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0話。ヴィヴィアンの初恋7
しおりを挟む鏡の前で、チェリーは人差し指を上げた。
その仕草はアイリス令嬢の癖を完璧に再現していた。
微笑も、歩幅も、息の止め方すら違わない。
けれど、胸に灯る鼓動だけは、チェリーとして鳴っている。
今日の私は貴族として歩くけれど、この仮面の奥で、誰にも見えない真実を探り、導いてみせる。
少しカッコつけて話してみた。
最近、流行りの小説「公爵令嬢と探偵」
残念ながらアイリスの代役として貴族の集まりに出席するチェリー。
その中で、とある貴族が“アイリスではないと、気づいたようだ。
仮面は、着けているがチェリーの左目近くの泣き黒子が見えていた。
アイリス公爵令嬢には泣き黒子なんて無いのだ。
彼女はアイリス公爵令嬢としてやり遂げなければ、ならない問題があった。
謝金返済が......終わらないからだ!
昨夜、彼女から渡された文書の話を思いだしていた。
「これが王家からの密命よ」
アイリス公爵令嬢が机の引き出しから一枚の文書を差し出した。
封蝋には王家の紋章。そして、その下に記されていた任務イルマルク国の高官への接触。
ん~~!
チェリーはその文字を見て息を飲む。
潜入して、彼らの企みを暴け?
えっ、もしかして、これだけ?
アイリス公爵令嬢ー。クソ女!!
叫びたいが我慢した。
今ここで、あのクソ女の事を言っても仕方ないね!
頭を切り換えることにした。
一階のフロアーから二人の男性がコソコソ話しているようだ。
そして私は、聞いてしまう秘密の取引それはヴィヴィアンに関係しているかもしれない。
嫌まさか彼女がそんな事する訳が無いわ。
アイリスはすべて知っていて、チェリーに“裏の社交界を探れと命令したのか?
その可能性もあるようだ。
「これが王家からの密命よ」
アイリス公爵令嬢が机の引き出しから一枚の文書を差し出した。
封蝋には王家の紋章。そして、その下に記されていた任務イルマルク国の高官への接触。
チェリーはその文字を見て息を飲む。
潜入して、彼らの企みを暴け。
国家のために。
でも、国家の“ためにって誰のため?
そう呟いた自分の心に、まだ答えはなかった。
王家とアイリスの力関係、そしてチェリーが巻き込まれる「国家レベルの陰謀」
チェリーが仮面の人物と初めて言葉を交わす、イルマルクの仮面舞踏会は、沈黙と香りの世界。そんな中で交わされたひと言は、チェリーの心を揺らすには十分すぎた。
仮面の人物が足を止めたのは、チェリーのわずか数歩前。
仮面越しに感情は見えないはずなのに、その沈黙が“確かな存在感”を放っていた。
「その眼差し…アイリスにはない炎が灯っている」
チェリーは思わず視線を逸らした。
演じる側として言われたその言葉が、なぜか見透かされた気がしたのだ。
チェリーが禁書の頁をめくるたび、空間がきしむような感覚に包まれた。
灯火は揺れ、壁に影が踊る。その揺らぎの中に、かすかに別の足音が誰かがそこにいる。
「……そこまでたどり着いたのね」
棚の陰から現れたのはヴィヴィアンだった。
ピンク色のドレス、目元にはかつての輝きと不安が混ざった瞳。彼女は、チェリーの手元の本をじっと見つめる。
「その書は、アイリス自身が触れぬよう封じていたもの。忠誠とは、彼女にとってただの手段それを読む者が、彼女の真意に近づきすぎるから」
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