青空の中でキミと

mystar

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2017年 3月

よし、仕事もひと段落したし今日は
久しぶりに早く帰れるぞ~

「早川さん。ちょっといい?」
「あ、はい。大丈夫です。」

私は早川あかね。
先月30歳になったばかりの独身アラサー女子。
もはや女子とも言えないのか?
と思いつつも周りには
「30歳も悪くないし」って強がっちゃう系の
オトナ女子。

「早川さんって、お付き合いしている人いる?」

「いないです・・・・」
課長?いきなりどうしたんだろう?
こんないきなりプライベートの話するような人だったっけ?
ま、いっか。

「どうかされたんですか?」


「東京行ってみない?」


「あ、はい。・・・・・・・・はい?!」
状況が掴めずに、しばし沈黙が続いた。
冷静になって思い出した。
本社で新しい事業が始まり、
このド田舎にある支部の誰かが、そのお手伝いとして
東京に数日間派遣されるみたいな噂は
実は数ヶ月前から出回っていた。
東京なんて行ったことないし、タダで行けるなんて
ラッキーと内心ドキドキとワクワクが止まらなかった。
この仕事は好きでもないし嫌いでもない。
だけど刺激が欲しかったのも事実で、嬉しい気持ちの方が
強かった。

でも次の瞬間------

「・・・・東京に異動してみない?」










えぇぇぇっ?頭の中が真っ白になった。
30年間実家ぐらしの田舎暮し。
仕事は割と大手企業で、入社して気づけば5年目に突入したけど、
仕事→家→仕事 たまに友達や同僚とご飯に行くくらいで、
なんともつまらん日々を20代半ばから送ってきた。
趣味もない、やりたいこともない、料理もできない
この私が大都会の東京へ1人で行くの!?

絶句、、、、


そんな私をよそに課長が話し出した。

「新しい事業が始まることは知ってるでしょ?
その立ち上げメンバーとして早川を推薦したいの。
この約5年の間あなたを見てきて、
仕事ぶりも問題ないしきっとあなたなら
会社に貢献してくれると思うの。
考えてみてくれない?」

この人は佐野課長。
以前は東京の本社に務めていたらしい。
まさにキャリアウーマン。
周りからも部下からも慕われる
かっこいい女課長。
支部立ち上げのため、このド田舎にやってきた。
スタイルも良くて美人で、誰もが憧れる存在の人。

憧れの人から推薦してもらえることは
努力が報われた気がして嬉しかったが、
頭の中に東京へ転勤なんて事がサラサラなかった私にとって
すぐに返事を出すことは難しかった。

家族と離ればなれになる
数少ない友達と会えなくなる

それだけしか考えれなかった

「少しお時間をください」

「もちろん。前向きに考えてみて。あなたにとってきっと
プラスになる話だと思うから。
来週また時間を作るから、それまでに考えておいてね。」

「はい。ありがとうございます。」


しばらく放心状態のまま、
その日は終わった。
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