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朝の出来事
第40話 いつものかなめの癇癪
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「しかし、それを言うなら『少年兵』の存在は戦争法違反だぞ」
カウラはデザートのメロンを食べながらアメリアにささやいた。
「だから、今はこうしてかなめちゃんの家のサービスが効くところにいるのよ。あの子、まだ17歳だから……18歳になったら配属になるって」
そう言うとアメリアは誠を見つめた。
「よかったわね、誠ちゃん。部下が一年以内にできるんだから……それまでは島田君から『パシリ』扱いだけど」
「カウラ、第二小隊の話はどこまで進んでんだ?」
今度はかなめがカウラに話題を振る。
「おとといの部隊長会議で書類には目を通した。小隊長として当然の職務だが……いろいろあるそうだ、しばっらく先になるらしい」
それだけ言うと、カウラはメロンの皮をぎりぎりまでスプーンですくって食べていた。
「だろうな……残り二人は甲武から出るからな……近藤事件で人事どころの騒ぎじゃないだろうし」
「西園寺さん!他の二人の来る予定の人も知ってるんですか?」
誠はまるで何も知らない自分を恥じながらそう尋ねた。
「まあな……一人はアタシの妹……のようなものだし」
「妹のようなもの?」
かなめのあいまいな答えに誠はオウム返しで繰り返していた。
「言うな……アイツのことを思い出すと飯がまずくなる」
そう言うとかなめはアジの干物をバリバリと食べ始めた。
こうなったらかなめは何も言わないのは誠も知っているので、静かに味噌汁を口の中に流し込んだ。
「ここの露天風呂を使ってたということは、ここに泊まっているはずだが、それらしいのは居ねえな」
周りを見渡し、納得したようにかなめは今度は煮物のにんじんを箸で口に運ぶ。
「別館なら完全洋式でルームサービスが出るだろ。そちらに泊まっているんじゃないのか」
カウラはそう言うとアイシャの残していったメロンをまたゆっくりと楽しむように味わっている。
「そう考えたほうが自然ですね」
誠がそう言うと、目の前に恨みがましい目で誠を見つめているかなめの姿があった。
「誠!テメエ、カウラの話だとすぐ同意するんだな」
まるで子供の反応だ。そう思いながらもかなめの機嫌を取り繕わなくてはと誠は首を振った。
「そんなこと無いですよ……」
助けを求めるようにカウラを見たが、メロンを食べることに集中しているカウラにその思いは届かなかった。誠は空気が自分に不利と考えて鯵の干物を口に突っ込んで味噌汁で流し込んだ。
かなめは相変わらず不機嫌そうで言葉も無い。そんな沈黙の中、誠は黙々と食事を続ける。
「ああ、私も先に行くぞ」
ゆっくりと味わうようにメロンを食べ終えたカウラが立ち上がる。かなめは顔を向けることも無く茶碗からご飯をかきこむ。誠はと言えばとりあえずメロンにかぶりつきながら同情するような視線のカウラに頭を下げた。
「やっぱりカウラの言うことは聞くんだな」
かなめは完全にへそを曲げていた。こうなったら彼女は何を言っても無駄だとわかっている。誠はたっぷりと皮に果肉を残したまま味わうことも出来ずにメロンを食べきって立ち上がる。
「薄情物」
去り行く誠に一言かなめがそう言った。誠も気にしてはいたがかなめの機嫌をとるのは無理だと思ってそのままエレベータコーナーまで黙って歩いていった。
カウラはデザートのメロンを食べながらアメリアにささやいた。
「だから、今はこうしてかなめちゃんの家のサービスが効くところにいるのよ。あの子、まだ17歳だから……18歳になったら配属になるって」
そう言うとアメリアは誠を見つめた。
「よかったわね、誠ちゃん。部下が一年以内にできるんだから……それまでは島田君から『パシリ』扱いだけど」
「カウラ、第二小隊の話はどこまで進んでんだ?」
今度はかなめがカウラに話題を振る。
「おとといの部隊長会議で書類には目を通した。小隊長として当然の職務だが……いろいろあるそうだ、しばっらく先になるらしい」
それだけ言うと、カウラはメロンの皮をぎりぎりまでスプーンですくって食べていた。
「だろうな……残り二人は甲武から出るからな……近藤事件で人事どころの騒ぎじゃないだろうし」
「西園寺さん!他の二人の来る予定の人も知ってるんですか?」
誠はまるで何も知らない自分を恥じながらそう尋ねた。
「まあな……一人はアタシの妹……のようなものだし」
「妹のようなもの?」
かなめのあいまいな答えに誠はオウム返しで繰り返していた。
「言うな……アイツのことを思い出すと飯がまずくなる」
そう言うとかなめはアジの干物をバリバリと食べ始めた。
こうなったらかなめは何も言わないのは誠も知っているので、静かに味噌汁を口の中に流し込んだ。
「ここの露天風呂を使ってたということは、ここに泊まっているはずだが、それらしいのは居ねえな」
周りを見渡し、納得したようにかなめは今度は煮物のにんじんを箸で口に運ぶ。
「別館なら完全洋式でルームサービスが出るだろ。そちらに泊まっているんじゃないのか」
カウラはそう言うとアイシャの残していったメロンをまたゆっくりと楽しむように味わっている。
「そう考えたほうが自然ですね」
誠がそう言うと、目の前に恨みがましい目で誠を見つめているかなめの姿があった。
「誠!テメエ、カウラの話だとすぐ同意するんだな」
まるで子供の反応だ。そう思いながらもかなめの機嫌を取り繕わなくてはと誠は首を振った。
「そんなこと無いですよ……」
助けを求めるようにカウラを見たが、メロンを食べることに集中しているカウラにその思いは届かなかった。誠は空気が自分に不利と考えて鯵の干物を口に突っ込んで味噌汁で流し込んだ。
かなめは相変わらず不機嫌そうで言葉も無い。そんな沈黙の中、誠は黙々と食事を続ける。
「ああ、私も先に行くぞ」
ゆっくりと味わうようにメロンを食べ終えたカウラが立ち上がる。かなめは顔を向けることも無く茶碗からご飯をかきこむ。誠はと言えばとりあえずメロンにかぶりつきながら同情するような視線のカウラに頭を下げた。
「やっぱりカウラの言うことは聞くんだな」
かなめは完全にへそを曲げていた。こうなったら彼女は何を言っても無駄だとわかっている。誠はたっぷりと皮に果肉を残したまま味わうことも出来ずにメロンを食べきって立ち上がる。
「薄情物」
去り行く誠に一言かなめがそう言った。誠も気にしてはいたがかなめの機嫌をとるのは無理だと思ってそのままエレベータコーナーまで黙って歩いていった。
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