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第11章 デート
ゆったりと過行く時間
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「いつから気づいていた?」
吉田がそう言ったので誠は少し驚いていた。考えてみればおせっかいを絵にかいて好奇心で塗り固めたような彼等がついてこないわけは無いことは誠にも理解できた。司法局とはそう言うところだと学習するには四ヶ月と言う時間は十分だった。愛想笑いを浮かべるかなめ達を誠は眺める。配属以降、誠が気づいたことと言えば司法局の面々は基本的にはお人よしだと言うことだった。
アイシャが悩んでいると聞けば気になる。ついている誠が頼りにならないとなれば仕事を誰かに押し付けてでもついてくる。
「まあ……どうせパーラの車に探知機でもつけてるんじゃないですか?情報統括担当の少佐殿」
そう言ってアイシャはシャムの手に握られた猫耳を押し付けられそうになっている吉田に声をかける。
「でも実際はあいつ等がアホだから見つかったんだろ?」
ランはそう言ってかなめとカウラを指差した。
「まあ、そうですね。あの二人がいつ突っかかってくるかと楽しみにしてましたから」
余裕の笑みと色気のある流し目をアイシャは送る。かなめもカウラもそんなアイシャにただ頭を掻きながら照れるしかなかった。その隣では吉田がついに諦めて自分から猫耳をつけることにした。
「何やってるんですか?」
カウラは思わずそんな吉田に声をかけた。
「えーと。猫耳」
他に言うことが思いつかなかったのか吉田のその言葉に店の中に重苦しい雰囲気が漂う。
「オメー等帰れ!いいから帰れ」
呆れてランがそう言ったのでとりあえず静かにしようと吉田はシャムに猫耳を返した。
「話はまとまったのかな?」
そう言うとにこやかに笑うマスターがランの前にコーヒーの入ったカップを置いた。
「香りは好きなんだよな。アタシも」
そう言うとランはカップに鼻を近づける。
「良い香りだよね!」
シャムはそう言って満面の笑みで吉田を見つめた。
「まあな」
そう言うと吉田はブラックのままコーヒーを飲み始めた。
「少しは味と香りを楽しめよ」
かなめは静かに目の前に漂う湯気を軽くあおって香りを引き寄せる。隣のカウラはミルクを注ぎ、グラニュー糖を軽く一匙コーヒーに注いでカップをかき回していた。
恐る恐るランは口にコーヒーを含む。次の瞬間その表情が柔らかくなった。
「うめー!」
その一言にマスターの表情が緩む。
「中佐殿は飲まず嫌いをしていたんですね」
そう言って面白そうにアイシャはランの顔を覗き込む。
「別にいいだろうが!」
そう言いながら静かにコーヒーを飲むランにマスターは気がついたというように手元からケーキを取り出した。
「サービスですよ」
そう言ってマスターは笑う。
「これはすいませんねえ。良いんですか?」
「ええ、うちのコーヒーを気に入ってくれたんですから」
そう言って笑うマスターにランは、受け取ったケーキに早速取り掛かった。
「あーずるい!」
「頼めば良いだろ?」
叫ぶシャムを迷惑そうに見ながらかなめは手元のケーキ類のメニューを渡す。
「なんだ、ケーキもあるじゃん」
そう言いながら吉田はシャムとケーキのメニューを見回し始めた。
「それにしてもアイシャさん。本当に軍人さんだったんですね」
「軍籍はあるけど、身分としては司法機関要員ね……あの司法局実働部隊の隊員ですから」
「そーだな。一応、司法執行機関扱いだからな……つまり警察官?」
そう言いながらケーキと格闘するランはやはり見た通りの8歳前後の少女に見えた。
「チョコケーキ!」
「あのなあ、叫ばなくてもいいだろ?俺はマロンで」
吉田とシャムの注文に相好を崩すマスター。
「何しに来たんだよ、オメエ等」
「いいじゃないか別に。私はチーズケーキ」
かなめを放置してカウラがケーキを注文する。誠は苦笑いを浮かべながらアイシャを見つめた。コーヒーを飲みながら、動かした視線の中に誠を見つけたアイシャはにこりと笑った。その姿に思わず誠は目をそらして、言い訳をするように自分のカップの中のコーヒーを口に注ぎ込んだ。
吉田がそう言ったので誠は少し驚いていた。考えてみればおせっかいを絵にかいて好奇心で塗り固めたような彼等がついてこないわけは無いことは誠にも理解できた。司法局とはそう言うところだと学習するには四ヶ月と言う時間は十分だった。愛想笑いを浮かべるかなめ達を誠は眺める。配属以降、誠が気づいたことと言えば司法局の面々は基本的にはお人よしだと言うことだった。
アイシャが悩んでいると聞けば気になる。ついている誠が頼りにならないとなれば仕事を誰かに押し付けてでもついてくる。
「まあ……どうせパーラの車に探知機でもつけてるんじゃないですか?情報統括担当の少佐殿」
そう言ってアイシャはシャムの手に握られた猫耳を押し付けられそうになっている吉田に声をかける。
「でも実際はあいつ等がアホだから見つかったんだろ?」
ランはそう言ってかなめとカウラを指差した。
「まあ、そうですね。あの二人がいつ突っかかってくるかと楽しみにしてましたから」
余裕の笑みと色気のある流し目をアイシャは送る。かなめもカウラもそんなアイシャにただ頭を掻きながら照れるしかなかった。その隣では吉田がついに諦めて自分から猫耳をつけることにした。
「何やってるんですか?」
カウラは思わずそんな吉田に声をかけた。
「えーと。猫耳」
他に言うことが思いつかなかったのか吉田のその言葉に店の中に重苦しい雰囲気が漂う。
「オメー等帰れ!いいから帰れ」
呆れてランがそう言ったのでとりあえず静かにしようと吉田はシャムに猫耳を返した。
「話はまとまったのかな?」
そう言うとにこやかに笑うマスターがランの前にコーヒーの入ったカップを置いた。
「香りは好きなんだよな。アタシも」
そう言うとランはカップに鼻を近づける。
「良い香りだよね!」
シャムはそう言って満面の笑みで吉田を見つめた。
「まあな」
そう言うと吉田はブラックのままコーヒーを飲み始めた。
「少しは味と香りを楽しめよ」
かなめは静かに目の前に漂う湯気を軽くあおって香りを引き寄せる。隣のカウラはミルクを注ぎ、グラニュー糖を軽く一匙コーヒーに注いでカップをかき回していた。
恐る恐るランは口にコーヒーを含む。次の瞬間その表情が柔らかくなった。
「うめー!」
その一言にマスターの表情が緩む。
「中佐殿は飲まず嫌いをしていたんですね」
そう言って面白そうにアイシャはランの顔を覗き込む。
「別にいいだろうが!」
そう言いながら静かにコーヒーを飲むランにマスターは気がついたというように手元からケーキを取り出した。
「サービスですよ」
そう言ってマスターは笑う。
「これはすいませんねえ。良いんですか?」
「ええ、うちのコーヒーを気に入ってくれたんですから」
そう言って笑うマスターにランは、受け取ったケーキに早速取り掛かった。
「あーずるい!」
「頼めば良いだろ?」
叫ぶシャムを迷惑そうに見ながらかなめは手元のケーキ類のメニューを渡す。
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そう言いながら吉田はシャムとケーキのメニューを見回し始めた。
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