特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』 遼州の闇

究極の『駄目人間』の巣

第23話 実行犯は『かっこかわいい中佐殿』

　今にも目の前の駄目人間に噛みつきそうな誠の隣でランが咳払いをした。

「役員面接不合格のトドメを刺したのが、隣の『人間の出来たかわいい中佐殿』だったりするんだな♪」

　『駄目人間』はランに目を向ける。

　誠も隣に立つ『ちっちゃいかわいい子』のいたずらに人生を終了させられた事実に気づいてランを見つめた。

「さすがの演技力だな。『偉大なる中佐殿』。俺もおまえさんがいないと、ああも見事に完全なとどめは刺せねえんだ」

　ランはと言えば、誠の人生を無茶苦茶にしたことを否定するわけでもなくニヤリと笑い、『人体切断機能付き文化財』を握りしめる。

「……本当ですか？中佐」

　利き手の左手を握りしめて、いつでも『哀れな抵抗者』としてランの『文化財』の白刃やいばの錆になる覚悟を誠は決めた。

　ランは急に表情を消した顔で誠を見上げた。誠は怒りに震えながら、かわいらしいランをにらみつける。

「オメーの普通ふつーの『会社人間コース』にトドメを刺したのはアタシだ。文句あっか？」

　あっさりとランはそう言って開き直った。

「神前が幼女にしか欲情しないド変態で、その嗜好を実行してやったことを演技と妄想でしゃべったら、そりゃー、落ちるわな。あと、どちらも英語できなきゃ管理職になれねーぞ。オメーの語学力じゃ仕事の合間の勉強程度じゃダメダメだな。定年まで『係長』か『主任』で終わるのは嫌だろ？」

　ランの先ほどまで嵯峨に向けられていた軽蔑の視線が誠に向いていた。当然、ランの口調にはまったく反省の色が無かった。

「そんなだから潰した。思いやり溢れてるだろ？アタシは見た目が『魔法少女』だから、オメーみてえな『ロリコン』の客層をキープしておく必要があるわけだ。一般社会でそれが『恥ずかしい』と自覚されると困るんだ、アタシ等」

　そう言ってランは誠を見上げてニヤリと笑う。

『こいつ等全員悪党だ！そして！『魔法少女』ってなんだ！』

　誠の心の中はそんな思いで満たされた。