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第十一章 司法局実働部隊運用艦『高雄』
動く遼州
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「遅れました」
そう言って仏頂面の吉田がハンガーに足を踏み入れる。
「吉田!いいところに来たな。まあなんかアイシャが盛り付けといてくれたから一緒にやろうや」
嵯峨は頭をかきながら、入ってきた吉田に声をかける。いつの間にか周りには明華、リアナ、マリア、と言う部隊の部長クラスの人間に囲まれていた。カウラやアイシャも明華やマリアににらまれて座を外すタイミングを逃したと言うように立ち尽くしていた。
誠は席をはずそうとするものの、状況的に逃げるわけにも行かない気がして仕方なくそのまま鮭のフレーク状になったものを味噌味の野菜に混ぜながら頬張る。
「サムおじさんの様子はどうだい?」
とぼけた調子で嵯峨が切り出した。
「みんなの友達イーグルサムことアメリカさんですか?連中は高みの見物を決め込むつもりでしょう。さっきまではホワイトハウスで大統領が国務長官や軍、司法、外交の実務担当者が電話で会議してたのを傍受しましたよ。なんなら議事録でも拾いましょうか?」
「やめとけ、やめとけ。そんなのハッキングの際に枝葉がついたら面倒になるだけだ。どうせ事が済んだら、白頭鷲の主催の仲直りのパーティーでもやるつもりなんだろ。まあどうしてもと言うなら酒は俺が見繕ってやるとでも答えとけばいい。他の外野はどう動いてる?」
アイシャから注いでもらった燗酒をすすりながら、嵯峨は続きを聞こうとした。
「今回の件に絡みたがっている連中は数えるのが嫌になるくらいいますよ。アラブ連盟などは嫌がる西モスレムのケツを蹴っ飛ばして何でも良いから乱入しろって矢の催促ですわ」
「西モスレムが出てくると面倒だな、あそこが出てくると芋づる式に遼南が出てくる。面倒は願い下げだ」
苦笑いを浮かべる嵯峨に同調するように皆が頷く。誠はスケールの大きすぎる話にただ黙ってビールを飲み始めた。
「フランスは現在遼南首相府に大使が出頭してなにやら探ろうとしていますよ。まあ直接行動に出る口実でも探しているんでしょう。外惑星駐留軍所属の艦隊が秘匿任務で演習場の周りをうろちょろしてます」
吉田はそこまで言ってアイシャから差し出された鮭と野菜炒めの乗った皿を受け取った。
「他にこの件で動くのは……ドイツとロシアはどう動いてる?」
ワインのグラスを手にしたマリアが口を開く。
「ドイツはゲルパルトの駐留部隊がいつでも出動できるように準備していますが、ゲルパルトは同盟加盟国への介入を禁止する法律を盾に出撃を固辞してますね、それにロシアですが……。やっぱりこの鮭旨いですねえ。油が乗ってて」
「そうだろ?今の時期の沖取りの鮭は産卵前で一番油が乗ってるからな」
嵯峨が得意げにそう言う。しかし、明華からの突き刺すような視線を浴びると少しは自重したようで、嵯峨はしかたなく眼で続きを話せと吉田にせがんだ。
「ロシアは表面上は平静を装ってますが、裏では手を回してますね。これは未確認の情報ですがβチームを胡州の帝都に展開させているという情報もあります。狙いは近藤資金でしょう。まるまま有り金全部巻き上げるつもりですよ」
βチームと聞いてマリアは顔をこわばらせた。
「物騒な連中がでてきたねえ。まあ同盟司法局公安機動部隊の連中には連絡するつもりだよ。たまには借りを作っとかないと」
そう言って嵯峨は再び酒をあおる。その表情はきわめて落ち着いているように誠には見えた。まるで事態をすべて予想していた。そんな風に感じて額に汗が浮かぶのを誠は感じていた。
「いや、その必要は無いですね。これは部隊長の安生秀美少佐からの情報ですから」
「なんだ。遼州司法局機動公安部隊の主力は胡州に展開中……じゃあ秀美さんも胡州入りか……」
そう言ってみて嵯峨はにやけつつ吉田を見つめた。
「安城秀美少佐……行動予定とか探りましょうか?」
「野暮なこと言うなよ……ああ、こんなことになるなら俺が一人で胡州入りすりゃよかったかな」
「隊長……どう転んでもあの人は隊長にはなびきませんよ」
マリアがそう言うと嵯峨は明華とマリアを見上げた。二人とも冷たい目線で嵯峨を見ているので、彼は皿の上の野菜炒めをかきこんでその場をごまかそうとする。
「それじゃあ肝心の同盟最高会議はどう動くんだ?」
箸を止め、まじめな調子で嵯峨が吉田を見上げた。嵯峨、明華、マリア、アイシャ。それぞれの視線が吉田に向けて注がれる。
しかし、吉田は彼等の問いに答えようとせず箸を進めていた。
そう言って仏頂面の吉田がハンガーに足を踏み入れる。
「吉田!いいところに来たな。まあなんかアイシャが盛り付けといてくれたから一緒にやろうや」
嵯峨は頭をかきながら、入ってきた吉田に声をかける。いつの間にか周りには明華、リアナ、マリア、と言う部隊の部長クラスの人間に囲まれていた。カウラやアイシャも明華やマリアににらまれて座を外すタイミングを逃したと言うように立ち尽くしていた。
誠は席をはずそうとするものの、状況的に逃げるわけにも行かない気がして仕方なくそのまま鮭のフレーク状になったものを味噌味の野菜に混ぜながら頬張る。
「サムおじさんの様子はどうだい?」
とぼけた調子で嵯峨が切り出した。
「みんなの友達イーグルサムことアメリカさんですか?連中は高みの見物を決め込むつもりでしょう。さっきまではホワイトハウスで大統領が国務長官や軍、司法、外交の実務担当者が電話で会議してたのを傍受しましたよ。なんなら議事録でも拾いましょうか?」
「やめとけ、やめとけ。そんなのハッキングの際に枝葉がついたら面倒になるだけだ。どうせ事が済んだら、白頭鷲の主催の仲直りのパーティーでもやるつもりなんだろ。まあどうしてもと言うなら酒は俺が見繕ってやるとでも答えとけばいい。他の外野はどう動いてる?」
アイシャから注いでもらった燗酒をすすりながら、嵯峨は続きを聞こうとした。
「今回の件に絡みたがっている連中は数えるのが嫌になるくらいいますよ。アラブ連盟などは嫌がる西モスレムのケツを蹴っ飛ばして何でも良いから乱入しろって矢の催促ですわ」
「西モスレムが出てくると面倒だな、あそこが出てくると芋づる式に遼南が出てくる。面倒は願い下げだ」
苦笑いを浮かべる嵯峨に同調するように皆が頷く。誠はスケールの大きすぎる話にただ黙ってビールを飲み始めた。
「フランスは現在遼南首相府に大使が出頭してなにやら探ろうとしていますよ。まあ直接行動に出る口実でも探しているんでしょう。外惑星駐留軍所属の艦隊が秘匿任務で演習場の周りをうろちょろしてます」
吉田はそこまで言ってアイシャから差し出された鮭と野菜炒めの乗った皿を受け取った。
「他にこの件で動くのは……ドイツとロシアはどう動いてる?」
ワインのグラスを手にしたマリアが口を開く。
「ドイツはゲルパルトの駐留部隊がいつでも出動できるように準備していますが、ゲルパルトは同盟加盟国への介入を禁止する法律を盾に出撃を固辞してますね、それにロシアですが……。やっぱりこの鮭旨いですねえ。油が乗ってて」
「そうだろ?今の時期の沖取りの鮭は産卵前で一番油が乗ってるからな」
嵯峨が得意げにそう言う。しかし、明華からの突き刺すような視線を浴びると少しは自重したようで、嵯峨はしかたなく眼で続きを話せと吉田にせがんだ。
「ロシアは表面上は平静を装ってますが、裏では手を回してますね。これは未確認の情報ですがβチームを胡州の帝都に展開させているという情報もあります。狙いは近藤資金でしょう。まるまま有り金全部巻き上げるつもりですよ」
βチームと聞いてマリアは顔をこわばらせた。
「物騒な連中がでてきたねえ。まあ同盟司法局公安機動部隊の連中には連絡するつもりだよ。たまには借りを作っとかないと」
そう言って嵯峨は再び酒をあおる。その表情はきわめて落ち着いているように誠には見えた。まるで事態をすべて予想していた。そんな風に感じて額に汗が浮かぶのを誠は感じていた。
「いや、その必要は無いですね。これは部隊長の安生秀美少佐からの情報ですから」
「なんだ。遼州司法局機動公安部隊の主力は胡州に展開中……じゃあ秀美さんも胡州入りか……」
そう言ってみて嵯峨はにやけつつ吉田を見つめた。
「安城秀美少佐……行動予定とか探りましょうか?」
「野暮なこと言うなよ……ああ、こんなことになるなら俺が一人で胡州入りすりゃよかったかな」
「隊長……どう転んでもあの人は隊長にはなびきませんよ」
マリアがそう言うと嵯峨は明華とマリアを見上げた。二人とも冷たい目線で嵯峨を見ているので、彼は皿の上の野菜炒めをかきこんでその場をごまかそうとする。
「それじゃあ肝心の同盟最高会議はどう動くんだ?」
箸を止め、まじめな調子で嵯峨が吉田を見上げた。嵯峨、明華、マリア、アイシャ。それぞれの視線が吉田に向けて注がれる。
しかし、吉田は彼等の問いに答えようとせず箸を進めていた。
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