43 / 437
『夏木、ファーストキス』
しおりを挟む
『夏木、ファーストキス』
戦々恐々としながら、夏木さんの言葉を待つオレ。
「で、さっきお前がアタシと本当にする気があるって言ったから……ちょっと安心して、ついあんな事」
……どうやらオレが最後までするつもりがないと残念がったり、不安になったりしていたようだ。
「抱き着いて泣いちゃった、アレ?」
「言うなよ!」
さらにオレには気遣いが足りてない。
「だからさ。お前さえ”その気に”なってくれたなら……今夜、お前のモノにしてくれねぇか」
「その気、ね。確かにそう言ったね、ボク」
セフレの約束をした時、確かにそう言った記憶がある。
さて、どうしたものか。
抱きたいという気持ちはある。
もちろんある。
ただ、処女の不良娘がお口プレイだけうまくなっていくのもまた浪漫だ。
捨て難い。
このまま処女のまま口だけがエロくなっていく夏木さんと。
いつでもなんでもどこでもオレのいう事を約束する夏木さん。
どっちの夏木さんも捨てがたい。
そうやって考え込んでいたのはわずかな時間だったはずだ。
だけども夏木さんは、うつむいたまま肩を震わせ始めた。
「やっぱり……ぐすっ……アタシなんか……」
その嗚咽を聞いらて、かつての地球にいた男で答えを出せないヤツはいないだろう。
「夏木さん」
「……なんだよ? んむっ!?」
驚きに目を大きく見開いた夏木さん。
オレはその唇を奪っていた。
思えばこれがファーストキスだ。
「……み、みやぎ……?」
「じゃ、行こうか」
呆然とする夏木さんの手をとる。
まだ校内だが、かまうものか。
「……どこへ?」
「夏木さんの家。良かったね? 明日は土曜日。学校は休みだよ?」
一瞬、何を言われているのかわからなかった夏木さんだったが。
「……う、うん」
オレの意図を理解した瞬間、今までないほど顔を真っ赤にした。
「じゃあ、連れていってくれるかな?」
「わ、わかった」
とはいえ、オレは夏木さんがどこに住んでいるのかは知らない。
「夏木さんの家、近いて言ってたけど」
「ああ。歩いて二十分くらいだよ。地元もいいとこさ」
「へー、そうなんだ」
夏木さんは少し考えた後に、こんなことも言った。
「……あと、春日井のヤツも地元だよ。家、ワリと近い」
「春日井……ああ、委員長? 友達なんだ?」
「腐れ縁だよ。いつもつっかかってきやがるんだ」
「へー、そうだったんだ」
道理で、クラスの中で夏木さんに直接つっかかっていたわけだ。
まさか知り合い、いや、昔からの友人だったわけだ。
「なんだよ? 別にアイツと仲がいいわけじゃないからな?」
「別に何も聞いてないけど……嫌ってはいないんだ?」
「フン、うるさいな」
何かを誤魔化すようにオレの手をひっぱり始めて、オレと夏木さんは校門を出た。
***
「ここだよ。今はちょっと閉めてるけどな」
「へー、夏木さんの家って喫茶店なんだ?」
案内された先は、個人経営の喫茶店だった。
前世では用事もないし、来た事も無い住宅街。
その中にある、落ち着いたカンジの雰囲気がある店構えだった。
一階が店舗で二階が自宅という作りで、なかなかに大きなお店だ。
閉めているという言葉通り、確かに店内に電気はついていない。
「今はちょっと閉めてる?」
「母さんがケガで入院してんだよ。だからその間だけの臨時休業だ」
「そうなんだ。お母さんの具合、大丈夫?」
地雷を踏んだかと思ったが、夏木さんは軽く手を振る。
「庭でコケて骨折しただけだ。ただ折れたのが大腿骨……ふとももの骨でな。手術は終わったし、すぐに帰ってくるけど、リハビリやなんやで、しばらくは歩けないってよ。だから店もしばらくは休みだな」
「そっか、大変だね。お大事にしてね」
「ありがとよ、けど大した事ねーさ」
そんなやりとりをしながらオレたちはシャッターの降ろされた店側の正面ドアではなく、裏手にある『夏木』と表札のかけられた玄関から入った。
戦々恐々としながら、夏木さんの言葉を待つオレ。
「で、さっきお前がアタシと本当にする気があるって言ったから……ちょっと安心して、ついあんな事」
……どうやらオレが最後までするつもりがないと残念がったり、不安になったりしていたようだ。
「抱き着いて泣いちゃった、アレ?」
「言うなよ!」
さらにオレには気遣いが足りてない。
「だからさ。お前さえ”その気に”なってくれたなら……今夜、お前のモノにしてくれねぇか」
「その気、ね。確かにそう言ったね、ボク」
セフレの約束をした時、確かにそう言った記憶がある。
さて、どうしたものか。
抱きたいという気持ちはある。
もちろんある。
ただ、処女の不良娘がお口プレイだけうまくなっていくのもまた浪漫だ。
捨て難い。
このまま処女のまま口だけがエロくなっていく夏木さんと。
いつでもなんでもどこでもオレのいう事を約束する夏木さん。
どっちの夏木さんも捨てがたい。
そうやって考え込んでいたのはわずかな時間だったはずだ。
だけども夏木さんは、うつむいたまま肩を震わせ始めた。
「やっぱり……ぐすっ……アタシなんか……」
その嗚咽を聞いらて、かつての地球にいた男で答えを出せないヤツはいないだろう。
「夏木さん」
「……なんだよ? んむっ!?」
驚きに目を大きく見開いた夏木さん。
オレはその唇を奪っていた。
思えばこれがファーストキスだ。
「……み、みやぎ……?」
「じゃ、行こうか」
呆然とする夏木さんの手をとる。
まだ校内だが、かまうものか。
「……どこへ?」
「夏木さんの家。良かったね? 明日は土曜日。学校は休みだよ?」
一瞬、何を言われているのかわからなかった夏木さんだったが。
「……う、うん」
オレの意図を理解した瞬間、今までないほど顔を真っ赤にした。
「じゃあ、連れていってくれるかな?」
「わ、わかった」
とはいえ、オレは夏木さんがどこに住んでいるのかは知らない。
「夏木さんの家、近いて言ってたけど」
「ああ。歩いて二十分くらいだよ。地元もいいとこさ」
「へー、そうなんだ」
夏木さんは少し考えた後に、こんなことも言った。
「……あと、春日井のヤツも地元だよ。家、ワリと近い」
「春日井……ああ、委員長? 友達なんだ?」
「腐れ縁だよ。いつもつっかかってきやがるんだ」
「へー、そうだったんだ」
道理で、クラスの中で夏木さんに直接つっかかっていたわけだ。
まさか知り合い、いや、昔からの友人だったわけだ。
「なんだよ? 別にアイツと仲がいいわけじゃないからな?」
「別に何も聞いてないけど……嫌ってはいないんだ?」
「フン、うるさいな」
何かを誤魔化すようにオレの手をひっぱり始めて、オレと夏木さんは校門を出た。
***
「ここだよ。今はちょっと閉めてるけどな」
「へー、夏木さんの家って喫茶店なんだ?」
案内された先は、個人経営の喫茶店だった。
前世では用事もないし、来た事も無い住宅街。
その中にある、落ち着いたカンジの雰囲気がある店構えだった。
一階が店舗で二階が自宅という作りで、なかなかに大きなお店だ。
閉めているという言葉通り、確かに店内に電気はついていない。
「今はちょっと閉めてる?」
「母さんがケガで入院してんだよ。だからその間だけの臨時休業だ」
「そうなんだ。お母さんの具合、大丈夫?」
地雷を踏んだかと思ったが、夏木さんは軽く手を振る。
「庭でコケて骨折しただけだ。ただ折れたのが大腿骨……ふとももの骨でな。手術は終わったし、すぐに帰ってくるけど、リハビリやなんやで、しばらくは歩けないってよ。だから店もしばらくは休みだな」
「そっか、大変だね。お大事にしてね」
「ありがとよ、けど大した事ねーさ」
そんなやりとりをしながらオレたちはシャッターの降ろされた店側の正面ドアではなく、裏手にある『夏木』と表札のかけられた玄関から入った。
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる