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第45章 包囲網
間に合わない援軍
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「結局間に合わず……か」
赤松忠満准将は第三艦隊旗艦『播磨』のブリッジで静かにそうつぶやいた。二時間前、南極基地の制圧に醍醐文隆司令の部隊が成功したものの停泊中の艦船のエンジンの再起動までに数日が必要と言う連絡を受け、ブリッジクルーに焦りの色が見えていた。
「人さんを当てにしとったらあかんで。勝つ時は勝つもんや」
そう言いながら帽子を被りなおす。そのしぐさが苦戦中の時の赤松の癖だと知っている艦長はつい笑みが浮かんでしまっていた。
「笑わんといてな」
赤松はその表情を見つけると小声でそう告げた。
全艦隊はアステロイドベルトのデブリに身を隠していた。敵は陸軍所有の大気圏付近での揚陸活動をメインに使用されることを想定して作られた揚陸艇。支援火器は充実しているものの対艦戦を想定したつくりにはなっていなかった。とは言え圧倒的な数のアサルトモジュールとそれを稼動状態に持ち込むための装備の差は歴然としていて戦力差は第三艦隊にはかなり不利なのは誰もがわかっていた。それゆえに醍醐の部隊の参戦が不可能になったのは痛かった。
「あちらはどないなっとんねん」
「は、羽州の巡洋艦三隻が先行しています。やはり対艦戦で揚陸艇を突出させるのは不利だと見ているのでしょう」
上司のリラックスした問いに参謀の一人がそう答える。そのまま赤松はしばらく声に出さない笑いを漏らしていた。
「こらあワシのことを買いかぶっとるんやなあ。何も考えんと力押しで来られたらどないもこないもなかったが……こら勝ちの目も出てくるかもしれへんなあ」
そのつぶやきに周りを囲む参謀達に笑みが広がる。そしてそれを見たブリッジクルー達も少しばかり明るい表情を浮かべることになった。
「でもしめていかなあかんで。羽州の艦隊は恐らく指揮官は秋田はんでアサルト・モジュール部隊はあの安東と見て間違いないからな。こちらもそれなりに準備を進めとかなあかん」
静かにそう言った赤松。参謀達は次の日には始まるだろう戦争のことを思いながら信じるべき指揮官の姿を目に焼き付けていた。
「それにしても……」
参謀の言葉にすっかり気分を害したと言うように赤松が振り返る。その言葉を発した参謀もそれを察して慌てて手を振り回した。
「佐賀の泉州艦隊が気になるものですから……」
その言葉は誰もが予期していた内容だった。赤松も満面の笑みで参謀達に目を向ける。
「佐賀さんか?あの人にそれほどの度胸があるわけないやん。たぶん今頃は必死になって清原さんに助命嘆願でもしとるんちゃうのん?」
その言葉にブリッジは沈黙した。佐賀の艦隊は陸軍部隊とはいえ艦大戦のできるだけの艦を保有し、多量のアサルト・モジュールを保有していた。
「なに静まりかえっとるん」
赤松はそう言うがすでに泉州艦隊が南極基地の情勢を手にして全速力でこちらに向かっていることは誰もが知っていた。
「佐賀少将の艦隊。甘く見るべきではありませんよ」
参謀の一人がつぶやくと『播磨』のブリッジは急に凍りついたような雰囲気に取り囲まれた。
「知らんのやな」
赤松のつぶやきに誰もが静かに耳を澄ます。
「佐賀の旦那。あの人に歴史をどうにかできるような度胸は無いで。流れるまま、流される。所詮はあの御仁はそこまでの人や。気にすることもないやろ」
「ですが……」
「なんやねん。ほんまに口だけは達者やな」
同じ参謀の言葉を聴いて明らかに不機嫌に答える赤松。
「佐賀の旦那は動かん。間違いないて」
赤松の言葉に誰もが不安を隠しきれない状況で彼を見つめていた。
赤松忠満准将は第三艦隊旗艦『播磨』のブリッジで静かにそうつぶやいた。二時間前、南極基地の制圧に醍醐文隆司令の部隊が成功したものの停泊中の艦船のエンジンの再起動までに数日が必要と言う連絡を受け、ブリッジクルーに焦りの色が見えていた。
「人さんを当てにしとったらあかんで。勝つ時は勝つもんや」
そう言いながら帽子を被りなおす。そのしぐさが苦戦中の時の赤松の癖だと知っている艦長はつい笑みが浮かんでしまっていた。
「笑わんといてな」
赤松はその表情を見つけると小声でそう告げた。
全艦隊はアステロイドベルトのデブリに身を隠していた。敵は陸軍所有の大気圏付近での揚陸活動をメインに使用されることを想定して作られた揚陸艇。支援火器は充実しているものの対艦戦を想定したつくりにはなっていなかった。とは言え圧倒的な数のアサルトモジュールとそれを稼動状態に持ち込むための装備の差は歴然としていて戦力差は第三艦隊にはかなり不利なのは誰もがわかっていた。それゆえに醍醐の部隊の参戦が不可能になったのは痛かった。
「あちらはどないなっとんねん」
「は、羽州の巡洋艦三隻が先行しています。やはり対艦戦で揚陸艇を突出させるのは不利だと見ているのでしょう」
上司のリラックスした問いに参謀の一人がそう答える。そのまま赤松はしばらく声に出さない笑いを漏らしていた。
「こらあワシのことを買いかぶっとるんやなあ。何も考えんと力押しで来られたらどないもこないもなかったが……こら勝ちの目も出てくるかもしれへんなあ」
そのつぶやきに周りを囲む参謀達に笑みが広がる。そしてそれを見たブリッジクルー達も少しばかり明るい表情を浮かべることになった。
「でもしめていかなあかんで。羽州の艦隊は恐らく指揮官は秋田はんでアサルト・モジュール部隊はあの安東と見て間違いないからな。こちらもそれなりに準備を進めとかなあかん」
静かにそう言った赤松。参謀達は次の日には始まるだろう戦争のことを思いながら信じるべき指揮官の姿を目に焼き付けていた。
「それにしても……」
参謀の言葉にすっかり気分を害したと言うように赤松が振り返る。その言葉を発した参謀もそれを察して慌てて手を振り回した。
「佐賀の泉州艦隊が気になるものですから……」
その言葉は誰もが予期していた内容だった。赤松も満面の笑みで参謀達に目を向ける。
「佐賀さんか?あの人にそれほどの度胸があるわけないやん。たぶん今頃は必死になって清原さんに助命嘆願でもしとるんちゃうのん?」
その言葉にブリッジは沈黙した。佐賀の艦隊は陸軍部隊とはいえ艦大戦のできるだけの艦を保有し、多量のアサルト・モジュールを保有していた。
「なに静まりかえっとるん」
赤松はそう言うがすでに泉州艦隊が南極基地の情勢を手にして全速力でこちらに向かっていることは誰もが知っていた。
「佐賀少将の艦隊。甘く見るべきではありませんよ」
参謀の一人がつぶやくと『播磨』のブリッジは急に凍りついたような雰囲気に取り囲まれた。
「知らんのやな」
赤松のつぶやきに誰もが静かに耳を澄ます。
「佐賀の旦那。あの人に歴史をどうにかできるような度胸は無いで。流れるまま、流される。所詮はあの御仁はそこまでの人や。気にすることもないやろ」
「ですが……」
「なんやねん。ほんまに口だけは達者やな」
同じ参謀の言葉を聴いて明らかに不機嫌に答える赤松。
「佐賀の旦那は動かん。間違いないて」
赤松の言葉に誰もが不安を隠しきれない状況で彼を見つめていた。
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