【R18】転生先は男女比1:30の貞操逆転世界~ビッチを夢見る三十路の魂~

尾和 ハボレ

文字の大きさ
321 / 437

『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(1)』

しおりを挟む
『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(1)』

日華学園、通称ニチ学、などと呼ばれている学園の風紀や校則はさほど厳しいものではない。

特に髪型や服装(過度の改造は指導対象)だが、ガラが悪い、程度であれば教師もうるさく言わない。

逆にどれだけまともに見える恰好でも、他人に迷惑行為をするという者に関しては厳しい。

特に男子生徒、男子教員などに対する性的な迷惑行為は即座に退学、男性側の対応によっては警察沙汰にもなりかねない。

……と、一般的な学園である。

そんなよくある学園の校舎裏に座り込む一人の女生徒の姿があった。

「だりーッスねぇ」

銀髪のショートカットをゆらしながら、タバコをくゆらせているのは、新一年生の加瀬 薫(カセ カオル)。

いわゆるヤンチャな生徒だ。

タバコも吸うし、街の盛り場やゲームセンターなどでは揉め事やケンカ沙汰なんかも起こす、やや問題児。

中学では仲間とツルんで授業をサボる事も多かったが、中学で一緒だったワルトモ達は別の学校に行ってしまった。

このニチガク、偏差値は決して低い方ではない。

薫はさほど勉強に時間を費やすタイプでは決してないが、要領と物覚えの良さが成績に直結するタイプだった。

また、家庭的、経済的な事情をもあり、中学の恩師が手を尽くしてもぎとった、経済的な支援が受けられる奨学生枠での推薦入学でもある。

素行が悪いといっても男性が関与するものはないため、そこはあまり問題にされなかった。

試験や面接の時は、髪を黒くして猫を十匹くらいかぶった成果でもある。

「んー、返信すらこねーってなんスかねぇ?」

かつての旧友と学外で合流してサボろうと連絡をとっても、新しくクラスメートになった男子に顔を覚えてもらう大事な時期とあって真面目に出席中だった。

「あいつらもアホっすよね、男のダチなんかできるわけねーでしょーに。夏休みまでに男をつくって一緒に海に行く? むりむりむりむり、かたつむりー」

などと、強がりの独り言をとともにタバコを地面におしつけてもみ消す。

「男ねー。まー、ロクなもんじゃねーってわかっちゃいるんスけど」

周りには硬派を謳ってはいるが、彼女も女である。

出来れば男の友人や……恋人なんかも欲しいが、無理だと諦めている。

そもそもグレたキッカケが男がらみだ。

中学二年の頃、思い切って男子に告白したものの、ひどい振られ方をした。

それ自体はよくある話だが、自分のコンプレックスを手ひどくあざわられたのだ。

いわく『その胸、ブヨブヨ揺れて気持ち悪いから寄るな』と。

以来、男が自分の胸を嫌悪する以上に、自分が男を嫌悪するようになった。

「乳を出すためのモンでも、乳が出せるようにならなきゃただのオモリっすわ、ジャマくっさ」

立てば足元が見えなくなるほど、ジャマくさい二つのふくらみが自分の胸にある。

男にとって乳房というのは、不気味な肉塊でしかないと聞く。

少なくとも視界に入って気持ちいいものではなく、万一、触れさせてしまったら大事だ。

胸の大きさに悩む世の女性は、そういった事故が起こらないように、近くに男性がいる時は背を丸めて胸を隠したり、サラシやバンテージなどで胸を圧迫したりすることが多い。

ワルトモの中には自分より胸が小さいくせに、それでも必死にサラシを巻くヤツもいる。

「サラシ程度で隠せる胸がうらやましーッスわ」

薫のそれは多少しめつけただけで隠せる大きさではないため、あきらめている。

とはいえ、生まれ持った身体的特徴を侮蔑の目で見られるというのは気分の良いものではない。

校舎を歩いているだけで、時折すれ違う男子生徒が露骨に眉をしかめたり、場合によっては気持ち悪いなどと罵声を浴びせてくる。

しかしどれだけ相手に否があろうと、男子生徒に文句を言う事や、まして怒って女から殴りかかるなんて事をすれば退学だけではすまない。

結果、薫は登校しても校舎の中にいる時間が少なくなった。

保健室登校なんてガラでもないため、こうして人目につかない場所で時間を潰している。

人付き合いや面倒ごとはゴメンだ、というつもりだが、やはり他人の、特に男の目がわずらわしい。

絶対に誰にも言わないが正直な所、自分をさげすむ男の視線が怖い、というのも大きいのだ。

「海かー……」

男と行くことはできないにしても、ずいぶんと海やプールに行っていない。

特段、そういった場所が好きというわけではないが、行かないというのと、行けないというのでは話がまったく違う。

視線を下にやる。

「はぁ……」

見れば見るほど、ジャマでしかない。

自分の体の一部だというのに、憎しみばかり募っていく。

せめてこれさえなければ、女の友人同士で海やらプールにも行けるだろうが、こんなモノを水着に詰め込んで遊びに行けば、友人たちも巻き添えにして、いつもよりも厳しい男に嫌悪の目を向けられるだけだ。

「男と一緒にいれば、そういうトラブルもないでしょーけどねー」

逆に同伴している男性でもいれば、他の女性から何か言われる事もないし(やっかみや嫉妬しはともかく)他の男も、わざわざ言ってこないだろう。

だからこそ無理だ。

こんな自分と一緒に歩いていてくれるような、それも水着姿で一緒に海を楽しんでくれるような男なんているはずもない。

「ふう……はぁ……ふぅぅぅう」

薫は、今日、何度目かもわからないため息を、タバコの煙とともに吐き出した。

時刻はそろそろ放課後だ。

体育館裏という事もあって、体育館内や少し離れた場所にあるグラウンドから、運動部の声が聞こえ始めてきた。

「元気なこって」

スポーツをバカにするわけではないが、興味のない自分にとっては時間と体力の無駄、ぐらいにしか思っていない。

うるさくなってきたし、そろそろ駅前に出てゲーセンか、夕方過ぎにちょっとヤンチャ系でカッコいい男店員が出てくるコーヒーショップにでも行くかと思っていた時。

「……あ、青葉センパイ」

自分より一つ上の、長い金髪をした女生徒の姿がこちらに向かってくるのを見つけて薫は微笑んだ。

見事なまでの金髪はよく目立つ。

さすがにアレは何か言われそうだが、それでもずっとあの色のままだ。

変わった事と言えばずっとストレートロングだったのが、最近ポニーテールになった事ぐらいだろうか。

とはいえ、知り合って一月たらずだ。

気分で髪型を変える人かもしれないし、首回りが暑くなってきたからとかそういう理由もあるだろう。

「青葉センパ……ッ!?」

薫は校舎裏の陰から出て、声をかけようとしたが、目を見開いて言葉を飲み込んだ。

「え、あれ、マジ……ッスか?」

夏木の隣には――男子生徒がいた。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...