オレがαでアイツはΩ ~いつかご主人様と呼ばせてやる!~

尾和 ハボレ

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オレがαでアイツはΩ ~いつかご主人様と呼ばせてやる!~

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小学生一年の時の三種検診。

両親に届いた役所からの通知を隠れてみるとアルファとあった。

当時は一番強い人、というくらいの知識しかなかったため、とても喜んだ記憶がある。

ニュースなどで活躍している一流のスポーツ選手や政治家なんかもαが多い。

一方で隣に住むアイツの結果を聞いたらΩと言っていた。

一番弱いヤツだ。

ガキっていうのは残酷なもので、オレはアイツを家来扱いし始めた。

アイツもアイツで嫌がる事も拒む事もしなかった。

だが、成長するにつれ自分たちのタイプをおおっぴらにする事が良くない、不都合の多い事だと身をもって知る機会が増え、次第に隠すようになった。

それでも腐れ縁は続き、同じ高校に進学した。

高校に入ると別のΩと出会う機会が増えた。

αってのは確かに生物的に強い。

体力や筋力は言うに及ばす、頭の出来だって明らかにベータと違うと自覚する事もある。

だが決定的な弱点があった。

Ωの発するフェロモンに弱すぎる。

それは致命的なほどに。

オレは常に抑制剤を飲んで過ごしているが、ヒート(発情期)が来ると効きが鈍くなる。

ヒートには個人差がありオレはとくに症状が強く、この期間はかなり苦しい。

「……くそっ、アタマいてぇ」

今がまさにそれだ。

抑制剤を飲んでフェロモンを抑えているΩですら、瞬時にわかるほど嗅覚が研ぎ澄まされる。

実際、クラスメートにも三人ほどβを装っているヤツがいるが、そいつらの無自覚な誘惑に狂いそうになる。

そんなタイミングを見計らっていつも、三人のΩのうちの一人――アイツがやってくる。

いまだガキの頃に家来扱いした事を根に持っていやがるんだ。

「……ひーびーきー?」
「キョウ……何の用だよ?」
「べっつにー? あー、ちょっとトイレいきたくなったなー。体育館裏の……滅多にダレもこないトイレに行きたくなっちゃったなー」

耳元で囁きつつオレに自分の香りをすりつけるようにしてから離れると、教室を出ていった。





***





五分後。

「……ははっ……今日は、一段とっ……んっ、激しいね!?」
「うるせぇ! 黙ってろ!」
「そんな必死になっちゃって。さっきボクに『ご主人様、お願いします、抱かせてくださいって』言わされたのがそんなにムカついちゃったぁ?」
「うるっせえ!」

結局、今日もオレはヒートに逆らえないまま、アイツの思うままだった。
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