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第三十七章 『特殊な部隊』の辛い飲み会
第75話 無縁墓の底から
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かえでは、杯を傾けながらしみじみとつぶやいた。
「いや、それにしても……良い店ですね。お姉さまに『庶民の店』と聞いたときは、リンと出会った岡場所の女郎屋のような、もっと殺伐とした場所を想像していました。でも、ここには人情があります。庶民の店というのも、なかなか良いものです」
かえでは屈託のない笑顔を浮かべてそう言った。
「『女郎屋』?」
誠にはかえでの言う『女郎屋』とか『岡場所』と言う言葉の意味が分からなかった。誠は乗り物に弱い『もんじゃ焼き製造マシン』体質の持主で、甲武国などと言う星間シャトルはもちろん電車でも酔う体質だった。当然、旅行の経験もなく、かえでの住んでいた甲武国とは無縁な生活を送っていた。
「教えてやるよ、神前。甲武って国じゃ、今でも『売春』が法律で認められてる。いや、正確に言えば『建前だけ合法』ってやつだな。ああ、東和でも湾岸部に浮かんでる『租界』の中は東和共和国の法律が通用しねえから平気で売春をやってるけどな」
かなめは暗い調子でそう言った。かなめは以前、その『租界』を中心とした地点の薬物や密輸品の利権をめぐるマフィアや各国軍特殊部隊の抗争劇『東都戦争』に参加していたと聞いていた。その際、身分を偽るために娼婦として身体を売っていたこともあると誠は知っていた。
「あの国では国の決めた『遊郭』では合法的に売春が行われている。しかしだ、平民にそんなところに行ける金なんて有るわけがねえ。そこで非合法の『岡場所』には最下級の娼婦を集めた『女郎屋』があるんだ」
かなめはラムを飲みながらしみじみとそう語った。
「やっぱりそこでも平民はのけ者にされるんですか……でも売春はヤバいでしょ?」
誠は純情なので平然と売春を語るかなめに少し違和感を感じていた。
「それは東和の理屈だろ?伝統を重視し、売春にすら『伝統美』を見出す甲武の貴族主義の連中にとってはそれが当たり前なんだ。『遊郭』の花魁もほとんどが平民出身だ。あの国では人身売買も合法だからな。人の命も金で買える……それがあの国だ。貴族主義の連中にはそれが甲武の誇る『伝統』なんだそうだ。まったく、聞いてるだけで吐き気がするぜ」
相変わらず平坦な口調でかなめはそう言った。
「中でもさっき言った非合法の『岡場所』の『女郎』の扱いときたら……まるで人間のやることじゃねえ。女郎が病気になろうが、客に暴力を振るわれようが、死のうが関係ない。ただの金でいくらでも交換が効く『物』だ。壊れたら、無縁墓に捨てて終わり。それがあの国の最底辺の現実さ」
かなめは吐き捨てるようにそう言って、視線を黙ってかなめの事を見つめていたリンに向けた。
「渡辺さんよ……あんた、『岡場所』で女郎をしてたそうじゃねえか。密売モノの『ラスト・バタリオン』どんな扱いを受けてたか。大体の事はアタシにも想像がつく。言いたくなかったら言わなくても良いんだぜ。それはアンタのせいじゃねえ。私も同じく身体を売っていたからな。話してくんねえかな、この東和の貧富の差の少ない世界に暮らしてきた世間知らず共に」
自分を見つめてくるリンにかなめはそういうと再びグラスを傾けた。
「はい。私は『岡場所』の中でも最悪な区画、その中でも狂ったような客ばかりが通う、最底辺の女郎屋に居ました。当時、私は『ラスト・バタリオン』に施される『従属本能』に支配されていました。客の言うことなら何でも聞きました。一度に十人の客の相手をさせられることもありました」
初めて聞くリンの自分語りとその内容の壮絶さに誠は絶句した。
「一度に十人……そんなエロゲじゃあるまいし」
誠にはそう言って誤魔化すことしかできなかった。命を金で買える国。確かに東和共和国でも金で高度な医療を受けて長生きする人間は居るが、そこまで甲武が命が軽い国だと言う事実に誠は衝撃を受けていた。
「当時は身も心もボロボロでした。あそこではそうして壊れて死んでいく女郎が毎日のように出る世界だったんです」
一同は普段は無口なリンの言葉の1つ1つに憤りを感じながら酒を飲んでいた。
「『岡場所』には無縁墓があるんですが、そこに使い物にならなくなった女郎が埋められない日は有りませんでした。私も、いずれはそこに埋められる日が来る……そう思っていました。『今日もまた、生き延びてしまった』と、毎朝、目覚めるたびに」
リンの言葉には感情が籠っていなかった。同じ『ラスト・バタリオン』でどちらかと言うと感情表現が苦手なカウラでも、そこまで無感情に言葉を発することは無い。誠はリンの当時の生活を思いやると、かなめの父である西園寺義基が甲武を変えたいと言う思いがなぜ生まれるのか理解できるような気がしていた。
そこでリンの視線がかえでに向いた。見つめられたかえではいつもの妖艶な笑みを浮かべてリンを見つめ返した。
「そこでかえで様に私は救っていただきました。そうでなければ、数日後には無縁墓に埋められていたでしょう。かえで様は救い主です。命の恩人です。この命、いつかえで様に捧げても惜しくはありません」
リンの顔に初めて笑顔が浮かんだ。それはささやかで微妙なものだったが、初めて幸せを知った女性の美しい笑顔がそこにあることを誠は理解した。
「そして、私を身請けしていただいた上に、身に余る光栄として中級士族の渡辺家の家名と医大に通う学費まで用意していただきました。かえで様には感謝の言葉しかありません。私にはそんな資格は無いと言うのに……私は最下級の女郎に過ぎないのに……」
そういうリンの表情は輝いていた。かえでに対する恩と愛にあふれていた。
しかしそのリンに向けてけげんな表情を浮かべるかなめが居た。その表情はいかにもリンの救出劇が出来すぎていると言うかなめの推測が見て取れた。
「おいおい、随分とご立派な話じゃねえか。出来すぎてねえか?かえで、まずオメエがなんでそんな場所にいた?それとだ。中級士族の家名だってそう簡単に買えるもんじゃねえ。あのアタシと腐れ縁の『征夷大将軍』の許可が必要になる。何をリンにそこまで気に入った?医大の学費?これもおかしい。軍医を養成する士族しか通えない陸海軍立の医大ならいざ知らず、甲武の私立の医大の学費なんて普通の平民には出せる金じゃねえ。何をそこで見た?なんでそこまでリンに肩入れする?」
かなめの言うことも一理あった。貴族趣味で庶民的な西園寺家を捨てたはずのかえでが庶民しか行かない岡場所にいたというのがまず誠には理解できなかった。
中級士族の家名、私立医大の学費。どちらもかえでにとってははした金でもただの無名の女郎に払う金額でないことは誠でも分かった。誠はかえでの事をまじまじと見つめた。相変わらずかえでの視線はリンから離れず、その顔にはうっすらと笑顔が浮かんでいた。
「かえでさん。なんでですか?教えてください」
誠も口を突いて出る疑問の言葉に戸惑いつつそう尋ねていた。
「……救いたかったんです。あのとき僕が見たのは、『人として扱われない存在』でした。でも……同時に羨ましかった。自分でも歪んでるとは思ってます。けど、それが僕の本音でした。お姉さまから虐めていただいて目覚めた僕にとってリンの境遇は理想郷だったんです」
かえでの言葉はあまりに意外でこの場にいる全員があっけにとられた。
「僕はお姉さまに調教されてそういう心を持つようになったんです。僕もリンの様に滅茶苦茶にされるのが好きになっていた。僕自身、自分を満たせそうな『相手』を探して、ああいう場所に通っていました。僕にとっては男は僕の性欲を満足させるための道具でしかない。そしてリンもそんな男達の性欲を満足させる道具でしかなかった。その境遇を見て僕はリンを気に入り、『ラスト・バタリオン』であるならば将来僕の支えになるくらいの基礎知識を脳にインプリントされているだろうと期待して身請けしたんです。リン、お姉さまに感謝なさい。僕がそういう淫らな身体でなければリンはたぶんあの数日後には死んでいた。その救い主は僕では無くてお姉さまなんだ」
この場にいる全員が言葉を失った。誠はゲームや同人誌の中にしかいないと思っていた本格的マゾヒストに成長していたかえでを見て唖然とするかなめを見て、ただ一人の女性の命を救った事実だけが救いだと思うことにこの場にいる誰もが決めた。
「西園寺……結果は一人の人の命を救ったのは良しとしてだ。貴様はかえでをどうしたんだ?どう教育したらそんな妹が育つんだ?教えろ。いくら甲武がおかしな国でも妹にそんな虐待を平気でする貴様の神経はどうかしている。前からおかしい奴だとは思っていたがここまでおかしいとは思ってはいなかった。どうなんだ?」
あきれ果てたカウラはかなめをきつい言葉で問い詰めた。しかし、かなめには反省の色はまるで見えなかった。むしろ、カウラに食って掛かりそうな怒りの表情がそこに浮かんでいた。
「アタシはそこまでひどいことはしてねえぞ!ただ、例のSM作家の作品を読ませてだな……」
ここで全員がすべてがかなめの責任であると察した。ただ、それが一人の女郎の命を助けたことだけが救いだった。
「そうか、自分のせいでは無いと言うのか。では聞くが、かえではその時何歳だった?子どもの心に、異常な性嗜好を刷り込むような本を読ませて、良いと本気で思ってたのか?お前には責任能力と言うものが無いのか?ああ、無いのは常に銃を振り回している時点で私が察するべきだったのかもしれないがな」
なんとか自分の責任を回避しようとするかなめをカウラは激しく糾弾した。
「おいおいおい、そんな昔話はいいじゃねえか。結果、一人の命が救われた。その事実は消えないわけだ。少々かえでが変態になったのは困ったことだが、現状はいい方向に進んでるわけだ。現実を見ようぜ、今を生きてる奴がいる限り、過去は過去だ。……まあな、いくらかえでが金持ちでもそんなひどい境遇を強制されている人間を全員を救えるわけじゃない。だが、一人でも救えたなら、それで充分だろ」
カウラの詰問の様子が酒の場としてはあまりにきつ過ぎたのを見た嵯峨はそういうと手にした日本酒を口に運んだ。それを見て一同も成り行きで酒を飲み始めた。
「いや、それにしても……良い店ですね。お姉さまに『庶民の店』と聞いたときは、リンと出会った岡場所の女郎屋のような、もっと殺伐とした場所を想像していました。でも、ここには人情があります。庶民の店というのも、なかなか良いものです」
かえでは屈託のない笑顔を浮かべてそう言った。
「『女郎屋』?」
誠にはかえでの言う『女郎屋』とか『岡場所』と言う言葉の意味が分からなかった。誠は乗り物に弱い『もんじゃ焼き製造マシン』体質の持主で、甲武国などと言う星間シャトルはもちろん電車でも酔う体質だった。当然、旅行の経験もなく、かえでの住んでいた甲武国とは無縁な生活を送っていた。
「教えてやるよ、神前。甲武って国じゃ、今でも『売春』が法律で認められてる。いや、正確に言えば『建前だけ合法』ってやつだな。ああ、東和でも湾岸部に浮かんでる『租界』の中は東和共和国の法律が通用しねえから平気で売春をやってるけどな」
かなめは暗い調子でそう言った。かなめは以前、その『租界』を中心とした地点の薬物や密輸品の利権をめぐるマフィアや各国軍特殊部隊の抗争劇『東都戦争』に参加していたと聞いていた。その際、身分を偽るために娼婦として身体を売っていたこともあると誠は知っていた。
「あの国では国の決めた『遊郭』では合法的に売春が行われている。しかしだ、平民にそんなところに行ける金なんて有るわけがねえ。そこで非合法の『岡場所』には最下級の娼婦を集めた『女郎屋』があるんだ」
かなめはラムを飲みながらしみじみとそう語った。
「やっぱりそこでも平民はのけ者にされるんですか……でも売春はヤバいでしょ?」
誠は純情なので平然と売春を語るかなめに少し違和感を感じていた。
「それは東和の理屈だろ?伝統を重視し、売春にすら『伝統美』を見出す甲武の貴族主義の連中にとってはそれが当たり前なんだ。『遊郭』の花魁もほとんどが平民出身だ。あの国では人身売買も合法だからな。人の命も金で買える……それがあの国だ。貴族主義の連中にはそれが甲武の誇る『伝統』なんだそうだ。まったく、聞いてるだけで吐き気がするぜ」
相変わらず平坦な口調でかなめはそう言った。
「中でもさっき言った非合法の『岡場所』の『女郎』の扱いときたら……まるで人間のやることじゃねえ。女郎が病気になろうが、客に暴力を振るわれようが、死のうが関係ない。ただの金でいくらでも交換が効く『物』だ。壊れたら、無縁墓に捨てて終わり。それがあの国の最底辺の現実さ」
かなめは吐き捨てるようにそう言って、視線を黙ってかなめの事を見つめていたリンに向けた。
「渡辺さんよ……あんた、『岡場所』で女郎をしてたそうじゃねえか。密売モノの『ラスト・バタリオン』どんな扱いを受けてたか。大体の事はアタシにも想像がつく。言いたくなかったら言わなくても良いんだぜ。それはアンタのせいじゃねえ。私も同じく身体を売っていたからな。話してくんねえかな、この東和の貧富の差の少ない世界に暮らしてきた世間知らず共に」
自分を見つめてくるリンにかなめはそういうと再びグラスを傾けた。
「はい。私は『岡場所』の中でも最悪な区画、その中でも狂ったような客ばかりが通う、最底辺の女郎屋に居ました。当時、私は『ラスト・バタリオン』に施される『従属本能』に支配されていました。客の言うことなら何でも聞きました。一度に十人の客の相手をさせられることもありました」
初めて聞くリンの自分語りとその内容の壮絶さに誠は絶句した。
「一度に十人……そんなエロゲじゃあるまいし」
誠にはそう言って誤魔化すことしかできなかった。命を金で買える国。確かに東和共和国でも金で高度な医療を受けて長生きする人間は居るが、そこまで甲武が命が軽い国だと言う事実に誠は衝撃を受けていた。
「当時は身も心もボロボロでした。あそこではそうして壊れて死んでいく女郎が毎日のように出る世界だったんです」
一同は普段は無口なリンの言葉の1つ1つに憤りを感じながら酒を飲んでいた。
「『岡場所』には無縁墓があるんですが、そこに使い物にならなくなった女郎が埋められない日は有りませんでした。私も、いずれはそこに埋められる日が来る……そう思っていました。『今日もまた、生き延びてしまった』と、毎朝、目覚めるたびに」
リンの言葉には感情が籠っていなかった。同じ『ラスト・バタリオン』でどちらかと言うと感情表現が苦手なカウラでも、そこまで無感情に言葉を発することは無い。誠はリンの当時の生活を思いやると、かなめの父である西園寺義基が甲武を変えたいと言う思いがなぜ生まれるのか理解できるような気がしていた。
そこでリンの視線がかえでに向いた。見つめられたかえではいつもの妖艶な笑みを浮かべてリンを見つめ返した。
「そこでかえで様に私は救っていただきました。そうでなければ、数日後には無縁墓に埋められていたでしょう。かえで様は救い主です。命の恩人です。この命、いつかえで様に捧げても惜しくはありません」
リンの顔に初めて笑顔が浮かんだ。それはささやかで微妙なものだったが、初めて幸せを知った女性の美しい笑顔がそこにあることを誠は理解した。
「そして、私を身請けしていただいた上に、身に余る光栄として中級士族の渡辺家の家名と医大に通う学費まで用意していただきました。かえで様には感謝の言葉しかありません。私にはそんな資格は無いと言うのに……私は最下級の女郎に過ぎないのに……」
そういうリンの表情は輝いていた。かえでに対する恩と愛にあふれていた。
しかしそのリンに向けてけげんな表情を浮かべるかなめが居た。その表情はいかにもリンの救出劇が出来すぎていると言うかなめの推測が見て取れた。
「おいおい、随分とご立派な話じゃねえか。出来すぎてねえか?かえで、まずオメエがなんでそんな場所にいた?それとだ。中級士族の家名だってそう簡単に買えるもんじゃねえ。あのアタシと腐れ縁の『征夷大将軍』の許可が必要になる。何をリンにそこまで気に入った?医大の学費?これもおかしい。軍医を養成する士族しか通えない陸海軍立の医大ならいざ知らず、甲武の私立の医大の学費なんて普通の平民には出せる金じゃねえ。何をそこで見た?なんでそこまでリンに肩入れする?」
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「……救いたかったんです。あのとき僕が見たのは、『人として扱われない存在』でした。でも……同時に羨ましかった。自分でも歪んでるとは思ってます。けど、それが僕の本音でした。お姉さまから虐めていただいて目覚めた僕にとってリンの境遇は理想郷だったんです」
かえでの言葉はあまりに意外でこの場にいる全員があっけにとられた。
「僕はお姉さまに調教されてそういう心を持つようになったんです。僕もリンの様に滅茶苦茶にされるのが好きになっていた。僕自身、自分を満たせそうな『相手』を探して、ああいう場所に通っていました。僕にとっては男は僕の性欲を満足させるための道具でしかない。そしてリンもそんな男達の性欲を満足させる道具でしかなかった。その境遇を見て僕はリンを気に入り、『ラスト・バタリオン』であるならば将来僕の支えになるくらいの基礎知識を脳にインプリントされているだろうと期待して身請けしたんです。リン、お姉さまに感謝なさい。僕がそういう淫らな身体でなければリンはたぶんあの数日後には死んでいた。その救い主は僕では無くてお姉さまなんだ」
この場にいる全員が言葉を失った。誠はゲームや同人誌の中にしかいないと思っていた本格的マゾヒストに成長していたかえでを見て唖然とするかなめを見て、ただ一人の女性の命を救った事実だけが救いだと思うことにこの場にいる誰もが決めた。
「西園寺……結果は一人の人の命を救ったのは良しとしてだ。貴様はかえでをどうしたんだ?どう教育したらそんな妹が育つんだ?教えろ。いくら甲武がおかしな国でも妹にそんな虐待を平気でする貴様の神経はどうかしている。前からおかしい奴だとは思っていたがここまでおかしいとは思ってはいなかった。どうなんだ?」
あきれ果てたカウラはかなめをきつい言葉で問い詰めた。しかし、かなめには反省の色はまるで見えなかった。むしろ、カウラに食って掛かりそうな怒りの表情がそこに浮かんでいた。
「アタシはそこまでひどいことはしてねえぞ!ただ、例のSM作家の作品を読ませてだな……」
ここで全員がすべてがかなめの責任であると察した。ただ、それが一人の女郎の命を助けたことだけが救いだった。
「そうか、自分のせいでは無いと言うのか。では聞くが、かえではその時何歳だった?子どもの心に、異常な性嗜好を刷り込むような本を読ませて、良いと本気で思ってたのか?お前には責任能力と言うものが無いのか?ああ、無いのは常に銃を振り回している時点で私が察するべきだったのかもしれないがな」
なんとか自分の責任を回避しようとするかなめをカウラは激しく糾弾した。
「おいおいおい、そんな昔話はいいじゃねえか。結果、一人の命が救われた。その事実は消えないわけだ。少々かえでが変態になったのは困ったことだが、現状はいい方向に進んでるわけだ。現実を見ようぜ、今を生きてる奴がいる限り、過去は過去だ。……まあな、いくらかえでが金持ちでもそんなひどい境遇を強制されている人間を全員を救えるわけじゃない。だが、一人でも救えたなら、それで充分だろ」
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