イケメン目指して転生したら美少女になってました

かつしげ

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Chapter 16 地下3階層

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リザードマンを倒した俺たちは『リザードマンの鱗』というアイテムを手に入れた。アナスタシアが言うには木貨100枚と交換出来る代物らしい。20体のリザードマンを倒したからリザードマンの鱗を20個手に入れた。これで銅貨2枚か。ミノタウルスの角と合わせて銅貨7枚。これじゃこの生活を維持するのにも全然足りない。もっと稼がないとダメだな。

「そうだ。取り決めしてなかったよね。」

「取り決めですか…?」

アナスタシアが不安げな表情で俺を見ている。例に習って猫耳は垂れている。可愛い。早くホテルに戻りたい。

「うん。ダンジョンで手に入れたアイテムの分配に関して。均等に分けるって事でいいかな?今だったら銅貨3枚と木貨500枚って事で。」

「だ、ダメですよっ!?リンちゃんがモンスターを倒してくれてるんですから私は木貨100枚ぐらい頂ければ大丈夫です…!!」

「いや、何言ってんの。それこそダメでしょ。私とアナスタシアは仲間なんだから平等に分けるよ。」

「で、でもっ…!!」

「じゃあアナスタシアが逆の立場だったらどうする?」

「それは…」

「そういうことだよ。だから半分ずつね。」

「リンちゃん…」

「あ、宿代や食事代は私が出すから安心してね。それを遠慮するのは禁止。私が面倒見るって約束したんだから。わかった?」

俺は前もってアナスタシアに釘をさす。先に言っておかないとまたアナスタシアの悪い癖が始まるからな。こう言っておけば大丈夫だろう。アナスタシアは必ず折れる。

「わかりました。私はそれ以外の事でリンちゃんに尽くしますね!」

言ったなアナスタシア。もう俺は今日はお仕置きするって決めたから夜にベッドで襲うからな。たっぷりと主人に奉仕させてやるぜ。

「うん、是非そうしてもらうよ。それじゃ地下3階に行く階段を探そうか。出来ればモンスターともっとエンカウントしたいけど。」

もっとモンスターを倒して儲けを出さないとな。今後金が必要になった時の事を考えて貯金せねばならん。それにアナスタシアの装備も揃えないといけない。万が一にでもアナスタシアが死んでしまうなんて事は起こしてはいけない。午後からはその辺の対策も考えよう。

「近くにはモンスターはいない感じですね。リザードマンがあんなにいた事を考えてもこのフロアにはもういないかもしれません。ミノタウルスといい、リザードマンといい、上層では通常考えられないモンスターがいる事で異変が起きているんだと思います。」

大概異変が起きる時ってのは不吉な事の前触れなんだよな。て事はヤベーモンスターが現れたりするか、戦争が始まったりすんのか?それは面倒だな。ヤベーモンスターぐらいなら蹴散らせばいいが、戦争が始まると面倒極まりない。俺の装備を明け渡すか、戦争に参加するかを選ばないといけないなんて堪ったものじゃない。午後にこの国についても調べてみよう。

「いないならこのフロアに用はないね。さっさと階段探して下に行こうか。」

「はい!」



しばらくフロアを歩くがアナスタシアの予想通りにモンスターが現れる気配は感じられない。やはりこのフロアにはもうモンスターはいないのだろう。それなら早く地下3階へ行くべきだ。そう思いながら角を曲がると下へと続く階段が現れた。

「あ!ありましたよリンちゃん!」

「そうだね。地下1階同様に2階も宝箱にレアアイテムなんてないでしょ?それならもう下りようか。」

「宝箱からレアアイテムが出るのは地下20階層からじゃないと出ないと思います。上層だと木貨10枚程度のアイテムぐらいかなぁ。」

「それなら必要ないね。その為に時間使うくらいなら先に進んだ方が良いよ。」

「そうですね…!」


俺たちは階段を下り、地下3階層へと向かう。着いた先は特に何も変わった所はない。見た目も造りも1階、2階と同じだ。そう思い、足を踏み出そうとした時だった。

「リンちゃん…!何か嫌な気配がします…!」

アナスタシアが俺の服の裾を掴んで不安そうな顔をしている。猫耳は完全に垂れ、身体も小刻みに震えている。俺はアナスタシアへと向き直り、落ち着かせるように頭を抱く。

「どうしたのアナスタシア?」

「地下3階に下りた瞬間から凄く嫌な気配を感じたんです…多分相当強いモンスターがいるんだと思います…」

「そっか。大丈夫だよ。落ち着いてね。」

俺は怯えるアナスタシアの背中をさする。紳士だな。これで女の姿じゃなければアナスタシアも俺にベタ惚れだっただろうに。

「リンちゃん…戻った方がいいと思います。なんだか変です。エアストダンジョンの上層でこんな事が起こるはず無いんです。地下1階でミノタウルス。2階でリザードマン。この嫌な気配を出すモンスターによって上に追いやられたんじゃないでしょうか…?」

「でも5階層毎に王国の騎士がいるんでしょ?本当に下から上に来てるんなら騎士たちにやられちゃってるんじゃない?」

「エアストダンジョンにいる騎士たちは見習いなんです。個人ランクは階層と同じぐらいの方を2名ずつしか配置していません。あくまでも転送が役割ですから強さは求められていないんです。だからやられてしまっても不思議じゃありません…」

「なるほどね。アナスタシアの予想は当たってるかも。」

「戻りましょう…!危険です…!」

「でも戻るのは無しかな。」

「な、なんでですか…!?」

アナスタシアが猫耳をピンと立て、その大きな瞳を更に大きくさせながら俺を見る。当然俺にだってアナスタシアが言いたい事はわかる。でもそれじゃダメだ。それをアナスタシアに言い聞かせないとな。

「私たちはダンジョン攻略するつもりだよね?」

「え…?僧侶の私がそんな大それた事を言える立場じゃないけど…私はリンちゃんの力になれるならって思ってます。」

「うん、ありがとう。アナスタシアの気持ちを確認出来たなら大丈夫。」

「は、はい…?」

「戻らない理由について説明するけど、未クリアのダンジョンにはボスがいるよね?当然そいつの強さはわからないわけじゃん?セーブポイントなんて存在しないガチバトルをしなきゃいけないわけだよ。」

「そ、そうですね。」

「それなら今回だって同じじゃない?ここでそいつに勝てないレベルならダンジョンクリアなんて夢だし、竜神に会うのなんか夢のまた夢。ここで逃げる事はダメだよ。」

「それはそうですけど…」

「それにね。一度逃げる事を覚えればそれが癖になる。」

俺の一言にアナスタシアは押し黙る。俺は前の人生でいつも逃げていた。それが癖になり、とうとう死を選んで異世界に逃げて来たんだ。でも、もう逃げない。この世界ではもう逃げちゃダメなんだ。俺はもう逃げない。

「必ずアナスタシアの事は守るからさ。それに私は負けない。信じてよ。」

「リンちゃん…。わかりました。リンちゃんを信じます。」

「ありがとう。」

カッコつけたはいいけど俺が本当に勝てるかどうかが問題だよな。俺の『神々の衣』には即死無効が付いてるんだから一撃ではやられないと思う。ヤバそうならアナスタシアだけ逃せば大丈夫か。あ、即死無効ってのが即死系魔法とか限定の効果だったらどうしよう。普通の攻撃で一撃死亡だと即死にはならないよな。カッコつけた手前、やっぱ逃げようなんて言えない。やべぇどうしよう。

「モンスターがゆっくりとこちらに近づいて来ています。気をつけて下さい…!」

え、うそ。考えまとまってないんだから待ってよ。そのモンスターも空気読めよ。こっちは初めての異世界なんだからチュートリアルはのんびりやらせてよ。

「わかった。任せて。アナスタシアは念の為階段に待機してて。」

こうやってクールな言葉を出せるのが救いだわな。マニュアルで俺に任せたら頼りないのが露呈してしまう。でも考えまとまってないのは事実だからな。マジでどうしよう。ええい、魔法ドカドカ放ってればどうにでもなるだろ。来るなら来いや。

俺が腹をくくって『神魔の剣』を鞘から引き抜き戦いに備える。そして通路の先からモンスターが姿を現わす。
体の色は赤く、尾はサソリのそれに似た形状をし、3列に並ぶ鋭い牙を持ち、顔と耳は人間に似ている。大きさはライオンぐらいであろう。とどのつまり、マンティコアだ。
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