独眼竜の想い、千里を翔る～伊達政宗戀奇譚～

独眼竜と三春の姫

妻子との平穏なひと時

五郎八いろは姫の誕生から早くも一年が過ぎた。この頃から情勢は少しずつ不穏な空気を纏わせていたが伊達家では思いの外穏やかな日々が続いていた。

――――――――伊達屋敷――――――――

「それ、高い高い」
「きゃっ、きゃっ。」
「ははは、五郎八いろははこれが好きだのう。」

破顔して愛娘を抱き上げる政宗。それを苦笑いとともに見守るのは正室の田村御前こと愛めご。
夫婦《めおと》となって１５年目にしてようやく生まれた愛めごとの子である五郎八いろはを政宗は溺愛していた。兎に角、可愛くて仕方ないようで毎日デレデレである。甲斐甲斐しく世話を焼く姿はいつぞやの自分に世話を焼く姿に重なり愛めごは苦笑いしか出てこなかった。ふと、気付くと政宗が何やら眉間に皺を寄せている。先程まで愛らしく笑っていた娘が急にぐずり始めたのだ。

「藤次郎様？」
「あ、ああ…。」
「五郎八いろはが如何しましたか？」
「どこかかゆいのかもしれん。」
「まぁ。」

政宗は心配そうに愛めごに五郎八いろはを渡す。よく見ると、五郎八いろはは酷く汗をかいていた。

（あせもができたのね。）

クスリと笑い、愛めごは政宗に笑いかけるが、政宗は訝いぶかしみ首を傾げてる。その様子がおかしくて、愛めごは笑いが止まらない。親子ほど離れた加賀大納言利家や内府家康とも対等に渡り歩き、『独眼竜』と渾名されるこの夫が娘の異変にオロオロしているのだ。笑われずにいられるわけなかった。

「何をそんなに笑っておる！」
「も、申し訳、ございません…。」
「むぅ…。」
「あ、あの、そ、それほど心配、されるようなこと、ではありません。」
「？」
「ただのあせもです。」
「あせも？」
「はい、京の夏は東北とは比べもになりませぬから…。」
「そ、そうか…。　ただのあせもか…。」

政宗は愛めごの言葉にホッとしたのか、安堵の表情を見せる。それがまたおかしくて、愛めごはまた吹き出してしまった。

「む。」
「あ、も、申し訳ございません。」
「して、どうすればよい。」
「そうですね。　汗を流して、薬を塗って、着替えさせればよいかと…。」
「そうか！」

政宗はすぐに大だらいを庭に用意させる。その後、自ら褌姿になって五郎八いろはの汗を流し始めてしまった。愛めごはその姿を縁側に腰かけ優しく見守る。

「ひゃっ。　あー。」
「おお、おお、気持ちよいか？」
「きゃーーっ。」

五郎八いろははよほど気持ちよいのか手でバシャバシャと水面を叩く。それを眉をハの字に下げて甲斐甲斐しく世話をする政宗。しっかりを汗を流してやって水から上げると乳母にあとの世話を任せて愛めごの隣に座った。

「藤次郎様は五郎八いろはを甘やかしすぎです。」
「そうか？」
「そうでございます。」
「それは其方そなたとの初めての子だからだな。」
「殿…。」
「藤次郎だ。」
「もう…。」

政宗は愛めごの左手を取り、抱き寄せる。そして顎に手をやりその唇に自身のそれを重ねる。

「んんっ…。」
「愛めご…。」
「藤次郎様…。」

唇を離し、目が合う。政宗の左目には情欲の焔が見て取れる。愛めごの体は自然と反応し、体の奥が疼く。政宗はそれに気づくと、器用に愛めごの着物を脱がせていく。

「あ…。」
「折角だ。　我らも水浴びでもするか。」

そう言って、政宗は口の端を上げ、横抱きに抱きかかえる。突然のことに愛めごは政宗のその太い首に腕を回してしがみ付く。そのまま二人で水浴びを始めるのだった。

「はぁっ、あぁぁ…、だ、ダメ…。」
「ダメ？　イイの間違いであろう？」
「い、いじ、わる…。」
「はは、好いた女子おなごには意地悪したくなるのが男というものよ。」

政宗は水浴びと称して愛めごを後ろから抱きしめ、攻め立てた。右手で形の良いその胸を揉みしだき、左手は秘所を上下になぞり、蜜口の上にある花芯をこれでもかと嬲る。与えられる甘美な刺激に愛めごはその背を逸らせては甲高い嬌声を上げた。

「と、藤次郎様…。」
「愛めご…。　俺にとって其方そなたが一番の女子おなごだ。」
「嬉しい…。」
「この先、何があっても俺を信じてついてきてくれ。」
「勿論です。　私わたくしはどこまでも藤次郎様とともに有ります。」
「愛めご、愛してる…。」
「私もです。　藤次郎様を心の底からお慕い申し上げております。」

政宗は愛めごの体を反転させ、向き合う形にすると腰を上げさせる。そして、自身の逸物を蜜口に宛がった。

「愛めご、そのまま腰を下ろせ。」
「はい…。」

言われるままに愛めごは腰を下ろし、政宗を迎え入れる。欲しかったものを与えられ、愛めごの背中をゾクゾクと這い上がるように快感が突き抜けていく。堪らず、政宗の背に腕を回して抱きしめる。
それと同時にナカは政宗を締め上げ、子種を強請ねだるように蠢いた。政宗は吐精感に襲われるが腹に力を入れてそれに抗う。そして、激しく下から突き上げる。愛めごはその快感に身を委ね、白く美しい胸を揺らす。政宗はそれに顔を埋め、頂にある赤い実に吸い付いた。

「ひゃんっ！　あぁ、そ、そんなに、つよ、く…。　吸わ、ないで…。」
「其方の体はもっと欲しいと言ってるぞ。」
「あんっ、やぁっ、ダ、ダメェ…。」

愛めごが限界を迎えようとしているのがわかり、政宗は一際強く奥を穿つ。すると、愛めごはあっという間に達した。ナカが収縮し、子種を搾り取らんとばかりに奥へと誘う。政宗は今度はそれに抗うことなく己の熱を解き放った。しばらくそのまま抱き合うと、愛めごの額に優しい口付けを落とす。

「愛めご、それからどんなことがあっても其方のことは守り抜く。」

意識を飛ばし、己にその身を預ける愛しい人を抱きしめながら政宗は決意を新たにするのだった。



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