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突如変わった世界
第38話 監禁そして拉致
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「うちの葬式は、『ほんがんじ』じゃなくて『真言宗智山派』のお寺でやるんで……」
そう言うのが誠には精一杯の抵抗だった。
「違うわよ、誠ちゃん!生きなさい!死んじゃダメ!生きなさい!」
アメリアはギターの弾き語りをやめてそう言った。
その瞬間、誠はいつの間にか『死ぬこと』ばかり考えていた自分を恥じた。
感謝の念を送ろうとアメリアに笑いかけようとした誠の肩を隣の島田が強引につかんで自分の目の前に引き寄せる。
「生きろよ。神前!あきらめるな!俺のために『おいしいカツ丼』を用意するまで死ぬな!絶対死ぬな!」
誠にも島田の言葉は理解できた。なんでそこに『かつ丼』が出てくるかを不思議に思いいながら、誠はなぜか少し彼等の言葉に感動していた。
誠はパチンコのない世界では生活できない悲しい定めのいい女、カウラ・ベルガー大尉に目を向けた。
他の二人と同じように自分を励ましてくれると誠は信じていた。
彼女は満足げにほほ笑んで、誠に暖かい上司の視線を投げた。
「逝け、!神前!黄泉の国へ!」
カウラはその典型的『無表情美人』の殻を壊すような大声で叫んだ。
意地でもこいつ等、『ボケ倒す』連中だ!誠はそんな『特殊な部隊』の『特殊』な心意気がはっきりとわかった。
そんな『敵』達への怒りから、誠はカウラの胸倉をつかんでいた。
「パチンコ依存症の洗濯板女!美人だからって言って良いことと悪いことがあるぞ!この、『未来のパチンコアイドル』!」
大声を出して誠はエメラルドグリーンのポニーテールの女を怒鳴りつけた。自分でもけなしているのか褒めているのか訳が分からなかった。
しかし、誠は基本的に気が弱いが、ここまでコケにされると、怒るぐらいの『常識』はあった。
「帰って来るかもしれないな、貴様なら。地球の日本の『古事記』にあるように、うちの誰かが貴様をこの『特殊な部隊』と呼ばれる生き地獄に連れ帰り、永遠にこの『特殊な部隊』と言う二つ名を持つ『無間地獄』をさまよう……」
そう言うとカウラは『ラジカセ』の再生ボタンを押した。『読経』と『木魚』の音声が部屋中に響いた。
沈黙がこのコンクリート打ちっぱなしの落書きルームに響いた。
「じゃあ!本部に行くわよ!」
でかい糸目の『女芸人』はそう言ってギターをかき鳴らす。
「行きたくないんですけど……二日酔いで気持ち悪くて……この『特殊な部隊』におさらばします。僕は実家に帰ります」
そう言いながら誠は自分の額を流れる汗が『脂汗』だったことを思い出した。
「それは無理だな。私の車で、貴様を本部に連れていく。と言うか拉致する。拒否するなら切腹しろ。脱走兵は切腹。それが『大正ロマンあふれる国』甲武の地球流の軍隊では常識……らしい。私はパチンコの行ける範囲でしか行動しないので関係ないが。あそこは日本語が通じるが、『パチンコ屋』が一軒もないと聞くからな」
カウラはそんな冷徹な言葉を誠に浴びせた。
「あんた等みたいな『特殊』な連中が、自動車なんて運転することが許されるんですか?法的な問題はないんですか?」
こいつ等に『走る凶器』と言われる自動車を使わせる。それがこの国の常識では『反社会的行為』であることは誠にも理解できた。
誠は車のことは人並みに知っていそうな島田に目を向けた。
「ああ、『車検』も通ってるちゃんとした自動車だぞ。懐かしの地球の『20世紀後半』の自動車だ。俺達、整備班でそいつを作った。『根性』さえあれば、なんでも作れるんだ……すげーだろ」
島田と言う『ヤンキー』はタバコをくゆらしながらそう言った。
「アタシは助手席。誠ちゃんは後部座席!」
アメリアとか言う糸目はそう叫ぶと誠に背を向ける。
島田はその後に続いて、出口と思われる壁の割れ目に姿を消した。
誠とカウラだけがこの『廃墟』に取り残された。
カウラはにこりと笑ってこう言った。
「私の車はステレオ付きだ。当然、音楽は西園寺の選曲だ」
誠はカウラの意味不明の言葉に首をひねる。
『西園寺』とは昨日、誠の額に拳銃を突き付けた『女ガンマン』のことらしい。あの『特殊』な女王様、西園寺かなめ大尉のことを思い出して、誠はさらにうんざりした。
「西園寺……あの……かなめさんの選曲……パンクロックですか?デスメタルですか?」
そんな誠の弱弱しい言葉にカウラは静かに首を横に振った。
「神前は奴を誤解しているな。当然、すべて『フォーク』!」
カウラは自信満々にそう言った。口元に余裕の笑みまで浮かべて。
「いろんな『フォーク』があるぞ、奴は『戦う女』の歌が好きだが、『戦う労働者』の歌や、『戦う平和主義者』の歌……」
あのかなめのことだから『戦う』のは分かるが、『平和主義者』という言葉のあまりに『特殊』な使い方に誠はさらに混乱した。
そんなカウラの『落ち』を聞きながら、誠は黙ってしゃがみこんだ。
誠は追い詰められた自分が出来る最後の抵抗として、『胃弱』を利用して口から酸性の白い液体を吐いた。
そう言うのが誠には精一杯の抵抗だった。
「違うわよ、誠ちゃん!生きなさい!死んじゃダメ!生きなさい!」
アメリアはギターの弾き語りをやめてそう言った。
その瞬間、誠はいつの間にか『死ぬこと』ばかり考えていた自分を恥じた。
感謝の念を送ろうとアメリアに笑いかけようとした誠の肩を隣の島田が強引につかんで自分の目の前に引き寄せる。
「生きろよ。神前!あきらめるな!俺のために『おいしいカツ丼』を用意するまで死ぬな!絶対死ぬな!」
誠にも島田の言葉は理解できた。なんでそこに『かつ丼』が出てくるかを不思議に思いいながら、誠はなぜか少し彼等の言葉に感動していた。
誠はパチンコのない世界では生活できない悲しい定めのいい女、カウラ・ベルガー大尉に目を向けた。
他の二人と同じように自分を励ましてくれると誠は信じていた。
彼女は満足げにほほ笑んで、誠に暖かい上司の視線を投げた。
「逝け、!神前!黄泉の国へ!」
カウラはその典型的『無表情美人』の殻を壊すような大声で叫んだ。
意地でもこいつ等、『ボケ倒す』連中だ!誠はそんな『特殊な部隊』の『特殊』な心意気がはっきりとわかった。
そんな『敵』達への怒りから、誠はカウラの胸倉をつかんでいた。
「パチンコ依存症の洗濯板女!美人だからって言って良いことと悪いことがあるぞ!この、『未来のパチンコアイドル』!」
大声を出して誠はエメラルドグリーンのポニーテールの女を怒鳴りつけた。自分でもけなしているのか褒めているのか訳が分からなかった。
しかし、誠は基本的に気が弱いが、ここまでコケにされると、怒るぐらいの『常識』はあった。
「帰って来るかもしれないな、貴様なら。地球の日本の『古事記』にあるように、うちの誰かが貴様をこの『特殊な部隊』と呼ばれる生き地獄に連れ帰り、永遠にこの『特殊な部隊』と言う二つ名を持つ『無間地獄』をさまよう……」
そう言うとカウラは『ラジカセ』の再生ボタンを押した。『読経』と『木魚』の音声が部屋中に響いた。
沈黙がこのコンクリート打ちっぱなしの落書きルームに響いた。
「じゃあ!本部に行くわよ!」
でかい糸目の『女芸人』はそう言ってギターをかき鳴らす。
「行きたくないんですけど……二日酔いで気持ち悪くて……この『特殊な部隊』におさらばします。僕は実家に帰ります」
そう言いながら誠は自分の額を流れる汗が『脂汗』だったことを思い出した。
「それは無理だな。私の車で、貴様を本部に連れていく。と言うか拉致する。拒否するなら切腹しろ。脱走兵は切腹。それが『大正ロマンあふれる国』甲武の地球流の軍隊では常識……らしい。私はパチンコの行ける範囲でしか行動しないので関係ないが。あそこは日本語が通じるが、『パチンコ屋』が一軒もないと聞くからな」
カウラはそんな冷徹な言葉を誠に浴びせた。
「あんた等みたいな『特殊』な連中が、自動車なんて運転することが許されるんですか?法的な問題はないんですか?」
こいつ等に『走る凶器』と言われる自動車を使わせる。それがこの国の常識では『反社会的行為』であることは誠にも理解できた。
誠は車のことは人並みに知っていそうな島田に目を向けた。
「ああ、『車検』も通ってるちゃんとした自動車だぞ。懐かしの地球の『20世紀後半』の自動車だ。俺達、整備班でそいつを作った。『根性』さえあれば、なんでも作れるんだ……すげーだろ」
島田と言う『ヤンキー』はタバコをくゆらしながらそう言った。
「アタシは助手席。誠ちゃんは後部座席!」
アメリアとか言う糸目はそう叫ぶと誠に背を向ける。
島田はその後に続いて、出口と思われる壁の割れ目に姿を消した。
誠とカウラだけがこの『廃墟』に取り残された。
カウラはにこりと笑ってこう言った。
「私の車はステレオ付きだ。当然、音楽は西園寺の選曲だ」
誠はカウラの意味不明の言葉に首をひねる。
『西園寺』とは昨日、誠の額に拳銃を突き付けた『女ガンマン』のことらしい。あの『特殊』な女王様、西園寺かなめ大尉のことを思い出して、誠はさらにうんざりした。
「西園寺……あの……かなめさんの選曲……パンクロックですか?デスメタルですか?」
そんな誠の弱弱しい言葉にカウラは静かに首を横に振った。
「神前は奴を誤解しているな。当然、すべて『フォーク』!」
カウラは自信満々にそう言った。口元に余裕の笑みまで浮かべて。
「いろんな『フォーク』があるぞ、奴は『戦う女』の歌が好きだが、『戦う労働者』の歌や、『戦う平和主義者』の歌……」
あのかなめのことだから『戦う』のは分かるが、『平和主義者』という言葉のあまりに『特殊』な使い方に誠はさらに混乱した。
そんなカウラの『落ち』を聞きながら、誠は黙ってしゃがみこんだ。
誠は追い詰められた自分が出来る最後の抵抗として、『胃弱』を利用して口から酸性の白い液体を吐いた。
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