ドSな王太子はただのヤキモチ焼きでした~溺愛はお仕置きのあとで~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中

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モニカの反撃

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 達したことで腰が抜けて力が入らないが、彼が欲しいと身体は悲鳴を上げている。惚けたように、頭はもう回らなくなりかけていた。

「モニカ、どうなんだ?」

 勝ちを確信したかのように、真正面からダグラスは私に問うた。

 身体の力が抜けて、もう手も足も出ない。

 ……でも。

 頭なら、出せる。

 本能的な求めに抗うように、私は思いっきりおでこをダグラスにぶつけた。

「ぐっ!?」

 ゴツッと鈍い音が調理室に鳴り響く。それは、私の頭突きが彼に命中した音であった。

 子供の頃は、誰かと喧嘩するたびに必ず頭突きを繰り出していた。それ程に、私は石頭なのだ。

「っ、たしかに、貴方は私の夫です……っ、でも、貴方は、ダグラス様は、私を一度だって認めてくれないじゃないですか!!」

「っ、モニカ?」

「私は貴方みたいに賢くもないし、強くもない。そんなに私のケーキに文句ばっかり言うならば、結婚しなければ良かったじゃないですか! っ、ダグラス様のわからず屋!!」

 そう言い切ってから、私はわあわあと泣き出した。

 驚いて絶句するダグラスに構うことなく、私は彼の胸板を拳で叩きながら大泣きする。王太子に楯突く不届き者と言われても仕方がない状況だが、もう我慢ならなかったのだ。

「うっ、ううっ、ダグラス様の、ばか、バカ、バカ……っ!!」

「っ、モニカ、待て。私がいつ、お前のケーキを貶したというんだ?」

「いつもでしょう? いっつもいっつも、細かい文句ばっかり! ちっとも褒めてくれないじゃない!!」

「っ、な、いつも存分に褒めてるだろう!?」

「ウソよ……っ、この前のバラのケーキだって、シロップの色がくすんでるとか、タルト生地が香ばしすぎるとか。ペラペラと嫌味ばっかり!!」

「っ、くすんでる、は褒め言葉だろう!?」

「え……?」

 ダグラスの信じられないひとことに、私は目を丸くする。驚きのあまり、先ほどまでの激しい怒りや悲しみはどこかにいってしまっていた。

「肌がくすむとか言うと、それは貶し言葉でしょう? だから……」

「っ、違う。雨曇りで暗くなった空を表すには、ぴったりな色だと……言いたかっただけだ。それに……タルト生地については言ったが、最後には褒めただろう。よく思い出してくれ」

 今まで見たことがないぐらいに、ダグラスは慌てており、うろたえていた。先ほどの悪魔のようなサディストは、どこにもいない。

「……そういうことか」

「え?」

「昔からだ。いつも、言葉選びを間違える」

 ローガンとは対照的に、ダグラスは口が滑らかな男だと思っていた。公務でも、王太子として完璧な立ち振る舞いをしている。
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