特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』② 海と革命家、時々娘

橋本 直

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新しい日常

第108話 歓迎の準備と旅支度

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 ハンガーの前ではどこに隠していたのか聞きたくなるほどのバーベキューコンロが並んでいた。それに木炭をくべ発火剤を撒いている整備員。そんなコンロをめぐって火をつけて回っているのは島田だった。

「おう、神前。着いたのか」 

 コンロに火をつけていた島田が振り返った。その目の下にクマができており、顔には血の気が無い。

「大丈夫なのか?そのまま放火とかしないでくれよ」 

 かなめは冗談のつもりなのだろうが誠にはそうなりかねないほどやつれた島田が心配だった。

「西園寺さん大丈夫ですよ。火をつけ終わったら仮眠を取らせてもらうつもりですから」 

 そんな島田の笑いも、どこか引きつって見える。カウラもアメリアも明らかにいつもはタフな島田のふらふらの様子が気になっているようでコンロの方に目が向いているのが誠にも見えた。

「じゃあがんばれや」 

 それだけ言って立ち去るかなめに誠達はついていく。その先のハンガーには装甲板のはがされたランの『紅兎』が立っていた。

「へえ、ハニカム装甲の間にあの『よくわからないアレ』を差し込むわけか」 

「『よくわからないアレ』って……法術を増幅する装置なんですよね」

「仕組みが分からねえなら『よくわからないアレ』としか言えねえじゃねえか」

 かなめの言葉にツッコんだつもりが逆に言い返された誠はただ黙り込んだ。

「またバーベキューですか?」 

「見ればわかるでしょ?」 

 話題を変えようとした誠の問いにそう返すとアメリアはそのまま事務所につながる階段を上り始める。

「おう、おはよう」 

 大荷物を抱えたクバルカ・ラン中佐が立っている。いつものように小柄な体と比べて巨大に見えるトランクを引きずっている。

「その様子、出張ですね」 

「まあな。法術対策部隊の総会ってわけだ。西園寺、ジュネーブって行ったことあるか?」

 いきなり地球の話題をかなめに振るのは彼女なら何度か行ったことがあるだろうとランも思っているんだと誠は再確認した。 

「スイスは機会がねえけど、まあ会議を開くには向いてるところだって聞いてるぜ」 

「そうか。アタシは地球はこれで二回目だけどヨーロッパは初めてで……よく知らねえんだよなあ……」 

 ランはそう言うと髪を軽く撫で付けた。

「まあ、地球の連中に舐められないようにしてくれば良いんじゃねえの?そのなりじゃ難しいだろうがな」 

 それだけ言うと、ムッとした顔のランを置いてかなめが歩き出す。誠達も急いでそのあとに続いた。
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