あれから会う事もなく3年が立ちました

尾道小町

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毒の夜。

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城の部屋での暮らしにも、少しずつ慣れてきた。  

ユージンは庭園で遊び、私は彼の笑顔を見守る日々。  

ユリアス王太子殿下との距離も、少しずつ縮まっていた。

その日、私は疲れて昼寝をしていた。  

ユージンは静かに部屋を抜け出し、庭園で花を摘んでいた。  

そこへ、見知らぬ侍女が現れた。

「こんにちは、ユージン様。お名前は?」  

「ユージンでしゅう。おかあしゃまは、シルビアでしゅ」

侍女は微笑み、頬を撫でながら言った。  
「お母様はお疲れでしょう?この薬を水で混ぜて飲ませて、あげてくださいね」

ユージンは頷き、包みを受け取った。  
「ありがとでしゅう」

部屋に戻ると、私はまだ眠っていた。  

ユージンは水差しからコップに水を注ぎ、薬を混ぜた。  
「おかあしゃま、やさしいジジョからもらったおくしゅりでしゅう」

私は微笑みながら、それを飲んだ。  
「ありがとう、ユージン」

数分後、コップが床に落ちた。  
ガシャン。  
私は意識を失い、倒れた。

「おかあしゃま、どうしましゅたか?だれかよんできましゅう!」  

ユージンは泣きながら叫んだ。  
「たしゅけてください!おかあしゃまが、たおれました!」

侍女は姿を消していた。  

誰だったのか、わからない。  

ただ、ユージンの手に残された包みだけが、証拠だった。

医師の診断は「毒による昏睡」  

命は助かったが、意識は戻らなかった。

ユリアス王太子殿下は怒りに震えた。  
「必ず見つけ出して、処刑してやる」  

だが、侍女の行方はわからなかった。

ユージンは泣き続けた。  
「おかあしゃま、めをあけてくだしゃい……」

私は眠ったまま、何も言えなかった。  

ただ、心の奥で、ユージンの声だけが響いていた。

その夜、城の空気は重く沈んだ。  

誰もが、あの侍女の正体を探っていた。  

そして、ユリアスは決意した。

「俺が、シルビアを救う。どんな代償を払っても」

その言葉が、夜の静けさに溶けていった。  

毒の夜は、まだ終わっていなかった。

その出来事を境に、仮面の文化は変わり始めた。  

顔を見せることは、祈りを分かち合うことになった。  

沈黙は、語られる余白へと姿を変えた。

仮面は、もう隠すためのものではない。  

それは、語るための準備かもしれない。  

顔を持つことで、祈りは誰かに届く。  

そして、届いた祈りはまた誰かを赦す。


シルビアは眠ったまま、目を覚まさなかった。  
医師は「毒の影響で意識が戻る可能性は低い」と告げた。  
ユージンは毎日、母の手を握りながら泣いていた。

「おかあしゃま、めをあけてくだしゃい」

ユリアス王太子殿下は、藁にもすがる思いで古文書を探した。  
そして、ある伝承に辿り着いた。

妖精の木。  
見える者には虹色に輝き、願いを叶える。  

だが、代償を払えなければ、魂は消える。

「俺が行く。必ず見つけて、シルビアを救う」

旅の共には親衛隊長ロマネスクと二人の隊員。  

目的地はイラス国、砂漠の奥にあるというオアシス。

一ヶ月の旅路。  

砂嵐、乾いた風、星のない夜。  

それでも、ユリアスは歩き続けた。

ある休憩所で、謎の男が現れた。  
「西の奥に、探している木がある。恋人の病は回復するだろう」

翌朝、男の姿はなかった。  
支配人に訊ねても「そんな者は見ていない」と言われた。

西の奥へ向かうと、朝日よりも明るい虹色の光が見えた。  
その木は、確かに“妖精の木”だった。









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