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勾玉
九
しおりを挟む広間に入った者は
入った順番に並ばされ、用意されている椅子に座らされた
「…(本格的に緊張してきた…)」
会場の雰囲気も
入口の和やかなムードから一転、張り詰めた空気に変わっていた
「…(もし試験内容が紅さんみたいに霊力の具現化??みたいのだったら…どうする…?…霊力同士の手合わせなんで俺にはできないし…成仏のさせ方もわからない…)」
焦りと緊張から冷静さを失っていく或
「…(俺…あいつの言う通り…場違い…なんじゃ……)」
「……あの…」
「…(本当は…俺には力なんてなくて…紅さんの間違いで……霊が見えるだけのただの人間で……それで…)」
「あの…!大丈夫ですか…!」
「っ!!」
肩を叩かれ、ハッとする
「体調…悪いですか…?」
「………っ……」
或の顔を心配そうに覗き込んでいたのは
さっきの言い争いの際に、間に入って仲裁してくれた少女だった
「あっ…えっ…と」
「もしかして闘技君の言っていた事、気にしてますか…?」
「え…!あ…その…」
「闘技君は自分の思った事をはっきり言葉にしてしまう性格だから……びっくりしてしまいますよね…。
でも、そんな闘技君にあんなにバシッと自分の意見を言えるなんてすごいと思います」
「!」
「誰だって否定されたら不安になるのに…」
「えーっと……」
「あっ!ごめんなさい!急に変なこと言って…!
お互い今日は頑張りましょう!!」
クリーム色の髪に、琥珀のような瞳を持つ彼女
或を元気付けようとしてくれた彼女の手は震えていた
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