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『駄目人間』の先読みの『一手』
第106話 『偉大なる中佐殿』の珍奇行動
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ようやく悪戦苦闘の末、演習要綱を読み終えた誠は、とりあえず一服しようと廊下に出て、更衣室の前の自販機で『マックスコーヒー』を買っていた。
「どうしたの暗いじゃん」
誠が突然の声に振り返ると、取ってつけたような『喫煙所』と言う張り紙の下で、嵯峨が退屈そうにタバコを燻らせていた。
「まあ若いうちに馬鹿やるのはいいことだと思うよ、俺は。まあそうして人間、大人になっていくものだと思ってはいるんだがね」
嵯峨はだれた感じでタバコの灰を灰皿に落とす。
「しっかしあれだなあ、喫煙者は結構居るのに何で喫煙所がここ一箇所なんだ?そう決めた『偉大なる中佐殿』だって、タバコ吸うくせに」
「萌え萌えランちゃんが!タバコ!?」
誠は嵯峨の言葉に困惑の雄たけびを上げた。
「吸うよ、あいつ。本部じゃ吸わないけど。キセルをやる。寄生している組事務所でね……」
どう見ても8歳女児がキセルを吸う光景がどうしても誠には想像できなかった。さらに『組事務所』と言う言葉が誠の心を打った。
誠のラン『魔法騎士』説からはどうしても『喫煙』という行為が排除されざるを得なかった。
「『偉大なる中佐殿』が言うには、『昭和の銘作』である『村田ギセル』なんだと……」
そう言って嵯峨はタバコをくゆらせた。
「キセルですか……ちっちゃくてかわいいのに?」
誠は嵯峨の言葉に絶句するしかなかった。
「『偉大なる中佐殿』が大先生と呼ばれて世話になっている立派な組事務所の神棚の前の組長が座るべき上座で、晩酌の後に吸うんだと。俺も呼ばれてそれを目撃したけど……あれは『珍奇な光景』そのものだな」
誠は『カタギ』なので、『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐が『その筋』ではかなり『偉大』だという事実を認めたくなかった。
「今のことは聞かなかったことにできませんか?」
苦笑いを浮かべながら、誠は嵯峨の口元から流れてくる煙を避けながらそう言った。
「認めなさいよ、現実を。あいつが『酒豪』で『喫煙者』なのは軍関係者の間では有名なの。わかったかな?」
そう言って嵯峨はいやらしい笑みを浮かべた。
誠は自分の『きれいなイメージ』を壊したくなかったので、静かに黙り込むしかなかった。
「どうしたの暗いじゃん」
誠が突然の声に振り返ると、取ってつけたような『喫煙所』と言う張り紙の下で、嵯峨が退屈そうにタバコを燻らせていた。
「まあ若いうちに馬鹿やるのはいいことだと思うよ、俺は。まあそうして人間、大人になっていくものだと思ってはいるんだがね」
嵯峨はだれた感じでタバコの灰を灰皿に落とす。
「しっかしあれだなあ、喫煙者は結構居るのに何で喫煙所がここ一箇所なんだ?そう決めた『偉大なる中佐殿』だって、タバコ吸うくせに」
「萌え萌えランちゃんが!タバコ!?」
誠は嵯峨の言葉に困惑の雄たけびを上げた。
「吸うよ、あいつ。本部じゃ吸わないけど。キセルをやる。寄生している組事務所でね……」
どう見ても8歳女児がキセルを吸う光景がどうしても誠には想像できなかった。さらに『組事務所』と言う言葉が誠の心を打った。
誠のラン『魔法騎士』説からはどうしても『喫煙』という行為が排除されざるを得なかった。
「『偉大なる中佐殿』が言うには、『昭和の銘作』である『村田ギセル』なんだと……」
そう言って嵯峨はタバコをくゆらせた。
「キセルですか……ちっちゃくてかわいいのに?」
誠は嵯峨の言葉に絶句するしかなかった。
「『偉大なる中佐殿』が大先生と呼ばれて世話になっている立派な組事務所の神棚の前の組長が座るべき上座で、晩酌の後に吸うんだと。俺も呼ばれてそれを目撃したけど……あれは『珍奇な光景』そのものだな」
誠は『カタギ』なので、『偉大なる中佐殿』ことクバルカ・ラン中佐が『その筋』ではかなり『偉大』だという事実を認めたくなかった。
「今のことは聞かなかったことにできませんか?」
苦笑いを浮かべながら、誠は嵯峨の口元から流れてくる煙を避けながらそう言った。
「認めなさいよ、現実を。あいつが『酒豪』で『喫煙者』なのは軍関係者の間では有名なの。わかったかな?」
そう言って嵯峨はいやらしい笑みを浮かべた。
誠は自分の『きれいなイメージ』を壊したくなかったので、静かに黙り込むしかなかった。
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