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〇〇九 幼馴染、偶然の再会再び!
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私のオフ日は、メンズ・コレクションが終わってオートクチュール・コレクションが始まるまでの間の日しかないとヒュウガに返信すると、その日からメッセージで遣り取りをするようになった。
スマートフォンもだいたい機内モードにしているので私の返信は遅れがちだし、昨夜などは文字を入力中に寝落ちしてしまったりもして、会話は大して進まない。
ヒュウガはパレコレが開催されているファッション・ウィークのメンズ・コレクション期間中にあと幾つかのショーに出るようだけど、日に数本のショーを梯子している私たちのほうが圧倒的に忙しい。
今日の取材のトリを飾るのはオートクチュールも手掛けるブランドのプレタポルテのメンズ・コレクションだ。
パリの一区にあるパレ・ロワイヤルという文化省や国務院、憲法評議会などが入っている歴史的建造物が会場になっていて中庭にランウェイが作られている。
夕方暗くなってからのショーだったので幻想的な光の演出が圧巻だった。
ところが、ショーが終わり、火村さんと水瀬さんと三人でアレコレと語り合いながら正面の広場まで出ると、そこでなんとヒュウガとまたばったり出会った。
「ノゾミ?」
「ヒュウガ?」
見ればヒュウガも同じ招待状を持っている。
パリコレはどこかでチケットを売っていて買えば見られるというものではない。
どこのショーも顧客もプレスも含め、基本的に招待状がないと入れないのだ。
人気ブランドと開催時間が被ってしまったり、知名度の低いブランドは席を埋めるために当日現地でどんどん入れてしまったりもしているが、そういった措置はこのブランドには無縁だろう。
今回のショーにヒュウガは出演していなかったから、私たちと同じく招待されて入っていたのだ。
「今日は観る方だったんだ?」
「お前、昨夜、オレが送ったメッセージ見てないだろ……」
「えっ!?」
恨めしそうに半眼で言われて、慌ててスマートフォンを確認すると、ヒュウガから「明日このブランドのショーを観るから会場で会えたらいいな」という旨のメッセージが追加で届いていた。
今朝は寝坊して慌てていたから着信など見ずに電源を切ってしまっていたのだ。
「うわ、ほんとだごめん。昨夜返信を打ってる途中で寝落ちして今朝は寝坊しちゃって見る時間がなかったの」
私が返信出来なかった先に届いていたメッセージは特に用があるわけでもない挨拶的なものだったし、私から返事がないけどとりあえず用件だけ伝えるために追ってもう一通送ったのだろう。
「……まあ仕事で来てるんだからしょうがないよな」
「ヒュウガはパリに住んでるの?」
「ああ。今は事務所辞めてフリーだし、こっちにいた方がオーディションもショーも便利だからな。それよりノゾミはこの後、もう仕事ないんだろ? 夕飯一緒にどう?」
イケメンからのお誘いで火村さんと水瀬さんも含め四人で食事するのも悪くない。
しかし、確認のため火村さんと水瀬さんを見た私に、二人は予想外の反応をする。
「今ここで、オフショットを数枚撮らせてくれるならノゾミちゃんを貸してあげる」
「それから食事の後、無事にホテルまで送り届けてくれるなら連れて行ってもいいわ」
水瀬さん!?
火村さん!?
四人で一緒に食事するんじゃなく、私とヒュウガ二人で食事することが前提なの!?
しかも私、売られた!?
「了解。写真どうぞ。ノゾミはしっかり送り届けます」
街中でモデルを見かけて急遽オフショットを依頼することはファッション・ウィーク中のパリではよくあることだ。
突然始まった撮影会に、道行く人の口からヒュウガの芸名である「ユーゴ」という名前が聞こえる。
ヒュウガはパリで有名人なんだ。すごい。
でもどうして当事者の私を差し置いて火村さんと水瀬さんとヒュウガの間で話が付いてるんだろう。
スマートフォンもだいたい機内モードにしているので私の返信は遅れがちだし、昨夜などは文字を入力中に寝落ちしてしまったりもして、会話は大して進まない。
ヒュウガはパレコレが開催されているファッション・ウィークのメンズ・コレクション期間中にあと幾つかのショーに出るようだけど、日に数本のショーを梯子している私たちのほうが圧倒的に忙しい。
今日の取材のトリを飾るのはオートクチュールも手掛けるブランドのプレタポルテのメンズ・コレクションだ。
パリの一区にあるパレ・ロワイヤルという文化省や国務院、憲法評議会などが入っている歴史的建造物が会場になっていて中庭にランウェイが作られている。
夕方暗くなってからのショーだったので幻想的な光の演出が圧巻だった。
ところが、ショーが終わり、火村さんと水瀬さんと三人でアレコレと語り合いながら正面の広場まで出ると、そこでなんとヒュウガとまたばったり出会った。
「ノゾミ?」
「ヒュウガ?」
見ればヒュウガも同じ招待状を持っている。
パリコレはどこかでチケットを売っていて買えば見られるというものではない。
どこのショーも顧客もプレスも含め、基本的に招待状がないと入れないのだ。
人気ブランドと開催時間が被ってしまったり、知名度の低いブランドは席を埋めるために当日現地でどんどん入れてしまったりもしているが、そういった措置はこのブランドには無縁だろう。
今回のショーにヒュウガは出演していなかったから、私たちと同じく招待されて入っていたのだ。
「今日は観る方だったんだ?」
「お前、昨夜、オレが送ったメッセージ見てないだろ……」
「えっ!?」
恨めしそうに半眼で言われて、慌ててスマートフォンを確認すると、ヒュウガから「明日このブランドのショーを観るから会場で会えたらいいな」という旨のメッセージが追加で届いていた。
今朝は寝坊して慌てていたから着信など見ずに電源を切ってしまっていたのだ。
「うわ、ほんとだごめん。昨夜返信を打ってる途中で寝落ちして今朝は寝坊しちゃって見る時間がなかったの」
私が返信出来なかった先に届いていたメッセージは特に用があるわけでもない挨拶的なものだったし、私から返事がないけどとりあえず用件だけ伝えるために追ってもう一通送ったのだろう。
「……まあ仕事で来てるんだからしょうがないよな」
「ヒュウガはパリに住んでるの?」
「ああ。今は事務所辞めてフリーだし、こっちにいた方がオーディションもショーも便利だからな。それよりノゾミはこの後、もう仕事ないんだろ? 夕飯一緒にどう?」
イケメンからのお誘いで火村さんと水瀬さんも含め四人で食事するのも悪くない。
しかし、確認のため火村さんと水瀬さんを見た私に、二人は予想外の反応をする。
「今ここで、オフショットを数枚撮らせてくれるならノゾミちゃんを貸してあげる」
「それから食事の後、無事にホテルまで送り届けてくれるなら連れて行ってもいいわ」
水瀬さん!?
火村さん!?
四人で一緒に食事するんじゃなく、私とヒュウガ二人で食事することが前提なの!?
しかも私、売られた!?
「了解。写真どうぞ。ノゾミはしっかり送り届けます」
街中でモデルを見かけて急遽オフショットを依頼することはファッション・ウィーク中のパリではよくあることだ。
突然始まった撮影会に、道行く人の口からヒュウガの芸名である「ユーゴ」という名前が聞こえる。
ヒュウガはパリで有名人なんだ。すごい。
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