64 / 111
力尽きて
第64話 仲良きことは美しきかな
しおりを挟む
「この馬鹿!胸見んの禁止!」
すかさずかなめがこぶしで誠の頭を殴りつける。頭を押さえる誠を見ながら、茜は心の奥から楽しそうな笑みを浮かべた。
「ふふふ、誠さんとかなめさん。本当に仲がよろしいんですね」
微笑む茜に誠は思わずかなめを見た。一気にかなめの頬が赤らむ。
「お……おうよ。こいつはアタシの部下で『ペット』だからな」
そう言うとかなめは誠の首根っこをつかむとヘッドロックをした。
「苦しいですよ、西園寺さん!」
「いいじゃねえか、ほらアタシの胸が頬に当たってるぞ。あ?うれしいだろ?」
誠は幸せなのか不幸せなのかわからないと言うような笑みを浮かべる。
「本当にお似合いですわよ」
茜は笑顔を振りまく。しかし、その視線がかなめ達の後ろに立つ二つの人影をも見つめているものだと言うことはかなめも誠も知らなかった。
「ふうん、そう。かなめと誠君がマブでラブラブねえ」
「まあ仕方ないんではないか?神前は胸が大きい女が好きなようだからな」
誠はかなめの腕からすり抜け、振り向いた。そこにはアメリアとカウラが腕組みをして立っている。
「おお、いたのか。聞かれちまったら仕方がねえな。そう言うわけだ」
「西園寺さん!」
かなめはサングラスを外してアメリアとカウラをにらみつける。誠は半泣きの状態でおろおろとしていた。漂う殺気に誠は少しずつ後ずさりする。一ヶ月間、彼女達の部下をやってきたのは伊達ではない。
「どうされましたの?誠さん」
不思議そうな視線が茜から誠に注がれている。
「おい、神前!何とか言えよ!」
誠のシャツの襟首をつかんでかなめが迫る。
「力で脅すなんて下品ね」
「西園寺の行動が短絡的なのはいつものことだ」
かなめを責めているはずの言葉だが、アメリアとカウラの視線は冷や汗を拭っている誠に向けられている。茜は落ち着いた表情で誠の肩に手を当てる。
「お父様がおっしゃっていた通りですわね。あの誠さんがモテモテだって……」
「誰がこの馬鹿に惚れてるって!」
そう言うとかなめは誠に荷物を投げつける。
「茜さん。席は用意してあるから、誠君は補助席ね」
「クラウゼ少佐、お気を使わせてしまったみたいで」
茜はそう言うと歩き始めたアメリアとカウラの後ろに続いた。
「それ持ってもっときびきび動け!行くぞ神前」
そう言うとかなめ達は誠を置いてバスに向かって早足で歩き出した。足元に転がるかなめとアメリアのバッグが置き去りにされている。
「まったく、いつもこうだ」
そう愚痴りながら誠は二人の分の荷物も一緒に担いで駐車場の一番奥に止めてあるバスへ急いだ。
すかさずかなめがこぶしで誠の頭を殴りつける。頭を押さえる誠を見ながら、茜は心の奥から楽しそうな笑みを浮かべた。
「ふふふ、誠さんとかなめさん。本当に仲がよろしいんですね」
微笑む茜に誠は思わずかなめを見た。一気にかなめの頬が赤らむ。
「お……おうよ。こいつはアタシの部下で『ペット』だからな」
そう言うとかなめは誠の首根っこをつかむとヘッドロックをした。
「苦しいですよ、西園寺さん!」
「いいじゃねえか、ほらアタシの胸が頬に当たってるぞ。あ?うれしいだろ?」
誠は幸せなのか不幸せなのかわからないと言うような笑みを浮かべる。
「本当にお似合いですわよ」
茜は笑顔を振りまく。しかし、その視線がかなめ達の後ろに立つ二つの人影をも見つめているものだと言うことはかなめも誠も知らなかった。
「ふうん、そう。かなめと誠君がマブでラブラブねえ」
「まあ仕方ないんではないか?神前は胸が大きい女が好きなようだからな」
誠はかなめの腕からすり抜け、振り向いた。そこにはアメリアとカウラが腕組みをして立っている。
「おお、いたのか。聞かれちまったら仕方がねえな。そう言うわけだ」
「西園寺さん!」
かなめはサングラスを外してアメリアとカウラをにらみつける。誠は半泣きの状態でおろおろとしていた。漂う殺気に誠は少しずつ後ずさりする。一ヶ月間、彼女達の部下をやってきたのは伊達ではない。
「どうされましたの?誠さん」
不思議そうな視線が茜から誠に注がれている。
「おい、神前!何とか言えよ!」
誠のシャツの襟首をつかんでかなめが迫る。
「力で脅すなんて下品ね」
「西園寺の行動が短絡的なのはいつものことだ」
かなめを責めているはずの言葉だが、アメリアとカウラの視線は冷や汗を拭っている誠に向けられている。茜は落ち着いた表情で誠の肩に手を当てる。
「お父様がおっしゃっていた通りですわね。あの誠さんがモテモテだって……」
「誰がこの馬鹿に惚れてるって!」
そう言うとかなめは誠に荷物を投げつける。
「茜さん。席は用意してあるから、誠君は補助席ね」
「クラウゼ少佐、お気を使わせてしまったみたいで」
茜はそう言うと歩き始めたアメリアとカウラの後ろに続いた。
「それ持ってもっときびきび動け!行くぞ神前」
そう言うとかなめ達は誠を置いてバスに向かって早足で歩き出した。足元に転がるかなめとアメリアのバッグが置き去りにされている。
「まったく、いつもこうだ」
そう愚痴りながら誠は二人の分の荷物も一緒に担いで駐車場の一番奥に止めてあるバスへ急いだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
追放された宮廷薬師、科学の力で不毛の地を救い、聡明な第二王子に溺愛される
希羽
ファンタジー
王国の土地が「灰色枯病」に蝕まれる中、若干25歳で宮廷薬師長に就任したばかりの天才リンは、その原因が「神の祟り」ではなく「土壌疲弊」であるという科学的真実を突き止める。しかし、錬金術による安易な「奇跡」にすがりたい国王と、彼女を妬む者たちの陰謀によって、リンは国を侮辱した反逆者の濡れ衣を着せられ、最も不毛な土地「灰の地」へ追放されてしまう。
すべてを奪われた彼女に残されたのは、膨大な科学知識だけだった。絶望の地で、リンは化学、物理学、植物学を駆使して生存基盤を確立し、やがて同じく見捨てられた者たちと共に、豊かな共同体「聖域」をゼロから築き上げていく。
その様子を影から見守り、心を痛めていたのは、第二王子アルジェント。宮廷で唯一リンの価値を理解しながらも、彼女の追放を止められなかった無力な王子だった。
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」
殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!! ~異世界帰りの庶民派お嬢様、ダンジョン無双配信を始めます~
SAIKAI
ファンタジー
「わたくしの平穏なニート生活を邪魔するゴミは……殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!!」
ブラック企業の理不尽な上司に対し、「代わりがいくらでもいるとおっしゃるなら、さっそくその有能な方を召喚なさってはいかが?」と言い残し、颯爽と退職届を置いてきた華園凛音(はなぞのりおん)。
実家で優雅なニート生活を満喫しようとした彼女だったが、あろうことか自宅の裏庭にダンジョンが出現してしまう。
「お庭にゴミを捨てるなんて、育ちが悪くってよ?」
実は彼女、かつて学生時代に異世界に召喚され、数多の魔王軍を「殲滅(ジェノサイド)」してきた伝説の勇者だった。
現代に戻り力を封印していた凛音だが、暇つぶしと「デパ地下のいいケーキ代」を稼ぐため、ホームセンターで購入したお掃除用具(バール)を手に、動画配信プラットフォーム『ToyTube』でのダンジョン配信を決意する!
異世界の常識と現代の価値観がズレたままの凛音がバールを一振りするたび、世界中の視聴者が絶叫し、各国の専門家が物理法則の崩壊に頭を抱え、政府の調査団が土下座で資源を請い願う。
しかし本人はいたって庶民派。
「皆様、スパチャありがとうございますわ! これで今夜は高い方のメンチカツですわ! 最高ですわ~~!!」
これは、本人は至って普通の庶民派お嬢様だと思っているニートが、無自覚に世界ランクをのぼり詰める殲滅の記録。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる