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序章 日常編
黒と白
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side黒
早乙女巫女院へ帰ると出迎えたのは天月様お付の巫女達…ではなく、同じ巫女守の白だった。
「おかえり、姫さん」
「姫様、です白」
「あー、そうだった」
正直に言うと、私はこの男が大嫌いである。理由は簡単で、天月様に対して敬意が足りないことと…この男と天月様の出会い方だ。この男は元々災いで…その癖に天月様の寵愛を受けている。
詳しい話を省くと、要するに。私と天月様の関係を引き裂く邪魔者だということだ。しかも白は私を敵だとすら思っていない。それこそが一番腹立たしいということに、この男はいつになったら気づくのであろう?
「黒もお疲れ」
「貴方にそう言われるために働いた訳ではありません」
「分かってるって」
無邪気に見える笑い方で笑うが、目は笑ってない気さえする。天月様が気にしないのなら構わないがーーこの男はいつ裏切るのか分からない。用心するに越したことはないであろう。
「んな警戒すんなって。俺は術師でも何でもないんだから」
「そういう問題ではありません」
そう、そういう問題ではないのだ。
前を向くと天月様は既にご寝所へと足を進めていた。私は馬鹿に構うのをやめ、その後を追いかけて行った。
◆
side白
天月様と帰ってきた黒は相変わらず冷たくて、思わず笑うとその目に睨まれる。その顔が怖いせいで巫女達が出迎えを拒んでるってことに一体いつになったら気付くんだか。
黒の敵対対象である俺が迎えに出なきゃいい、って話にもなるだろうけど、一応姫さん付きの巫女守である以上それは出来ない選択で、アイツもそれを分かっている。
黒が俺を気に食わない理由はお気に入りの玩具を取られたってガキじみたもので、しかもその泥棒が術師の生まれじゃないってとこだろう。しかも俺は姫様を殺そうとした術から生まれて、それなのに生かされてる。いくら姫様の気まぐれだとしても、そう簡単に受け入れることが出来ないのは容易に想像が着くけど……もうちょい大人になっていいんじゃないかとも思う。
ちなみに術師ってのは所謂エリートで、医術、武術、剣術。“術”とつく全てを操るスペシャリストだ。今は平安時代でいう陰陽師みたいな仕事を請け負っているーー実は今でも鬼とか魍魎と呼ばれるものも存在しているーーが、影では日本という国を牛耳ってたりする。
その実権を担うのが早乙女巫女院でありその頂点である月読様で、地位的には天月様の唯一の上司。実際は乙女みたいな女の子だけど。……さすがの俺でも初対面の人間に「貴方は災いだって言われているらしいけど本当の事ですの?」なんてことは聞かない。間違っても聞くことじゃない。……間違わないで聞いてきたけど。
「白」
俺を呼ぶ姫さんの声に肩を竦めて見せてから、俺も姫さんに言われるまま着いて行った。
早乙女巫女院へ帰ると出迎えたのは天月様お付の巫女達…ではなく、同じ巫女守の白だった。
「おかえり、姫さん」
「姫様、です白」
「あー、そうだった」
正直に言うと、私はこの男が大嫌いである。理由は簡単で、天月様に対して敬意が足りないことと…この男と天月様の出会い方だ。この男は元々災いで…その癖に天月様の寵愛を受けている。
詳しい話を省くと、要するに。私と天月様の関係を引き裂く邪魔者だということだ。しかも白は私を敵だとすら思っていない。それこそが一番腹立たしいということに、この男はいつになったら気づくのであろう?
「黒もお疲れ」
「貴方にそう言われるために働いた訳ではありません」
「分かってるって」
無邪気に見える笑い方で笑うが、目は笑ってない気さえする。天月様が気にしないのなら構わないがーーこの男はいつ裏切るのか分からない。用心するに越したことはないであろう。
「んな警戒すんなって。俺は術師でも何でもないんだから」
「そういう問題ではありません」
そう、そういう問題ではないのだ。
前を向くと天月様は既にご寝所へと足を進めていた。私は馬鹿に構うのをやめ、その後を追いかけて行った。
◆
side白
天月様と帰ってきた黒は相変わらず冷たくて、思わず笑うとその目に睨まれる。その顔が怖いせいで巫女達が出迎えを拒んでるってことに一体いつになったら気付くんだか。
黒の敵対対象である俺が迎えに出なきゃいい、って話にもなるだろうけど、一応姫さん付きの巫女守である以上それは出来ない選択で、アイツもそれを分かっている。
黒が俺を気に食わない理由はお気に入りの玩具を取られたってガキじみたもので、しかもその泥棒が術師の生まれじゃないってとこだろう。しかも俺は姫様を殺そうとした術から生まれて、それなのに生かされてる。いくら姫様の気まぐれだとしても、そう簡単に受け入れることが出来ないのは容易に想像が着くけど……もうちょい大人になっていいんじゃないかとも思う。
ちなみに術師ってのは所謂エリートで、医術、武術、剣術。“術”とつく全てを操るスペシャリストだ。今は平安時代でいう陰陽師みたいな仕事を請け負っているーー実は今でも鬼とか魍魎と呼ばれるものも存在しているーーが、影では日本という国を牛耳ってたりする。
その実権を担うのが早乙女巫女院でありその頂点である月読様で、地位的には天月様の唯一の上司。実際は乙女みたいな女の子だけど。……さすがの俺でも初対面の人間に「貴方は災いだって言われているらしいけど本当の事ですの?」なんてことは聞かない。間違っても聞くことじゃない。……間違わないで聞いてきたけど。
「白」
俺を呼ぶ姫さんの声に肩を竦めて見せてから、俺も姫さんに言われるまま着いて行った。
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