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序章 日常編
巫女様と黒
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side天月
初めて黒に出会った時は綺麗な男の子だと思った。真っ黒な髪に真っ黒な目。黒髪は日本人特有って言うけど、それにしても黒い髪。……私と同じ、色。
だから私は翁の言う通り、目の前の男の子を初めての巫女守にした。
「黒、どうして白に冷たいの?」
「何のことですか?」
後ろについてくる黒に声を掛けてもしらばっくれるのはいつもの事。だけど今日ばかりはこのままで済ませるわけにはいかない。この先、何があるのか分からないから。
「巫女守の役目は巫女を守ること。それなのに巫女守同士がいがみ合っていたら、守れるものも守れなくなる。結果、巫女は死ぬ。ーーそんなに私を殺したいの?」
「天月様っ!」
キツいことを言っているのは分かってる。黒が私を大事にしてくれていることは分かっているし、私を殺すくらいなら自分で死ぬような男なのも理解している。それでも、このまま終わらせるつもりはなかった。
「いい加減、我慢出来ない。仲良く出来るまで私の部屋にいれない。世話も、桜にしてもらう。早く自分の部屋に戻りなさい」
「天月様……」
絶望的な表情をする黒を置いて私は部屋へと進む。後から着いてきてくれる、同じ巫女の桜に気付くとゆっくり息を吐いた。
「悪いけど、頼む」
「畏まりました、姫巫女様」
桜は私が巫女院に来た時から世話係をしてくれてる。最近はその大半の仕事を黒が奪ってるけど、嫌な顔一つしない、私から見てもいい女。生まれがここじゃなかったらもっと幸せになれるのに。
巫女院にいる巫女達は、皆この中で生まれる。毎年男の巫女、覡と巫女が選ばれ儀式の部屋で子を成す。儀式の指揮は覡が取っているため、拒否も逃げも許されない。
粗相をした巫女に罰として与えられる事もある。内容もその時により変化し、最悪一度に何人もの相手をしなくてはならなかったりもするらしい。子供を産めば巫女は穢れたとされ、巫女院に戻る事は出来なくなる。
それはまさに地獄だと言った巫女も結局は儀式に参加させられた。逆らう術は、勿論ない。
そんな中で生まれたはずなのに、私の知る巫女たちは皆綺麗で聡明…生きていることを楽しみ、日々新たなことを学んでいく。外を知っている私にとっては、理解出来ないことだし…理解しようとも思わない。それでも巫女にはその生活しかなくて…それを変えるには、まだ色々と足りない。
「姫巫女様、どうかなさいました?」
「何でもない。ーー明日は出かける、月読様に伝えといて」
「畏まりました。ついでに白さんにも伝えておきますね」
「ああ、よく分かったな」
「これでも、このお仕事に誇りを持っておりますから」
無邪気に笑う桜は、本当に勿体ないほどいい女。私は彼女とそのまま部屋に入っていった。
初めて黒に出会った時は綺麗な男の子だと思った。真っ黒な髪に真っ黒な目。黒髪は日本人特有って言うけど、それにしても黒い髪。……私と同じ、色。
だから私は翁の言う通り、目の前の男の子を初めての巫女守にした。
「黒、どうして白に冷たいの?」
「何のことですか?」
後ろについてくる黒に声を掛けてもしらばっくれるのはいつもの事。だけど今日ばかりはこのままで済ませるわけにはいかない。この先、何があるのか分からないから。
「巫女守の役目は巫女を守ること。それなのに巫女守同士がいがみ合っていたら、守れるものも守れなくなる。結果、巫女は死ぬ。ーーそんなに私を殺したいの?」
「天月様っ!」
キツいことを言っているのは分かってる。黒が私を大事にしてくれていることは分かっているし、私を殺すくらいなら自分で死ぬような男なのも理解している。それでも、このまま終わらせるつもりはなかった。
「いい加減、我慢出来ない。仲良く出来るまで私の部屋にいれない。世話も、桜にしてもらう。早く自分の部屋に戻りなさい」
「天月様……」
絶望的な表情をする黒を置いて私は部屋へと進む。後から着いてきてくれる、同じ巫女の桜に気付くとゆっくり息を吐いた。
「悪いけど、頼む」
「畏まりました、姫巫女様」
桜は私が巫女院に来た時から世話係をしてくれてる。最近はその大半の仕事を黒が奪ってるけど、嫌な顔一つしない、私から見てもいい女。生まれがここじゃなかったらもっと幸せになれるのに。
巫女院にいる巫女達は、皆この中で生まれる。毎年男の巫女、覡と巫女が選ばれ儀式の部屋で子を成す。儀式の指揮は覡が取っているため、拒否も逃げも許されない。
粗相をした巫女に罰として与えられる事もある。内容もその時により変化し、最悪一度に何人もの相手をしなくてはならなかったりもするらしい。子供を産めば巫女は穢れたとされ、巫女院に戻る事は出来なくなる。
それはまさに地獄だと言った巫女も結局は儀式に参加させられた。逆らう術は、勿論ない。
そんな中で生まれたはずなのに、私の知る巫女たちは皆綺麗で聡明…生きていることを楽しみ、日々新たなことを学んでいく。外を知っている私にとっては、理解出来ないことだし…理解しようとも思わない。それでも巫女にはその生活しかなくて…それを変えるには、まだ色々と足りない。
「姫巫女様、どうかなさいました?」
「何でもない。ーー明日は出かける、月読様に伝えといて」
「畏まりました。ついでに白さんにも伝えておきますね」
「ああ、よく分かったな」
「これでも、このお仕事に誇りを持っておりますから」
無邪気に笑う桜は、本当に勿体ないほどいい女。私は彼女とそのまま部屋に入っていった。
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