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2匹目 とりあえず始めてみよう
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「出会い系アプリなんてどうだろうか」
「出会い系……?」
出会い系アプリ、聞いたことがある、会員の中で自分に合いそうな人を見つけ、仲良くなり、恋を芽生えさせる、といういわゆる縁結びの役割を仲介してくれるアプリのことだ。
しかし、昨今の世の中でそれを利用した未成年への性犯罪などが増加したこともあってか、学生の使用は危険ということで暗黙の了解のようなもので禁止されていた。
実際去年まで僕も禁止されていた。
そんなこともあってか、少し恐る恐る僕は廉太郎にこう聞く。
「危険じゃないか……?」
すると廉太郎はもう一度考えるような動作をしたあと首を横に振る。
「いや、そこまで危険じゃないはずだ、なんたってお前はちゃんと出会いを求めてやってるわけだからね」
彼の言葉に納得し、頭の中で僕は小鼓を打つ、そしてその後に廉太郎は「そこらへんの下衆な連中とは根本的に違うさ」と付け加える。
それに僕は、「それもそうだな」と答える。
「とりあえず始めてみるよ、サンキュ」
「おう、頑張れ」
そうしていると昼のチャイムが鳴り、昼休憩の時間になった。
「始めてみるとは言ったものの……どうしたものかな……これ」
今、僕のスマートフォンの画面には無数の出会い系アプリのアイコンが浮かんでおり、とてもではないが一人だけでは決めかね考えあぐねてしまう量だ。
だからといってまた廉太郎に聞くのは気が引ける。
さぁどうしたものかとスマートフォンを片手に小首を傾げていると、なんと幸運なことであろうか廉太郎があちら側から話しかけてきてくれた。
「どうした?まるで迷路に迷い込んだ子羊みたいな顔だな」
「いや、そんな顔してないでしょ?いやね、これ」
そう言い僕は廉太郎に画面を向ける。
「あ~なるほどね、種類が多くて訳がわからない感じか」
「そう、なんかおすすめとかあるの?」
「ん~俺も特にこういうやつを使ったことないからな……」
「そうなんだ、じゃあ今の彼女は……」
「はいはい、そういう話はやめてね~」
「あ、あのすみません、許してください、顔怖いです」
「分かればよろしい……あ、この[デアエル]ってやつなんてどうだ?」
そう言いさっきの鬼のような形相が嘘だったかのような表情で僕に画面を向ける。
見た感じ利用者は大人が多め、動物好きも多いし、細かい分析からの趣味の合致率も高い。
「……良いかもね」
「よっし、そうと決まれば会員登録だな」
そうして、会員登録をしようとしたその数秒後、遠くの方から廉太郎を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら問題があったらしい。
「……ったく、休み時間だってんのに、休ませろよな、それじゃ」
「はいよ、サンキュな」
廉太郎の背中が小さくなっていくのを尻目に僕は会員登録を進める。
まず、メールアドレスとパスワード、ニックネームを設定し、ログインする。
とりあえずニックネームは02にしておいた。
ログインすると画面に『あなたの好きなものをアピールポイントにしてみましょう!』と出る。
それを押すとたくさんの項目があり、その中の選択肢から選択していく、すると最後に自由にPRをする欄があり、そこに『猫が好きです、猫ならどんな猫でも愛せる自信があります』と書いておいた。
正直、女の人にウケるPRではないのはわかっているが、これしか取り柄がないためしょうがない。
……しょうがなくはないんだが。
「とりあえずこんなもんかな」
すると『登録が完全に終了しました!あなたの運命の恋人が見つかりますように!』というバナーが画面に広がる、そのバナーを閉じると『あなたにおすすめユーザー』という名目で沢山の猫好きのユーザーが出てくる。
その中でも一層目を引いたのが、自己PRの欄が『猫のことをとんでもなく好きな人、どうか私を拾ってください』という少し訳のわからない文章の女性だった。
一見すると変人だが、僕の自分自身の短いPRとどこかはわからないが近しい感じがしたため、俺はその人に声をかけた。
『僕、猫のこととんでもなく好きなんですよ』
と。
これが僕の恋の馴れ初めの最初の言葉。
「出会い系……?」
出会い系アプリ、聞いたことがある、会員の中で自分に合いそうな人を見つけ、仲良くなり、恋を芽生えさせる、といういわゆる縁結びの役割を仲介してくれるアプリのことだ。
しかし、昨今の世の中でそれを利用した未成年への性犯罪などが増加したこともあってか、学生の使用は危険ということで暗黙の了解のようなもので禁止されていた。
実際去年まで僕も禁止されていた。
そんなこともあってか、少し恐る恐る僕は廉太郎にこう聞く。
「危険じゃないか……?」
すると廉太郎はもう一度考えるような動作をしたあと首を横に振る。
「いや、そこまで危険じゃないはずだ、なんたってお前はちゃんと出会いを求めてやってるわけだからね」
彼の言葉に納得し、頭の中で僕は小鼓を打つ、そしてその後に廉太郎は「そこらへんの下衆な連中とは根本的に違うさ」と付け加える。
それに僕は、「それもそうだな」と答える。
「とりあえず始めてみるよ、サンキュ」
「おう、頑張れ」
そうしていると昼のチャイムが鳴り、昼休憩の時間になった。
「始めてみるとは言ったものの……どうしたものかな……これ」
今、僕のスマートフォンの画面には無数の出会い系アプリのアイコンが浮かんでおり、とてもではないが一人だけでは決めかね考えあぐねてしまう量だ。
だからといってまた廉太郎に聞くのは気が引ける。
さぁどうしたものかとスマートフォンを片手に小首を傾げていると、なんと幸運なことであろうか廉太郎があちら側から話しかけてきてくれた。
「どうした?まるで迷路に迷い込んだ子羊みたいな顔だな」
「いや、そんな顔してないでしょ?いやね、これ」
そう言い僕は廉太郎に画面を向ける。
「あ~なるほどね、種類が多くて訳がわからない感じか」
「そう、なんかおすすめとかあるの?」
「ん~俺も特にこういうやつを使ったことないからな……」
「そうなんだ、じゃあ今の彼女は……」
「はいはい、そういう話はやめてね~」
「あ、あのすみません、許してください、顔怖いです」
「分かればよろしい……あ、この[デアエル]ってやつなんてどうだ?」
そう言いさっきの鬼のような形相が嘘だったかのような表情で僕に画面を向ける。
見た感じ利用者は大人が多め、動物好きも多いし、細かい分析からの趣味の合致率も高い。
「……良いかもね」
「よっし、そうと決まれば会員登録だな」
そうして、会員登録をしようとしたその数秒後、遠くの方から廉太郎を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら問題があったらしい。
「……ったく、休み時間だってんのに、休ませろよな、それじゃ」
「はいよ、サンキュな」
廉太郎の背中が小さくなっていくのを尻目に僕は会員登録を進める。
まず、メールアドレスとパスワード、ニックネームを設定し、ログインする。
とりあえずニックネームは02にしておいた。
ログインすると画面に『あなたの好きなものをアピールポイントにしてみましょう!』と出る。
それを押すとたくさんの項目があり、その中の選択肢から選択していく、すると最後に自由にPRをする欄があり、そこに『猫が好きです、猫ならどんな猫でも愛せる自信があります』と書いておいた。
正直、女の人にウケるPRではないのはわかっているが、これしか取り柄がないためしょうがない。
……しょうがなくはないんだが。
「とりあえずこんなもんかな」
すると『登録が完全に終了しました!あなたの運命の恋人が見つかりますように!』というバナーが画面に広がる、そのバナーを閉じると『あなたにおすすめユーザー』という名目で沢山の猫好きのユーザーが出てくる。
その中でも一層目を引いたのが、自己PRの欄が『猫のことをとんでもなく好きな人、どうか私を拾ってください』という少し訳のわからない文章の女性だった。
一見すると変人だが、僕の自分自身の短いPRとどこかはわからないが近しい感じがしたため、俺はその人に声をかけた。
『僕、猫のこととんでもなく好きなんですよ』
と。
これが僕の恋の馴れ初めの最初の言葉。
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