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4章 帰国編
28話 恐怖、増殖する魔法陣
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「私腹を肥やし、我らを奴隷のようにこき使って来たのは誰か。
奴らを排除し、我等の手で新たな秩序を!!」
おおーっと叫ぶ兵士達。
指揮を取るのは、成り上がった若手の武将クークリフである。
6万の兵が街へと進軍を初めた。
後に彼は自分の愚かさを知り自ら命を断つことになる。
それ程の絶望的な死屍累々の戦いが始まろうとしていた。
時間を遡ること3日前。
風太は軍議に参加していた。
総大将のクークリフを含め、10人程の若手武将が集まっていた。
武将は民兵から出世した者ばかりではなく、玉国から流れてきた法術士が混じっていた。
貴族を排除したい筈なのに、玉国の元貴族を入れるのは不自然に思えたが、法術なしでは歯が立たない為仕方ないことだった。
「兵を分配を決めようと思う。
最低限必要な兵数を提示してくれ」
それぞれが数千もの兵を求めた。
そんな中、風太に発言権が回ってくる。
クークリフを大将から降ろし俺に任せろと言いたいが、王子のお気に入りらしく不可能なことだ。
多少の兵を借りても、戦局は変わらないの実情である。
「俺は軍勢を率いたことはない。
ある程度の数で山を迂回して奇襲する策を取りたいと思う」
「確か、砦を爆破したと聞いている。
策略も良いが、正々堂々と正面からぶつかり粉砕したい」
「正々堂々と受けて立つ時は相手にも勝算がある。
その時、不意をつければ勝利は確実になるだろう?」
わざわざ不利にして戦う理由はない。
奇襲作戦は受け入れられ、50人ほどの兵が与えられた。
この時、クークリフは風太の事を見下していた。
それは正々堂々と戦うのが真の騎士だと、信じていたからだ。
姑息な策略を駆使する者は、卑劣で下賤なものだと信じて疑わなかった。
「では、準備を初めてくれ。
その奇襲が成功することを楽しみにしている」
風太は会議を追い出され、作戦の詳細を知ることは出来なかった。
だが、開戦の時は予言によって知っている。
残り3日で目的を達成しなければ、あの地獄になるだろう。
まだ解決策すら模索できておらず、先送りにして今に至る。
「結局、追い出される未来は変わらないか。
あの大将は俺を毛嫌いしているみたいだな」
彼が手をこまねいて何も出来なかった砦を破壊して見せたのだから当然か。
自分の地位が脅かされたくはないのだろう。
さて、どうしたものかと空を見上げると鳩が飛んでくる。
バサバサ……、風太の前でドロンと手紙へと変化する。
『愛する風太殿へ。
にゃにゃんとー、大変なことになって、もうパニックです。
にゃあー、どうしたら良いの?
もう駄目、終わちゃっう。
にゃぁぁぁぁ……』
「いや、何をして欲しいか早く伝えてくれ」
というか、魔素に付いて聞いたのに、何だこの返事は?
ゼラに手紙を書かせるからこんな意味不明な内容になったのか。
ああ、まだ続きがあるな。
『資金を増やせるって、偉い人に教えてもらって買ったのに。
にゃんとー、鉱山は魔物の巣になっていて、しかも大量の借金がぁぁぁっ。
このままだとお屋敷が奪われてしまう。
にゃあひひひぃぃぃ、にゃあえぇぇぇん』
「何してくれたんだ。
なんで余計なことしかしないのか」
たぶんゼラの独断で行ったんだろうな。
リアハなら、こんな詐欺に引っかかったりしないだろう。
何で、皆に相談しないんだ?
はぁ……。
あっ、まだ続きがあるのか。
『ぶひひひぃぃ、えへへへっなアマネルちゃんだよ。
ムチでお仕置きして欲しいブヒブヒ。
……』
途中で見るのをやめた。
「なんだこの手紙は、狂っている。
少しでも信じた俺が愚かだった」
まあ最後まで見ないと、他の誰かが書いているかも知れないし……。
その期待は外れ、長々とブヒブヒ文が続く。
精神が崩壊しそうな、この駄文に時間を吸い取られていく。
何しているんだろうかと、虚無を感じる。
ああ……。
『魔素は物質に吸着させると固定するブヒブヒ。
にひひひっ……、教えてあげたんだから、早くドウジンを下さい。
何でもするからブヒブヒ……』
1行で済むことを何で、こんなに長く無駄に書くんだろうか。
「えっと、俺は何をしていたんだ?」
軽く記憶喪失になるような感覚、なんだろう思い出せない。
これが呪詛を持つ文なのだろうか。
「フータ殿、使えそうな武器を貰ってきました。
見て下さい、この戦斧」
嬉しそうに声を掛けてきたのは人形のモエギだ。
青楓が名前を付けてくれたのだが、緑っぽい色を意味するらしい。
青臭い未熟者と言う、皮肉の効いた名なのだが、当のモエギは大喜びであった。
モエという響きが特に気に入っているようだ。
手にした戦斧は、ドワーフが持っていそうな形状で身体を隠せる程の大きさがある。
「重くない?」
「120キロぐらいです。
二本持っても良いぐらいの軽さなので、お手軽ですよね」
「やっぱり人形に魂を入れたから、常識が狂ってしまったのか。
ああ、俺はなんて事を……」
「いえ、生前もこれぐらい軽く扱っていました。
不覚を取ったのは軽い剣がボキッって折れたからで、これだったら生き残れていました」
「えっと君はメイドの人達だよね?
護衛の兵士だったのかな」
「んー、私は元近衛騎士でした、本来は王子の護衛をする精鋭なのです」
「全員なのか?」
「いいえ、……自らが明かさない限り教えることはないです。
私は抜け駆けしようとする者を監視する立場にありました」
怖そうな印象のメイドもいるとは思っていたけど……。
あれってやっぱり凄腕の騎士だったりするのか?
「へぇー。
良く、その斧があったな、誰が使うために作ったのか」
「身体強化の法術が使えるなら、華奢な身体でも軽々持てます。
貴族から回収した武器の多くは、市民には重くて使えないものが多くて余っています」
大剣とか軽々扱っているのもいたな。
破壊力が圧倒的に違うだろうし、そう考えるとあの未来は一方的な虐殺をされた結果なのだろう。
市民が貴族に楯突くのは自殺行為に近そう。
ゾンビアタックのような、無駄に突撃を繰り返し相手が疲労するまで、攻撃を繰り返す。
そこに屍の山が積み上げられて行くのだろう。
身体強化も永遠と効果が続くわけではない、切れる時が来る。
その時まで。
「モエギだけが頼みの綱。
期待している」
「にひひひ……、では早速出発しましょう。
迂回経路は魔獣が発生して、進行が困難な道程です」
魔族を殲滅しても、魔素が充満し魔獣が自然発生する魔境となっている。
そんな場所を突破して、目的の街の東側へと回り込む訳だ。
下手をすると間に合わない。
だから大将はケチを付けることもなく了承た。
失敗すれば無意味な策だったと批判するのだろう。
「さて、俺の兵士は何処にいる?」
「こちらです。
想像していましたが、不要な兵を押し付けられたようです」
白髪の老人や少年と言った戦力外な人員が50人程集まっていた。
青年からおっさん位が適正である。
剣や槍で戦う戦闘では、体力や筋力が最も重視される。
少年では筋力が足らず、老人は体力に難がある。
「うちに、任せて欲しい。
彼らを無事に目的地まで届けてしんぜよう」
「ありがとう、青楓」
「クスクス……
ご褒美を楽しみにしている、デラックス・スペシャル盛り盛りアイス」
「いや、そんなの見たこと無い。
ケーキなら……」
「仕方ないなぁ、ならば特大のを所望する」
「解った特大のを用意しよう」
ケーキ作りが趣味の婆さんを知っている。
皆、揃って食べるのも良いだろう。
善は急げと、風太とモエギが先行して向かう。
遅れて兵を率い、青楓が追う形となる。
空は桃色に染まっている。
魔素によって変質し見える影響だ。
それ程、濃い魔素の影響は直ぐに現れる。
魔物化した作物は、巨大して大蛇のように地をうねりながら徘徊している。
人食い蔓草。
開かれた花に口があり、牙を見せ食らいつこうと開いている。
「足音に反応するのか。
一斉来る!」
風太が魔法の準備をしている間に、モエギが動き回転するように人食い蔓草に戦斧を叩き込む。
バサバサ……、細切れにされて、蔓葉が舞い散る。
刃のついた回転ゴマのように、薙ぎ払っていく。
「にひひひ……。
戦斧無双が始まるよ」
「……強い」
今まで舐めていました。
武器を持ったことのないひ弱な女の子だと……。
霊体の時に使っていた武器はもしかして貧弱すぎたのか?
もっと重くて破壊力重視で選ぶべきだった。
もはや何もすることもない用に思えた。
人食い蔓草の残骸から出る濃い魔素の血が大地を汚染している。
このまま放置すれば、魔獣が無限に復活することになる。
そう言えば魔素は何かに吸着させれば良いんだったな。
そんな便利な物は何処にあるんだ?
眼の前を人魂が通り過ぎる。
魔族に殺された霊なのだろうか。
そこら中に沢山飛んでいる。
「うーん、魂に吸着したらどうなるんだろうか?
レイスになって襲ってきたりはしないよな」
呪文の構成が浮かんでくる。
ああ、魔素で肉体を形成すれば……、魂の記憶を引き出し……。
創生魔骸骨。
地面に光り輝く魔法陣が形成されていく。
「彷徨いし眠らずの魂よ。
安らぎ、今眠る時……、汝の枕を象れ!」
魔素が魔法陣へと吸い込まれ渦を巻いていく。
まるで竜巻のように巨大な渦へと成長し、膨大な魔素が飲み込まれていった。
「アハハハ……」
風太は激痛の予感に笑うしかなかった。
魔法に頼らないと決めたのに、またやってしまった。
しかし、痛みがやって来ることはない。
何故なら、魔素を利用し自分の力を一切利用していないためだ。
魂を取り込む事で、深い紫色の骸骨が魔法陣から姿を表す。
風太の前で跪き、忠誠を示す。
「魔物を蹴散らしてくれ」
魔法陣は魔素が尽きるまで起動し続けていた。
また新たな魔骸骨が誕生し、加勢して行く。
「にひひひ。
初めて見る法術です、私も知りたい」
「えっと、これは俺専用だから、モエギには教えられない」
なんとなく教えるのは不味い気がした。
死靈術は禁忌に触れることだから、あまり色んな人に教えたくはない。
それが死者の書に刷り込まれた認識だとは気づいていない。
「でも凄い、次々と増えていって魔獣を薙ぎ払っている」
いつの間にか魔骸骨は手に剣のような武器を持っている。
戦いで魔素を吸収し、強化されているようだ。
「これなら魔素を減らせるし、戦力も増えて一石二鳥だな」
「はい、素晴らしいです」
パチパチパチ……。
「さて、この辺りは放っておいても大丈夫だろう。
先に進もう」
モエギがすっと風太の前に立ち、恥ずかしそうにモジモジとする。
なんだろうかと一瞬、思ったが褒めて欲しいのだろうと察した。
とりあえず頭を撫でることにする。
するとモエギは満面の笑みを浮かべた。
「にひひっ。
私、頑張るから」
「ありがとう」
モエギは大人の魂なのに子供っぽい振る舞いをする。
今もウキウキになって変な踊りをしながら嬉しさを見せている。
そんなこんなで、半場辺りに到達した頃だった。
前方から騎兵の集団が向かってくるのが見える。
白い獅子の旗と、青い大蛇の旗を掲げている。
「あれは、騎士団の旗です。
特に白獅子騎士団は、王国内でも5本の指に入る精鋭」
「なんか聞いたことあるな」
「あのカキューレが率いています。
風太殿が配下に加えたあのデカ乳の……」
「砦にいたあの時の。
一時的に従ってもらっだけだから」
「騎士の誓いを破れば命を落とします。
ですから信頼の高い誓いなんです」
「そうなのか……。
彼女は味方だとしても他は敵だろう、30人ぐらいはいるし隠れて様子見しようか」
道中に置いてきた魔骸骨がいるし、敵対すれば戦ってくれるはず。
……いや、後続の青楓達に被害が出るかも知れない。
「打って出るべきです。
魔獣との戦闘を切り抜け疲労しているに見えます」
信じるしか無い。
風太は、立ちはだかるように道の中央で待つ。
青楓から貰った木の棒が俺の武器だ。
団員だけでなく馬ですら鋼鉄の鎧を着ているの騎士団を相手に挑むのである。
「極大魔法で脅せば、ビビって逃げてくれると良いな」
「支援法術を掛けます。
我が盟友に力を授けよ。 風雷の精霊よ! 筋力強化術」
「そんな魔法があったのか」
「雀の涙程度の気休めですが、無いよりはマシです。
にひひひ、勝利して下さい」
ドドドド……。
騎士団が風太に気づき、足を止めた。
「改革派の者か?」
「ああ、俺があの砦を爆破したフータだ。
一騎打ちするなら受けて立つがどうする?」
「ならば容赦はせぬ」
青蛇の騎士団が襲いかかろうとするが、カキューレが止める。
「待たれよ!
挑発に乗れば奴の思う壺、罠にかかったふりをして一騎打ちに応じるべき」
「臆病者め、それでも誇り高き騎士団長か!」
勇猛さだけは立派だ。
風太は迫りくる騎兵の動きが緩やかに見える。
カキューレに数段劣る、あくびの出るような相手だ。
彼ら青蛇騎士団の得意とする必勝の集団戦法である。
団員の連帯によって結界のような見えない障壁が形成され全体の質量で粉砕する。
鋼鉄の塊が突進してくるようなものである。
魔獣ですらグチャグチャにすり潰され大地も平らになる程だ。
だが風太は怪獣の炎を身体に宿している。
ありとあらゆる物を焼き尽くす、絶対的な力の前には無力だった。
騎士は突撃槍を構え、馬の勢いを乗せ槍先を向けるでグサッと串刺しに出来るはずだった。
「どうして遅いのかよく解った。
連帯するために一番ゆっくりな馬に速度を合わせっているのか」
突撃槍の一撃を紙一重でかわし、棒で反撃の一撃を放つ。
棒の鋭い突きが喉に決まり、騎士は後方に吹っ飛ぶ。
追って突撃をした騎士たちに衝突する有り様だ。
まるでボーリングのピンみたいにドカドカと巻き込んで大惨事だ。
これならハッタリすら必要ない。
砂埃が舞い散り、視界が遮られ何が起きているのか解らない状況。
衝突、金属音に悲鳴……。
追い打ちをかけるようにモエギが側面から襲いかかる。
鬼神のような恐ろしさで、斧を薙ぎ払えば騎士は鎧ごと切り裂かれ地面へと伏した。
砂埃が風とともに消えたときには青蛇騎士団は全滅していた。
えっ?
なんで殺したんだ。
呆然とする風太に、モエギはにっこりと笑みを浮かべて手を振っている。
脳は無意識に、惨劇にモザイクを掛けて見えなくした。
モエギが可愛い。
「フータ殿、残りの処置はどのようにお考えでしょうか?」
この状況で戦意があるとは到底思えない。
見逃しても、また戦うことになるし、どうするのが良いんだろうか。
そんな考えに硬直しているとカキューレは兜を脱ぎ捨てると馬を降り、風太に声を掛ける。
「フータ殿、我々は無謀な戦いを望まない、一騎打ちに応じてほしい。
代表として挑むのは副団長チャナタ」
カキューレの眼はうっとりして頬も赤くまるで愛する人を見つめるような雰囲気だ。
それを遮るようにチャナタも馬から降り正々堂々と戦う姿勢を見せる。
体格から明らかに女だと解るが油断は出来ない。
「異国の法術士よ。
得意とする法術を破らせて頂く」
彼女は円形の盾を構え迫ってくる。
盾には金属で蜘蛛の巣のような模様が装飾されている。
法術を拡散させ効果を分散し威力を弱める為のものだ。
対法樹士に特化した装備なのだが、風太はそれを知らなかった。
ただ金色に装飾された盾としてしか見ていない。
「魔法は使うつもりはない。
この棒だけで勝つつもりだ」
「やはりその程度の使い手か。
ならば覚悟するが良い」
もし風太が魔法を使っていたら、チャナタは炎に焼かれて即死していただろう。
その程度の貧弱な対策でしか無いと知らず、彼女は勝ったつもりでいた。
法術士は剣に劣り、得意の法術を封じれば市民と変わらない。
無力、無抵抗な相手をどういたぶるか笑みがこぼれる。
そんな慢心が衝撃で崩れる。
ドン!
棒の一撃が盾を貫通し腕に重く伝わる。
骨が折れる音……。
「うああぁぁっ、貴様!」
盾は減し曲がり腕を圧迫し続けている。
盾を止めている革ベルトを外し盾を捨てる。
チャナタは腕を確認し鋼鉄の手甲によって骨が折れても支えられても動く。
まだ行けると剣を両手で持ち全力で切りつけた。
空を切る。
ビュン、ビュンと振り回すが当たると思った直前で避けられるのだ。
彼女は遊ばれてると感じ焦り、余計に精度が落ち剣筋がブレる。
腕の痛みが響き、動きが固く雑さが目立つようになっていた。
「次は君が避けて見せてくれ」
反撃に備えチャナタは数歩下がる。
彼女は棒の長さは見切っていると当たるわけがないとカウンターを狙い力を込める。
下から上への一撃は完全に見え予測も完璧だった。
彼女に誤算があるとすれば、風太が青楓に棒を習う時間があったことだ。
棒を真ん中で持つことで、スライドさせ間合いを伸ばす。
棒の一撃が彼女の顎を捉えた。
ゴン!
彼女は空中に吹っ飛ぶ。
続けざまに棒の一撃を加え、追撃、追撃と繰り返す。
……10……20、21連鎖。
彼女はぐるぐると空中で回転し成すすべがない。
決まった22撃!
オーバーキルも良いところ、空中から落ちるまもなくボコボコにされたチャナタが地面に叩きつけられて跳ねる。
鎧もボロボロに歪み外れた部分もある。
彼女には悪いが力の差を見せつけて降参してもらうための犠牲だ。
チャナタは倒れてピクリとも動かない。
ちょっとやり過ぎたかも知れない……。
すまない。
「降伏するか?
まだ挑むか?」
カキューレは真っ先に剣を捨てる。
うっとりしていた顔は真剣な顔つきに戻り、騎士団長として苦渋の決断をしたかのように告げる。
「降伏する、我々では歯が立たない」
残った騎士達も戦意を喪失し、武器を捨て降伏を選ぶのだった。
逃げる選択も既に出来なくなっていた。
それは魔骸骨がいつの間にか、包囲し取り囲んでいた。
モエギが集めたようで、にひひひと笑い手を振っている。
「君達にはまだ希望がある。
このまま改革派に委ねても良いが、俺と賭けをしないか?」
「賭けとは?」
「勇敢な騎士……えっとチャナタだっけ。
彼女が俺に忠誠を誓うなら、君達も俺に忠誠を誓ってもらう」
「チャナタ殿は忠義に厚い、脅されようと絶対に有り得ない」
「そうだ、たとえ殺されようと絶対にありえない」
騎士達の彼女に対する信頼は厚いようだ。
面白くなってきたと風太は笑う。
「では俺が彼女を説得できなかったら、君達を開放し見逃してあげよう」
騎士達は勝利を確信し受け入れた。
その間、カキューレはチャナタの鎧を脱がし手当をしていた。
兜を外したチャナタは、肩丈の濃藍色髪だった。
前で揃えた髪が汗で額に付いている。
ぐったりしており目覚める様子はない。
口移しで極上回復薬を飲ませなければ危ないほどの虫の息であった。
チャナタが目を覚ますのは、しばらくしてからの事だ。
「うぅぅっ……、カキューレ殿……申し訳ない。
私達は一体どうなったか知りたい」
「黙って見ていなさい」
チャナタが目覚めたのを確認すると風太は、騎士達を並ばせた。
「今から、さっき交わした内容を誓ってもらう。
それぐらい良いだろう?」
「はい、私は誓います」
全員が誓い終ると、風太はチャナタに近づく。
「さて君にも俺に忠誠を誓ってもらう。
拒否するなら、帰るのを見逃してあげよう」
「私に……」
「じっくり考えて答えを出してくれ。
見ていただろう、残すは君だけだ」
チャナタは風太を見つめていた。
もし一人で逃げ帰れば疑われて処刑されるかも知れない。
眼の前にいる男に付いていくのどうだろうか?
カキューレが彼女に囁く。
「彼は異界人よ、私達に勝てるはず無いわ」
異界人……。
「はい、忠誠……、ああ、私は貴方に惚れてしまいました。
私を妻にして欲しい……」
「良いだろう。
誰でも受け入れよう」
その一言が余計だった。
群がる騎士達、兜を外し顔を見せる。
女ばかり……、それもその筈、白獅子騎士団は乙女で構成された騎士団である。
「ちょっと……」
うあああぁぁぁっ、彼女達の勢いは凄まじくもみくちゃに……。
バーゲンセールに群がるおばちゃんか。
鍛え上げた肉体だからたちが悪い、圧縮機のような高圧力が襲ってくる。
ぐあっ……死ぬ。
モエギが助けてくれなければ圧死していたかも知れない。
ほとんど意識を失いかけていて、ほとんど助けられた状況が記憶にない。
「はぁはぁ……、怖い」
「気をつけて下さい。
彼女達は愛情に飢えた女獅子なんですから」
「ありがとう……。
彼女達は一体何処に……」
目を回して気絶する女騎士達は脳のモザイク処理によって見えていない。
真面目な顔つきのカキューレの姿があるくらいだ。
「私達は共に行動すればよろしいのでしょうか?」
「いや、助けて欲しいことがある。
ゼラが問題を……、いや所有する鉱山に魔物が出て困っているらしい」
「解りました我々で討伐すれば宜しいのですね。
では場所を教えて下さい」
「帝国。
そのままだと入れないよな?」
「はい、騎士団が侵入すれば敵対とみなされて攻撃を受けることになります」
「玉国の姫様にお願いすれば何とかしてくれると思う」
期待して良いよな。
たまにある狂人みたいな、殺戮衝動とか……心配だな。
「旧体制派には玉国との繋がりがありません。
騙る訳にもいかないでしょう?」
カキューレの真剣な顔が崩れてにやにやしてデレデレな身体の動きになっている。
真面目な話をするつもりでいるのだが、脳内ではムフフな事が占領しつつあるのだろう。
あまり長引かせると、抑えが効かなくなって暴走するかも知れない。
「えっと……」
彼女の手が風太の頬を撫でる。
ドキドキ……。
手招きをすると彼女は顔を近づける。
汗の匂い、蒸し暑い熱気の中だ、だらだらと汗も止まらない。
彼女は唇を重ねる。
しばらくその状態が続き、満足したのか離れる。
「すこし落ち着いたから、続きを」
輸送係の少年に会うように伝え、木彫りの笛を渡す。
少年から貰ったが、つば付きで汚くて使えない代物だ。
手放すにも、それを捨てるのはとんでもない状態で今に至る。
今なら突っ返す事ができる。
「君にしか出来ないことだ。
それを渡せばきっと姫様と繋いでくれる」
「了解しました。
では我々は帝国を目指します」
ドドドド……。
行動が早い、もう全員を率いて移動したのか。
「風太殿、私は置いていかれました」
チャナタが涙目で助けと訴えかけている。
「どうして?」
「賭けの内容を聞かさせれて、私は迂闊にも気を失ってしまいました。
誘惑に負けたのは私の心の弱さです」
「騙した事を気にしているのか?」
「いいえ、……いや、責任を取って下さい。
もう私には居場所がない」
「道案内を頼もうか。
来た道を戻るだけだ」
チャナタは犬の首輪のような鎖付きの首輪をはめて、鎖を風太に渡す。
「私は貴方の犬、どうぞお使い下さい」
「んん? 君は正気か?」
まさかアマネルのようなド変態。
見かけは純粋で真面目そうなお姉さんなのに。
「これは戒めです。
罰を受けなければ、自分が許せない」
本人は大真面目なのだろう、だから余計にたちが悪い。
しかし、罰を与えるなら一人でやってくれ、巻き込まないで欲しい。
「こんなところを誰かに見られらた俺が異常者と思われるだろう。
新手の嫌がらせか?」
「では、腕を切り落として……」
木の棒で折れた腕を補強しているのに、折角の手当が無意味になってしまう。
そんな問題じゃない。
「いや待て、片腕の妻なんて嫌だ。
君を傷つける事は許さない」
「……えっ、あれは本当に?」
「勿論、君は約束しただろう?」
彼女の顔が真っ赤になって、気が抜けたようにその場に座り込む。
「あの、私のような脳筋でも構わないのですか?
誰もがゴリラと……」
「何言っているんだ。
疑うのか、君の誓いとはその程度の事だったのか?」
「いいえ」
何を思ったか、チャナタは鎖をブチッと引きちぎり風太に渡す。
結構丈夫そうな太い鎖なのに片手で軽々と行うさまに恐怖を感じる。
鎖を解き放った猛獣ではないのか。
もはや理解不能過ぎて意味が解らずに風太は鎖を手に唖然とするしか無い。
「なんだ?」
「これなら人に見られても問題ないかと思いました」
えっと、結局その首輪は外さないのか?
うん、きっとファッションなのかな……。
んーな訳ない。
どうすれば良いんだろう。
モエギなら何か助言を……。
風太がモエギの方を見ると、モエギは首を横に振り焦る。
チーン♪
閃く音が聞こえた気がする。
忘れよう、何も見てないし彼女が付けているのはただの革の首輪だ。
機会があれば、良いものを買ってあげよう。
それで解決だ。
「では出発しよう。
ああ、腕は大丈夫か?」
「この程度なら、数日で治ると思います。
片手でも問題なく戦えます」
そう言えば、青楓が見せてくれた御札の癒やし魔法。
あれを試してみたいな。
ダメージを他に移す……、よし出来る!
自己暗示を掛けていくことで成功率を高める。
青楓に出来て俺に出来ないはずがない。
「よーし行くぞ、ハイ」
パンと手を合わせてみる。
ビリビリビリ……、チャナタの服が破れて下着だけになった。
いや靴下と首輪はなんか残っている。
首輪は特に壊れても良かったのに。
「ひっい……」
チャナタは大きめな胸を隠すように手で覆う。
あっ……、なんで服が吹っ飛ぶんだ。
御札を貼ってなかった。
肝心な所が抜けていた、不味いこのままだと白い目で見られる。
「腕は?」
治ってなかったら、服を引き裂いた変態だ。
気まずい……。
「治っています。
そんなどうやって、私の知らない法術が玉国には……、いいえ異界にあるのですね」
「まあ、そんな所だ。
とりあえず……」
旗が落ちているに気づき、拾い上げると彼女にかける。
「ありがとう……、使えそうな装備を回収する時間を下さい」
「ああ構わないけど……」
こんな所に何も無いと思うけど……。
死体の山は風太には見えていない、脳が拒絶しているからだ。
しばらくするとチャナタは装備を整え風太の前に立つ。
「予備の装備があって良かったです。
では行きましょうか」
日が沈み初め、大地が赤く染まろうとしている。
だが魔素が充満した土地は、まだ桃色に空であった。
唐突に来る夜、凶暴化した魔獣が暴れまわる。
また、アンデットの時間でもある、それに増して動きが活発になっていた。
風太の知らぬ所で、死した騎士団が魔骸骨として蘇り魔獣との激戦が繰り広げられているとは夢にも思わない。
敵の居ない道を風太一行は進むのだった。
奴らを排除し、我等の手で新たな秩序を!!」
おおーっと叫ぶ兵士達。
指揮を取るのは、成り上がった若手の武将クークリフである。
6万の兵が街へと進軍を初めた。
後に彼は自分の愚かさを知り自ら命を断つことになる。
それ程の絶望的な死屍累々の戦いが始まろうとしていた。
時間を遡ること3日前。
風太は軍議に参加していた。
総大将のクークリフを含め、10人程の若手武将が集まっていた。
武将は民兵から出世した者ばかりではなく、玉国から流れてきた法術士が混じっていた。
貴族を排除したい筈なのに、玉国の元貴族を入れるのは不自然に思えたが、法術なしでは歯が立たない為仕方ないことだった。
「兵を分配を決めようと思う。
最低限必要な兵数を提示してくれ」
それぞれが数千もの兵を求めた。
そんな中、風太に発言権が回ってくる。
クークリフを大将から降ろし俺に任せろと言いたいが、王子のお気に入りらしく不可能なことだ。
多少の兵を借りても、戦局は変わらないの実情である。
「俺は軍勢を率いたことはない。
ある程度の数で山を迂回して奇襲する策を取りたいと思う」
「確か、砦を爆破したと聞いている。
策略も良いが、正々堂々と正面からぶつかり粉砕したい」
「正々堂々と受けて立つ時は相手にも勝算がある。
その時、不意をつければ勝利は確実になるだろう?」
わざわざ不利にして戦う理由はない。
奇襲作戦は受け入れられ、50人ほどの兵が与えられた。
この時、クークリフは風太の事を見下していた。
それは正々堂々と戦うのが真の騎士だと、信じていたからだ。
姑息な策略を駆使する者は、卑劣で下賤なものだと信じて疑わなかった。
「では、準備を初めてくれ。
その奇襲が成功することを楽しみにしている」
風太は会議を追い出され、作戦の詳細を知ることは出来なかった。
だが、開戦の時は予言によって知っている。
残り3日で目的を達成しなければ、あの地獄になるだろう。
まだ解決策すら模索できておらず、先送りにして今に至る。
「結局、追い出される未来は変わらないか。
あの大将は俺を毛嫌いしているみたいだな」
彼が手をこまねいて何も出来なかった砦を破壊して見せたのだから当然か。
自分の地位が脅かされたくはないのだろう。
さて、どうしたものかと空を見上げると鳩が飛んでくる。
バサバサ……、風太の前でドロンと手紙へと変化する。
『愛する風太殿へ。
にゃにゃんとー、大変なことになって、もうパニックです。
にゃあー、どうしたら良いの?
もう駄目、終わちゃっう。
にゃぁぁぁぁ……』
「いや、何をして欲しいか早く伝えてくれ」
というか、魔素に付いて聞いたのに、何だこの返事は?
ゼラに手紙を書かせるからこんな意味不明な内容になったのか。
ああ、まだ続きがあるな。
『資金を増やせるって、偉い人に教えてもらって買ったのに。
にゃんとー、鉱山は魔物の巣になっていて、しかも大量の借金がぁぁぁっ。
このままだとお屋敷が奪われてしまう。
にゃあひひひぃぃぃ、にゃあえぇぇぇん』
「何してくれたんだ。
なんで余計なことしかしないのか」
たぶんゼラの独断で行ったんだろうな。
リアハなら、こんな詐欺に引っかかったりしないだろう。
何で、皆に相談しないんだ?
はぁ……。
あっ、まだ続きがあるのか。
『ぶひひひぃぃ、えへへへっなアマネルちゃんだよ。
ムチでお仕置きして欲しいブヒブヒ。
……』
途中で見るのをやめた。
「なんだこの手紙は、狂っている。
少しでも信じた俺が愚かだった」
まあ最後まで見ないと、他の誰かが書いているかも知れないし……。
その期待は外れ、長々とブヒブヒ文が続く。
精神が崩壊しそうな、この駄文に時間を吸い取られていく。
何しているんだろうかと、虚無を感じる。
ああ……。
『魔素は物質に吸着させると固定するブヒブヒ。
にひひひっ……、教えてあげたんだから、早くドウジンを下さい。
何でもするからブヒブヒ……』
1行で済むことを何で、こんなに長く無駄に書くんだろうか。
「えっと、俺は何をしていたんだ?」
軽く記憶喪失になるような感覚、なんだろう思い出せない。
これが呪詛を持つ文なのだろうか。
「フータ殿、使えそうな武器を貰ってきました。
見て下さい、この戦斧」
嬉しそうに声を掛けてきたのは人形のモエギだ。
青楓が名前を付けてくれたのだが、緑っぽい色を意味するらしい。
青臭い未熟者と言う、皮肉の効いた名なのだが、当のモエギは大喜びであった。
モエという響きが特に気に入っているようだ。
手にした戦斧は、ドワーフが持っていそうな形状で身体を隠せる程の大きさがある。
「重くない?」
「120キロぐらいです。
二本持っても良いぐらいの軽さなので、お手軽ですよね」
「やっぱり人形に魂を入れたから、常識が狂ってしまったのか。
ああ、俺はなんて事を……」
「いえ、生前もこれぐらい軽く扱っていました。
不覚を取ったのは軽い剣がボキッって折れたからで、これだったら生き残れていました」
「えっと君はメイドの人達だよね?
護衛の兵士だったのかな」
「んー、私は元近衛騎士でした、本来は王子の護衛をする精鋭なのです」
「全員なのか?」
「いいえ、……自らが明かさない限り教えることはないです。
私は抜け駆けしようとする者を監視する立場にありました」
怖そうな印象のメイドもいるとは思っていたけど……。
あれってやっぱり凄腕の騎士だったりするのか?
「へぇー。
良く、その斧があったな、誰が使うために作ったのか」
「身体強化の法術が使えるなら、華奢な身体でも軽々持てます。
貴族から回収した武器の多くは、市民には重くて使えないものが多くて余っています」
大剣とか軽々扱っているのもいたな。
破壊力が圧倒的に違うだろうし、そう考えるとあの未来は一方的な虐殺をされた結果なのだろう。
市民が貴族に楯突くのは自殺行為に近そう。
ゾンビアタックのような、無駄に突撃を繰り返し相手が疲労するまで、攻撃を繰り返す。
そこに屍の山が積み上げられて行くのだろう。
身体強化も永遠と効果が続くわけではない、切れる時が来る。
その時まで。
「モエギだけが頼みの綱。
期待している」
「にひひひ……、では早速出発しましょう。
迂回経路は魔獣が発生して、進行が困難な道程です」
魔族を殲滅しても、魔素が充満し魔獣が自然発生する魔境となっている。
そんな場所を突破して、目的の街の東側へと回り込む訳だ。
下手をすると間に合わない。
だから大将はケチを付けることもなく了承た。
失敗すれば無意味な策だったと批判するのだろう。
「さて、俺の兵士は何処にいる?」
「こちらです。
想像していましたが、不要な兵を押し付けられたようです」
白髪の老人や少年と言った戦力外な人員が50人程集まっていた。
青年からおっさん位が適正である。
剣や槍で戦う戦闘では、体力や筋力が最も重視される。
少年では筋力が足らず、老人は体力に難がある。
「うちに、任せて欲しい。
彼らを無事に目的地まで届けてしんぜよう」
「ありがとう、青楓」
「クスクス……
ご褒美を楽しみにしている、デラックス・スペシャル盛り盛りアイス」
「いや、そんなの見たこと無い。
ケーキなら……」
「仕方ないなぁ、ならば特大のを所望する」
「解った特大のを用意しよう」
ケーキ作りが趣味の婆さんを知っている。
皆、揃って食べるのも良いだろう。
善は急げと、風太とモエギが先行して向かう。
遅れて兵を率い、青楓が追う形となる。
空は桃色に染まっている。
魔素によって変質し見える影響だ。
それ程、濃い魔素の影響は直ぐに現れる。
魔物化した作物は、巨大して大蛇のように地をうねりながら徘徊している。
人食い蔓草。
開かれた花に口があり、牙を見せ食らいつこうと開いている。
「足音に反応するのか。
一斉来る!」
風太が魔法の準備をしている間に、モエギが動き回転するように人食い蔓草に戦斧を叩き込む。
バサバサ……、細切れにされて、蔓葉が舞い散る。
刃のついた回転ゴマのように、薙ぎ払っていく。
「にひひひ……。
戦斧無双が始まるよ」
「……強い」
今まで舐めていました。
武器を持ったことのないひ弱な女の子だと……。
霊体の時に使っていた武器はもしかして貧弱すぎたのか?
もっと重くて破壊力重視で選ぶべきだった。
もはや何もすることもない用に思えた。
人食い蔓草の残骸から出る濃い魔素の血が大地を汚染している。
このまま放置すれば、魔獣が無限に復活することになる。
そう言えば魔素は何かに吸着させれば良いんだったな。
そんな便利な物は何処にあるんだ?
眼の前を人魂が通り過ぎる。
魔族に殺された霊なのだろうか。
そこら中に沢山飛んでいる。
「うーん、魂に吸着したらどうなるんだろうか?
レイスになって襲ってきたりはしないよな」
呪文の構成が浮かんでくる。
ああ、魔素で肉体を形成すれば……、魂の記憶を引き出し……。
創生魔骸骨。
地面に光り輝く魔法陣が形成されていく。
「彷徨いし眠らずの魂よ。
安らぎ、今眠る時……、汝の枕を象れ!」
魔素が魔法陣へと吸い込まれ渦を巻いていく。
まるで竜巻のように巨大な渦へと成長し、膨大な魔素が飲み込まれていった。
「アハハハ……」
風太は激痛の予感に笑うしかなかった。
魔法に頼らないと決めたのに、またやってしまった。
しかし、痛みがやって来ることはない。
何故なら、魔素を利用し自分の力を一切利用していないためだ。
魂を取り込む事で、深い紫色の骸骨が魔法陣から姿を表す。
風太の前で跪き、忠誠を示す。
「魔物を蹴散らしてくれ」
魔法陣は魔素が尽きるまで起動し続けていた。
また新たな魔骸骨が誕生し、加勢して行く。
「にひひひ。
初めて見る法術です、私も知りたい」
「えっと、これは俺専用だから、モエギには教えられない」
なんとなく教えるのは不味い気がした。
死靈術は禁忌に触れることだから、あまり色んな人に教えたくはない。
それが死者の書に刷り込まれた認識だとは気づいていない。
「でも凄い、次々と増えていって魔獣を薙ぎ払っている」
いつの間にか魔骸骨は手に剣のような武器を持っている。
戦いで魔素を吸収し、強化されているようだ。
「これなら魔素を減らせるし、戦力も増えて一石二鳥だな」
「はい、素晴らしいです」
パチパチパチ……。
「さて、この辺りは放っておいても大丈夫だろう。
先に進もう」
モエギがすっと風太の前に立ち、恥ずかしそうにモジモジとする。
なんだろうかと一瞬、思ったが褒めて欲しいのだろうと察した。
とりあえず頭を撫でることにする。
するとモエギは満面の笑みを浮かべた。
「にひひっ。
私、頑張るから」
「ありがとう」
モエギは大人の魂なのに子供っぽい振る舞いをする。
今もウキウキになって変な踊りをしながら嬉しさを見せている。
そんなこんなで、半場辺りに到達した頃だった。
前方から騎兵の集団が向かってくるのが見える。
白い獅子の旗と、青い大蛇の旗を掲げている。
「あれは、騎士団の旗です。
特に白獅子騎士団は、王国内でも5本の指に入る精鋭」
「なんか聞いたことあるな」
「あのカキューレが率いています。
風太殿が配下に加えたあのデカ乳の……」
「砦にいたあの時の。
一時的に従ってもらっだけだから」
「騎士の誓いを破れば命を落とします。
ですから信頼の高い誓いなんです」
「そうなのか……。
彼女は味方だとしても他は敵だろう、30人ぐらいはいるし隠れて様子見しようか」
道中に置いてきた魔骸骨がいるし、敵対すれば戦ってくれるはず。
……いや、後続の青楓達に被害が出るかも知れない。
「打って出るべきです。
魔獣との戦闘を切り抜け疲労しているに見えます」
信じるしか無い。
風太は、立ちはだかるように道の中央で待つ。
青楓から貰った木の棒が俺の武器だ。
団員だけでなく馬ですら鋼鉄の鎧を着ているの騎士団を相手に挑むのである。
「極大魔法で脅せば、ビビって逃げてくれると良いな」
「支援法術を掛けます。
我が盟友に力を授けよ。 風雷の精霊よ! 筋力強化術」
「そんな魔法があったのか」
「雀の涙程度の気休めですが、無いよりはマシです。
にひひひ、勝利して下さい」
ドドドド……。
騎士団が風太に気づき、足を止めた。
「改革派の者か?」
「ああ、俺があの砦を爆破したフータだ。
一騎打ちするなら受けて立つがどうする?」
「ならば容赦はせぬ」
青蛇の騎士団が襲いかかろうとするが、カキューレが止める。
「待たれよ!
挑発に乗れば奴の思う壺、罠にかかったふりをして一騎打ちに応じるべき」
「臆病者め、それでも誇り高き騎士団長か!」
勇猛さだけは立派だ。
風太は迫りくる騎兵の動きが緩やかに見える。
カキューレに数段劣る、あくびの出るような相手だ。
彼ら青蛇騎士団の得意とする必勝の集団戦法である。
団員の連帯によって結界のような見えない障壁が形成され全体の質量で粉砕する。
鋼鉄の塊が突進してくるようなものである。
魔獣ですらグチャグチャにすり潰され大地も平らになる程だ。
だが風太は怪獣の炎を身体に宿している。
ありとあらゆる物を焼き尽くす、絶対的な力の前には無力だった。
騎士は突撃槍を構え、馬の勢いを乗せ槍先を向けるでグサッと串刺しに出来るはずだった。
「どうして遅いのかよく解った。
連帯するために一番ゆっくりな馬に速度を合わせっているのか」
突撃槍の一撃を紙一重でかわし、棒で反撃の一撃を放つ。
棒の鋭い突きが喉に決まり、騎士は後方に吹っ飛ぶ。
追って突撃をした騎士たちに衝突する有り様だ。
まるでボーリングのピンみたいにドカドカと巻き込んで大惨事だ。
これならハッタリすら必要ない。
砂埃が舞い散り、視界が遮られ何が起きているのか解らない状況。
衝突、金属音に悲鳴……。
追い打ちをかけるようにモエギが側面から襲いかかる。
鬼神のような恐ろしさで、斧を薙ぎ払えば騎士は鎧ごと切り裂かれ地面へと伏した。
砂埃が風とともに消えたときには青蛇騎士団は全滅していた。
えっ?
なんで殺したんだ。
呆然とする風太に、モエギはにっこりと笑みを浮かべて手を振っている。
脳は無意識に、惨劇にモザイクを掛けて見えなくした。
モエギが可愛い。
「フータ殿、残りの処置はどのようにお考えでしょうか?」
この状況で戦意があるとは到底思えない。
見逃しても、また戦うことになるし、どうするのが良いんだろうか。
そんな考えに硬直しているとカキューレは兜を脱ぎ捨てると馬を降り、風太に声を掛ける。
「フータ殿、我々は無謀な戦いを望まない、一騎打ちに応じてほしい。
代表として挑むのは副団長チャナタ」
カキューレの眼はうっとりして頬も赤くまるで愛する人を見つめるような雰囲気だ。
それを遮るようにチャナタも馬から降り正々堂々と戦う姿勢を見せる。
体格から明らかに女だと解るが油断は出来ない。
「異国の法術士よ。
得意とする法術を破らせて頂く」
彼女は円形の盾を構え迫ってくる。
盾には金属で蜘蛛の巣のような模様が装飾されている。
法術を拡散させ効果を分散し威力を弱める為のものだ。
対法樹士に特化した装備なのだが、風太はそれを知らなかった。
ただ金色に装飾された盾としてしか見ていない。
「魔法は使うつもりはない。
この棒だけで勝つつもりだ」
「やはりその程度の使い手か。
ならば覚悟するが良い」
もし風太が魔法を使っていたら、チャナタは炎に焼かれて即死していただろう。
その程度の貧弱な対策でしか無いと知らず、彼女は勝ったつもりでいた。
法術士は剣に劣り、得意の法術を封じれば市民と変わらない。
無力、無抵抗な相手をどういたぶるか笑みがこぼれる。
そんな慢心が衝撃で崩れる。
ドン!
棒の一撃が盾を貫通し腕に重く伝わる。
骨が折れる音……。
「うああぁぁっ、貴様!」
盾は減し曲がり腕を圧迫し続けている。
盾を止めている革ベルトを外し盾を捨てる。
チャナタは腕を確認し鋼鉄の手甲によって骨が折れても支えられても動く。
まだ行けると剣を両手で持ち全力で切りつけた。
空を切る。
ビュン、ビュンと振り回すが当たると思った直前で避けられるのだ。
彼女は遊ばれてると感じ焦り、余計に精度が落ち剣筋がブレる。
腕の痛みが響き、動きが固く雑さが目立つようになっていた。
「次は君が避けて見せてくれ」
反撃に備えチャナタは数歩下がる。
彼女は棒の長さは見切っていると当たるわけがないとカウンターを狙い力を込める。
下から上への一撃は完全に見え予測も完璧だった。
彼女に誤算があるとすれば、風太が青楓に棒を習う時間があったことだ。
棒を真ん中で持つことで、スライドさせ間合いを伸ばす。
棒の一撃が彼女の顎を捉えた。
ゴン!
彼女は空中に吹っ飛ぶ。
続けざまに棒の一撃を加え、追撃、追撃と繰り返す。
……10……20、21連鎖。
彼女はぐるぐると空中で回転し成すすべがない。
決まった22撃!
オーバーキルも良いところ、空中から落ちるまもなくボコボコにされたチャナタが地面に叩きつけられて跳ねる。
鎧もボロボロに歪み外れた部分もある。
彼女には悪いが力の差を見せつけて降参してもらうための犠牲だ。
チャナタは倒れてピクリとも動かない。
ちょっとやり過ぎたかも知れない……。
すまない。
「降伏するか?
まだ挑むか?」
カキューレは真っ先に剣を捨てる。
うっとりしていた顔は真剣な顔つきに戻り、騎士団長として苦渋の決断をしたかのように告げる。
「降伏する、我々では歯が立たない」
残った騎士達も戦意を喪失し、武器を捨て降伏を選ぶのだった。
逃げる選択も既に出来なくなっていた。
それは魔骸骨がいつの間にか、包囲し取り囲んでいた。
モエギが集めたようで、にひひひと笑い手を振っている。
「君達にはまだ希望がある。
このまま改革派に委ねても良いが、俺と賭けをしないか?」
「賭けとは?」
「勇敢な騎士……えっとチャナタだっけ。
彼女が俺に忠誠を誓うなら、君達も俺に忠誠を誓ってもらう」
「チャナタ殿は忠義に厚い、脅されようと絶対に有り得ない」
「そうだ、たとえ殺されようと絶対にありえない」
騎士達の彼女に対する信頼は厚いようだ。
面白くなってきたと風太は笑う。
「では俺が彼女を説得できなかったら、君達を開放し見逃してあげよう」
騎士達は勝利を確信し受け入れた。
その間、カキューレはチャナタの鎧を脱がし手当をしていた。
兜を外したチャナタは、肩丈の濃藍色髪だった。
前で揃えた髪が汗で額に付いている。
ぐったりしており目覚める様子はない。
口移しで極上回復薬を飲ませなければ危ないほどの虫の息であった。
チャナタが目を覚ますのは、しばらくしてからの事だ。
「うぅぅっ……、カキューレ殿……申し訳ない。
私達は一体どうなったか知りたい」
「黙って見ていなさい」
チャナタが目覚めたのを確認すると風太は、騎士達を並ばせた。
「今から、さっき交わした内容を誓ってもらう。
それぐらい良いだろう?」
「はい、私は誓います」
全員が誓い終ると、風太はチャナタに近づく。
「さて君にも俺に忠誠を誓ってもらう。
拒否するなら、帰るのを見逃してあげよう」
「私に……」
「じっくり考えて答えを出してくれ。
見ていただろう、残すは君だけだ」
チャナタは風太を見つめていた。
もし一人で逃げ帰れば疑われて処刑されるかも知れない。
眼の前にいる男に付いていくのどうだろうか?
カキューレが彼女に囁く。
「彼は異界人よ、私達に勝てるはず無いわ」
異界人……。
「はい、忠誠……、ああ、私は貴方に惚れてしまいました。
私を妻にして欲しい……」
「良いだろう。
誰でも受け入れよう」
その一言が余計だった。
群がる騎士達、兜を外し顔を見せる。
女ばかり……、それもその筈、白獅子騎士団は乙女で構成された騎士団である。
「ちょっと……」
うあああぁぁぁっ、彼女達の勢いは凄まじくもみくちゃに……。
バーゲンセールに群がるおばちゃんか。
鍛え上げた肉体だからたちが悪い、圧縮機のような高圧力が襲ってくる。
ぐあっ……死ぬ。
モエギが助けてくれなければ圧死していたかも知れない。
ほとんど意識を失いかけていて、ほとんど助けられた状況が記憶にない。
「はぁはぁ……、怖い」
「気をつけて下さい。
彼女達は愛情に飢えた女獅子なんですから」
「ありがとう……。
彼女達は一体何処に……」
目を回して気絶する女騎士達は脳のモザイク処理によって見えていない。
真面目な顔つきのカキューレの姿があるくらいだ。
「私達は共に行動すればよろしいのでしょうか?」
「いや、助けて欲しいことがある。
ゼラが問題を……、いや所有する鉱山に魔物が出て困っているらしい」
「解りました我々で討伐すれば宜しいのですね。
では場所を教えて下さい」
「帝国。
そのままだと入れないよな?」
「はい、騎士団が侵入すれば敵対とみなされて攻撃を受けることになります」
「玉国の姫様にお願いすれば何とかしてくれると思う」
期待して良いよな。
たまにある狂人みたいな、殺戮衝動とか……心配だな。
「旧体制派には玉国との繋がりがありません。
騙る訳にもいかないでしょう?」
カキューレの真剣な顔が崩れてにやにやしてデレデレな身体の動きになっている。
真面目な話をするつもりでいるのだが、脳内ではムフフな事が占領しつつあるのだろう。
あまり長引かせると、抑えが効かなくなって暴走するかも知れない。
「えっと……」
彼女の手が風太の頬を撫でる。
ドキドキ……。
手招きをすると彼女は顔を近づける。
汗の匂い、蒸し暑い熱気の中だ、だらだらと汗も止まらない。
彼女は唇を重ねる。
しばらくその状態が続き、満足したのか離れる。
「すこし落ち着いたから、続きを」
輸送係の少年に会うように伝え、木彫りの笛を渡す。
少年から貰ったが、つば付きで汚くて使えない代物だ。
手放すにも、それを捨てるのはとんでもない状態で今に至る。
今なら突っ返す事ができる。
「君にしか出来ないことだ。
それを渡せばきっと姫様と繋いでくれる」
「了解しました。
では我々は帝国を目指します」
ドドドド……。
行動が早い、もう全員を率いて移動したのか。
「風太殿、私は置いていかれました」
チャナタが涙目で助けと訴えかけている。
「どうして?」
「賭けの内容を聞かさせれて、私は迂闊にも気を失ってしまいました。
誘惑に負けたのは私の心の弱さです」
「騙した事を気にしているのか?」
「いいえ、……いや、責任を取って下さい。
もう私には居場所がない」
「道案内を頼もうか。
来た道を戻るだけだ」
チャナタは犬の首輪のような鎖付きの首輪をはめて、鎖を風太に渡す。
「私は貴方の犬、どうぞお使い下さい」
「んん? 君は正気か?」
まさかアマネルのようなド変態。
見かけは純粋で真面目そうなお姉さんなのに。
「これは戒めです。
罰を受けなければ、自分が許せない」
本人は大真面目なのだろう、だから余計にたちが悪い。
しかし、罰を与えるなら一人でやってくれ、巻き込まないで欲しい。
「こんなところを誰かに見られらた俺が異常者と思われるだろう。
新手の嫌がらせか?」
「では、腕を切り落として……」
木の棒で折れた腕を補強しているのに、折角の手当が無意味になってしまう。
そんな問題じゃない。
「いや待て、片腕の妻なんて嫌だ。
君を傷つける事は許さない」
「……えっ、あれは本当に?」
「勿論、君は約束しただろう?」
彼女の顔が真っ赤になって、気が抜けたようにその場に座り込む。
「あの、私のような脳筋でも構わないのですか?
誰もがゴリラと……」
「何言っているんだ。
疑うのか、君の誓いとはその程度の事だったのか?」
「いいえ」
何を思ったか、チャナタは鎖をブチッと引きちぎり風太に渡す。
結構丈夫そうな太い鎖なのに片手で軽々と行うさまに恐怖を感じる。
鎖を解き放った猛獣ではないのか。
もはや理解不能過ぎて意味が解らずに風太は鎖を手に唖然とするしか無い。
「なんだ?」
「これなら人に見られても問題ないかと思いました」
えっと、結局その首輪は外さないのか?
うん、きっとファッションなのかな……。
んーな訳ない。
どうすれば良いんだろう。
モエギなら何か助言を……。
風太がモエギの方を見ると、モエギは首を横に振り焦る。
チーン♪
閃く音が聞こえた気がする。
忘れよう、何も見てないし彼女が付けているのはただの革の首輪だ。
機会があれば、良いものを買ってあげよう。
それで解決だ。
「では出発しよう。
ああ、腕は大丈夫か?」
「この程度なら、数日で治ると思います。
片手でも問題なく戦えます」
そう言えば、青楓が見せてくれた御札の癒やし魔法。
あれを試してみたいな。
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自己暗示を掛けていくことで成功率を高める。
青楓に出来て俺に出来ないはずがない。
「よーし行くぞ、ハイ」
パンと手を合わせてみる。
ビリビリビリ……、チャナタの服が破れて下着だけになった。
いや靴下と首輪はなんか残っている。
首輪は特に壊れても良かったのに。
「ひっい……」
チャナタは大きめな胸を隠すように手で覆う。
あっ……、なんで服が吹っ飛ぶんだ。
御札を貼ってなかった。
肝心な所が抜けていた、不味いこのままだと白い目で見られる。
「腕は?」
治ってなかったら、服を引き裂いた変態だ。
気まずい……。
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「ありがとう……、使えそうな装備を回収する時間を下さい」
「ああ構わないけど……」
こんな所に何も無いと思うけど……。
死体の山は風太には見えていない、脳が拒絶しているからだ。
しばらくするとチャナタは装備を整え風太の前に立つ。
「予備の装備があって良かったです。
では行きましょうか」
日が沈み初め、大地が赤く染まろうとしている。
だが魔素が充満した土地は、まだ桃色に空であった。
唐突に来る夜、凶暴化した魔獣が暴れまわる。
また、アンデットの時間でもある、それに増して動きが活発になっていた。
風太の知らぬ所で、死した騎士団が魔骸骨として蘇り魔獣との激戦が繰り広げられているとは夢にも思わない。
敵の居ない道を風太一行は進むのだった。
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ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
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スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
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ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
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最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
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綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
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