65 / 111
力尽きて
第65話 体調の急変
しおりを挟む
「遅いっすよー西園寺さん!」
バスの横の荷物入れの前に立っている島田が叫んだ。そしてその目が誠に向くと明らかに何か含むような笑顔に変わった。
「済まねえ!あと一人は乗れるだろ?こいつ乗せてってくれ」
そう言うとかなめは後ろに続く茜を指差した。
「隊長のお嬢さんですか?まあ乗れますけど……なんでここに?」
島田達は不思議そうな視線を茜に送る。
「ちょっとしたご挨拶ですわ。かなめさん、誠さんが遅れてますけど、よろしいのですか?」
「いいんだよ。あいつなら」
そう言ってかなめはバスに駆け込む。カウラとアイシャがその後に続く。ようやく肩で息をしながら荷物を抱えて走る誠が現れる。
「何だってこんなに重いんだよ」
ようやくバスのところまでやってきて、誠はそのまま路上に腰を下ろした。島田は誠の足元にあるかなめのバッグを拾い、一瞬驚いた後、誠を見つめた。
「これ西園寺さんの荷物か。この格好はサブマシンガンでも入ってるんじゃないのか?」
そう言いながら荷物を客席下の空間に島田が詰めていく。誠はへたり込んだままじっとそんな島田を見上げていた。
荷物を積み終えて扉を閉める島田の前で息を整えようと座りなおしている誠がいた。
「神前。なんか顔色悪いけど大丈夫か?」
心配そうに手を出した島田の助けを借りて誠は立ち上がった。相変わらず脂汗が流れる。かなめ達の修羅場で流れるいつものそれとは明らかに違う。どっと倦怠感が襲う。立ちくらみのようなものまでが視界をゆがんだ。
「とりあえず、バスに乗るぞ」
その様子に少し真剣な顔をしながら、島田は誠を抱えるようにしてバスに乗り込んだ。
「なんだ?どこかおかしいのか?」
島田の肩を借りてようやく立っている様な有様の誠に運転席のカウラが尋ねてくる。
「平気です、何とか……」
島田の手から離れて元気なところを見せようとする誠だが、その足元は誰が見てもおぼつかないものだった。
「かなめちゃんに殴られたの?」
「うるせえ、シャム!何でいつもアタシがぶったことになるんだ?」
もうすでにバスに置いたままだったウォッカの小瓶を口にしているかなめが叫ぶ。
「日ごろの行いだよ、この外道!」
「小夏!テメエ表に出ろ!いいから……」
小夏が席から身を乗り出して後部座席にふんぞり返るかなめをにらみつけていた。
「静かに!」
アメリアの一言で二人は落ち着いて椅子に腰を落ち着ける。騒ぐ要素が無くなった車内が静まり帰った。そうなると明らかに様子がおかしい誠に周りの目が集まる。
「誠ちゃんは具合が悪そうだから奥で寝かせてあげましょう」
アメリアはそう言うと立ち上がって後ろを見た。一番後ろの席で菰田達ヒンヌー教徒から酒を押し付けられていた西と目が合った。
バスの横の荷物入れの前に立っている島田が叫んだ。そしてその目が誠に向くと明らかに何か含むような笑顔に変わった。
「済まねえ!あと一人は乗れるだろ?こいつ乗せてってくれ」
そう言うとかなめは後ろに続く茜を指差した。
「隊長のお嬢さんですか?まあ乗れますけど……なんでここに?」
島田達は不思議そうな視線を茜に送る。
「ちょっとしたご挨拶ですわ。かなめさん、誠さんが遅れてますけど、よろしいのですか?」
「いいんだよ。あいつなら」
そう言ってかなめはバスに駆け込む。カウラとアイシャがその後に続く。ようやく肩で息をしながら荷物を抱えて走る誠が現れる。
「何だってこんなに重いんだよ」
ようやくバスのところまでやってきて、誠はそのまま路上に腰を下ろした。島田は誠の足元にあるかなめのバッグを拾い、一瞬驚いた後、誠を見つめた。
「これ西園寺さんの荷物か。この格好はサブマシンガンでも入ってるんじゃないのか?」
そう言いながら荷物を客席下の空間に島田が詰めていく。誠はへたり込んだままじっとそんな島田を見上げていた。
荷物を積み終えて扉を閉める島田の前で息を整えようと座りなおしている誠がいた。
「神前。なんか顔色悪いけど大丈夫か?」
心配そうに手を出した島田の助けを借りて誠は立ち上がった。相変わらず脂汗が流れる。かなめ達の修羅場で流れるいつものそれとは明らかに違う。どっと倦怠感が襲う。立ちくらみのようなものまでが視界をゆがんだ。
「とりあえず、バスに乗るぞ」
その様子に少し真剣な顔をしながら、島田は誠を抱えるようにしてバスに乗り込んだ。
「なんだ?どこかおかしいのか?」
島田の肩を借りてようやく立っている様な有様の誠に運転席のカウラが尋ねてくる。
「平気です、何とか……」
島田の手から離れて元気なところを見せようとする誠だが、その足元は誰が見てもおぼつかないものだった。
「かなめちゃんに殴られたの?」
「うるせえ、シャム!何でいつもアタシがぶったことになるんだ?」
もうすでにバスに置いたままだったウォッカの小瓶を口にしているかなめが叫ぶ。
「日ごろの行いだよ、この外道!」
「小夏!テメエ表に出ろ!いいから……」
小夏が席から身を乗り出して後部座席にふんぞり返るかなめをにらみつけていた。
「静かに!」
アメリアの一言で二人は落ち着いて椅子に腰を落ち着ける。騒ぐ要素が無くなった車内が静まり帰った。そうなると明らかに様子がおかしい誠に周りの目が集まる。
「誠ちゃんは具合が悪そうだから奥で寝かせてあげましょう」
アメリアはそう言うと立ち上がって後ろを見た。一番後ろの席で菰田達ヒンヌー教徒から酒を押し付けられていた西と目が合った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません
藤原遊
恋愛
「私は処刑される運命の悪役令嬢――そう信じて、死を望んでいた。
けれど、幼なじみの騎士は『この命に代えても守る』と離してくれなくて……?」
侯爵令嬢アメリアは、幼い頃から「悪役令嬢」として囁かれてきた。
その冷たい視線と噂の中で、彼女は静かに己の役目を受け入れていた――。
けれど、すべてを遠ざけようとする彼女の前に現れたのは、まっすぐに想いを示す幼なじみの騎士。
揺らぐ心と、重ねてきた日々。
運命に逆らえないはずの未来に、ほんの少しの希望が灯る。
切なく、温かく、甘やかに紡がれる悪役令嬢物語。
最後まで見届けていただければ幸いです。
※ 攻略対象の叔母である悪役令嬢に転生したけれど、なぜか攻略対象の甥に激重に愛されてます
にて、親世代の恋愛模様を描いてます。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
レンタル従魔始めました!
よっしぃ
ファンタジー
「従魔のレンタルはじめました!」
僕の名前はロキュス・エルメリンス。10歳の時に教会で祝福を受け、【テイム】と言うスキルを得ました。
そのまま【テイマー】と言うジョブに。
最初の内はテイムできる魔物・魔獣は1体のみ。
それも比較的無害と言われる小さなスライム(大きなスライムは凶悪過ぎてSランク指定)ぐらいしかテイムできず、レベルの低いうちは、役立たずランキングで常に一桁の常連のジョブです。
そんな僕がどうやって従魔のレンタルを始めたか、ですか?
そのうち分かりますよ、そのうち・・・・
殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!! ~異世界帰りの庶民派お嬢様、ダンジョン無双配信を始めます~
SAIKAI
ファンタジー
「わたくしの平穏なニート生活を邪魔するゴミは……殲滅(ジェノサイド)ですわ~~!!」
ブラック企業の理不尽な上司に対し、「代わりがいくらでもいるとおっしゃるなら、さっそくその有能な方を召喚なさってはいかが?」と言い残し、颯爽と退職届を置いてきた華園凛音(はなぞのりおん)。
実家で優雅なニート生活を満喫しようとした彼女だったが、あろうことか自宅の裏庭にダンジョンが出現してしまう。
「お庭にゴミを捨てるなんて、育ちが悪くってよ?」
実は彼女、かつて学生時代に異世界に召喚され、数多の魔王軍を「殲滅(ジェノサイド)」してきた伝説の勇者だった。
現代に戻り力を封印していた凛音だが、暇つぶしと「デパ地下のいいケーキ代」を稼ぐため、ホームセンターで購入したお掃除用具(バール)を手に、動画配信プラットフォーム『ToyTube』でのダンジョン配信を決意する!
異世界の常識と現代の価値観がズレたままの凛音がバールを一振りするたび、世界中の視聴者が絶叫し、各国の専門家が物理法則の崩壊に頭を抱え、政府の調査団が土下座で資源を請い願う。
しかし本人はいたって庶民派。
「皆様、スパチャありがとうございますわ! これで今夜は高い方のメンチカツですわ! 最高ですわ~~!!」
これは、本人は至って普通の庶民派お嬢様だと思っているニートが、無自覚に世界ランクをのぼり詰める殲滅の記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる