ストーカー(仮)から助けてくれた親友と付き合うことになった話

あるのーる

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「……やっぱり、気のせいじゃなかった…………」

 そろそろ23時を越えようかという夜遅く。暗い夜道を通ってバイトから帰宅し、飛び込むようにして入った部屋の電気を点けてから俺はそう呟いた。

 大学入学を期に2年ほど前から一人暮らしを始めた俺は、初めて一人で身の回りのことを全てしなくてはならないことに慌ただしくも楽しい日々を過ごしていた。幸いにも早々に親友と呼べるほどに気の合う友人も見つけることができ、大きな病気もすることなく至って平穏に生活できていたと思う。
 しかし、そんな平和も短かった。最初に違和感を覚えたのは半年前。2年生になり生活にも多少慣れバイトを始めた俺は、その日も夜遅くなってようやく帰路についた。
 家賃の安さで選んだため、俺の借りている部屋は少しばかり大通りからは離れている。道中に夜間開いている店もなく、街灯も少ない道は暗い。そんな道をぽつぽつと民家の窓から漏れる灯りを縫って歩きながら初めて渡された給料の入った袋をポケット越しに触ってニヤついていた俺は、なんとなく感じた悪寒にふと背後が気になり立ち止まった。
 なんだか、背中がもぞもぞする。振り返るも視界に広がるのは暗闇ばかりで、特に変なものはない。目を凝らしてもそれは変わらず、その時は首を傾げてそのまま部屋へと帰った。
 だが、それから何かが変わった。帰り道で誰かに見られていると感じるし、部屋の前で何かががさごそと動いている音が聞こえる。それらは次第に頻度が増え、バイト帰りだけだった視線は昼間大学からの帰りでも背中に突き刺さり、部屋で休んでいるとトン、と扉に何かぶつかったような音がするようになった。
 視線に振り返ると人影が曲がり角の向こうに消えるのを目撃し、つい最近は干していたパンツが一枚行方不明。極めつけは今日、道を歩いている最中すれ違いざまにいやに掠れた湿っぽい声で「可愛いなぁ」などと耳元で囁かれた。
 一瞬固まった後勢いよく振り向くも、すでに相手は闇の中。ぼんやりと歩いていたため相手の背格好もおぼろげで男であったことしかわからないが、これではっきりしてしまった。
 俺は、男にストーカーされている。
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