1,093 / 1,557
第37章 彼女達の思い
欺瞞の正義
しおりを挟む
「固形物を食べても大丈夫なのか?」
久しぶりのまともな食事である『かつ丼』を食べようとしていた誠に話しかける女性があった。第一小隊隊長、カウラ・ベルガー大尉である。いつものようにエメラルドグリーンのつややかなポニーテールを気にしながら誠の前に腰かけた。
「ええ、流動食は飽きたんで。それより、僕……本当に役に立つんでしょうか?居てもいいんでしょうか?」
誠は割り箸を割りながら。誠は直接の上司である美しい無表情な女性に告白した。
「役に立つかどうか……それは私の決めることでは無いな……クバルカ中佐の仕事の範疇だ……」
予想通りカウラはそう言うと頬杖をついて誠を見つめた。
「クバルカ中佐は僕じゃないと出来ないみたいなこと言いますけど……本当に僕で良いんですか?」
誠はそう言いながらかつ丼に箸をつけた。
「ああ、それなら問題は無いだろ?私は戦場を用意する……私の機体は電子戦に特化した指揮機だからな。それが私の仕事だ」
どんぶりを持ち上げた誠にカウラはそう言って微笑みを浮かべた。
「そうなんですか……本当に僕で……」
そう言いながら誠は魚料理しか無い『ふさ』の食堂の貴重な肉料理であるかつ丼のカツを口に運ぶ。
「だから何度も言った通り貴様が必要だから私達は貴様を部隊に配属させた……それだけだ」
カウラはそう言ってかつ丼に食いつく誠に微笑みかけた。
「僕が必要なんですね?」
カツの下の白米を口に運びつつ誠はそう言った。
「何度も言わせるんじゃない、貴様はこの『特殊な部隊』には不可欠な存在だ」
「カウラさん……っ!」
誠が思い切りむせたのは、落ちこぼれパイロットの自分をそれほどまでにカウラ達が必要としていることに感動したからだった。
食道に入ったご飯粒を吐き出しつつ誠は息を整えた。
カウラは相変わらず頬杖をついてほほ笑んでいる。
「それより問題なのは西園寺だ。アイツは貴様に入れ込んでいるが……あの通り直情的な性格だからな……貴様に迷惑をかけることになるかも知れん」
そのエメラルドグリーンの真剣な瞳が誠の顔を捉えて離さなかった。
「西園寺さんですか?あの人……怖いです。銃を突き付けてくるんで……ちょっと困ります」
誠は本心からそう言った。
西園寺かなめ大尉。第一小隊二番機担当。機械の体を持つ『女王様』な彼女に時々浮かぶ『殺意』に誠は身を震わせておびえた。
「貴様の思うように、アイツは『女王様』気質があるんだ……だが撃ちはしないと思う……アイツもそこまで馬鹿じゃない」
カウラははっきりとそう言った。しかし、ここは『特殊な部隊』である。外界の『一般人』が関わって無事に済むという保証は無い。
「西園寺さん……撃ちますかね……今回は」
いったん手にしたどんぶりをテーブルに置いて誠はそう言った。
「任務の為ならためらわず撃つだろうな……西園寺は。貴様の良心が痛むのを少しは和らげるたとえ話をすると、今回の敵は甲武国の反乱分子なんだ。言わば『悪の組織』だと思えばわかりやすい。敵は全員、脳改造された『戦闘員』だ。正義の司令官、クバルカ中佐の命令で戦えば必ず『正義』は勝つ。『正義の女改造人間』の西園寺かなめ中尉のバックアップをするのが貴様の任務だ。私はそのための戦場を用意する」
カウラは真剣な表情で誠にそう言うと、気が済んだように誠に笑いかけた。
「カウラさん……『悪の組織』とか……『戦闘員』とか……僕の気を紛らわせようと……『たとえ話』をしたんですね……」
少し誠は感動していた。さすがに社会人経験が長い女性上司だ。そう思って誠は少し感動していた。誠の笑顔にカウラは笑顔で答えた。彼女は美しいエメラルドグリーンの髪をなでながら立ち上がった。
「そう言うわけだ。神前。貴様は西園寺のバックアップだ。あいつが倒れたら回収しろ。その時はクバルカ中佐がなんとかしてくれる」
「はい!」
笑顔でうなづくカウラの言葉に誠はそう言ってうなづいた。
カウラは誠に背を向けると食堂を出て行った。
誠は彼女のさわやかな雰囲気になごみながらかつ丼のどんぶりを手に食事を再開した。
久しぶりのまともな食事である『かつ丼』を食べようとしていた誠に話しかける女性があった。第一小隊隊長、カウラ・ベルガー大尉である。いつものようにエメラルドグリーンのつややかなポニーテールを気にしながら誠の前に腰かけた。
「ええ、流動食は飽きたんで。それより、僕……本当に役に立つんでしょうか?居てもいいんでしょうか?」
誠は割り箸を割りながら。誠は直接の上司である美しい無表情な女性に告白した。
「役に立つかどうか……それは私の決めることでは無いな……クバルカ中佐の仕事の範疇だ……」
予想通りカウラはそう言うと頬杖をついて誠を見つめた。
「クバルカ中佐は僕じゃないと出来ないみたいなこと言いますけど……本当に僕で良いんですか?」
誠はそう言いながらかつ丼に箸をつけた。
「ああ、それなら問題は無いだろ?私は戦場を用意する……私の機体は電子戦に特化した指揮機だからな。それが私の仕事だ」
どんぶりを持ち上げた誠にカウラはそう言って微笑みを浮かべた。
「そうなんですか……本当に僕で……」
そう言いながら誠は魚料理しか無い『ふさ』の食堂の貴重な肉料理であるかつ丼のカツを口に運ぶ。
「だから何度も言った通り貴様が必要だから私達は貴様を部隊に配属させた……それだけだ」
カウラはそう言ってかつ丼に食いつく誠に微笑みかけた。
「僕が必要なんですね?」
カツの下の白米を口に運びつつ誠はそう言った。
「何度も言わせるんじゃない、貴様はこの『特殊な部隊』には不可欠な存在だ」
「カウラさん……っ!」
誠が思い切りむせたのは、落ちこぼれパイロットの自分をそれほどまでにカウラ達が必要としていることに感動したからだった。
食道に入ったご飯粒を吐き出しつつ誠は息を整えた。
カウラは相変わらず頬杖をついてほほ笑んでいる。
「それより問題なのは西園寺だ。アイツは貴様に入れ込んでいるが……あの通り直情的な性格だからな……貴様に迷惑をかけることになるかも知れん」
そのエメラルドグリーンの真剣な瞳が誠の顔を捉えて離さなかった。
「西園寺さんですか?あの人……怖いです。銃を突き付けてくるんで……ちょっと困ります」
誠は本心からそう言った。
西園寺かなめ大尉。第一小隊二番機担当。機械の体を持つ『女王様』な彼女に時々浮かぶ『殺意』に誠は身を震わせておびえた。
「貴様の思うように、アイツは『女王様』気質があるんだ……だが撃ちはしないと思う……アイツもそこまで馬鹿じゃない」
カウラははっきりとそう言った。しかし、ここは『特殊な部隊』である。外界の『一般人』が関わって無事に済むという保証は無い。
「西園寺さん……撃ちますかね……今回は」
いったん手にしたどんぶりをテーブルに置いて誠はそう言った。
「任務の為ならためらわず撃つだろうな……西園寺は。貴様の良心が痛むのを少しは和らげるたとえ話をすると、今回の敵は甲武国の反乱分子なんだ。言わば『悪の組織』だと思えばわかりやすい。敵は全員、脳改造された『戦闘員』だ。正義の司令官、クバルカ中佐の命令で戦えば必ず『正義』は勝つ。『正義の女改造人間』の西園寺かなめ中尉のバックアップをするのが貴様の任務だ。私はそのための戦場を用意する」
カウラは真剣な表情で誠にそう言うと、気が済んだように誠に笑いかけた。
「カウラさん……『悪の組織』とか……『戦闘員』とか……僕の気を紛らわせようと……『たとえ話』をしたんですね……」
少し誠は感動していた。さすがに社会人経験が長い女性上司だ。そう思って誠は少し感動していた。誠の笑顔にカウラは笑顔で答えた。彼女は美しいエメラルドグリーンの髪をなでながら立ち上がった。
「そう言うわけだ。神前。貴様は西園寺のバックアップだ。あいつが倒れたら回収しろ。その時はクバルカ中佐がなんとかしてくれる」
「はい!」
笑顔でうなづくカウラの言葉に誠はそう言ってうなづいた。
カウラは誠に背を向けると食堂を出て行った。
誠は彼女のさわやかな雰囲気になごみながらかつ丼のどんぶりを手に食事を再開した。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
時き継幻想フララジカ
日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。
なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。
銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。
時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。
【概要】
主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。
現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる