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天使との楽しいひと時
天使の住まう部屋への誘い
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誠はタバコを吸う島田の背中を眺めていた。そしてこの危険人物からどうやって逃げ出すか、そればかり考えていた。
「おい、アパ」
振り返った島田。缶チューハイを飲み終えた彼はまたクーラーボックスから当然のように缶ビールを取り出しながら誠に声を掛けた。
「アパってなんです?」
明らかに自分を指していると誠は確信したが、あまりに失礼なのでとりあえず島田に聞いてみた。
「お前はアパ。そう俺が決めた。通じるだろ?アパで。わかるんだったらそれでいいじゃん。ただ、俺に変な綽名を付けたら殺すからな。島田先輩と呼べ」
そう言うと島田はうまそうにビールを飲んだ。
「お前、ちっちゃい姐御のところは当然行ったな」
呼吸をするためにビールを飲むのをやめるところから見て、どうやらこの危険生物は呼吸を止めると死ぬらしい。そんなことを考えながら誠は口を開いた。
「一応、僕はパイロット候補として配属されました。そうなれば当然、あそこに顔ぐらい出します」
そんな少し怒った口調の誠の言葉を間抜けな顔の島田が聞いている。
「当然、隊長室……当然だな。女芸人の詰所は……行ったからここに来ている……そうなると……アパ。天使の部屋には行ったか?」
この脳みそバイク部品の危険人物である自称『島田先輩』は奇妙な言葉を口にした。
「天使?あのいつ発砲するか分からない自称パイロットの危ない女サイボーグの前に座ってる人ですか?緑の髪の」
誠にはそれ以外天使っぽい人にはこの本部に来てから会っていなかった。
「あれは天使じゃねえよ。あるもの、そう依存症だ。あるもの無しには生活を営むことはできないかわいそうなお人だ」
島田はそう言いながら空を見上げた。誠も一緒に空を見上げる。そこには雲が浮いていた。
「性的な意味でですか?」
明らかに振りとしてそう言ってみた。
「んな訳ねーだろ!女をそういう目で見てるようなら、アパ……死ぬぜ。なぜなら俺が殴り殺すから。そう言うナンパな奴は許せねえんだ。俺は『硬派』だからな」
時々こういう危ないことを言う。そんなかわいそうな生き物が発した『天使』と言う事が気になって誠は次の島田の言葉を待った。
島田は缶ビールを飲み干すとニヤリと笑い、誠を見つめた。
「うちには天使がいる。アイドルなんかじゃねえし、俺はまともにあの娘を見たとき『こいつは天使だ』と思ったね。もし、サラに出会う前だった、おそらく彼女のナイトになっていたな……俺は」
この危険な生き物は女性に関して高く希望を持ちすぎている。同じ童貞として、このかわいそうな生き物に誠は同情のまなざしを送っていた。
「アパ。あのいつ女芸人限定の若手お笑いライブを開いてもおかしくない連中の隣の部屋。天使の部屋の入口はそんなところに隠されていく。お前の進むべき進路は彼女が知っている。行け、アパ。そして、自分の行く末をそこで天使から聞け」
そう言うと立ち上がった預言者気取りの割り算もできない馬鹿が、再びバイクの前輪の前に置いてあるタバコの缶に向かって歩き出した。
「アメリアさんのいる部屋の隣ですね。行ってきます」
そう言って誠は危ない馬鹿を置き去りにして本部の入っている建物に向かった。
「そうだ!アパ!お前の冒険はそこから始まるのじゃ!」
これ以上馬鹿にかかわると頭がおかしくなるので、とりあえずまともな人間である可能性に賭けてコンクリートの本部棟へと歩き出した。
「おい、アパ」
振り返った島田。缶チューハイを飲み終えた彼はまたクーラーボックスから当然のように缶ビールを取り出しながら誠に声を掛けた。
「アパってなんです?」
明らかに自分を指していると誠は確信したが、あまりに失礼なのでとりあえず島田に聞いてみた。
「お前はアパ。そう俺が決めた。通じるだろ?アパで。わかるんだったらそれでいいじゃん。ただ、俺に変な綽名を付けたら殺すからな。島田先輩と呼べ」
そう言うと島田はうまそうにビールを飲んだ。
「お前、ちっちゃい姐御のところは当然行ったな」
呼吸をするためにビールを飲むのをやめるところから見て、どうやらこの危険生物は呼吸を止めると死ぬらしい。そんなことを考えながら誠は口を開いた。
「一応、僕はパイロット候補として配属されました。そうなれば当然、あそこに顔ぐらい出します」
そんな少し怒った口調の誠の言葉を間抜けな顔の島田が聞いている。
「当然、隊長室……当然だな。女芸人の詰所は……行ったからここに来ている……そうなると……アパ。天使の部屋には行ったか?」
この脳みそバイク部品の危険人物である自称『島田先輩』は奇妙な言葉を口にした。
「天使?あのいつ発砲するか分からない自称パイロットの危ない女サイボーグの前に座ってる人ですか?緑の髪の」
誠にはそれ以外天使っぽい人にはこの本部に来てから会っていなかった。
「あれは天使じゃねえよ。あるもの、そう依存症だ。あるもの無しには生活を営むことはできないかわいそうなお人だ」
島田はそう言いながら空を見上げた。誠も一緒に空を見上げる。そこには雲が浮いていた。
「性的な意味でですか?」
明らかに振りとしてそう言ってみた。
「んな訳ねーだろ!女をそういう目で見てるようなら、アパ……死ぬぜ。なぜなら俺が殴り殺すから。そう言うナンパな奴は許せねえんだ。俺は『硬派』だからな」
時々こういう危ないことを言う。そんなかわいそうな生き物が発した『天使』と言う事が気になって誠は次の島田の言葉を待った。
島田は缶ビールを飲み干すとニヤリと笑い、誠を見つめた。
「うちには天使がいる。アイドルなんかじゃねえし、俺はまともにあの娘を見たとき『こいつは天使だ』と思ったね。もし、サラに出会う前だった、おそらく彼女のナイトになっていたな……俺は」
この危険な生き物は女性に関して高く希望を持ちすぎている。同じ童貞として、このかわいそうな生き物に誠は同情のまなざしを送っていた。
「アパ。あのいつ女芸人限定の若手お笑いライブを開いてもおかしくない連中の隣の部屋。天使の部屋の入口はそんなところに隠されていく。お前の進むべき進路は彼女が知っている。行け、アパ。そして、自分の行く末をそこで天使から聞け」
そう言うと立ち上がった預言者気取りの割り算もできない馬鹿が、再びバイクの前輪の前に置いてあるタバコの缶に向かって歩き出した。
「アメリアさんのいる部屋の隣ですね。行ってきます」
そう言って誠は危ない馬鹿を置き去りにして本部の入っている建物に向かった。
「そうだ!アパ!お前の冒険はそこから始まるのじゃ!」
これ以上馬鹿にかかわると頭がおかしくなるので、とりあえずまともな人間である可能性に賭けてコンクリートの本部棟へと歩き出した。
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