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新しい日常
第106話 出勤風景
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「なんだ、早かったな」
声に気づいて振り向けばカウラが立っている。普通の隊員は隊で着替えるはずなのだが、彼女は東和軍の夏季勤務服の半袖のワイシャツ、そして作業用ズボンという奇妙な格好をしていた。
「何か気になることでもあるのか?」
カウラはいかにも不思議そうに尋ねてくる。おしゃれなどには関心のないカウラらしいと言えばそれまでだが、定時前に制服を見せられて誠は少し食傷気味だった。
「その格好でいつも……」
「そうだが、気になることでもあるのか?」
カウラはそう答えると玄関の下駄箱から革靴を取り出す。
「相変わらずおしゃれなんてどうでも良いって格好じゃないの、カウラちゃん。私服とか持ってないの?」
声の主、アメリアの方を振り向いて誠は後悔の念に抱かれた。そこには誠も見ている深夜アニメのファンシーなキャラクターのTシャツを着たアメリアが歩いてくる。
「貴様の方がよっぽど恥ずかしいと思うが」
「大丈夫、見る人が見ないとわからないから」
確かにそのキャラクターが実はヤンデレで最終回に大虐殺を行う内容だったために打ち切りにされたアニメのキャラだと言うことは一般人は知らないだろう。誠はそう思いながら得意げなアメリアに生ぬるい視線を送る。
「お前等、本当に頭ん中大丈夫か?」
タンクトップにジーンズ。ヒップホルスターに愛用の銃を挿したかなめが笑う。かなめもアメリアも、そして誠も唖然としながら彼女が寮を出るのを見送った。
「ちょっと待ちなさい!かなめちゃん!」
アイシャがかなめの肩をつかむ。そしてすばやく拳銃を抜き取った。
「かなめちゃんもしかしてこのまま歩こうとしてない?」
「だってアタシ等コイツの護衛だぜ?銃の一挺くらい持っているのが……」
「だからって抜き身で持ち歩くな」
カウラの声で渋々かなめはアメリアに銃を任せた。アメリアは手にしたバックに銃を入れる。
「これからはこう言うものを持ち歩きなさい」
アメリアは手にしたブリーフバックを指し示した。その重そうな持ち方から見て、彼女の愛用の拳銃P7M13ピストルが入っていることは間違いないと誠は思った。
「それじゃあ行くぞ」
銃を奪われたもののアメリアの言いたいことはよくわかるので、かなめは黙って遼の玄関を出る歩き始める。夏の日差しはもうかなり上まで上がってきていた。アメリアは通り過ぎる猫を眺めながら取り出した扇子を日よけ代わりにしている。
寮の駐車場は半分ほどが埋まっていた。今の時間に止まっているのは夜勤か遅番の隊員の車が大半である。ここまできて自分のバイクで出勤しますとはいえない状況に誠は運転するだろうカウラを見つめていた。
「早く開けろ。暑いんだから」
カウラのスポーツカーの前でかなめが呟く。またため息をついたカウラはオートロックを開いた。カウラは助手席のドアを開き、シートを倒すとそのまま後部座席に滑り込む。
「こっち来い!」
そう言うとかなめはサイボーグならではの強い力で誠を後部座席に引きずり込んだ。
「そんなに強く引っ張らなくても……」
「がたがた言うな!カウラエンジンかけろ、それから窓も開けるんだぞ!」
かなめの言葉に少し不愉快そうな顔をしながらカウラはエンジンをかけ、そのまま窓を開けた。
「今の時間だと駅前に向かう道は全部ふさがってるわね。裏道で行きましょ」
アメリアはそう言いながらナビを設定している。
「そうだな。引越しした直後に遅刻と言うのもつまらないからな」
そう言うとカウラのスポーツカーはすばやくバックし、そのまま切り替えして駐車場を出た。
「狭いなあ。カウラ、車買い替えないのか?」
かなめの言葉を無視してカウラはアクセルを吹かす。後ろを覗き込んでかなめと誠が密着しているのを見てアメリアは気に入らないというようにこめかみを振るわせながらバックミラー越しに二人を凝視していた。。
「あら、かなめちゃんは良いんじゃないの?このままのほうが。誠ちゃんとラブラブごっこが出来るじゃない」
一瞬、アメリアの言葉が理解できなかったかなめだが、その視線でアメリアが何を言おうとしているのか理解すると誠の足を踏みつけた。
「痛いですよ!西園寺さん!」
誠は痛みの叫びをかみ殺してそう叫んだ。
「空が高いや。空気は夏の気温だがもう秋かねえ」
痛みにうずくまる誠を見ながらかなめは外からの風に短めの髪をなびかせていた。カウラは誠に同情するようにバックミラーの中で笑みを浮かべている。
「じゃあクーラーは要らないな」
「おい、風情ってモノの話をしただけだ。ちゃんとつけろよ、クーラー」
かなめに言われなくてもカウラはもうすでにクーラーを動かしていた。
「こんな道あったんですね」
住宅街の中。大通りなら渋滞につかまって動けなくなる時間だと言うのに確かに回り道とは言えすいすいとカウラの赤いスポーツカーは走る。
「このルートの方が早いのよ。まあ、誠ちゃんは原付だから渋滞とか関係ないものね。中央大通りを走れれば確かに一番早いんだけど渋滞があるから……」
アメリアは涼しげな目を細める、細い路地、他に車の姿は無かった。そして住宅街を抜けると一面の田んぼが広がっている。
「ここから先はどう行っても大丈夫よ。まあ、最後は菱川重工の正門で工場ラインの出勤組みの渋滞につかまるでしょうけど」
アメリアが伸びをする。カウラはそのまま細い農道を飛ばしている。
「そう言えば今日はおせっかいな甲武海軍の面々とかもついてこないな」
大きなあくびをした後、かなめはそうつぶやいた。
「ああ、それらしい連中なら駐車場を出て住宅街の中でまいたぞ」
あっさりとカウラはそう言った。
「カウラ、お前なあ。せっかくの甲武の税金使って護衛してくれるって言う連中まいてどうすんだよ」
至極もっともなかなめの突っ込みにカウラが笑みを浮かべた。車は菱川重工豊川の正門へと続く通称『産業道路』に出た。トレーラーが次々と走っていく中、カウラはタイミングを合わせてその流れに乗った。
声に気づいて振り向けばカウラが立っている。普通の隊員は隊で着替えるはずなのだが、彼女は東和軍の夏季勤務服の半袖のワイシャツ、そして作業用ズボンという奇妙な格好をしていた。
「何か気になることでもあるのか?」
カウラはいかにも不思議そうに尋ねてくる。おしゃれなどには関心のないカウラらしいと言えばそれまでだが、定時前に制服を見せられて誠は少し食傷気味だった。
「その格好でいつも……」
「そうだが、気になることでもあるのか?」
カウラはそう答えると玄関の下駄箱から革靴を取り出す。
「相変わらずおしゃれなんてどうでも良いって格好じゃないの、カウラちゃん。私服とか持ってないの?」
声の主、アメリアの方を振り向いて誠は後悔の念に抱かれた。そこには誠も見ている深夜アニメのファンシーなキャラクターのTシャツを着たアメリアが歩いてくる。
「貴様の方がよっぽど恥ずかしいと思うが」
「大丈夫、見る人が見ないとわからないから」
確かにそのキャラクターが実はヤンデレで最終回に大虐殺を行う内容だったために打ち切りにされたアニメのキャラだと言うことは一般人は知らないだろう。誠はそう思いながら得意げなアメリアに生ぬるい視線を送る。
「お前等、本当に頭ん中大丈夫か?」
タンクトップにジーンズ。ヒップホルスターに愛用の銃を挿したかなめが笑う。かなめもアメリアも、そして誠も唖然としながら彼女が寮を出るのを見送った。
「ちょっと待ちなさい!かなめちゃん!」
アイシャがかなめの肩をつかむ。そしてすばやく拳銃を抜き取った。
「かなめちゃんもしかしてこのまま歩こうとしてない?」
「だってアタシ等コイツの護衛だぜ?銃の一挺くらい持っているのが……」
「だからって抜き身で持ち歩くな」
カウラの声で渋々かなめはアメリアに銃を任せた。アメリアは手にしたバックに銃を入れる。
「これからはこう言うものを持ち歩きなさい」
アメリアは手にしたブリーフバックを指し示した。その重そうな持ち方から見て、彼女の愛用の拳銃P7M13ピストルが入っていることは間違いないと誠は思った。
「それじゃあ行くぞ」
銃を奪われたもののアメリアの言いたいことはよくわかるので、かなめは黙って遼の玄関を出る歩き始める。夏の日差しはもうかなり上まで上がってきていた。アメリアは通り過ぎる猫を眺めながら取り出した扇子を日よけ代わりにしている。
寮の駐車場は半分ほどが埋まっていた。今の時間に止まっているのは夜勤か遅番の隊員の車が大半である。ここまできて自分のバイクで出勤しますとはいえない状況に誠は運転するだろうカウラを見つめていた。
「早く開けろ。暑いんだから」
カウラのスポーツカーの前でかなめが呟く。またため息をついたカウラはオートロックを開いた。カウラは助手席のドアを開き、シートを倒すとそのまま後部座席に滑り込む。
「こっち来い!」
そう言うとかなめはサイボーグならではの強い力で誠を後部座席に引きずり込んだ。
「そんなに強く引っ張らなくても……」
「がたがた言うな!カウラエンジンかけろ、それから窓も開けるんだぞ!」
かなめの言葉に少し不愉快そうな顔をしながらカウラはエンジンをかけ、そのまま窓を開けた。
「今の時間だと駅前に向かう道は全部ふさがってるわね。裏道で行きましょ」
アメリアはそう言いながらナビを設定している。
「そうだな。引越しした直後に遅刻と言うのもつまらないからな」
そう言うとカウラのスポーツカーはすばやくバックし、そのまま切り替えして駐車場を出た。
「狭いなあ。カウラ、車買い替えないのか?」
かなめの言葉を無視してカウラはアクセルを吹かす。後ろを覗き込んでかなめと誠が密着しているのを見てアメリアは気に入らないというようにこめかみを振るわせながらバックミラー越しに二人を凝視していた。。
「あら、かなめちゃんは良いんじゃないの?このままのほうが。誠ちゃんとラブラブごっこが出来るじゃない」
一瞬、アメリアの言葉が理解できなかったかなめだが、その視線でアメリアが何を言おうとしているのか理解すると誠の足を踏みつけた。
「痛いですよ!西園寺さん!」
誠は痛みの叫びをかみ殺してそう叫んだ。
「空が高いや。空気は夏の気温だがもう秋かねえ」
痛みにうずくまる誠を見ながらかなめは外からの風に短めの髪をなびかせていた。カウラは誠に同情するようにバックミラーの中で笑みを浮かべている。
「じゃあクーラーは要らないな」
「おい、風情ってモノの話をしただけだ。ちゃんとつけろよ、クーラー」
かなめに言われなくてもカウラはもうすでにクーラーを動かしていた。
「こんな道あったんですね」
住宅街の中。大通りなら渋滞につかまって動けなくなる時間だと言うのに確かに回り道とは言えすいすいとカウラの赤いスポーツカーは走る。
「このルートの方が早いのよ。まあ、誠ちゃんは原付だから渋滞とか関係ないものね。中央大通りを走れれば確かに一番早いんだけど渋滞があるから……」
アメリアは涼しげな目を細める、細い路地、他に車の姿は無かった。そして住宅街を抜けると一面の田んぼが広がっている。
「ここから先はどう行っても大丈夫よ。まあ、最後は菱川重工の正門で工場ラインの出勤組みの渋滞につかまるでしょうけど」
アメリアが伸びをする。カウラはそのまま細い農道を飛ばしている。
「そう言えば今日はおせっかいな甲武海軍の面々とかもついてこないな」
大きなあくびをした後、かなめはそうつぶやいた。
「ああ、それらしい連中なら駐車場を出て住宅街の中でまいたぞ」
あっさりとカウラはそう言った。
「カウラ、お前なあ。せっかくの甲武の税金使って護衛してくれるって言う連中まいてどうすんだよ」
至極もっともなかなめの突っ込みにカウラが笑みを浮かべた。車は菱川重工豊川の正門へと続く通称『産業道路』に出た。トレーラーが次々と走っていく中、カウラはタイミングを合わせてその流れに乗った。
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