【R15】ネクロマンサー風太 ~異世界転生 死霊術師のチート~

ぺまぺ

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1章 王国編

七話 溢れる器

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「よっしゃ!」
 石壁に大穴が空いている。
 風太が放った法術の成果である。

「お見事です、なんて凛々しいのでしょう」
  メイド達が風太の周りを囲み褒め称える。
 ただ以前とは違って彼女達の服装に変化が見られた。
 それはスカートの丈が明らかに短くなっているだ。

 こんな状況になったも、減刑に成功した為だ。
 それは権力であり、魅力でもある。

 好かれようと工夫をする内にスカートは短くなっていき、際どい所まで来ていた。
 少しの動きで下着が見えそうな、そんな危険領域に達しているのだ。
 彼女達は見て欲しくて、そんな格好をしているのだろう。
 そんなムフフな状況なのだが、逆に見てはいけないという気がする。
 素足を晒すのは流石に恥ずかしいのか、長い靴下で覆うがほんの少し肌が見える。
 目のやり場に困りつつも、視線が下がることが多くなっていた。
 やはり気になってしまうのは男の性なのかも知れない。
「練習をもっと頑張りたいから、ちょと離れて欲しい」
 メーメルの視線がなければ、理性は吹っ飛んでいただろう。
 今は学びの時間である。
 学ぼうという姿勢だけは崩さなかった。

「では、術杖を使って見せます」
 木製の杖で、先端に赤い宝玉が側面にも色のついた石がはめ込まられていた。
 身長よりも長く両手で持ち、宝玉を正面に向ける形で構えている。

 様々な形状があっても、やはりシンプルな棒状のものが一番しっくり来る。
 真の魔法使いって感じだ。
 ただ気になる点がある。
「思っていたよりも長いんだ。
今までは素手だったから必要ないのかと思った」
「術杖には、事前に法術が封じられています。
ですから、こうして念じるだけで術が発動します」
 先端から放たれた炎は大きく、大蛇のようにうねりながら薙ぎ払う。
 あたり一面を焼け野原にする程の威力である。
 ファイアボルトが、ヒヨコいや卵程度に思えるほど、弱々しいものに感じるほどだ。
 ペロリと一呑みにされて、あっやべぇってなるに違いない。
 そんなものを見せられて興奮しないわけがない。
 同時に畏怖を感じるのだった。
「凄まじい……、こんな力が」
 城から離れた荒れ地でなければ、試すことすら許されない。
 それほど危険な代物である。
「切り札ですから、これを使うことは殆どないです。
では一度、試してみて下さい」

 風太が術杖を手にした時、ビビっと電撃が走るような痛みを感じ手放す。
「痛っ、なんだ」
 拒絶、武器に選ばれなければ持つことすら許されないアレを想起させる。
 もし、この杖に意思があるのなら理由を聞きたい。
 何を基準に持ち手を選んでいるのかと?
 もしそれが恋人を選ぶように、説明のしようのないフワフワとしたものだったらへし折りたい。
「どうしましたか?」
「少し痛みを感じて」
 もう一度手にしてみると別に痛みはない。
 静電気だったのかと、直ぐに忘れ試し打ちすることに気を取られた。
 新しい玩具を与えられたのと同じぐらい早く使いたい。
 このワクワク感が最高に好きだ。
「フフフ……。
嬉しそうね」
「ところでこの杖の名前は?」
 ただの刀よりも、村雨みたいな名がある方が優れた物という印象がある。
 単に杖というよりも愛着が湧く。
 道具というより盟友として扱いたい。
「青龍の杖よ」
「どこにも龍のモチーフらしい所は無いけど」
「さあ、気を引き締めて!」
「はい」

「地を這い薙ぎ払う破壊者、ファイアドレイク!と、念じるだけです」
 念じるだけという簡単なことで魔法は発動した。
 杖の先から一瞬、青い光が飛んだのである。
 瞬速のあまり何が起きたのか誰も理解できていなかった。
「ん? 念じたんだけど、失敗したのかな?」
 呪文が違いますみたいな、そんな間抜けな感じだったら恥ずかしい。
 確認するにはもう一度試すしか無い。
 再び構えようとすると杖側面にはめ込まれた石が砕ける。
 壊したと風太は青ざめた。
 こういう魔法の道具は貴重で価値の高いものだと想像したからだ。
 青ざめる風太に、メーメルは直ぐに優しく手を差し伸べた。
「これは壊れるように出来ています。
使いすぎたようですので新しい石と取り替えれば問題ないです」
「そうなのか。
失敗したのは石が壊れたからか」
「まあ、そういうことです。
では別の事を教えましょう」
 メーメルは平常を装っていたが、実際は激しく動揺していた。
 ボケットから水晶を取り出すと、手から滑り落としてしまう。
「師匠は結構ドジをしますね」
 風太は水晶を拾い持ち上げようとした時だ。
 メイド達の下着が見える。
 青、緑、白、黄……と皆違った色で見えない部分で性格が出ている!
 何も見なかったと心のなかで思いつつ冷静になろうと、水晶を手渡す。
「あはは……、ごめんなさい」
 お互いに違う意味で悟られないように微笑んでいる。
 はたから見れば怪しいのだが二人は何も気づくことはなかった。
 
「それで何を教えてくれるのかな?」
「法術の複製です。
同じ術を何度も詠唱していたら大変でしょう?」
 メーメルは水晶に口づけする。
 すると、水晶内に紋様が浮かび上がる。
 ドッドッドッドッドドドド……!
 
 轟音と共に幾つもの石壁が地面から出現したのである。
「すごい、もしかして連射」
「そう考え方もあります。
同じ術を使い回す事で詠唱を省略するわけです」
「水晶があれば出来るのか。
でもさっきみたいに上手くいかないかも」
「これは練習用で、手や指に込めて置くのが一般的です。
さて試してみて下さい」
 水晶を受け取った風太だったが、紅の唇がくっきりと残っている。
 同じ場所にするべきか、それとも避けるべきか迷う。
 紅を拭き取らずに渡した事を考えれば、位置がわかるように残してくれたとも考えられる。
 しかし、ドジな師匠は迂闊にも拭き忘れたとも。
 どっちだろうか。
 
 深呼吸し、重ね合わせるように口づけする。
 水晶の紋様がやや桃色に近い赤になる。
「うわっ……」
 色を見て、エッチな事を考えていたのが反映されたのだと思ったのだ。
「法術を維持するように念じつつ、放って下さい」
 魔法に追加の効果をつけることが出来る。
 分裂や加速、持続、貫通……と言ったおまけ要素を入れることが出来る。
 貫通ファイアボルトとでも名付けても良い特製の魔法を放つ。
「バン! バン! バン!」
 掛け声は必要なかったが、発動されるきっかけを意識しやすくするためだ。
 放たれた火の玉は石壁に当たると、粘着するようにへばりつく。
 赤く壁を焦がし侵食するように広がり、壁に大穴を開けた。
 それが三箇所、的確に石壁の中央を捕らえている。

 メイド達の歓喜の声が響く。
 キャッキャァァァ!
「見事です」

 空高く飛ぶ鳥の鳴き声が風太の耳に入る。
 真上から急降下する様は獲物を狙い襲うかのようだ。
 見えざる衣で身を守る。
 その判断ができるほどには余裕があったが、実際に迫る姿に恐怖は凄まじい。
 身を守ろうと手で顔を庇おうとした。
 それが無意味だと解っていても、本能には逆らえない。

 見えない何かに阻まれ近づけず翼や鉤爪を暴れる鳥。
 巨大な怪鳥なのだが滑稽で可愛く見えてしまう。
「ガラスに阻まれてるみたいだ。
早く他に行ってくれ」
 風太が手で払うと、鳥は封筒へと姿を変えた。
 異世界の文字は読めず、師匠に渡す。
「ありがとう、これは国王に宛てたものです。
手違いであのような事になったことをお詫びします」
「別に気にしてない。
それより上手く使えただろう」
「見事でした。
練習の成果が出ているようです」
 封筒はメイドが走って持って行く。
 揺れるスカートから、チラチラと見える下着。
「……うん」
「はぁ、よそ見はいけませんよ」
「えっ、あっ……、はい!」
「メイド達に服装を改めるように注意しておきますね」
「えぇぇっ、別に今のままでも良いな」
「では、集中が途切れないように。
いいですね?」
「はい」
「次は属性転換です。
炎ばかりでは、対策されてしまいます」
「氷とか雷とか、織り交ぜるってこと?」
「そうです。
では精霊と契約を交わしましょう」
「精霊?
今までそんな事をしたことはなかったけど」
「根源に炎があったので、今までは必要なかったのです。
ですが他の力は弱いようなので契約して補います」
 初耳の情報に風太は困惑する。
 それが口からポロリと出ていた。
「それを知ったのは何時……」
「私には解るのです。
これは経験則から来ているので不思議に感じるかも知れませんね」
「ふーん」
 
 
 
 訓練はすぐに終わる。
 メーメルは、直ぐにレレゲナの元へ向かった。
「精霊との契約も無事に終わりました」
 何時もと違いレレゲナは苦い顔をしている。
「メーメル、君なら5000人規模の砦を落とすにはどれぐらいの人手を要する?」
「三倍の戦力があれば可能だと思います」
「魔族の砦が一瞬で灰となった。
青い炎の龍を目撃したとの補報告もある」
 メーメルは術杖をレレゲナに渡す。
「どうしてこの杖が青龍の杖と名付けられたのか今わかりました。
彼が本来の力を引き出したのでしょう」
「それを見たというのか?」
「一瞬のことなのですが、青い光が飛んでいくのが見えました」
「安全石が壊れている。
どれほどの力を込めれば砕けるというのか」
 安全石は、杖に負荷がかかり過ぎた時、壊れて暴発を防ぐものである。
 ブレイカーみたいな役割を果たす代物だ。
「数人が力を込めた記録がありますが、
壊れたことはなかったと記憶しています」
「少し早いが、彼には役目を果たしてもらおう」
 それは処分するという意味を持っていた。
 まだ学ばなくてはならないことが残っている。
 それを知らずに法術を扱えば最悪、死を招くことになる。
「まだ切るのは早いです」
 死のリスクを最後まで教えないのは、安全石の機能と同じである。
 暴走した時に、自らの死で止める。
 力を制御するための知恵だ。
「すでに秩序は崩され、悪影響が出始めている。
それに十分すぎる力もあるだろう」
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