無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一

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第160話 可能性

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 怪しい動きを繰り返す不審船の存在。
 どうやら事件と無関係ではなさそうだな。

「どう考えてもその船が怪しいですね」
「そうね……隙をついて上陸し、総攻撃を仕掛けてくるのかも」

 ノエリーとアリアーヌは不審船の存在を警戒している。
 当然、俺もそいつが怪しいとは睨んでいるのだが……少し気がかりな点があった。
 それについて説明しようとしたのだが、俺よりも先にミネットが口を開く。

「わたくしも概ね同感ですが……少し露骨すぎる気がしますわね」
「露骨?」

 ミネットが言わんとしていることがよく分からずにそう返すノエリー。
 だが、隣で話を聞いていたアリアーヌは何となく察したようだ。

「なるほど……そう言われると確かに不可解な行動かもしれませんね」
「俺も同じ意見だ」

 ここで俺も会話に加わる。

「ヤツらがなぜ接近しつつも上陸まで至らなかったのか……もちろん、ライリーさんたち自警団の守りが強固だったからという理由もあるのだろうけど、恐らく自分たちの存在を強く印象付けたかったんじゃないかって思うんだ」
「印象付ける……だとすると、連中の狙いはもっと別のところに?」
「推測ですが」

 ライリーさんは驚きつつも何度か頷いて納得した様子。
 たぶん、実際にヤツらの船の動きを見ているからこそこの考えがしっくりと当てはまっているのだろう。

「し、しかし、そうなると連中の真の狙いとは……」
「考えられるのは――海から仕掛けるのではなく、陸から仕掛けようとしているのではないでしょうか」
「り、陸から!?」

 このリゾート地は海のすぐ近く。
 ゆえに、海路を通じて攻め込むのがセオリーといえばセオリーなんだろうけど、逆に決まりきったコースだから守りやすさもある。

 海沿いの警備を固めておけばいいし、巡視用の船を出しておけば威嚇にもなる。

 ――だから、連中はそこをついてきたのではないか。

 海の方から敵が攻め込んでくると思わせておいて実は陸に戦力を集中させておく。

「……ライリーさん。仮に敵が陸から攻めてくるとするならどこからだと思いますか?」
「そうですな……」

 ライリーさんは壁に貼られた周辺の地図へ視線を移す。

「ラムド渓谷でしょうか。ここへ来られる貴族の方々は馬車で通りやすい平野ルートを通られるのが大半なので、あちらは人が少ないんです」
「隠れてコソコソ何かをやるにはもってこいというわけか」

 どうやら、次の目的地は決まったようだな。
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