風属性の千里くんなら出来るよね」

「あ、はい。やってみます」

千里は慎重に提灯に右手を翳す。
微量な光を発して、それは直ぐに治まった。


「うん、それで良い。ただ、1万3千っていう数を、風属性と 冷却を使える水属性の団員でカバーするのは、やっぱり時間がかかると思う」

「…リュストルの奴は“フィナーレに間に合うかな”って言った…」

白虎が思い出したように呟く。

今から約20分後から花火は始まり、フィナーレに差し掛かるのは、花火開始から1時間 半弱だ。
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