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いざ!戦場へ!

第113話 幼女に案内される運用艦『ふさ』

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「どーだ、『特殊な部隊』の自慢の運用艦は」 

 『ふさ』への連絡橋の前にはクバルカ・ラン中佐が立っていた。

「じゃあ、私達はこれで」

 そう言ってアメリアとかなめは去っていく。カウラも『ふさ』にある『パチンコ台コレクション』にでも行くようにその後を追った。

 その小さな体の向こうには巨大な『ふさ』の船体が見えた。

「大きいですね」 

 誠はランの言葉に率直な感想を述べた。

 『偉大なる中佐殿』の顔は明らかに期待はずれの答えを誠が出したと言うような呆れた顔をしていた。

「でかいって言うなら東和共和国の平和維持軍の戦艦にはもっとでけーのがあるぞ。……ってまーこいつの凄さは外から見てわかるもんじゃねーかんな」 

 そうして連絡橋にたどり着いた二人は、大きなコンテナを積んだトレーラーの後ろを歩いていく。

 誠達は連絡橋を渡り、艦の中に入った。東和軍の所有の軍艦なら何度か乗せられた経験もある。これまで誠が乗った艦より『広すぎる』ように感じる倉庫の中を嵯峨に導かれるようにして歩く。

「ここまでは普通」 

 ランはそう言うとこの区画の端に設けられたエレベータの中に乗り込んで、誠が入ったのを確認して上昇のボタンを押した。ドアが閉まり沈黙が訪れる。誠は相変わらず読めない表情の嵯峨を見つめていた。

 そしてドアが開く。そこで初めて誠は嵯峨の言葉の意味を知った。

 生活区画の通路は、以前、誠が宇宙での各種戦闘技術の訓練のために乗った輸送艦の数倍の幅がある。

「巡洋艦って凄いんですね……」 

 誠の声に嵯峨は笑いながら振り向く。

「これは特別だ。遼州星系の艦は『ある理由』から他の星系の戦闘艦より兵隊を多く載せるんだが、うちは『特殊な部隊』で『武装警察』の側面もあるから、人員は他の戦闘艦に比べてすくねーんだ。だからこんなに広い」 

 しばらくしてエレベーターは艦の中央部のスペースで停止した。
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