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面接
しおりを挟むオフィスビルの一室に、男女が3人いた。
1人は、学校の制服と思われる白のシャツに紺色のスカートを履いている少女であり
一室の真ん中に置かれた椅子に緊張した様子で座っている。
少女に対峙するように、固い表情のまま紙を見続けるスーツ姿の男が1人。
その後ろに姿勢正しく立ち少女を見つめる同じくスーツ姿の女が1人。
『すまないが、君を採用するわけにはいかない』
張り詰めた空気に男の声が静かに響いた。
『君が学生という事は、この履歴書を見なくても分かることだが、そもそもこの仕事は学生のアルバイト感覚でしてもらっては困る
面接する以前の話だ、お引き取り願おう』
『ま、待ってください!』
少女は慌てて立ち上がったが、男の鋭い眼光で続けて話すことができなかった。
『...わ、私はそんな軽い気持ちで来たわけじゃなくて、この力を何とか役に立てたいから...』
少女は黙ってしまった。
再び沈黙が辺りを包み込む。
『軽い気持ちでないというなら、見せてもらいましょう
あなたの能力を見てから判断しても遅くはないと思いますよ』
男の後ろに立ってた女が穏やかな声で言った。
男は特に何も言わず、視線で少女に促した。
『..あ、ありがとうございます
行くよ、シロ』
『あぁ!』
その場にいる誰のものでもない声が響き渡った。
声と同時に少女の肩に、白い猫のような生き物が現れた。
白い猫の出現に男はわずかに眉を動かした。
少女は野球のピッチャーが球を投げるように大きく振りかぶった。
その右手に白い光が集まっていく。
『....いきます!
白球!!』
少女は右手を振り抜き右手に集まっていた光の球体を壁に投げつけた。
球体がぶつかった壁の中心には大きな凹みが出来上がり、そのまわりはひび割れた。
『こ、こんな感じです』
『...いきなり会社の壁を壊した事は目を瞑るとして
まさか、白虎の力を持っているとは』
男は相変わらず固い表情のままだが、その声は感心しているように聞こえる。
『特殊能力の中でも珍しい精霊を呼び出す力ですね
聞いた事はあっても初めて見ました』
女の方は隠すことなく驚いた表情をしている。
『この白虎様の力を手放すなんてことしないよな!』
少女の肩に乗っている猫は偉そうに男たちを睨みつける。
『ちょっと!シロってば、そんな偉そうに言ったら』
『いいだろう』
少女の声を遮るように男は言った。
『ただでさえ珍しい特殊能力に加えて、精霊の中でもトップクラスである白虎をこのまま追い返すのは利口とは言えない
本来ならば学生など採用しないが、我が社のために君を採用しよう』
少女は動かない、というより動けなかった。
動かない少女のことなど気にせず白虎と呼ばれる猫は言った。
『言ったろ?俺の力があれば何の心配も要らないって!』
『随分な自信だな、お前はその子が居なければこの世に存在できないのに』
『何言ってるんだ、お前?
俺はこいつの能力なんかじゃねえぞ?
こいつ、特殊能力持ってねえし』
『......なんだと?
なら、なぜお前は存在している?』
男の表情がわずかに曇った。
『俺はこいつの親父が形見に渡したペンダントに偶然憑いちまったから存在している
ただ、こいつは本当に人の役に立ちたくてここまで来た、俺はそれに協力することにした
なんだ?今さら採用を無しにするとかそんな小さいことするつもりか?』
少女は未だ固まっており何も言わないが、この猫はどんどん男に畳み掛ける。
男はしばらく黙りを決めていたが、何かを決意したかのように少女達を見つめた。
『発言を撤回するなど馬鹿げている
今、君たちの配属先を決めていたところだ
七美、雅のところへ連れて行ってくれ』
『いいんですか?』
七美と呼ばれた女は少し困惑した顔で男を見たが、男が何も返事しないため諦めたように少女に近づいた。
『案内するわ、ついてきて
ごめんなさい、あなたの名前教えてくれる?』
『し、東雲 奈緒です!よろしくお願いします!』
奈緒は七美の後を追うように部屋から出て行った。
1人部屋に残された男は大きく息を吐き出し天井を見つめていた。
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