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いざ!戦場へ!
第109話 『鉄道輸送』の『トラック輸送』に対する優位性
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演習の予定が入ってから、実働部隊屯所は大騒ぎとなった。
裏の倉庫から次々とコンテナが運び出される。
誠は倉庫の裏でうんこ座りでタバコを吸っていた島田の前にぼんやりと立っていた。
目の前をコンテナを積んだトレーラーが走っていく。
「島田先輩……このコンテナは『運用艦』の港まで運ぶんですか?」
タバコを吸う島田の目の前で『マックスコーヒー』を飲む笑顔のサラの視線を浴びながら誠はそう言った。
「神前、やっぱりオメエは『高学歴馬鹿』だ」
島田は誠を見上げるとそう言い放った。そういう間にもトレーラーは、巨大な屯所の倉庫からコンテナや、大型の『アサルト・モジュール用兵器』などを搬出している。
「こいつは『菱川重工業豊川工場』の裏の『貨物ターミナル駅』まで運ぶわけ」
「『貨物ターミナル駅』?」
初めて聞く言葉に誠は首をひねった。
「そうだよ、東和共和国国有鉄道の貨物線が隣の工場の裏まで通ってるの。そこで、うちの手持ちのトレーラーから『貨物列車』に積み替えて、運用艦『ふさ』のところまで運ぶの」
島田は頭の悪い高校生を教えるいい加減な教師のようにそう言った。
「荷物を積み替えるんですか?面倒じゃないですか」
荷役作業をするつなぎの技術部員の一人が手渡した『マックスコーヒー』を受け取りながら誠はそう言った。
立ち上がった島田は完全に見下すような目で誠を見つめる。
「そっちの方がコストが安いんだよ。運用艦『ふさ』は『常陸県』の『多賀港』に停泊している」
誠はぼんやりと偉そうな顔の『ヤンキー』である島田の説明を聞いていた。
「そこまでは、トレーラーだと『環状高速』に乗って5時間かけて『多賀港』まで行くわけ。途中で料金所とかのゲートが通れない資材もあるから、そっちは一般道に降りる……めちゃくちゃ手間がかかるんだよ!」
自分で馬鹿な誠に説明していて腹が立つ、島田の顔はそんな気持ちを表していた。
「じゃあ『鉄道輸送』だと、そんな問題ないんですか?」
社会を知らない自分を理解し始めた誠は素直に島田にそう尋ねた。
「あのなあ、兵器は元々『船舶輸送』か『鉄道輸送』を前提に設計するわけなんだ。『空輸』なんて制空権が取れなきゃ話になんねえだろ?海や宇宙なら、大きさ制限がほとんどない『船舶輸送』が考えられるが、『陸上戦力』になることを前提にした『アサルト・モジュール』の機材は『鉄道輸送』ができるようにできてるの!それ、軍事の『常識』!神前、おめえさんは『幹部候補生』だろ?そんなことも知らねえのか?」
割り算ができないはずの島田から、『理路整然』とした言葉が出てくるのに誠はただ感心するしかなかった。
「じゃあ、クバルカ中佐の『紅兎弱×54は?」
誠は思いついた疑問を先輩にぶつけた。その隣ではサラが島田に愛の視線を送っている。
「一番先に専用トレーラーで搬出済み。あれは、さすがに分解しないと『鉄道輸送』は無理だからな」
島田はサラから『マックスコーヒー』の空き缶を受け取ると、吸い終えたタバコをねじ込んだ。
「西園寺さんとベルガーさんの機体は、まだ組み立ててなかったから、そのまま『専用コンテナ』で『多賀港』に出荷済みだ。神前の機体は……」
肝心の誠の『05式乙型:回収・補給特化型』の話題が出て、誠は手の中の『マックスコーヒー』の缶を握りしめて島田を見つめる。
「あれは、最初から『多賀港』の近くの『菱川重工業多賀工場』で作ってたから、そのままトレーラーで運ぶんだと。俺は司法局実働部隊、技術部部長代理だぞ!整備班長だぞ!なんで俺が呼ばれねえんだよ!頭に来た!」
そう言って島田は誠の手から『マックスコーヒー』の缶を奪い取ると、トレーラーの前で誘導業務をしていたヘルメットの女性に缶を投げつけた。
「痛いわね!島田君!」
ヘルメットの女性士官、パーラ・ラビロフが缶が当たった背中をさすりながら振り向いた。
「投げたのは神前!」
島田とサラはそう叫んで逃げさった。
「神前君……あなたって……ひどいのね。人が一生懸命仕事をしてるのに」
自分が唯一の『特殊な部隊』の異常性に気づく『同志』のパーラに軽蔑された事実に耐えられなかった誠は泣きながら走り出した。
そして、そのままグラウンドの中央で、そんな認めたくないパーラの誤解に混乱した誠は、口から『酸っぱい液体』を吐き出した。
裏の倉庫から次々とコンテナが運び出される。
誠は倉庫の裏でうんこ座りでタバコを吸っていた島田の前にぼんやりと立っていた。
目の前をコンテナを積んだトレーラーが走っていく。
「島田先輩……このコンテナは『運用艦』の港まで運ぶんですか?」
タバコを吸う島田の目の前で『マックスコーヒー』を飲む笑顔のサラの視線を浴びながら誠はそう言った。
「神前、やっぱりオメエは『高学歴馬鹿』だ」
島田は誠を見上げるとそう言い放った。そういう間にもトレーラーは、巨大な屯所の倉庫からコンテナや、大型の『アサルト・モジュール用兵器』などを搬出している。
「こいつは『菱川重工業豊川工場』の裏の『貨物ターミナル駅』まで運ぶわけ」
「『貨物ターミナル駅』?」
初めて聞く言葉に誠は首をひねった。
「そうだよ、東和共和国国有鉄道の貨物線が隣の工場の裏まで通ってるの。そこで、うちの手持ちのトレーラーから『貨物列車』に積み替えて、運用艦『ふさ』のところまで運ぶの」
島田は頭の悪い高校生を教えるいい加減な教師のようにそう言った。
「荷物を積み替えるんですか?面倒じゃないですか」
荷役作業をするつなぎの技術部員の一人が手渡した『マックスコーヒー』を受け取りながら誠はそう言った。
立ち上がった島田は完全に見下すような目で誠を見つめる。
「そっちの方がコストが安いんだよ。運用艦『ふさ』は『常陸県』の『多賀港』に停泊している」
誠はぼんやりと偉そうな顔の『ヤンキー』である島田の説明を聞いていた。
「そこまでは、トレーラーだと『環状高速』に乗って5時間かけて『多賀港』まで行くわけ。途中で料金所とかのゲートが通れない資材もあるから、そっちは一般道に降りる……めちゃくちゃ手間がかかるんだよ!」
自分で馬鹿な誠に説明していて腹が立つ、島田の顔はそんな気持ちを表していた。
「じゃあ『鉄道輸送』だと、そんな問題ないんですか?」
社会を知らない自分を理解し始めた誠は素直に島田にそう尋ねた。
「あのなあ、兵器は元々『船舶輸送』か『鉄道輸送』を前提に設計するわけなんだ。『空輸』なんて制空権が取れなきゃ話になんねえだろ?海や宇宙なら、大きさ制限がほとんどない『船舶輸送』が考えられるが、『陸上戦力』になることを前提にした『アサルト・モジュール』の機材は『鉄道輸送』ができるようにできてるの!それ、軍事の『常識』!神前、おめえさんは『幹部候補生』だろ?そんなことも知らねえのか?」
割り算ができないはずの島田から、『理路整然』とした言葉が出てくるのに誠はただ感心するしかなかった。
「じゃあ、クバルカ中佐の『紅兎弱×54は?」
誠は思いついた疑問を先輩にぶつけた。その隣ではサラが島田に愛の視線を送っている。
「一番先に専用トレーラーで搬出済み。あれは、さすがに分解しないと『鉄道輸送』は無理だからな」
島田はサラから『マックスコーヒー』の空き缶を受け取ると、吸い終えたタバコをねじ込んだ。
「西園寺さんとベルガーさんの機体は、まだ組み立ててなかったから、そのまま『専用コンテナ』で『多賀港』に出荷済みだ。神前の機体は……」
肝心の誠の『05式乙型:回収・補給特化型』の話題が出て、誠は手の中の『マックスコーヒー』の缶を握りしめて島田を見つめる。
「あれは、最初から『多賀港』の近くの『菱川重工業多賀工場』で作ってたから、そのままトレーラーで運ぶんだと。俺は司法局実働部隊、技術部部長代理だぞ!整備班長だぞ!なんで俺が呼ばれねえんだよ!頭に来た!」
そう言って島田は誠の手から『マックスコーヒー』の缶を奪い取ると、トレーラーの前で誘導業務をしていたヘルメットの女性に缶を投げつけた。
「痛いわね!島田君!」
ヘルメットの女性士官、パーラ・ラビロフが缶が当たった背中をさすりながら振り向いた。
「投げたのは神前!」
島田とサラはそう叫んで逃げさった。
「神前君……あなたって……ひどいのね。人が一生懸命仕事をしてるのに」
自分が唯一の『特殊な部隊』の異常性に気づく『同志』のパーラに軽蔑された事実に耐えられなかった誠は泣きながら走り出した。
そして、そのままグラウンドの中央で、そんな認めたくないパーラの誤解に混乱した誠は、口から『酸っぱい液体』を吐き出した。
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