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独眼竜の恋の行方
雪解けと政宗の初陣
初陣直前のお話、R18回になります
********************************************
政宗は父・輝宗に小十郎ともども呼び出された。
「父上、政宗只今まかり越しました。」
「おお、政宗。 よう参った。
近こう寄れ。 小十郎も。」
二人は輝宗に言われるまま側に寄る。輝宗の左右に控えるは宿老、遠藤元信と鬼庭左月。二人とも神妙な面持ちをしており、政宗に緊張が走る。だが、輝宗はニカッと笑い、杯を政宗に差し出す。
「そう固くなるな。 まずは一献、飲むがよい。」
「はっ。」
政宗は注がれた酒を一気に煽る。
「いやぁ、若もすっかり男らしゅうなられましたなぁ。」
「左月の言う通り。 実に頼もしい限り。」
「それもこれもすべては傅役の小十郎のお陰じゃ。」
「過分のお言葉、痛み入ります。」
「小十郎、そちにも杯を取らす。 近こう。」
「はっ。」
小十郎も杯を受け取り注がれた酒を煽る。その飲みっぷりに三人とも笑みが零れる。だが、次の瞬間、輝宗の表情が一変する。
「さて。 此度、政宗は初陣を迎えるわけだが…。」
その言葉に二人はゴクリと唾を飲み込む。輝宗は手を打つと小姓たちによって布で覆われたものが運び込まれた。
「初陣に際して、政宗にこれを取らす。」
輝宗は左月に目配せし、掛けられた布を引かせる。そこには三日月の前立があしらわれた漆黒の鎧兜だった。
「特別にあつらえさせた『鉄黒漆五枚胴具足』じゃ。」
「父上!!」
「此度の初陣、其方には期待しておるぞ!!」
「お任せください!」
「それから…。」
輝宗は小十郎に目をやった。再び手を打って、小姓たちにもう一組の布を被せた鎧を運び込ませると、今度は元信に目配せしてその布を引かせた。そこに現れたのは前立に『愛宕山大権現守護所』と刻まれた漆黒の鎧兜。
「この『黒漆五枚胴具足』は小十郎、其方につかわす。」
「!!!」
小十郎は驚きのあまり、言葉を失う。
「小十郎、今まで其方の働きに報えず、すまなかった。」
「殿…。」
「儂も修験者の息子ということで家中からやっかまれたものよ。
そのような思いはこの元信一人でよいわ。」
「元信様…。」
「小十郎! この具足を着けて、その才を存分に示せ!
さすれば、誰も其方をやっかんだりせぬわ!!!」
「左月様まで…。」
小十郎の目には涙が溢れていた。幼き頃よりともにあった政宗も感極まったようで涙を流して喜んぶ。
「小十郎、共に手柄を立てようぞ!」
「はい…。」
宴は夜半過ぎまで催された。月が中天に差し掛かる頃になってようやく寝所へと戻った政宗。
目の前には父から贈られた『鉄黒漆五枚胴具足』が置かれている。政宗は手酌で酒を注ぎ、それを飲み干す。
(どうやら、今宵は眠れそうにないな…。)
政宗は別れ際に言われた小十郎の言葉を思い返す。
「若、良い機会です。 今宵こそ、愛様に思いを伝えなさいませ。」
「しかし…。」
「しかしも案山子もありませぬ。」
「小十郎。」
「いつまでも避けておいででは増々愛様のお立場は悪うなります。」
「そ、それは…。」
「未だ、子が出来ぬとあっては離縁もやむなしと…。」
「!!!」
「なれば、きちんとお伝いなさるべきです。」
「だが、俺は…。」
「心配なさいますな。 姉上の話によれば愛様も若をお慕いしておられるご様子。」
「まことか?」
「百聞は一見に如かず。 今宵確かめなされるがよろしいでしょう。
姉上に頼んで愛様にまかり越していただくようお願いしてあります。」
そういって、小十郎は自分を送り出した。だが、政宗はあの憎しみのこもった瞳が忘れられない。
あれをまた向けられるのではと思えば、足が竦んで動けない。政宗の頭の中はまさに堂々巡りとなっていた。そんなとき、障子が開けられる。振り返れば、そこには愛が立っていた。
「愛…。」
「殿から立派な具足を賜られたとか。」
「あ、ああ…。」
「こちらがそうでございますか?」
「特別にあしらわせたそうだ。」
「あ、あの…。」
「ん?」
「私からも、これを…。」
愛は直垂を収めた桐箱を差し出した。そこに納められていたのは漆黒に染め上げられた鎧直垂。
「喜多から聞きました。」
「喜多が?」
「はい、わ…。
藤次郎様は『唐の李克用のように『独眼竜』となって天下を収める』
そのように申されておると伺いました。」
「そうか。」
「聞き及んだところ、李克用は漆黒の鎧に身を包んでいたとか。
なれば、藤次郎様の具足も黒であろうと思い、鎧直垂も黒がよろしかろうと…。」
「もしや…。」
「少し、喜多に手伝うてもらいましたが…。」
愛はほんのりと頬を赤らめ恥ずかしそうにしている。政宗はその仕草に我慢ができなくなった。
「きゃっ!」
「愛!!」
「と、藤次郎様?」
「あの時はすまなかった…。」
「あ…。」
「だが、あの時はああするより…。」
「わかっております。」
「愛…。」
政宗は抱きしめた腕を緩めた。すると、愛は懐から一通の文を取り出す。明野が最後に残した文だ。
「これは?」
「明野が残した文でございます。 そこに事の真相が書かれておりました。」
「そうか…。」
「私はあれからずっと後悔していることがございます。」
「何だ?」
「あの時、藤次郎様に憎しみのこもった目を向けてしまったことです。」
「!!!」
「何も知らぬこととはいえ、好いた殿方に向ける目では…。」
「め、愛! い、今、何と?」
「えっと…。」
「もう一度言ってくれ。」
「す、好いた殿方と…。」
「お、俺は夢でも見ているのか?」
「え?」
「あのような真似をしたにもかかわらず、俺を好いてくれていると…。」
政宗は震えが止まらなかった。それは愛が自分を未だ好いていてくれたことへの歓喜ゆえである。その思いは目頭を熱くさせ、気付けば頬を涙が伝う。その頬を愛の白く柔らかい手が包み込む。そして、そのまま唇を重ねた。生まれて初めて味わう女子の唇は甘く蕩けるような甘美なものであった。
「今宵は私がお慰めしとうございます。」
「え?」
政宗が愛の言葉の意味を計りかねた。だが、愛は躊躇うことなく行動する。震える手を政宗の逸物へと伸ばし扱き始める。そのもどかしい動きに政宗の腰が跳ねた。だが、愛の行為はそれだけでは終わらない。硬く勃ち上がり始めた逸物を口に含んだのだ。
「!!!!!」
余りのことに政宗は動揺を隠しきれない。だが、愛の口の中は温かく気持ちよい。
未だ女を知らぬ若い政宗には堪らない行為だった。すぐに我慢の限界を迎え、そのまま欲望を吐き出してしまう。
「んぐっ。」
愛は勢いよく放たれた白濁に眉を顰めたが、愛はそれを飲み込む。
口の中はまだ青臭く苦い味と粘付きが残り気持ち悪い。だが、好いた男の物であると思えばなということもない。
「愛! ま、まさか、飲んだ、のか?」
政宗は狼狽えて聞いてくる。愛はコクリと頷くと何故か政宗は頭を掻き毟る。そのまま、愛を抱き上げ脱兎のの如く駆けだした。
連れていかれた先は湯殿だった。
「愛、其方なんて無茶を…。」
「で、ですが…。」
「あぁぁ!! もう、何も言うな! 兎に角、口を濯げ!!!」
政宗に促されるまま愛は口を濯いだ。その間に政宗は寝間着を脱ぎ捨てると湯船に顔まで浸かってしまう。
「藤次郎様?」
「…………。」
「あ、あの、私もご一緒してよろしいですか?」
「…………。」
返事を待つことなく、自らの寝間着を脱ぎ始める愛。その裸形に政宗の逸物は再び鎌首をもたげ始める。
「何故、あのようなことを…。」
「お嫌でしたか?」
「嫌、ではなかったが…。」
「毎晩、自ら慰めておられると…。」
「!!!」
「小十郎が…。」
政宗は舌打ちをした。まさか、小十郎がそんなことまで話しているとは思いもよらなかったのだ。
怒りに拳を震わせていると、再び逸物に柔らかな手が触れる。だが、その手を政宗は引き剥がした。
「あーーーー。」
「藤次郎様?」
「手や口はもういい。」
「え?」
「もっと深く繋がりたい。」
政宗は耳元で囁くと、唇を重ねた。突然のことに愛は驚きを隠せない。その隙に政宗は舌を入れる。口腔内を舐め上げ、愛の舌を絡めとる。怯えたように強張る愛の背を撫でてやりながらもその唇を貪る。
「その…、なんだ…。」
「藤次郎様?」
「お、俺も初めてだから…。」
政宗の言葉に愛は目を丸くする。政宗の真剣な表情に笑いが込み上げてきてしまう。すると、政宗の眉間には増々深い皺が刻まれていく。
「むぅ、そのように笑う奴には仕置きじゃ!」
「え?!」
政宗は後ろから抱きしめると愛の胸を鷲掴みにして揉みしだく。少し力を込め過ぎたかとも思ったが、愛から漏れる吐息に甘い響きが加わると政宗の箍は外れてしまう。藤五郎や左馬之助らが教えてくれたことをが思い出してそれを実践してみる。
左手を臍を撫で脇腹から太腿へと這わせる。その手は敢えて蜜口を外して撫で上げる。
「んん…。」
愛は初めて与えられる感覚に身を捩る。下腹部の奥からはトロリとした蜜が溢れてくるのがわかる。如何に湯に浸かっているからといっても政宗に知れるのは時間の問題。それに耐え切れず、愛は太腿をすり合わせる。
その様子に何かを察したのであろう。政宗は秘裂に指を這わせ、撫で上げた。
「ひゃっ!」
「愛…。 女子はここを撫でられると蜜を零すそうな。」
「あぁ…。」
「其方の蜜はどんな味がするのか…。」
「い、いや…。」
政宗はその指を蜜口へとゆっくりと鎮めていく。そこはきつく締め付けてくる、まるで拒むかのように…。
だが、ゆっくりと、優しく抜き差しをすればそこは少しずつだが柔らかくなり始める。政宗は必死で衝動を抑えつつ、愛の官能を引き出してゆく。その間にも政宗の逸物は痛いくらいに張り詰める。
それに我慢できなくなり、蜜口に埋めていた指を引き抜くと、そのまま湯から上がる。
愛を床に横たわらせると、その両足を広げ間に自らの体を入れる。そして、そのまま蜜口に逸物を宛がい一気に押し込んだ。
「ひゃっ!!」
「くっ!」
破瓜の痛みに耐えかねて愛が悲鳴を上げる。そして、政宗をきつく締め上げる。爆ぜてしまいそうになるのを奥歯を噛みしめ、必死に耐える政宗。如何せん、初めて故それほど我慢はできない。
腰から背中へと抜ける愉悦の波は政宗の脳をマヒさせる。最早、抗うことができず、本能の赴くままその快楽を貪るように激しく腰を打ち付ける。
「ゆ、許せ。 どうにも止まれぬ。」
「あっ! と、とうじ、ろう、さまぁ!!」
政宗は一心不乱に穿ち続けた。やがて、その締め付けに耐えかね爆ぜた。見下ろす愛のまなじりは涙がたまっている。政宗はそれをそっと指で拭う。そして、力を失った自身を引き抜いた。
蜜口からは収まりきらなかった白濁が破瓜の血と混ざりあって伝い零れる。
愛はくたりと横たわり、荒い息をしている。政宗はようやく結ばれた喜びと同時に無体を敷いてしまったことへの申し訳なさで心はいっぱいになる。愛の体を支え、湯をかけて洗い流し、寝間着でくるむとそのまま寝所へと運んだ。
「すまぬ…。」
「謝るくらいならもう少し優しゅうしてほしかったです。」
「し、仕方あるまい。 は、初めてだったのだから…。」
「次は善処してください。」
「むぅ、分かった。」
「フフ…。」
「なんだ?」
「いえ、藤次郎様とこうして閨を共にできるとは思うていませんでしたので。」
「俺もだ。」
「初陣、華々しい活躍など要りませぬ。」
「愛?」
「どうか…。」
愛は政宗の背に腕を回すときつく抱きしめる。それに驚き、どうすべきか逡巡していると愛が言葉を続けた。
「どうか、無事に私の元へ帰ってきてください。」
「愛……。」
「もう、誰も大切な人を失いたくありませぬ。」
「ああ、約束する。 必ず其方の元に戻ってくる。」
「藤次郎様…。」
政宗が強く抱き返すと安堵したのか愛は静かな寝息を立て始める。それにホッとした政宗もそのまま眠りについた。その夜、二人は再び心を通わせ、体も繋がり、その愛を確かめ合った。
数日後、政宗は父・輝宗とともに米沢城から出陣する。
「では、行ってまいる。」
「ご武運をお祈りしております。」
愛は太刀を渡しながら、政宗を見上げる。政宗は自信に満ち溢れており、愛の不安を払拭していく。
「あーーー。」
「?」
「愛、目を瞑れ。」
「え?」
愛は言われるままに目を瞑ると、顎に手を添えられ唇に柔らかな感触が…。
驚き、目を開けると政宗の顔が眼前にある。柔らかな感触が離れた瞬間、今まで触れていたのが政宗の唇であるとわかると羞恥に顔が真っ赤になる。
「はは! 戦の前祝よ!!」
「もう!!」
愛は頬を膨らませて怒ったが政宗はどこ吹く風。颯爽と馬に跨り、走り去る。
そして、右拳を高々と上げる。その姿に愛は頼もしさを感じた。事実、政宗はこの初陣でその名を奥州全土に知らしめることとなる。
若き独眼竜の恋は実りの時を迎えた。
だが、二人の思いが報われるまでには長い時を要するのであるが、それはまた別の話。
兎にも角にも、お互い初めての恋を実らせたのは間違いなかったのである。
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お読みいただきありがとうございます
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政宗は父・輝宗に小十郎ともども呼び出された。
「父上、政宗只今まかり越しました。」
「おお、政宗。 よう参った。
近こう寄れ。 小十郎も。」
二人は輝宗に言われるまま側に寄る。輝宗の左右に控えるは宿老、遠藤元信と鬼庭左月。二人とも神妙な面持ちをしており、政宗に緊張が走る。だが、輝宗はニカッと笑い、杯を政宗に差し出す。
「そう固くなるな。 まずは一献、飲むがよい。」
「はっ。」
政宗は注がれた酒を一気に煽る。
「いやぁ、若もすっかり男らしゅうなられましたなぁ。」
「左月の言う通り。 実に頼もしい限り。」
「それもこれもすべては傅役の小十郎のお陰じゃ。」
「過分のお言葉、痛み入ります。」
「小十郎、そちにも杯を取らす。 近こう。」
「はっ。」
小十郎も杯を受け取り注がれた酒を煽る。その飲みっぷりに三人とも笑みが零れる。だが、次の瞬間、輝宗の表情が一変する。
「さて。 此度、政宗は初陣を迎えるわけだが…。」
その言葉に二人はゴクリと唾を飲み込む。輝宗は手を打つと小姓たちによって布で覆われたものが運び込まれた。
「初陣に際して、政宗にこれを取らす。」
輝宗は左月に目配せし、掛けられた布を引かせる。そこには三日月の前立があしらわれた漆黒の鎧兜だった。
「特別にあつらえさせた『鉄黒漆五枚胴具足』じゃ。」
「父上!!」
「此度の初陣、其方には期待しておるぞ!!」
「お任せください!」
「それから…。」
輝宗は小十郎に目をやった。再び手を打って、小姓たちにもう一組の布を被せた鎧を運び込ませると、今度は元信に目配せしてその布を引かせた。そこに現れたのは前立に『愛宕山大権現守護所』と刻まれた漆黒の鎧兜。
「この『黒漆五枚胴具足』は小十郎、其方につかわす。」
「!!!」
小十郎は驚きのあまり、言葉を失う。
「小十郎、今まで其方の働きに報えず、すまなかった。」
「殿…。」
「儂も修験者の息子ということで家中からやっかまれたものよ。
そのような思いはこの元信一人でよいわ。」
「元信様…。」
「小十郎! この具足を着けて、その才を存分に示せ!
さすれば、誰も其方をやっかんだりせぬわ!!!」
「左月様まで…。」
小十郎の目には涙が溢れていた。幼き頃よりともにあった政宗も感極まったようで涙を流して喜んぶ。
「小十郎、共に手柄を立てようぞ!」
「はい…。」
宴は夜半過ぎまで催された。月が中天に差し掛かる頃になってようやく寝所へと戻った政宗。
目の前には父から贈られた『鉄黒漆五枚胴具足』が置かれている。政宗は手酌で酒を注ぎ、それを飲み干す。
(どうやら、今宵は眠れそうにないな…。)
政宗は別れ際に言われた小十郎の言葉を思い返す。
「若、良い機会です。 今宵こそ、愛様に思いを伝えなさいませ。」
「しかし…。」
「しかしも案山子もありませぬ。」
「小十郎。」
「いつまでも避けておいででは増々愛様のお立場は悪うなります。」
「そ、それは…。」
「未だ、子が出来ぬとあっては離縁もやむなしと…。」
「!!!」
「なれば、きちんとお伝いなさるべきです。」
「だが、俺は…。」
「心配なさいますな。 姉上の話によれば愛様も若をお慕いしておられるご様子。」
「まことか?」
「百聞は一見に如かず。 今宵確かめなされるがよろしいでしょう。
姉上に頼んで愛様にまかり越していただくようお願いしてあります。」
そういって、小十郎は自分を送り出した。だが、政宗はあの憎しみのこもった瞳が忘れられない。
あれをまた向けられるのではと思えば、足が竦んで動けない。政宗の頭の中はまさに堂々巡りとなっていた。そんなとき、障子が開けられる。振り返れば、そこには愛が立っていた。
「愛…。」
「殿から立派な具足を賜られたとか。」
「あ、ああ…。」
「こちらがそうでございますか?」
「特別にあしらわせたそうだ。」
「あ、あの…。」
「ん?」
「私からも、これを…。」
愛は直垂を収めた桐箱を差し出した。そこに納められていたのは漆黒に染め上げられた鎧直垂。
「喜多から聞きました。」
「喜多が?」
「はい、わ…。
藤次郎様は『唐の李克用のように『独眼竜』となって天下を収める』
そのように申されておると伺いました。」
「そうか。」
「聞き及んだところ、李克用は漆黒の鎧に身を包んでいたとか。
なれば、藤次郎様の具足も黒であろうと思い、鎧直垂も黒がよろしかろうと…。」
「もしや…。」
「少し、喜多に手伝うてもらいましたが…。」
愛はほんのりと頬を赤らめ恥ずかしそうにしている。政宗はその仕草に我慢ができなくなった。
「きゃっ!」
「愛!!」
「と、藤次郎様?」
「あの時はすまなかった…。」
「あ…。」
「だが、あの時はああするより…。」
「わかっております。」
「愛…。」
政宗は抱きしめた腕を緩めた。すると、愛は懐から一通の文を取り出す。明野が最後に残した文だ。
「これは?」
「明野が残した文でございます。 そこに事の真相が書かれておりました。」
「そうか…。」
「私はあれからずっと後悔していることがございます。」
「何だ?」
「あの時、藤次郎様に憎しみのこもった目を向けてしまったことです。」
「!!!」
「何も知らぬこととはいえ、好いた殿方に向ける目では…。」
「め、愛! い、今、何と?」
「えっと…。」
「もう一度言ってくれ。」
「す、好いた殿方と…。」
「お、俺は夢でも見ているのか?」
「え?」
「あのような真似をしたにもかかわらず、俺を好いてくれていると…。」
政宗は震えが止まらなかった。それは愛が自分を未だ好いていてくれたことへの歓喜ゆえである。その思いは目頭を熱くさせ、気付けば頬を涙が伝う。その頬を愛の白く柔らかい手が包み込む。そして、そのまま唇を重ねた。生まれて初めて味わう女子の唇は甘く蕩けるような甘美なものであった。
「今宵は私がお慰めしとうございます。」
「え?」
政宗が愛の言葉の意味を計りかねた。だが、愛は躊躇うことなく行動する。震える手を政宗の逸物へと伸ばし扱き始める。そのもどかしい動きに政宗の腰が跳ねた。だが、愛の行為はそれだけでは終わらない。硬く勃ち上がり始めた逸物を口に含んだのだ。
「!!!!!」
余りのことに政宗は動揺を隠しきれない。だが、愛の口の中は温かく気持ちよい。
未だ女を知らぬ若い政宗には堪らない行為だった。すぐに我慢の限界を迎え、そのまま欲望を吐き出してしまう。
「んぐっ。」
愛は勢いよく放たれた白濁に眉を顰めたが、愛はそれを飲み込む。
口の中はまだ青臭く苦い味と粘付きが残り気持ち悪い。だが、好いた男の物であると思えばなということもない。
「愛! ま、まさか、飲んだ、のか?」
政宗は狼狽えて聞いてくる。愛はコクリと頷くと何故か政宗は頭を掻き毟る。そのまま、愛を抱き上げ脱兎のの如く駆けだした。
連れていかれた先は湯殿だった。
「愛、其方なんて無茶を…。」
「で、ですが…。」
「あぁぁ!! もう、何も言うな! 兎に角、口を濯げ!!!」
政宗に促されるまま愛は口を濯いだ。その間に政宗は寝間着を脱ぎ捨てると湯船に顔まで浸かってしまう。
「藤次郎様?」
「…………。」
「あ、あの、私もご一緒してよろしいですか?」
「…………。」
返事を待つことなく、自らの寝間着を脱ぎ始める愛。その裸形に政宗の逸物は再び鎌首をもたげ始める。
「何故、あのようなことを…。」
「お嫌でしたか?」
「嫌、ではなかったが…。」
「毎晩、自ら慰めておられると…。」
「!!!」
「小十郎が…。」
政宗は舌打ちをした。まさか、小十郎がそんなことまで話しているとは思いもよらなかったのだ。
怒りに拳を震わせていると、再び逸物に柔らかな手が触れる。だが、その手を政宗は引き剥がした。
「あーーーー。」
「藤次郎様?」
「手や口はもういい。」
「え?」
「もっと深く繋がりたい。」
政宗は耳元で囁くと、唇を重ねた。突然のことに愛は驚きを隠せない。その隙に政宗は舌を入れる。口腔内を舐め上げ、愛の舌を絡めとる。怯えたように強張る愛の背を撫でてやりながらもその唇を貪る。
「その…、なんだ…。」
「藤次郎様?」
「お、俺も初めてだから…。」
政宗の言葉に愛は目を丸くする。政宗の真剣な表情に笑いが込み上げてきてしまう。すると、政宗の眉間には増々深い皺が刻まれていく。
「むぅ、そのように笑う奴には仕置きじゃ!」
「え?!」
政宗は後ろから抱きしめると愛の胸を鷲掴みにして揉みしだく。少し力を込め過ぎたかとも思ったが、愛から漏れる吐息に甘い響きが加わると政宗の箍は外れてしまう。藤五郎や左馬之助らが教えてくれたことをが思い出してそれを実践してみる。
左手を臍を撫で脇腹から太腿へと這わせる。その手は敢えて蜜口を外して撫で上げる。
「んん…。」
愛は初めて与えられる感覚に身を捩る。下腹部の奥からはトロリとした蜜が溢れてくるのがわかる。如何に湯に浸かっているからといっても政宗に知れるのは時間の問題。それに耐え切れず、愛は太腿をすり合わせる。
その様子に何かを察したのであろう。政宗は秘裂に指を這わせ、撫で上げた。
「ひゃっ!」
「愛…。 女子はここを撫でられると蜜を零すそうな。」
「あぁ…。」
「其方の蜜はどんな味がするのか…。」
「い、いや…。」
政宗はその指を蜜口へとゆっくりと鎮めていく。そこはきつく締め付けてくる、まるで拒むかのように…。
だが、ゆっくりと、優しく抜き差しをすればそこは少しずつだが柔らかくなり始める。政宗は必死で衝動を抑えつつ、愛の官能を引き出してゆく。その間にも政宗の逸物は痛いくらいに張り詰める。
それに我慢できなくなり、蜜口に埋めていた指を引き抜くと、そのまま湯から上がる。
愛を床に横たわらせると、その両足を広げ間に自らの体を入れる。そして、そのまま蜜口に逸物を宛がい一気に押し込んだ。
「ひゃっ!!」
「くっ!」
破瓜の痛みに耐えかねて愛が悲鳴を上げる。そして、政宗をきつく締め上げる。爆ぜてしまいそうになるのを奥歯を噛みしめ、必死に耐える政宗。如何せん、初めて故それほど我慢はできない。
腰から背中へと抜ける愉悦の波は政宗の脳をマヒさせる。最早、抗うことができず、本能の赴くままその快楽を貪るように激しく腰を打ち付ける。
「ゆ、許せ。 どうにも止まれぬ。」
「あっ! と、とうじ、ろう、さまぁ!!」
政宗は一心不乱に穿ち続けた。やがて、その締め付けに耐えかね爆ぜた。見下ろす愛のまなじりは涙がたまっている。政宗はそれをそっと指で拭う。そして、力を失った自身を引き抜いた。
蜜口からは収まりきらなかった白濁が破瓜の血と混ざりあって伝い零れる。
愛はくたりと横たわり、荒い息をしている。政宗はようやく結ばれた喜びと同時に無体を敷いてしまったことへの申し訳なさで心はいっぱいになる。愛の体を支え、湯をかけて洗い流し、寝間着でくるむとそのまま寝所へと運んだ。
「すまぬ…。」
「謝るくらいならもう少し優しゅうしてほしかったです。」
「し、仕方あるまい。 は、初めてだったのだから…。」
「次は善処してください。」
「むぅ、分かった。」
「フフ…。」
「なんだ?」
「いえ、藤次郎様とこうして閨を共にできるとは思うていませんでしたので。」
「俺もだ。」
「初陣、華々しい活躍など要りませぬ。」
「愛?」
「どうか…。」
愛は政宗の背に腕を回すときつく抱きしめる。それに驚き、どうすべきか逡巡していると愛が言葉を続けた。
「どうか、無事に私の元へ帰ってきてください。」
「愛……。」
「もう、誰も大切な人を失いたくありませぬ。」
「ああ、約束する。 必ず其方の元に戻ってくる。」
「藤次郎様…。」
政宗が強く抱き返すと安堵したのか愛は静かな寝息を立て始める。それにホッとした政宗もそのまま眠りについた。その夜、二人は再び心を通わせ、体も繋がり、その愛を確かめ合った。
数日後、政宗は父・輝宗とともに米沢城から出陣する。
「では、行ってまいる。」
「ご武運をお祈りしております。」
愛は太刀を渡しながら、政宗を見上げる。政宗は自信に満ち溢れており、愛の不安を払拭していく。
「あーーー。」
「?」
「愛、目を瞑れ。」
「え?」
愛は言われるままに目を瞑ると、顎に手を添えられ唇に柔らかな感触が…。
驚き、目を開けると政宗の顔が眼前にある。柔らかな感触が離れた瞬間、今まで触れていたのが政宗の唇であるとわかると羞恥に顔が真っ赤になる。
「はは! 戦の前祝よ!!」
「もう!!」
愛は頬を膨らませて怒ったが政宗はどこ吹く風。颯爽と馬に跨り、走り去る。
そして、右拳を高々と上げる。その姿に愛は頼もしさを感じた。事実、政宗はこの初陣でその名を奥州全土に知らしめることとなる。
若き独眼竜の恋は実りの時を迎えた。
だが、二人の思いが報われるまでには長い時を要するのであるが、それはまた別の話。
兎にも角にも、お互い初めての恋を実らせたのは間違いなかったのである。
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赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
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支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
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