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▼スプラッタ有り系
創作文「クチャクチャ電話」
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スマホが鳴った。非通知だ。
手持ち無沙汰だったので、何となく出てみた。
電話はしばらくはノイズ混じりの無音だった……が、不意に『クチャ……クチャ……』と湿っぽい咀嚼音が聞こえてきた。
「うわ」
耳元で急に聞こえてきた咀嚼音に思わずゾワリとする。
反射で「気持ち悪っ」と思いはしたが、実は『ASMR』が好きな私は悲しいかな、軽く興味を惹かれてしまった。
湿っぽい咀嚼音は、休み休み流れ続けた。
最初は鳥肌が立ったが、慣れてしまうと何だか耳元で延々とペチャペチャされている気分になってきていやらしい気分になってきた。
電話先の相手を「今をときめくイケメン俳優」とイメージして、しばらく聴き続けた。
しまいには「いい自慰道具だなぁ」とすら思い始めた。
『…………ミサカちゃん、美味しいなぁ』
急に男の声がした。ひっ、と思わず声を出した。
だって、『ミサカ』は私の事である。
『ミサカちゃ……美味しい、ねぇ……足の小指、美味しいねぇ……』
クチャクチャペチャペチャな音に、男の不気味なセリフまで混じり始めた。
ゾクゾクゾクッと一気に鳥肌が立ったと同時に、妙に興奮して某所が濡れてしまった。
何だか左足の小指すらこそばゆく感じた。
『……ミサカちゃ、足のお指、どれもオイシイね。プリッとしてて歯ごたえがあるネ』
「いっ……!」急に左足の指に激痛が走った。
スマホを置いて足に目をやると、気がつけば足が血に濡れていた。
え? いつ? どっかにぶつけた?
私は戸惑う。慌ててティッシュで足の血を拭く。
『ミサカちゃ、血も美味しい、ね………あっ……ふくらはぎも、モチモチすべすべだね……オイシイネ……』
と、床に置いたスマホから急に音が出た。私は悲鳴をあげた。
スマホを手に取り、勝手にスピーカーモードになっていた設定を取り消す。
だが、スピーカーモードから直らない。部屋に咀嚼音が響く。
「痛い!」左ふくらはぎに痛みが走る。見ると、歯型が付いている。足が徐々に赤紫に腐っていっているように見えた。
『太ももも……オイシイネぇ……大腿骨……出汁がおいしいおいしい……』
ふとももの奥の骨が痒い。経験した事のないむず痒さが皮膚の奥で暴れる。
やっと気が付いた。電話のコイツは、私を食べている。左足から順に食べている。しゃぶっている。ねぶっている。
「いやっ! いやぁっ!」
私は半狂乱になって、スマホを壁に叩きつけた。画面の割れる音がしたが、忌まわしいクチャクチャ音は止まらない。
『ミサカちゃ……元気だね、ぇ……手足、留めとこうねぇ……』
スマホから「ガンッ」という音と共に両手足に鋭い痛みが走る。私は床に倒れた。
仰向けのまま大の字になり、そのまま動けなくなった。
首だけ動かして痛みのあった手の平を見ると、どうもぽっかり穴が空いて、そこから血が流れ出ている。
コイツ、私をピンで留めたのだ。まるで昆虫採取の標本のように私を床にピンで留めたのだ。
見えないピンで体を留められた私は、おぞましい音声をただひたすら聴いて、舐められ、噛みつかれ、解体されるだけの存在になった。
ミサカちゃ、あまりお腹にモノが入ってないね。ちゃんと食べなきゃだめだよ。ミサカちゃ、の、おケケうすいね。肺が、きれいだね、たばこすわないん、だね、甘美だね、ミサカちゃの全身、甘美だね、飽きないね、オイシイね、耳、ちぎるね、ごめんね、でもおいしいね、どうしよう、一気にここまで食べてしまったね、鼻から上はとっておこうかな、ね?ミサカちゃ
自分の体がどうなっているか、もう知りたくもないし考えたくもない。
舐め回された快感と食われた激痛で、意外にも私は恍惚としていた。
そう言えばコイツ、私の事を延々と褒めてばかりである。ここ最近、こんなに褒められた事はなかったな。
嬉しいな。私、美味しいって。
手持ち無沙汰だったので、何となく出てみた。
電話はしばらくはノイズ混じりの無音だった……が、不意に『クチャ……クチャ……』と湿っぽい咀嚼音が聞こえてきた。
「うわ」
耳元で急に聞こえてきた咀嚼音に思わずゾワリとする。
反射で「気持ち悪っ」と思いはしたが、実は『ASMR』が好きな私は悲しいかな、軽く興味を惹かれてしまった。
湿っぽい咀嚼音は、休み休み流れ続けた。
最初は鳥肌が立ったが、慣れてしまうと何だか耳元で延々とペチャペチャされている気分になってきていやらしい気分になってきた。
電話先の相手を「今をときめくイケメン俳優」とイメージして、しばらく聴き続けた。
しまいには「いい自慰道具だなぁ」とすら思い始めた。
『…………ミサカちゃん、美味しいなぁ』
急に男の声がした。ひっ、と思わず声を出した。
だって、『ミサカ』は私の事である。
『ミサカちゃ……美味しい、ねぇ……足の小指、美味しいねぇ……』
クチャクチャペチャペチャな音に、男の不気味なセリフまで混じり始めた。
ゾクゾクゾクッと一気に鳥肌が立ったと同時に、妙に興奮して某所が濡れてしまった。
何だか左足の小指すらこそばゆく感じた。
『……ミサカちゃ、足のお指、どれもオイシイね。プリッとしてて歯ごたえがあるネ』
「いっ……!」急に左足の指に激痛が走った。
スマホを置いて足に目をやると、気がつけば足が血に濡れていた。
え? いつ? どっかにぶつけた?
私は戸惑う。慌ててティッシュで足の血を拭く。
『ミサカちゃ、血も美味しい、ね………あっ……ふくらはぎも、モチモチすべすべだね……オイシイネ……』
と、床に置いたスマホから急に音が出た。私は悲鳴をあげた。
スマホを手に取り、勝手にスピーカーモードになっていた設定を取り消す。
だが、スピーカーモードから直らない。部屋に咀嚼音が響く。
「痛い!」左ふくらはぎに痛みが走る。見ると、歯型が付いている。足が徐々に赤紫に腐っていっているように見えた。
『太ももも……オイシイネぇ……大腿骨……出汁がおいしいおいしい……』
ふとももの奥の骨が痒い。経験した事のないむず痒さが皮膚の奥で暴れる。
やっと気が付いた。電話のコイツは、私を食べている。左足から順に食べている。しゃぶっている。ねぶっている。
「いやっ! いやぁっ!」
私は半狂乱になって、スマホを壁に叩きつけた。画面の割れる音がしたが、忌まわしいクチャクチャ音は止まらない。
『ミサカちゃ……元気だね、ぇ……手足、留めとこうねぇ……』
スマホから「ガンッ」という音と共に両手足に鋭い痛みが走る。私は床に倒れた。
仰向けのまま大の字になり、そのまま動けなくなった。
首だけ動かして痛みのあった手の平を見ると、どうもぽっかり穴が空いて、そこから血が流れ出ている。
コイツ、私をピンで留めたのだ。まるで昆虫採取の標本のように私を床にピンで留めたのだ。
見えないピンで体を留められた私は、おぞましい音声をただひたすら聴いて、舐められ、噛みつかれ、解体されるだけの存在になった。
ミサカちゃ、あまりお腹にモノが入ってないね。ちゃんと食べなきゃだめだよ。ミサカちゃ、の、おケケうすいね。肺が、きれいだね、たばこすわないん、だね、甘美だね、ミサカちゃの全身、甘美だね、飽きないね、オイシイね、耳、ちぎるね、ごめんね、でもおいしいね、どうしよう、一気にここまで食べてしまったね、鼻から上はとっておこうかな、ね?ミサカちゃ
自分の体がどうなっているか、もう知りたくもないし考えたくもない。
舐め回された快感と食われた激痛で、意外にも私は恍惚としていた。
そう言えばコイツ、私の事を延々と褒めてばかりである。ここ最近、こんなに褒められた事はなかったな。
嬉しいな。私、美味しいって。
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