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第16章 不幸な『出会い』
遼州人の『文化的功績』
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「あと、これは『遼州人』が宇宙に誇っていい最大の『文化的功績』なんだけどね」
いつの間にかアメリアの顔は『女芸人』のそれに戻っていた。
「僕達に『文化的功績』なんてあるんですか?ただ地球の真似ばかりしているだけじゃないですか」
誠もこの『東和共和国』が20世紀末の日本の『よくできたコピー』にすぎないことは知っていた。
「まず、ほとんどが『木造住宅』で、高層住宅が存在しない」
アメリアの言葉に誠は納得せざるを得なかった。
東都共和国は20世紀末の日本を模倣することを国是としていたので、当然ほとんどの住宅は木造住宅だった。
つまり、高層住宅はあまり存在しないし、3階建て以上の住宅は法律上建てることが非常に難しい環境にあった。
「ほかに何か……」
誠は文化的功績とやらがろくなものでないことは察しがついていた。
「デジタルが進歩しないことによってメディアの質が『アナログ的』に進化した……より20世紀末の日本を進化させることに成功した……つまり深夜ラジオが進歩したのよ!」
「!!」
それはあまりに驚愕の事実だった。誠も深夜ラジオは聞いていなかったが、大学の同級生にはまって人生を捨てた人間が何人もいるのは事実だった。
「アメリアさん……もしかして……」
誠の言葉にアメリアは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「私はある深夜ラジオのヘビーリスナーとしてすでに『伝説』の存在と呼ばれているわ!人はすべて私を30代無職童貞として認知してその行動をつぶさに観察することに余念がないわね!」
「それ全部嘘でしょ!あんた女じゃないですか!『童貞』じゃないでしょ!」
そんな誠のツッコミをものともせずアメリアは話題を勧めた。
「甘いわね……所詮ラジオのネタでは投稿者が『男』か『女』かなんてわからないわよ!実際、ある深夜ラジオパーソナリティーに遭遇したけど、私が女だなんて思ってなかったって言ってたわよ」
「自慢になりますか?それ?」
誠はあまりのアメリアのすっとぼけた対応に呆然とするばかりだった。
「それだけじゃないわ、『遼州人』はその『童貞力』により、人類に平和をもたらす方法を編み出した……」
「そんな力による『平和』は必要ありません」
誠のそんなむなしい願いをよそにアメリアは話題を続けた。
「地球人の『モテる』と言う過信が常に戦争を引き起こしてきたの……すべての争いは人口の増加が原因と言ってもいいわ。つまり、愛は人類を滅ぼすのよ!そうよ、もしすべての宇宙の人々が『遼州人』の魂を持てば争いごとは起きずに平和に暮らせるようになる。すごい『功績』じゃない?」
そう言ってアメリアはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「まず!地球人も遼州人のように『モテない』を極めれば平和になるのよ!」
はっきりと、力強くアメリアは言い切った。
誠は自分がモテないことは『胃弱』からだと思っていたが、周りの女子も男子も『モテなかった』と言う事実を知らされて唖然とした。
「モテないこと……それ自慢になります?」
そう言うのが誠には精一杯だった。
「自慢になるわよ。まず、『愛』が非常に生まれにくい!」
さらに誠は目が点になった。全然自慢ができる話ではない。『愛』がフィクションだという説は友人ともよく話し合ったが、きっとあるんだろうとあこがれていた『童貞』の誠にとってそれは認めがたい現実だった。
「もっとはっきり言うわね。『愛』の発生を『全力で阻止』する民族性だから、『愛』の結晶である『子供』があまり生まれないのよ!」
誠は地球の似たような国で起きた『少子高齢化』と言う現象を思い出した。親の世代が多くて子供が少ないと結構社会が大変だということは小学校の授業で習った。『東和共和国』ではそもそも親の世代も少ないので人口は地球から独立してもほぼ増えていない。
「子供が増えないと社会が発展しないじゃないですか。だからこの国はいつまでたっても20世紀末状態なんですよ」
子供のころから社会を非難する常套句『世紀末状態』と言う、誠にしては珍しい文系の言葉を使ってアメリアをいさめた。
「でもおかげで、『遼州人』には『人口爆発』が起きないのよ。資源の奪い合いも起きない。土地の奪い合いも起きない。人口が増えすぎないから『戦争』も必要ない。『愛』は『たくさんの子供』と『戦い』を生むの。だから私達は全力でこれを『潰す!』」
アメリアはそう言って右手を握りしめて誠を細い目でにらみつけた。
「そんなに一方的に、『モテない現実』を肯定するための理論武装をしないでくださいよ、アメリアさん」
少し余裕のある反応を誠はすることができた。
それは誠は自分が『モテない』のは『胃弱』のせいだと信じていたが、周りのみんながモテていなかったという事実に少し安心したからである。
「そう、私達には『モテない』宇宙人として全宇宙の『モテない奴等』を結集して『モテる奴等』の愛を片っ端から破局に追い込んで『人口爆発』を防ぎ、宇宙の恒久平和を実現する義務があるのよ!」
誠は完全に呆れていた。確かに誠の同級生達も見合い以外で結婚した人間はいない。だが、それにしても夢が無さすぎる。
「アメリアさん……意外と婚活とかしてます?」
ここで冷静に戻ってツッコミを入れるのが自分の役割だと察してきた誠はそう言ってみた。
「豊川市役所の幹部って……ほとんど見合い結婚済みなのよね……そうなると意地でもモテる女を潰したくなるじゃない?」
「やっぱり?」
誠の予想通り、でかすぎる女、アメリア・クラウゼ少佐はモテなかった。
アメリアの『モテない宣言』は続いた。確かにあの『女芸人気質』と『糸目』と言うツッコミどころが気になる男はアメリアには近づいては来ないだろう。
「でも……モテないことによる『恒久平和』は要りません……僕はまだ夢は捨てきれていないんで」
誠は少しは『モテたい』と思っているのでアメリアの理想には賛同できなかった。
「すでに誠ちゃんと『愛』が芽生えそうな『女子二名』と『野郎数名』の目星はついているわ。私達は『愛を破壊する平和の使者』として誠ちゃんの『愛』が絶対成就しないようにがんばるから!」
『女子二名』との『愛』が芽生えるかもしれない。アメリアの言葉に誠はつばを飲み込んだ。
「僕を好きな人がいるんですか?この『特殊な部隊』に」
誠はアメリアに縋るような瞳を向けて尋ねた。誠はモテたかった。
「女二人は境遇から見て誠ちゃんに同情しそうだから……できるだけ誠ちゃんと遭遇しないように『部長権限』を駆使して会わせないようにしているの」
非情なアメリアの言葉に誠は言葉を失った。
完全な『権力乱用』で誠の『愛』を粉砕するアメリアの意思にこの遼州が『特殊な星系』であることを再認識した。
「あと『野郎数名』なんだけど……」
アメリアがニコニコ笑って誠に話しかけた。
「いいです、そっちの趣味は無いんで」
すげなく断る誠だが、こんなことで引き下がるアメリアではない。
「みんな技術部の整備班員よ。きっと、いい男がつなぎを着て『やらないか』とか言ってくるんじゃない?面白そう」
誠には一名、整備班員のつなぎを着たいい男に心当たりがあった。
「島田先輩ですか?」
確かに『いい男』であり、最後に見たときはつなぎを着ていた。
「はずれ!島田君は『純情硬派』が売りの『愛と性の完全分離に成功した宇宙初の存在』だから、サラ一筋なの!うらやましいけどあれはあれで結構笑えるわよ。馬鹿馬鹿しくて」
誠は暴力をかさに島田に欲望のままに蹂躙されて何かに目覚める危機から救われたという事実にほっと一息ついた。
「いいです。遼州人である自分が恥ずかしくなったんで、席に戻ります」
アメリアの馬鹿話に疲れ果てた誠はこういって『モテない教祖』、アメリアが部長を務める『運航部』の詰め所から逃げ出すことにした。
いつの間にかアメリアの顔は『女芸人』のそれに戻っていた。
「僕達に『文化的功績』なんてあるんですか?ただ地球の真似ばかりしているだけじゃないですか」
誠もこの『東和共和国』が20世紀末の日本の『よくできたコピー』にすぎないことは知っていた。
「まず、ほとんどが『木造住宅』で、高層住宅が存在しない」
アメリアの言葉に誠は納得せざるを得なかった。
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つまり、高層住宅はあまり存在しないし、3階建て以上の住宅は法律上建てることが非常に難しい環境にあった。
「ほかに何か……」
誠は文化的功績とやらがろくなものでないことは察しがついていた。
「デジタルが進歩しないことによってメディアの質が『アナログ的』に進化した……より20世紀末の日本を進化させることに成功した……つまり深夜ラジオが進歩したのよ!」
「!!」
それはあまりに驚愕の事実だった。誠も深夜ラジオは聞いていなかったが、大学の同級生にはまって人生を捨てた人間が何人もいるのは事実だった。
「アメリアさん……もしかして……」
誠の言葉にアメリアは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「私はある深夜ラジオのヘビーリスナーとしてすでに『伝説』の存在と呼ばれているわ!人はすべて私を30代無職童貞として認知してその行動をつぶさに観察することに余念がないわね!」
「それ全部嘘でしょ!あんた女じゃないですか!『童貞』じゃないでしょ!」
そんな誠のツッコミをものともせずアメリアは話題を勧めた。
「甘いわね……所詮ラジオのネタでは投稿者が『男』か『女』かなんてわからないわよ!実際、ある深夜ラジオパーソナリティーに遭遇したけど、私が女だなんて思ってなかったって言ってたわよ」
「自慢になりますか?それ?」
誠はあまりのアメリアのすっとぼけた対応に呆然とするばかりだった。
「それだけじゃないわ、『遼州人』はその『童貞力』により、人類に平和をもたらす方法を編み出した……」
「そんな力による『平和』は必要ありません」
誠のそんなむなしい願いをよそにアメリアは話題を続けた。
「地球人の『モテる』と言う過信が常に戦争を引き起こしてきたの……すべての争いは人口の増加が原因と言ってもいいわ。つまり、愛は人類を滅ぼすのよ!そうよ、もしすべての宇宙の人々が『遼州人』の魂を持てば争いごとは起きずに平和に暮らせるようになる。すごい『功績』じゃない?」
そう言ってアメリアはいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
「まず!地球人も遼州人のように『モテない』を極めれば平和になるのよ!」
はっきりと、力強くアメリアは言い切った。
誠は自分がモテないことは『胃弱』からだと思っていたが、周りの女子も男子も『モテなかった』と言う事実を知らされて唖然とした。
「モテないこと……それ自慢になります?」
そう言うのが誠には精一杯だった。
「自慢になるわよ。まず、『愛』が非常に生まれにくい!」
さらに誠は目が点になった。全然自慢ができる話ではない。『愛』がフィクションだという説は友人ともよく話し合ったが、きっとあるんだろうとあこがれていた『童貞』の誠にとってそれは認めがたい現実だった。
「もっとはっきり言うわね。『愛』の発生を『全力で阻止』する民族性だから、『愛』の結晶である『子供』があまり生まれないのよ!」
誠は地球の似たような国で起きた『少子高齢化』と言う現象を思い出した。親の世代が多くて子供が少ないと結構社会が大変だということは小学校の授業で習った。『東和共和国』ではそもそも親の世代も少ないので人口は地球から独立してもほぼ増えていない。
「子供が増えないと社会が発展しないじゃないですか。だからこの国はいつまでたっても20世紀末状態なんですよ」
子供のころから社会を非難する常套句『世紀末状態』と言う、誠にしては珍しい文系の言葉を使ってアメリアをいさめた。
「でもおかげで、『遼州人』には『人口爆発』が起きないのよ。資源の奪い合いも起きない。土地の奪い合いも起きない。人口が増えすぎないから『戦争』も必要ない。『愛』は『たくさんの子供』と『戦い』を生むの。だから私達は全力でこれを『潰す!』」
アメリアはそう言って右手を握りしめて誠を細い目でにらみつけた。
「そんなに一方的に、『モテない現実』を肯定するための理論武装をしないでくださいよ、アメリアさん」
少し余裕のある反応を誠はすることができた。
それは誠は自分が『モテない』のは『胃弱』のせいだと信じていたが、周りのみんながモテていなかったという事実に少し安心したからである。
「そう、私達には『モテない』宇宙人として全宇宙の『モテない奴等』を結集して『モテる奴等』の愛を片っ端から破局に追い込んで『人口爆発』を防ぎ、宇宙の恒久平和を実現する義務があるのよ!」
誠は完全に呆れていた。確かに誠の同級生達も見合い以外で結婚した人間はいない。だが、それにしても夢が無さすぎる。
「アメリアさん……意外と婚活とかしてます?」
ここで冷静に戻ってツッコミを入れるのが自分の役割だと察してきた誠はそう言ってみた。
「豊川市役所の幹部って……ほとんど見合い結婚済みなのよね……そうなると意地でもモテる女を潰したくなるじゃない?」
「やっぱり?」
誠の予想通り、でかすぎる女、アメリア・クラウゼ少佐はモテなかった。
アメリアの『モテない宣言』は続いた。確かにあの『女芸人気質』と『糸目』と言うツッコミどころが気になる男はアメリアには近づいては来ないだろう。
「でも……モテないことによる『恒久平和』は要りません……僕はまだ夢は捨てきれていないんで」
誠は少しは『モテたい』と思っているのでアメリアの理想には賛同できなかった。
「すでに誠ちゃんと『愛』が芽生えそうな『女子二名』と『野郎数名』の目星はついているわ。私達は『愛を破壊する平和の使者』として誠ちゃんの『愛』が絶対成就しないようにがんばるから!」
『女子二名』との『愛』が芽生えるかもしれない。アメリアの言葉に誠はつばを飲み込んだ。
「僕を好きな人がいるんですか?この『特殊な部隊』に」
誠はアメリアに縋るような瞳を向けて尋ねた。誠はモテたかった。
「女二人は境遇から見て誠ちゃんに同情しそうだから……できるだけ誠ちゃんと遭遇しないように『部長権限』を駆使して会わせないようにしているの」
非情なアメリアの言葉に誠は言葉を失った。
完全な『権力乱用』で誠の『愛』を粉砕するアメリアの意思にこの遼州が『特殊な星系』であることを再認識した。
「あと『野郎数名』なんだけど……」
アメリアがニコニコ笑って誠に話しかけた。
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すげなく断る誠だが、こんなことで引き下がるアメリアではない。
「みんな技術部の整備班員よ。きっと、いい男がつなぎを着て『やらないか』とか言ってくるんじゃない?面白そう」
誠には一名、整備班員のつなぎを着たいい男に心当たりがあった。
「島田先輩ですか?」
確かに『いい男』であり、最後に見たときはつなぎを着ていた。
「はずれ!島田君は『純情硬派』が売りの『愛と性の完全分離に成功した宇宙初の存在』だから、サラ一筋なの!うらやましいけどあれはあれで結構笑えるわよ。馬鹿馬鹿しくて」
誠は暴力をかさに島田に欲望のままに蹂躙されて何かに目覚める危機から救われたという事実にほっと一息ついた。
「いいです。遼州人である自分が恥ずかしくなったんで、席に戻ります」
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