3 / 111
事の起こりは
第3話 旅行のメンバー
しおりを挟む
メモ帳を片手に入ってくる茶髪の男は技術部整備班長、島田正人技術准尉だった。
いつものようにダルそうな足取りでアメリアに近づいてくる。
「クラウゼ少佐。技術部の参加希望者決まりましたけど」
アメリアは彼の手からすぐにその手帳をひったくると少しがっかりしたようにため息をついた。
「ふうん、ずいぶんとまあ……参加人数少ないのね。つまんないの」
「クラゲを舐めてるからだ、クラゲを」
ため息をつくアメリアをかなめが冷やかしながら視線を誠に向ける。
「おめえはアタシの『ペット』だから、強制参加な」
「はい……」
カウラの言葉からすれば新入りの誠に拒否権は無いので、そう言うしかなかった。しかし、『特殊』な上司とは言え美人が多い実働部隊なので誠はごく自然と嬉しそうな顔をすることができた。
「それより隊長は行かないのか?って言うまでもないか」
アメリアの手にある参加者名簿に目をやりながらカウラはそう言った。
この『特殊な部隊』の主である、部隊長・嵯峨惟基特務大佐。一見、25歳すぎに見えるが実は46歳の中年『駄目人間』がこんなめんどくさいイベントに出るわけがないことは、入隊後半月余りの誠にもよくわかった。
「ああ、隊長っすか?何でも第二小隊の増設の打ち合わせで手が離せないとかで……まあ、あの人小遣い3万円だから参加費払えないでしょうけどね」
島田はカウラにそう言うと苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ……サラ!小夏ちゃんに連絡した?」
アメリアは名簿を手を伸ばしてきたかなめに手渡した。
「うん!ちゃんと予定空けてもらってるわよ!」
ピンクのセミロングの髪をかき上げながらサラは元気にそう答えた。
彼女と水色のショートヘアーのパーラ・グリファン中尉、それに紺色の髪のアメリア、エメラルドグリーンの髪のカウラは、人造戦闘用人間『ラスト・バタリオン』と呼ばれる存在だった。
彼女達は普通に生まれた人間と区別をつけるために、地球人では自然には生まれないような髪や瞳の色をしていた。
本来は戦うためだけに作られた定めを持つサラだが、すっかり人間社会に慣れすぎて、普通の人間よりよっぽど人間臭い雰囲気をまとうようになっていた。
「小夏ちゃんもくるんですね」
誠はそう言って一人手持ち無沙汰にしているパーラに声をかけた。
「そうね……7月の軟式野球部の合宿にも来てたしね」
彼女の言葉でいかにこの『特殊な部隊』が、年中イベントだけをやっている暇人の集団であるかが誠にも分かった。
そして実働部隊の夜の拠点となっている焼鳥屋『月島屋』の看板娘、家村小夏と女将の家村春子の二人もこういうイベントには欠かせない存在なんだと誠はこの会話から理解することができた。
「これで、小夏ちゃんと春子さんが来て……バスは一台で済むけど……」
アメリアはそう言いながら誠を見つめる。
全員の視線が誠に向いていた。
誠はひどい乗り物酔いをする癖があった。戦闘用人型兵器『アサルト・モジュール』パイロットであるにもかかわらずである。
「例の強い酔い止めを飲めば……大丈夫ですよ……たぶん……」
明らかにうんざりするような視線を投げてくる全員を見ながら、誠にはそう言うことしかできなかった。
いつものようにダルそうな足取りでアメリアに近づいてくる。
「クラウゼ少佐。技術部の参加希望者決まりましたけど」
アメリアは彼の手からすぐにその手帳をひったくると少しがっかりしたようにため息をついた。
「ふうん、ずいぶんとまあ……参加人数少ないのね。つまんないの」
「クラゲを舐めてるからだ、クラゲを」
ため息をつくアメリアをかなめが冷やかしながら視線を誠に向ける。
「おめえはアタシの『ペット』だから、強制参加な」
「はい……」
カウラの言葉からすれば新入りの誠に拒否権は無いので、そう言うしかなかった。しかし、『特殊』な上司とは言え美人が多い実働部隊なので誠はごく自然と嬉しそうな顔をすることができた。
「それより隊長は行かないのか?って言うまでもないか」
アメリアの手にある参加者名簿に目をやりながらカウラはそう言った。
この『特殊な部隊』の主である、部隊長・嵯峨惟基特務大佐。一見、25歳すぎに見えるが実は46歳の中年『駄目人間』がこんなめんどくさいイベントに出るわけがないことは、入隊後半月余りの誠にもよくわかった。
「ああ、隊長っすか?何でも第二小隊の増設の打ち合わせで手が離せないとかで……まあ、あの人小遣い3万円だから参加費払えないでしょうけどね」
島田はカウラにそう言うと苦笑いを浮かべた。
「それじゃあ……サラ!小夏ちゃんに連絡した?」
アメリアは名簿を手を伸ばしてきたかなめに手渡した。
「うん!ちゃんと予定空けてもらってるわよ!」
ピンクのセミロングの髪をかき上げながらサラは元気にそう答えた。
彼女と水色のショートヘアーのパーラ・グリファン中尉、それに紺色の髪のアメリア、エメラルドグリーンの髪のカウラは、人造戦闘用人間『ラスト・バタリオン』と呼ばれる存在だった。
彼女達は普通に生まれた人間と区別をつけるために、地球人では自然には生まれないような髪や瞳の色をしていた。
本来は戦うためだけに作られた定めを持つサラだが、すっかり人間社会に慣れすぎて、普通の人間よりよっぽど人間臭い雰囲気をまとうようになっていた。
「小夏ちゃんもくるんですね」
誠はそう言って一人手持ち無沙汰にしているパーラに声をかけた。
「そうね……7月の軟式野球部の合宿にも来てたしね」
彼女の言葉でいかにこの『特殊な部隊』が、年中イベントだけをやっている暇人の集団であるかが誠にも分かった。
そして実働部隊の夜の拠点となっている焼鳥屋『月島屋』の看板娘、家村小夏と女将の家村春子の二人もこういうイベントには欠かせない存在なんだと誠はこの会話から理解することができた。
「これで、小夏ちゃんと春子さんが来て……バスは一台で済むけど……」
アメリアはそう言いながら誠を見つめる。
全員の視線が誠に向いていた。
誠はひどい乗り物酔いをする癖があった。戦闘用人型兵器『アサルト・モジュール』パイロットであるにもかかわらずである。
「例の強い酔い止めを飲めば……大丈夫ですよ……たぶん……」
明らかにうんざりするような視線を投げてくる全員を見ながら、誠にはそう言うことしかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪徳公主と冷徹皇帝陛下の後宮薬膳茶
菱沼あゆ
キャラ文芸
冷徹非道と噂の皇帝陛下のもとに、これまた悪しき評判しかない異国の王女、琳玲がやってきた。
琳玲は皇后の位は与えられたが、離宮に閉じ込められる。
それぞれの思惑がある離宮の女官や侍女たちは、怪しい薬草で皇帝陛下たちを翻弄する琳玲を観察――。
悪徳公主と冷徹皇帝陛下と女官たちの日々は今日も騒がしい。
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される
希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。
すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。
その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
【完結】孤独を抱いた英雄と、孤独に生まれた魔法使い〜元Sランクと訳あり美少年の共同生活〜
藤原遊
ファンタジー
かつて“英雄”と呼ばれた女冒険者と、魔族の血を引く訳あり美少年の共同生活。
静かな町外れで暮らす元Sランク剣士シズナ。
魔力が使えず、かつては戦場を駆け抜けた彼女は、今は人目を避けて暮らしている。
ある日、彼女は“人間ではない少年”を拾う。
魔王軍の血を引き、人間にも魔族にも馴染めなかった少年・リュカ。
異質な力に怯えながら、それでも彼は人の中で生きたかった。
「あなたの隣にいたい。守れるくらい、強くなって」
少年は英雄に恋をした。
孤独を知る二人が、“居場所”と“誰かの隣”を探す、あたたかくて少し切ない成長譚。
【完結】魔王を殺された黒竜は勇者を許さない
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
幼い竜は何もかも奪われた。勇者を名乗る人族に、ただ一人の肉親である父を殺される。慈しみ大切にしてくれた魔王も……すべてを奪われた黒竜は次の魔王となった。神の名づけにより力を得た彼は、魔族を従えて人間への復讐を始める。奪われた痛みを乗り越えるために。
だが、人族にも魔族を攻撃した理由があった。滅ぼされた村や町、殺された家族、奪われる数多の命。復讐は連鎖する。
互いの譲れない正義と復讐がぶつかり合う世界で、神は何を望み、幼竜に力と名を与えたのか。復讐を終えるとき、ガブリエルは何を思うだろうか。
ハッピーエンド
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/03/02……完結
2023/12/21……エブリスタ、トレンド#ファンタジー 1位
2023/12/20……アルファポリス、男性向けHOT 20位
2023/12/19……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる