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天使にハメられた悪魔
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家デートに来ただけなのに、何で俺は手錠を掛けられてんだ?
後ろ手に手錠を掛けられ、ベッドに転がされて今に至る。そんな俺を満足げに見下ろすのは、悪魔のような女。
いや、悪魔のような天使だ。
「……いきなり何しやがんだ、セレナ」
「何って、今日はハロウィンでしょ? 可愛い彼ぴっぴに、イタズラしなきゃ勿体ないじゃない?」
「ハロウィンはそういう日じゃねぇだろ!!」
久しぶりに一緒に過ごそうと誘われて彼女の家に来てみたら、このザマだ。
ただの家デートかと思ってのこのこやって来た数分前の自分を、全力で殴り飛ばしてやりたい。
「取り敢えず、この物騒なもん外せよ」
手錠をガチャガチャ鳴らしながら、俺は溜息をついた。
「あら、そんな生意気言っちゃって、ホントに良いの? ステヴァン?」
手錠の鍵を細い指先で遊ばせながら、腹黒い天使は笑う。さらりとした前髪の下、長い睫毛の奥で碧眼が妖しく煌めいていた。
形の良い唇から飛び出したのは、とんでもない一言だった。
「今日はこのまま、スるから」
「はぁ!?」
そう言った後、セレナは鍵を部屋の隅に投げ飛ばしやがった。
そして俺が呆気にとられているうちに、さっさと両足首をバンドで拘束したのだった。
「もう、逃げられないぞ♡」
「お前……それでも天使か?」
「そんな天使に手も足も出ない悪魔は誰かしら?」
「チッ……!!」
馬乗りになった彼女を睨みつけるが、そんなことで怖気付く女ではないのはとうの昔に知っていた。
「満足するまで、付き合ってもらうから」
耳元で囁かれ、彼女の甘ったるい香水の香りが鼻を掠める。その匂いを嗅ぐのは、決まってセックスする時である。
匂い一つでこの前の情事を思い出し、身体がその気になってくるのだから、条件反射とは恐ろしいものだ。
「ね、たまには良いでしょ??」
どうやら今夜は、コイツの独壇場らしい。
「……分かったよ」
「ふふっ」
仕事で忙しかったり予定が合わなかったりで、最近二人の時間を作れなかった負い目もあったので、俺は渋々了承したのだった。
「んーと、じゃあ何からシよっかなぁ?」
今の俺には、目の前の女が他に悪いことを思いつかないよう願うことしか出来なかった。
鼻歌交じりに、セレナは俺のシャツのボタンを外していく。
「あ、そうだ」
ボタンを外し終えた後、セレナはワンピースを脱ぎ始める。
彼女が服の下に着ていたのは……黒のベビードールだった。
透ける素材で出来ており、胸の谷間からへそ、やけに布面積が少ないショーツに至るまでが、丸見えだ。
しかし胸元の先だけがレースで丁度隠されており、見えない分余計に劣情を煽る。
豊満な胸は、柔い布地の狭間から今にもこぼれ落ちそうになっていた。
そして下はご丁寧に、同じく黒のガーターベルトに太もも丈の黒ストッキングという具合だ。
端的に言って、エロい。……エロ過ぎる。
「ピンクも迷ったんだけど、黒の方が悪魔っぽいかなーと思って。似合う?」
悪魔っぽさを求める天使が、何処の世界にいるというのか。
「……コンプラ違反だとかで、上司に怒られちまえ」
「素直じゃないなぁ。……じゃあ、もうちょっと素直な子に聞いてみようかな?」
「おいっ……!!」
抵抗虚しく、あっさりベルトは外され、
ボクサーパンツからソレが引っ張り出される。
彼女の露出度の高い格好を見て、少しだけ反応を示していた愚息。それを見て俺は舌打ちし、セレナは嬉しそうに笑った。
「……ほら、小悪魔ちゃんは似合ってるって。ホント素直で可愛い♡」
「さ、触んな!!」
小動物を撫でるように、セレナは竿を一度だけ扱いた。
まさかこうなると思っていなかったので、当然風呂など入ってない。しかしそんなことお構い無しに、セレナは鼻先を半勃ちのペニスに近付けた。
「ちょっと汗かいた?昼間は暑かったもんね」
「……っ!!」
スンスンと鼻を鳴らし、包皮を指で遊ばせながら彼女は問うた。口に出さずとも、他の匂いにも気付いていることだろう。
アソコの匂いで一日したことを知られるなど、屈辱である他無かった。
「……汚ぇから、触んな」
「別におしっことか、私気にしないよ?」
「俺が気にするっつーの!!」
洗ってないソコを触られるのが、俺は好きではない。自分のせいで彼女が汚れる罪悪感に、どうにも耐えられないのだ。
「何か……悪ぃから」
「あらあ、悪魔らしからぬセリフだこと」
「うるせぇ!!」
最早、どちらが悪魔か分からない状況である。
セレナは不満げに頬を膨らましたものの、なんとか納得させることは出来たようだった。
「仕方ないなぁ。泣かれちゃったらどうしようも無いもんね」
んな下らないことで泣くか、と言いかけたが、仕返しか怖いので、ギリギリで言葉を飲み込む。
が、安心したのも束の間。セレナはベッドの上で立ち上がり、柔い竿を足で弄び始めたのだった。
「……っ!? やめっ、!?」
足裏が、竿を勿体ぶるように擽る。時折陰嚢を爪先でつつき、身体を震わす俺を見ながらセレナはくつくつと笑う。
「大丈夫だよ、流石に金蹴りまではヤらないから」
「お前……っ、んっ、うっ!?」
ここ2日程抜いてなかったので、性器は刺激に敏感になっていた。それにより少しの揶揄いだけで、既にペニスはガチガチに硬くなっていた。
そして身体は、射精に繋がるもっと強い刺激を求め始めていた。
強請るように腰が揺れそうになるのを、俺は残った理性で必死に食い止める。
「ぐっ、は、ぁ、……ッ、ん、」
「大分溜まってそうだね。オナニーよりエッチの方が好きだもんね? 正直、今日だって期待してたでしょ?」
「黙っ……! ぁ、ぐっ、!?」
カウパー液が全体に塗り伸ばされ、竿がいやらしい艶を纏う。ぬるりとしたストッキングの感触は、今まで感じたことの無い快感をもたらした。
亀頭がくにゅりくにゅりと足の指で揉まれたかと思えば、裏筋から玉に降りていく。それから竿全体を足裏で踏みつけ、尿道口あたりを親指で押してくる。
「こんなみっともない姿、誰にも見せられないね♡悪魔くん♡♡」
「ックソが……ッ!!」
天使が脚を動かす度にベビードールの裾がひらりと捲れる。
どうやらTバックを履いているらしく、クロッチがやたら狭いため、踏み込まれる度に、下着の奥の箇所がはみ出るんじゃないかと期待してしまう。
見えそうで見えない状況に、俺は興奮と共に苛立ちを募らせていた。
「覗いてんの、バレてるよ。ステヴァンのエッチ。むっつりスケベ」
「……っ、だ、ぁ、まれ、っ……うっ!!」
そこまで言われても、刺激が足りない分を視覚や嗅覚で補おうとするのは止められない。
俺は知らぬ間に、射精したいという生理的欲求を満たすのに全神経を集中させていた。
「はい、ストップ」
「……!? なっ!?」
もう少しでイくところだったのに、セレナは足踏みを止めてしまったのだった。
そこでふと、恐ろしい考えが頭に思い浮かぶ。
先程セレナは、満足するまで付き合えと言った。それは、彼女が納得するまで何回戦でもヤるという意味だと捉えていた。
しかしそうではなく、彼女が納得するまで俺がイくのはおあずけという意味なのではないか……と。
ならば、とんだ生き地獄である。
「さてさて」
Tバックをシーツの上に放って、セレナは再度俺に跨った。ベビードールの薄い布地が目隠しとなり、恥毛の奥の花弁をはっきりと目にすることは出来ない。
心の中で、本日何度目か分からない舌打ちをする。
「小悪魔ちゃんには、もう少し頑張って貰おうかな?」
「は?……っ!?、ぐっ、ぁっあああっ!!」
竿を倒し、そこに口付けるように陰唇を宛てがわれる。性器を擦り合わされ、俺はあられも無い声を上げた。
「あっ♡あっ♡♡ステヴァンの、当たってるう♡♡♡♡」
蕩けたような顔で、セレナは恥ずかしげも無く歓喜を口にする。
グチュグチュという粘液の混ざる音が、耳を侵し、正気を失わせていく。
口の端に涎が垂れるのも拭えず、俺はただただ獣のように喘いだ。
「……っく、ぁ、あ、ぐっ、はっ……っ、」
「ん♡ん♡♡久しぶりのおちんちんで、クリ気持ちイイ♡♡♡♡♡♡♡♡」
硬くなった秘種が、ぐりぐりと竿に押し付けられる度にペニスが震えた。
そしてセレナが動く度、ふるりとボリュームのある胸が揺れる。それは自分としては褒美である他無かった。
よし。もう少しで、イける。
焦点の合わぬ目で、俺は悟られぬようセレナの上体に視線をさまよわせる。頭の中で、必死に足りない分をパズルのように想像で埋め合わせていた。
が、残念ながらイくよりもセレナに気付かれる方が早かった。
「……っは、まだ、物足りなさそうだね♡」
素股を止め、セレナは俺の目の前に胸を差し出すように倒れ込んできた。
湯上りのように上気した頬が、堪らなく色っぽい。けれども、まだヤッてないのにヤッたような顔すんなとも毒づきたくもなる。
「ね、おっぱい舐めたい?」
「……っ、!!」
「エッチの時絶対舐めるくらいおっぱい大好きだから、やっぱり舐めたいよね? ステヴァン君?」
わざとらしく俺の鎖骨やら胸板やらに手を這わせながら、セレナは囁く。
天使の囁きなんかじゃない。悪魔の囁きだ。
「……っ、クソがっ……!!」
悪態を吐けど、忌々しげに豊満な胸元のレースを睨めど、状況は変わらない。
「じゃあ、お強請りしてみせて。上手に出来たらさせてあげる」
「……っ、舐めたい」
「何を?」
「……っ、む、胸を」
「おっぱいを、でしょ? 後、他人にものを頼む時は??」
「おっぱいを、舐めさせて……下さ、い」
覚えとけよ、この野郎。
心の中でそう叫んだのは、言うまでもない。
とはいえ、目の前の天使……否、悪魔は俺の一言に満足したようだった。
「ん、良く出来ました♡」
俺を座る体勢にしてから、セレナはベッドサイドからコンドームの箱を持ってきた。そしてベビードールの胸元のリボンを解き、乳房を顕にしたのだった。
生唾を呑み、俺は目当ての代物を凝する。
抜けるように白い肌の乳房。
淀みの無いピンク色の乳輪は、柔らかさを失って尖りとなっていた。反射的に、吸い付くように口を動かしてしまう自分がいた。
正常な思考は、もうできなくなっていた。
「欲しいよねえ、でも、ちょっと待っててね」
慣れた手つきで、コンドームがフルに勃起したペニスに着けられていく。
「……っ、は、ぁ」
まだ前段階だというのに、互いにもう息が上がっている。きっと、達するまでさほど時間はかからないだろう。
そこまで考えていた時。竿にゴムを這わせながら、セレナはぽつりと独り言を零したのだった。
「……私が悪魔じゃなくて、ごめんね」
その言葉を耳にして、ふと我に返る。セレナの目は、何処か憂いを帯びていた。
「悪魔同士だったら、コソコソしなくて良いのにね」
「……」
そう。天使と悪魔の交際は、公に認められていない。子を成すことも、現状タブーとされている。
天使側は、悪魔との交際を認めて良いのではという意見が多数派であると聞いたことがある。
しかし、悪魔側は依然として天使との交際に否定的な見方が強い。
それは長い歴史の中で、天使が悪魔に嫌われ役を押し付けたせいで、悪魔は人間から嫌われてしまったという考えからだった。
近年、何度か二者の代表で話し合いが持たれたが、天使側の提案を悪魔側が拒否する形で失敗に終わっている。
そんなこともあり、セレナも密かに申し訳無さを感じていたのかもしれない。
が、この件で彼女が申し訳無さを抱くのはお門違いである。
「くっだらねぇ、」
「……っ、だって……!!」
「今のところ駄目なだけで、これからずっと駄目な訳じゃねえだろ」
「……」
「世間が認めようが、なかろうが、お前と別れる気は、……無えよ」
「……っ!!」
驚いたように、セレナは目を見開いた。それから直ぐに、いつものヘラりとした笑顔に戻っていったのだった。
悲しむな、笑っててくれ。
「ふふっ……何か、嬉しいな」
伝えたかったことは、言葉には出さずとも伝わったようだった。
ゴムを着け終わった後、セレナは股を開いて、俺の膝の上に乗った。
ゆっくりと、腰が落とされていく。
そしてようやく、二人は身体の奥で結ばれたのだった。
「っ、ぁっ、は、っは、あっ、ぐっ……っ、!!」
「ひぁん♡♡おっきい♡♡♡久しぶりの、ステヴァンの、おちんちん♡♡♡♡♡」
互いの気持ちを確かめ合うかのように、ガツガツと腰を打ち付ける。
膣が自身まとわりつく久々の感覚をじっくり味わう余裕など残ってはいなかった。
「あっ♡ほら、思う存分、舐めて良いよ♡♡♡」
「んうっ、は、っ……!!」
セレナが顔に胸を押し付けてきたタイミングで、俺は乳房にむしゃぶりついた。
舌全体で舐め、歯を当て、甘く尖りを噛む。そうして待ち焦がれていた柔らかさを堪能していると、セレナが自分の頭を撫でていることに気が付いた。
「はっ♡♡スゥちゃん、お腹空かした赤ちゃんみたいに♡必死になっちゃって♡♡♡可愛い♡♡♡♡♡」
「っるせぇ、悪いか……っ!!あと、その呼び方はやめろ恥ずかしい!!」
「んっ♡だって可愛いんだもんっ♡♡♡だいすき♡♡♡♡♡……っ♡♡あああん♡♡♡♡♡♡♡」
本能の赴くままに、目の前の女を求める。その度に、ぱちゅん、ぱちゅんと互いを求める水音が部屋に響き渡るのだった。
不意に、セレナを抱き締めたいと考え始める。このまま出すことも出来るが、それだけでは物足りなく思い始めたのだ。しかし、手錠の鍵は部屋の隅だ。
ガチャッ。
……が、苛立ちをぶつけるように思いっきり手を左右に引いたところ、手錠の鎖はあっさり千切れたのだった。
関門を突破し、俺はセレナを抱き締めて、そのままシーツに押し倒した。そして、足首のバンドも引きちぎって、容赦無く律動を始める。
「え、手錠千切っちゃったの?スゥちゃん、ヤバすぎ♡♡♡♡」
「はっ、そんだけ煽ったのは、お前だろうが……!!」
「ん♡♡今日のスゥちゃん、まじ発情期のゴリラみたい♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
やかましい口をキスで塞ぎ、追い込むように、ひたすらに腰を振る。汗で互いの肌がぴたりとくっつき、文字通り俺達は一つになっていた。
そして、限界は訪れた。
「あん♡♡♡♡♡スゥちゃん♡♡♡♡私イッちゃう♡♡♡一緒にイきたいっ♡♡♡♡♡♡」
「……っ、勿論に決まってんだろ、……っ、ぐっ……出る……っ、!!」
「ひっ♡♡♡♡ああああああああぁぁぁ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
セレナの抱擁、そして、絶頂。
ゴム越しに、ペニスが跳ねながら精液を吐き出していくのを感じる。
が、到底一回で終わる気は無かった。
溜めに溜めた欲が空になるまで、情交は続いた。
+
終わったのは、夜が明ける直前であった。
「も、だめ……っ♡♡♡♡」
「はっ、……っ、」
余韻に浸るように、二人して裸でベッドに倒れ込む。そうすると、セレナが抱きついてきたのだった。
「ん……楽しかった♡」
「……取り敢えず、手錠だけはもう懲り懲りだ」
「ふふっ、やりすぎちゃって、ごめんね♡」
「……ったく」
覚えとけよとは思ったが。
寝て起きたら、コイツのことを許してしまうんだろうな……と思いつつ、俺はセレナの背中に手を回した。
「おやすみ♡」
「ああ、……おやすみ」
何だかんだで俺は、この悪魔のような天使に、どうしようも無く惚れ込んでいるのだから。
後ろ手に手錠を掛けられ、ベッドに転がされて今に至る。そんな俺を満足げに見下ろすのは、悪魔のような女。
いや、悪魔のような天使だ。
「……いきなり何しやがんだ、セレナ」
「何って、今日はハロウィンでしょ? 可愛い彼ぴっぴに、イタズラしなきゃ勿体ないじゃない?」
「ハロウィンはそういう日じゃねぇだろ!!」
久しぶりに一緒に過ごそうと誘われて彼女の家に来てみたら、このザマだ。
ただの家デートかと思ってのこのこやって来た数分前の自分を、全力で殴り飛ばしてやりたい。
「取り敢えず、この物騒なもん外せよ」
手錠をガチャガチャ鳴らしながら、俺は溜息をついた。
「あら、そんな生意気言っちゃって、ホントに良いの? ステヴァン?」
手錠の鍵を細い指先で遊ばせながら、腹黒い天使は笑う。さらりとした前髪の下、長い睫毛の奥で碧眼が妖しく煌めいていた。
形の良い唇から飛び出したのは、とんでもない一言だった。
「今日はこのまま、スるから」
「はぁ!?」
そう言った後、セレナは鍵を部屋の隅に投げ飛ばしやがった。
そして俺が呆気にとられているうちに、さっさと両足首をバンドで拘束したのだった。
「もう、逃げられないぞ♡」
「お前……それでも天使か?」
「そんな天使に手も足も出ない悪魔は誰かしら?」
「チッ……!!」
馬乗りになった彼女を睨みつけるが、そんなことで怖気付く女ではないのはとうの昔に知っていた。
「満足するまで、付き合ってもらうから」
耳元で囁かれ、彼女の甘ったるい香水の香りが鼻を掠める。その匂いを嗅ぐのは、決まってセックスする時である。
匂い一つでこの前の情事を思い出し、身体がその気になってくるのだから、条件反射とは恐ろしいものだ。
「ね、たまには良いでしょ??」
どうやら今夜は、コイツの独壇場らしい。
「……分かったよ」
「ふふっ」
仕事で忙しかったり予定が合わなかったりで、最近二人の時間を作れなかった負い目もあったので、俺は渋々了承したのだった。
「んーと、じゃあ何からシよっかなぁ?」
今の俺には、目の前の女が他に悪いことを思いつかないよう願うことしか出来なかった。
鼻歌交じりに、セレナは俺のシャツのボタンを外していく。
「あ、そうだ」
ボタンを外し終えた後、セレナはワンピースを脱ぎ始める。
彼女が服の下に着ていたのは……黒のベビードールだった。
透ける素材で出来ており、胸の谷間からへそ、やけに布面積が少ないショーツに至るまでが、丸見えだ。
しかし胸元の先だけがレースで丁度隠されており、見えない分余計に劣情を煽る。
豊満な胸は、柔い布地の狭間から今にもこぼれ落ちそうになっていた。
そして下はご丁寧に、同じく黒のガーターベルトに太もも丈の黒ストッキングという具合だ。
端的に言って、エロい。……エロ過ぎる。
「ピンクも迷ったんだけど、黒の方が悪魔っぽいかなーと思って。似合う?」
悪魔っぽさを求める天使が、何処の世界にいるというのか。
「……コンプラ違反だとかで、上司に怒られちまえ」
「素直じゃないなぁ。……じゃあ、もうちょっと素直な子に聞いてみようかな?」
「おいっ……!!」
抵抗虚しく、あっさりベルトは外され、
ボクサーパンツからソレが引っ張り出される。
彼女の露出度の高い格好を見て、少しだけ反応を示していた愚息。それを見て俺は舌打ちし、セレナは嬉しそうに笑った。
「……ほら、小悪魔ちゃんは似合ってるって。ホント素直で可愛い♡」
「さ、触んな!!」
小動物を撫でるように、セレナは竿を一度だけ扱いた。
まさかこうなると思っていなかったので、当然風呂など入ってない。しかしそんなことお構い無しに、セレナは鼻先を半勃ちのペニスに近付けた。
「ちょっと汗かいた?昼間は暑かったもんね」
「……っ!!」
スンスンと鼻を鳴らし、包皮を指で遊ばせながら彼女は問うた。口に出さずとも、他の匂いにも気付いていることだろう。
アソコの匂いで一日したことを知られるなど、屈辱である他無かった。
「……汚ぇから、触んな」
「別におしっことか、私気にしないよ?」
「俺が気にするっつーの!!」
洗ってないソコを触られるのが、俺は好きではない。自分のせいで彼女が汚れる罪悪感に、どうにも耐えられないのだ。
「何か……悪ぃから」
「あらあ、悪魔らしからぬセリフだこと」
「うるせぇ!!」
最早、どちらが悪魔か分からない状況である。
セレナは不満げに頬を膨らましたものの、なんとか納得させることは出来たようだった。
「仕方ないなぁ。泣かれちゃったらどうしようも無いもんね」
んな下らないことで泣くか、と言いかけたが、仕返しか怖いので、ギリギリで言葉を飲み込む。
が、安心したのも束の間。セレナはベッドの上で立ち上がり、柔い竿を足で弄び始めたのだった。
「……っ!? やめっ、!?」
足裏が、竿を勿体ぶるように擽る。時折陰嚢を爪先でつつき、身体を震わす俺を見ながらセレナはくつくつと笑う。
「大丈夫だよ、流石に金蹴りまではヤらないから」
「お前……っ、んっ、うっ!?」
ここ2日程抜いてなかったので、性器は刺激に敏感になっていた。それにより少しの揶揄いだけで、既にペニスはガチガチに硬くなっていた。
そして身体は、射精に繋がるもっと強い刺激を求め始めていた。
強請るように腰が揺れそうになるのを、俺は残った理性で必死に食い止める。
「ぐっ、は、ぁ、……ッ、ん、」
「大分溜まってそうだね。オナニーよりエッチの方が好きだもんね? 正直、今日だって期待してたでしょ?」
「黙っ……! ぁ、ぐっ、!?」
カウパー液が全体に塗り伸ばされ、竿がいやらしい艶を纏う。ぬるりとしたストッキングの感触は、今まで感じたことの無い快感をもたらした。
亀頭がくにゅりくにゅりと足の指で揉まれたかと思えば、裏筋から玉に降りていく。それから竿全体を足裏で踏みつけ、尿道口あたりを親指で押してくる。
「こんなみっともない姿、誰にも見せられないね♡悪魔くん♡♡」
「ックソが……ッ!!」
天使が脚を動かす度にベビードールの裾がひらりと捲れる。
どうやらTバックを履いているらしく、クロッチがやたら狭いため、踏み込まれる度に、下着の奥の箇所がはみ出るんじゃないかと期待してしまう。
見えそうで見えない状況に、俺は興奮と共に苛立ちを募らせていた。
「覗いてんの、バレてるよ。ステヴァンのエッチ。むっつりスケベ」
「……っ、だ、ぁ、まれ、っ……うっ!!」
そこまで言われても、刺激が足りない分を視覚や嗅覚で補おうとするのは止められない。
俺は知らぬ間に、射精したいという生理的欲求を満たすのに全神経を集中させていた。
「はい、ストップ」
「……!? なっ!?」
もう少しでイくところだったのに、セレナは足踏みを止めてしまったのだった。
そこでふと、恐ろしい考えが頭に思い浮かぶ。
先程セレナは、満足するまで付き合えと言った。それは、彼女が納得するまで何回戦でもヤるという意味だと捉えていた。
しかしそうではなく、彼女が納得するまで俺がイくのはおあずけという意味なのではないか……と。
ならば、とんだ生き地獄である。
「さてさて」
Tバックをシーツの上に放って、セレナは再度俺に跨った。ベビードールの薄い布地が目隠しとなり、恥毛の奥の花弁をはっきりと目にすることは出来ない。
心の中で、本日何度目か分からない舌打ちをする。
「小悪魔ちゃんには、もう少し頑張って貰おうかな?」
「は?……っ!?、ぐっ、ぁっあああっ!!」
竿を倒し、そこに口付けるように陰唇を宛てがわれる。性器を擦り合わされ、俺はあられも無い声を上げた。
「あっ♡あっ♡♡ステヴァンの、当たってるう♡♡♡♡」
蕩けたような顔で、セレナは恥ずかしげも無く歓喜を口にする。
グチュグチュという粘液の混ざる音が、耳を侵し、正気を失わせていく。
口の端に涎が垂れるのも拭えず、俺はただただ獣のように喘いだ。
「……っく、ぁ、あ、ぐっ、はっ……っ、」
「ん♡ん♡♡久しぶりのおちんちんで、クリ気持ちイイ♡♡♡♡♡♡♡♡」
硬くなった秘種が、ぐりぐりと竿に押し付けられる度にペニスが震えた。
そしてセレナが動く度、ふるりとボリュームのある胸が揺れる。それは自分としては褒美である他無かった。
よし。もう少しで、イける。
焦点の合わぬ目で、俺は悟られぬようセレナの上体に視線をさまよわせる。頭の中で、必死に足りない分をパズルのように想像で埋め合わせていた。
が、残念ながらイくよりもセレナに気付かれる方が早かった。
「……っは、まだ、物足りなさそうだね♡」
素股を止め、セレナは俺の目の前に胸を差し出すように倒れ込んできた。
湯上りのように上気した頬が、堪らなく色っぽい。けれども、まだヤッてないのにヤッたような顔すんなとも毒づきたくもなる。
「ね、おっぱい舐めたい?」
「……っ、!!」
「エッチの時絶対舐めるくらいおっぱい大好きだから、やっぱり舐めたいよね? ステヴァン君?」
わざとらしく俺の鎖骨やら胸板やらに手を這わせながら、セレナは囁く。
天使の囁きなんかじゃない。悪魔の囁きだ。
「……っ、クソがっ……!!」
悪態を吐けど、忌々しげに豊満な胸元のレースを睨めど、状況は変わらない。
「じゃあ、お強請りしてみせて。上手に出来たらさせてあげる」
「……っ、舐めたい」
「何を?」
「……っ、む、胸を」
「おっぱいを、でしょ? 後、他人にものを頼む時は??」
「おっぱいを、舐めさせて……下さ、い」
覚えとけよ、この野郎。
心の中でそう叫んだのは、言うまでもない。
とはいえ、目の前の天使……否、悪魔は俺の一言に満足したようだった。
「ん、良く出来ました♡」
俺を座る体勢にしてから、セレナはベッドサイドからコンドームの箱を持ってきた。そしてベビードールの胸元のリボンを解き、乳房を顕にしたのだった。
生唾を呑み、俺は目当ての代物を凝する。
抜けるように白い肌の乳房。
淀みの無いピンク色の乳輪は、柔らかさを失って尖りとなっていた。反射的に、吸い付くように口を動かしてしまう自分がいた。
正常な思考は、もうできなくなっていた。
「欲しいよねえ、でも、ちょっと待っててね」
慣れた手つきで、コンドームがフルに勃起したペニスに着けられていく。
「……っ、は、ぁ」
まだ前段階だというのに、互いにもう息が上がっている。きっと、達するまでさほど時間はかからないだろう。
そこまで考えていた時。竿にゴムを這わせながら、セレナはぽつりと独り言を零したのだった。
「……私が悪魔じゃなくて、ごめんね」
その言葉を耳にして、ふと我に返る。セレナの目は、何処か憂いを帯びていた。
「悪魔同士だったら、コソコソしなくて良いのにね」
「……」
そう。天使と悪魔の交際は、公に認められていない。子を成すことも、現状タブーとされている。
天使側は、悪魔との交際を認めて良いのではという意見が多数派であると聞いたことがある。
しかし、悪魔側は依然として天使との交際に否定的な見方が強い。
それは長い歴史の中で、天使が悪魔に嫌われ役を押し付けたせいで、悪魔は人間から嫌われてしまったという考えからだった。
近年、何度か二者の代表で話し合いが持たれたが、天使側の提案を悪魔側が拒否する形で失敗に終わっている。
そんなこともあり、セレナも密かに申し訳無さを感じていたのかもしれない。
が、この件で彼女が申し訳無さを抱くのはお門違いである。
「くっだらねぇ、」
「……っ、だって……!!」
「今のところ駄目なだけで、これからずっと駄目な訳じゃねえだろ」
「……」
「世間が認めようが、なかろうが、お前と別れる気は、……無えよ」
「……っ!!」
驚いたように、セレナは目を見開いた。それから直ぐに、いつものヘラりとした笑顔に戻っていったのだった。
悲しむな、笑っててくれ。
「ふふっ……何か、嬉しいな」
伝えたかったことは、言葉には出さずとも伝わったようだった。
ゴムを着け終わった後、セレナは股を開いて、俺の膝の上に乗った。
ゆっくりと、腰が落とされていく。
そしてようやく、二人は身体の奥で結ばれたのだった。
「っ、ぁっ、は、っは、あっ、ぐっ……っ、!!」
「ひぁん♡♡おっきい♡♡♡久しぶりの、ステヴァンの、おちんちん♡♡♡♡♡」
互いの気持ちを確かめ合うかのように、ガツガツと腰を打ち付ける。
膣が自身まとわりつく久々の感覚をじっくり味わう余裕など残ってはいなかった。
「あっ♡ほら、思う存分、舐めて良いよ♡♡♡」
「んうっ、は、っ……!!」
セレナが顔に胸を押し付けてきたタイミングで、俺は乳房にむしゃぶりついた。
舌全体で舐め、歯を当て、甘く尖りを噛む。そうして待ち焦がれていた柔らかさを堪能していると、セレナが自分の頭を撫でていることに気が付いた。
「はっ♡♡スゥちゃん、お腹空かした赤ちゃんみたいに♡必死になっちゃって♡♡♡可愛い♡♡♡♡♡」
「っるせぇ、悪いか……っ!!あと、その呼び方はやめろ恥ずかしい!!」
「んっ♡だって可愛いんだもんっ♡♡♡だいすき♡♡♡♡♡……っ♡♡あああん♡♡♡♡♡♡♡」
本能の赴くままに、目の前の女を求める。その度に、ぱちゅん、ぱちゅんと互いを求める水音が部屋に響き渡るのだった。
不意に、セレナを抱き締めたいと考え始める。このまま出すことも出来るが、それだけでは物足りなく思い始めたのだ。しかし、手錠の鍵は部屋の隅だ。
ガチャッ。
……が、苛立ちをぶつけるように思いっきり手を左右に引いたところ、手錠の鎖はあっさり千切れたのだった。
関門を突破し、俺はセレナを抱き締めて、そのままシーツに押し倒した。そして、足首のバンドも引きちぎって、容赦無く律動を始める。
「え、手錠千切っちゃったの?スゥちゃん、ヤバすぎ♡♡♡♡」
「はっ、そんだけ煽ったのは、お前だろうが……!!」
「ん♡♡今日のスゥちゃん、まじ発情期のゴリラみたい♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
やかましい口をキスで塞ぎ、追い込むように、ひたすらに腰を振る。汗で互いの肌がぴたりとくっつき、文字通り俺達は一つになっていた。
そして、限界は訪れた。
「あん♡♡♡♡♡スゥちゃん♡♡♡♡私イッちゃう♡♡♡一緒にイきたいっ♡♡♡♡♡♡」
「……っ、勿論に決まってんだろ、……っ、ぐっ……出る……っ、!!」
「ひっ♡♡♡♡ああああああああぁぁぁ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
セレナの抱擁、そして、絶頂。
ゴム越しに、ペニスが跳ねながら精液を吐き出していくのを感じる。
が、到底一回で終わる気は無かった。
溜めに溜めた欲が空になるまで、情交は続いた。
+
終わったのは、夜が明ける直前であった。
「も、だめ……っ♡♡♡♡」
「はっ、……っ、」
余韻に浸るように、二人して裸でベッドに倒れ込む。そうすると、セレナが抱きついてきたのだった。
「ん……楽しかった♡」
「……取り敢えず、手錠だけはもう懲り懲りだ」
「ふふっ、やりすぎちゃって、ごめんね♡」
「……ったく」
覚えとけよとは思ったが。
寝て起きたら、コイツのことを許してしまうんだろうな……と思いつつ、俺はセレナの背中に手を回した。
「おやすみ♡」
「ああ、……おやすみ」
何だかんだで俺は、この悪魔のような天使に、どうしようも無く惚れ込んでいるのだから。
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