憎悪〜変わり果てたあなたへ〜

あけぼし

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手土産ですよ

1-4 紀子の家

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舞は土下座をしながら必死に言葉を並べる。


「ち、ちがうんです!私は本当は紀子ちゃんと一緒にいたかった!好きでした!大好きでした!だけど琴乃が!一緒にいないほうがいいって私に言ったんです!!!!!!!!!!!」

それをきいた瞬間、包丁を振りかざし、舞の背中へ向かってそれを落とした。

舞から意外なくらい大きな絶叫が聞こえる。

思ったより背中も固くて包丁が折れてしまったけど、すぐに引っこ抜き、折れた刃のままで首にもそのまま切りつけた。


「あなたが先にこうして死ねばよかったのよ!!!!!!!!」

大量の血が流れるのをみて満足だった。でもまだ死なせない。


琴乃にトドメを刺す前に舞を次はどう痛めつけようか考えているとき、舞が血だらけの顔で私を凝視した。

私の顔はもちろん狂気だと思うけど、それにしては今更何をそんなに驚くのか?と死の直前による恐怖心なのかしら?と思っていると、舞が「もういや…」と言った。


「もういや?そんなのあの子はもう毎日ずっと思っていたはずよ」

「ちちちち違います……ううううしろ…うしろに…」


そう言って舞は土下座する姿勢で顔を床につけひたすら「ごめんなさいごめんなさいごめんさない」と繰り返した。

その行動に少し違和感を覚え、うしろを振り返る。


「…………紀子?」


紀子の母親の後ろには、紀子の霊体が立っていた。

顔が黒ずんでおり、よく見ると血だらけで、手足はおかしな方向に曲がっている。

これが可愛い我が娘なのか?と思うと悲しくて辛くて、

でも



「紀子なのね!!!!!??」



気がついたら泣き崩れていた。

どんな姿をしていても、紀子は紀子だ。

2800グラムであの寒い雪の日にうぶ声をあげて自分のお腹から誕生した、可愛い娘だ。


大好物のいちごや、どら焼きをたくさん頬張っていたことや、幼少期に幼稚園で作った母の日のカーネーションの飾りつけを渡してくれたことや、小学校のときに運動会でビリになって泣いていたことや、ついこの間一緒にデパートでパスタのランチを食べて笑っていた可愛い紀子だ。



「紀子?本当に紀子なのよね?」


そう問いかけても紀子は母親のほうを一切見ずに舞と琴乃を見つめたまま口を無造作に開けたまま立っている。


これが幽霊なのか、なんなのか分からない、けれど死んだときの姿のままだとしたらなんとも痛々しい姿だろうか。

気がつけば紀子の足元にしがみつくようにして泣いていた。

どんな姿でもいいから、帰ってきてーーーーー…


「紀子、痛かったよね?苦しかったよね?気がついてあげられなくて、ごめんね」


どうして何も悪くない紀子がいじめられて苦しんで死なないといけなかった?

一体この子が何をしたのか?

何もしていないじゃない

何もしていないのに苦しめられた

悲しい思いをずっとずっとしていた



「まっててね…あと少しで終わるの。そしたら私も、紀子のところに行くからね」


死ぬ場所は決めていた。

紀子が死んだあのダムと同じ場所で。



「あぁぁぁぁ…ごめんなさいぃぃぃぃ」

舞が声にならない鳴き声で叫ぶようにそう言ったが、さっきのが致命傷のようでほとんど絶命前に近い様子だった。

紀子が視線だけで、一瞬紀子の母親を見たような気がした。

そして笑ったような気がした。


気がつけば、1歩、2歩、3歩、舞の元へ進み包丁でもう1度首を切りつけ、顔に包丁を落とし、舞は動かなくなった。


隣にいる琴乃はすでに死んでいた。


ーーーーーーーこれで、終わったのだった。
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