2 / 29
白い雲
一
しおりを挟む【白雲 或(しらくも ある)16歳 男】
彼は三ヶ月前、唯一の家族である母を亡くした。
それはあまりにも突然の出来事で
三ヶ月経った今でも、或は母親の死を受け入れることが出来ずにいた。
悲しみ、不安、虚しさ
それらが彼の心を蝕んでいた。
____初めの一週間〝は〟
__________
「……………いる」
コツコツコツッ…
「…いる…」
タタタタタッ…
何かから逃れるように足速に帰路に就く或
タタタタッ…! ガチャ…!
「はぁ…はぁ…」
息を切らし、なんとか家の中に入ると玄関にしゃがみ込んで頭を抱えた
「…やっぱり幻覚なんかじゃない…」
恐る恐る穴を覗き込むと
塀の向こうにいくつかの影が見えた
「…もう嫌だ…」
疲れなのか、精神的なものなのか
「…あれは生きてる人間なんかじゃない…」
母親の死を境に
或は見えるようになっていた
「………………」
〝死者〟の姿が。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる