* 闇の白虎

慈雨

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12.灯りの途絶えぬ一夜 2

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澪梨は少し黙っていた。
だが、ややあって口を開く。


「…そうだね。探しても疲れちゃうだけだし」

「ほんま! なら、ゆっくり歩こう。
足、大丈夫や? 俺、絆創膏持っとるけど」

「あ、貰っていい? ちょっと痛かったんだ」

澪梨を気遣って優しく接する。
ただ、所持していた絆創膏は、寮を出る前に瑞稀が何故か彰に手渡したものだった。


(なんや、今日の俺 超カッコええやんけ…!)

そんな瑞稀の心も知らず、彰は絶好調であった。


「なあ、俺たちがはぐれたら いかんから…て、手とか繋いで…」

「それはイヤ」

…が、全てが上手くいく訳がないようで。
間髪入れずに即答してしまった澪梨の言葉に、彰はがっくりと項垂れる。

澪梨はその様子を見て、彰に気付かれないようにこっそり笑った。


「…でも確かに、もうはぐれるのは嫌だから、彰の袖、掴んで歩いていい?」

ちょん、とさり気ないくらいに浴衣の袖を掴む。

彰の頭がボッと熱されたようだった。


「あ、ああ、ええで。ほな、行こか」

澪梨は彰の斜め半歩後ろを歩きながら、彰の赤くなった耳を見ていた。



**



「…取り急ぎ、報告は以上です。もうセントラルの団員は、作業に取り掛かっています。
私も、このまま巨大提灯へ向かいます。あちらにも 大きな仕掛けがされてあるかも知れない」

スラスラと急ぎつつも要点を纏めて、白虎は総帥に一連の流れを報告し終えた。

総帥は黙って聞いていたが、最後に白虎が区切りを付けると、一つ頷く。


「迅速な対応、ご苦労であった。
市民が混乱せぬよう、そして内外共に被害が出ぬよう努めるのじゃ。
…して、リュストルの事は掴めそうか?」

「…いえ、リーダー格のヒカリという人物は顔も覚えましたが、直ぐに姿をくらませてしまいます。
今回の一件はまた違う人物の仕業らしいのですが、その素性は分かっておりません」

姿の見えない敵を見付ける方法があれば、とっくに試している。
敵は化け物でも魔物でもなく、人間の姿なのだ。


「そうか。くれぐれも、慎重にな。
お主の命も、一つしかないのだから」

「御訓辞、恐れ入ります」

白虎は一礼して、総帥に背を向けた。


「そういえば、ヒカリは自身を“不老不死”ではないと言っていました」

だが、思い出したように足を止め、背中を見せたままの状態で呟くように 言う。
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