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16, 科学の授業
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「やっと終わった~」
「次は科学だ」
「後、4時間ありましテ」
半泣き状態のティアに追い討ちをかけてみる。
「ブラック、僕の書いてよー」
「ブラック姉様にやらせるとは…呪いますヨ」
科学の教室に移動して席に着きながらルナのガチトーンの声に苦笑をする。
「まぁやってやりたいのはやりたいんだが、生憎と私はアラビア語が書けないんだよ。英語なら書けるんだが…」
ティアは、「えーー」と、やや残念そうな声をあげた。後、様々な国の語の簡単な単語のみ。あまり使い道はない。
「…ブラック姉様は、その英語が書けると言うのは日本の学校で習ったからですカ?」
「いや、小学校では簡単な英会話しかやらない」
「じゃあ、どうやって覚えたの?」
話にティアが入り込んできた。ルナがやや眉をひそめる。
「あぁ、その事か。こう見えて私は出生地は、アメリカなんだよ」
「え、でもブラックって日本人だよね?ハーフなの?」
「いや、ハーフではない。祖母あたりまで遡っていくと分からないが、父さんも母さんも日本人だ」
「でしたらどうしてアメリカニ?」
「アメリカに暫く住んでいたんだよ。妹が産まれる前まで。…多分、3年くらいだな。だからか、住んでいた記憶はないが話していたのは英語だったからある程度話せるし、書くことも出来る。それに時々家族旅行で行くのも他の県よりもっぱらアメリカだしな」
「成る程ね」
「大体分かりましたワ」
机に筆記用具、ノート、教科書を置きながら話を続ける。
「2人は出生地はやはりフィリピンとエジプトなのか?」
「えぇ、そうですワ」
「そうだよ。そもそもエジプトから出たことがないよ。魔法界は、別だけど」
「旅行、行かないのか?家族旅行とか」
長期休暇になると行く人も多いと聞いたが…。
「家族旅行、行くんだけどさ、全部エジプト内なんだよ」
「わたくしは、両親のお陰で色々な国に行きますワ」
…そう言えば、
「ルナの家族は金持ちなのか?話し方もお嬢様言葉だし」
「フィリピンでも、富裕層の位置にいますワ。
もっとも、わたくしの両親はスラムなどの貧困層の人達を少しでも生活がしやすいように魔法をあまり使わずできる限りのことをやり、他の国を見て回りより良い方向へ導いていますワ」
そう淡々と言っているがその顔は、
「誇らしいんだな。ルナにとって両親は」
「えぇ…!誇りですワ」
…確かフィリピンは、貧富の差が激しかったんだっけ?大体90%の世帯が貧困層だったはずだ。
でも、フィリピンよりも貧しい国はアジアに沢山ある。これをどうにかしてあげたいが出来ないのが現実だ。どれだけ店にある募金箱に金を入れたとしても、救われた人がいたとしてもそれは一時的にしか過ぎない。根本的から直さないといけない。しかし、そんなうまくは出来ないものだ。これは、人の思考、経済、社会の移り変わりそんなもので意図も簡単に変わってしまう。こうやって比べてみると日本はまだ良い方なのか?…話が逸れたな。
「…と、ちょっと待て。ルナ、さっきフィリピンでもと言うと…」
「えぇ、魔法界でもですワ」
…マジか。
コロコロと笑っているルナを見て、もはや呆れてくる。
「それに、」と、僅かに顔を曇らせながらルナは話を続けた。
「わたくし達、魔法使いは基本的に人間界に行きませン」
「何故…?」
顔を曇らせながらも真剣な顔で話すルナに準備をしていた手を止め、聞いてみる。
「時間の流れが、違うからでス」
「………」
「先生方が話された通り、わたくし達は100分の1しか年をとることが出来ませン。だからこそ…親しくしていた人間の子が自分達より先に逝く、何て事が殆どでス。時にはそれを追って後を追う方も現れる程でス。
だから…それが悲しいからこそ、恐ろしいからこそ、わたくし達は其々人間界に旅行などに行くことはありますが、深追いを…深い関係を持たない方が殆どでス」
「…そうか」
泣きそうな顔でいるティアも見て、それだけ返した。
「科学は魔法と関係がないと思われがちですが、魔法は理解、想像力そしてそのものの原則を知ることが大切です。また、人間界の科学の元は魔法です。
そのため、科学とは魔法と関わりが深いです。しっかりと学んでいきましょう」
そう説明するのは、カールかかった夜空のような瞳に絶えず色を変える瞳を持った先生──ルーだ。
「今日は、無属性の1つである重力についてです。教科書の18ページを開いてください」
ここで使う教科書はぶっちゃけ小学校とかで使っていた教科書より見やすいし、分かりやすい。
「はじめに地球上にある全ての物体を地球から地球の中心に力を受けています。この事を“重力”と言います。
私達が物を持ったときに感じる“重さ"を作り出す原因です。物体が他の物体に引き寄せられる現象、“力"に対する呼称です」
教科書片手に黒板に書き込んでいくのを見ながらノートに写していく。
「力の大きさの単位には、ニュートン、記号だとNで表します。1Nは、100gの物体にはたらく重力の大きさにほぼ等しいと言えます。
ばねばかりを使えば、物体にはたらく重力の大きさをはかることができますが、重力の大きさは場所によって全く異なる場合があります。例えば、月面上では重力の大きさは地球上の約6分の1しかありません。
場所が変わったとしてもその物体を作っている物質の量は変わりません。そのものの量を“質量”と言い、gとkgで表します」
そこで黒板に書くのを止め、1冊の分厚い本を机に置き、指で右に押した。
「このように物体にはたらく力は、この指と本が接する点を始点とし、“力のはたらく点”、右に押したことを“力の向き”と言い、その動かした長さを“力の大きさ”と言います」
本から手を離しながら話を続ける。
「この本を置いただけにしても重力は物体全体にはたらいています。本の中心を作用点とすると垂直抗力のように面にはたらく力をその面の1点を作用点として考えられます」
「─────このようなことを理解をした上でやると物を浮かせることではなく物を大きくしたり、逆に縮めたりすることが出来ます」
そう言いながら実践をして見せた。
「このようなことは、この後の基本の魔法学で学びます。今やったことを忘れないように頭に叩き込んでください」
鐘の音が聞こえ、科学の授業は終わった。
「ティア、調子はどうだ?」
「ダメ。真面目に死ぬ」
即答だな。
「だってさ、意味わからないよ。ニュートンってなに?圧力とか意味わからない上に水圧とかもっと無理だよ…大気圧も。
…魔法を使うまでがこんなに大変だって思わなかった………」
「でも、ティア様は水属性だから水魔法でしたよネ?水を固めて球状にするウォーターボールは水圧の応用だったはずですワ…」
死相が出てそうな表情でいるティアを見て、教科書やらを鞄に仕舞って纏めているルナが更に追い討ちをかける。
「うわーーーーーぁーー!!!魔法なんて嫌いだーーー!!」
叫んだティアを見て、苦笑をする。何だかティアを見てると苦笑をする回数が多いような気がする。
そう3人で話していると、
「ブラックちゃん、放課後湖の前に来て。友達も連れて来てもいいわ。待ってるわ」
そう、通りすぎたルーに囁かれた。
「次は科学だ」
「後、4時間ありましテ」
半泣き状態のティアに追い討ちをかけてみる。
「ブラック、僕の書いてよー」
「ブラック姉様にやらせるとは…呪いますヨ」
科学の教室に移動して席に着きながらルナのガチトーンの声に苦笑をする。
「まぁやってやりたいのはやりたいんだが、生憎と私はアラビア語が書けないんだよ。英語なら書けるんだが…」
ティアは、「えーー」と、やや残念そうな声をあげた。後、様々な国の語の簡単な単語のみ。あまり使い道はない。
「…ブラック姉様は、その英語が書けると言うのは日本の学校で習ったからですカ?」
「いや、小学校では簡単な英会話しかやらない」
「じゃあ、どうやって覚えたの?」
話にティアが入り込んできた。ルナがやや眉をひそめる。
「あぁ、その事か。こう見えて私は出生地は、アメリカなんだよ」
「え、でもブラックって日本人だよね?ハーフなの?」
「いや、ハーフではない。祖母あたりまで遡っていくと分からないが、父さんも母さんも日本人だ」
「でしたらどうしてアメリカニ?」
「アメリカに暫く住んでいたんだよ。妹が産まれる前まで。…多分、3年くらいだな。だからか、住んでいた記憶はないが話していたのは英語だったからある程度話せるし、書くことも出来る。それに時々家族旅行で行くのも他の県よりもっぱらアメリカだしな」
「成る程ね」
「大体分かりましたワ」
机に筆記用具、ノート、教科書を置きながら話を続ける。
「2人は出生地はやはりフィリピンとエジプトなのか?」
「えぇ、そうですワ」
「そうだよ。そもそもエジプトから出たことがないよ。魔法界は、別だけど」
「旅行、行かないのか?家族旅行とか」
長期休暇になると行く人も多いと聞いたが…。
「家族旅行、行くんだけどさ、全部エジプト内なんだよ」
「わたくしは、両親のお陰で色々な国に行きますワ」
…そう言えば、
「ルナの家族は金持ちなのか?話し方もお嬢様言葉だし」
「フィリピンでも、富裕層の位置にいますワ。
もっとも、わたくしの両親はスラムなどの貧困層の人達を少しでも生活がしやすいように魔法をあまり使わずできる限りのことをやり、他の国を見て回りより良い方向へ導いていますワ」
そう淡々と言っているがその顔は、
「誇らしいんだな。ルナにとって両親は」
「えぇ…!誇りですワ」
…確かフィリピンは、貧富の差が激しかったんだっけ?大体90%の世帯が貧困層だったはずだ。
でも、フィリピンよりも貧しい国はアジアに沢山ある。これをどうにかしてあげたいが出来ないのが現実だ。どれだけ店にある募金箱に金を入れたとしても、救われた人がいたとしてもそれは一時的にしか過ぎない。根本的から直さないといけない。しかし、そんなうまくは出来ないものだ。これは、人の思考、経済、社会の移り変わりそんなもので意図も簡単に変わってしまう。こうやって比べてみると日本はまだ良い方なのか?…話が逸れたな。
「…と、ちょっと待て。ルナ、さっきフィリピンでもと言うと…」
「えぇ、魔法界でもですワ」
…マジか。
コロコロと笑っているルナを見て、もはや呆れてくる。
「それに、」と、僅かに顔を曇らせながらルナは話を続けた。
「わたくし達、魔法使いは基本的に人間界に行きませン」
「何故…?」
顔を曇らせながらも真剣な顔で話すルナに準備をしていた手を止め、聞いてみる。
「時間の流れが、違うからでス」
「………」
「先生方が話された通り、わたくし達は100分の1しか年をとることが出来ませン。だからこそ…親しくしていた人間の子が自分達より先に逝く、何て事が殆どでス。時にはそれを追って後を追う方も現れる程でス。
だから…それが悲しいからこそ、恐ろしいからこそ、わたくし達は其々人間界に旅行などに行くことはありますが、深追いを…深い関係を持たない方が殆どでス」
「…そうか」
泣きそうな顔でいるティアも見て、それだけ返した。
「科学は魔法と関係がないと思われがちですが、魔法は理解、想像力そしてそのものの原則を知ることが大切です。また、人間界の科学の元は魔法です。
そのため、科学とは魔法と関わりが深いです。しっかりと学んでいきましょう」
そう説明するのは、カールかかった夜空のような瞳に絶えず色を変える瞳を持った先生──ルーだ。
「今日は、無属性の1つである重力についてです。教科書の18ページを開いてください」
ここで使う教科書はぶっちゃけ小学校とかで使っていた教科書より見やすいし、分かりやすい。
「はじめに地球上にある全ての物体を地球から地球の中心に力を受けています。この事を“重力”と言います。
私達が物を持ったときに感じる“重さ"を作り出す原因です。物体が他の物体に引き寄せられる現象、“力"に対する呼称です」
教科書片手に黒板に書き込んでいくのを見ながらノートに写していく。
「力の大きさの単位には、ニュートン、記号だとNで表します。1Nは、100gの物体にはたらく重力の大きさにほぼ等しいと言えます。
ばねばかりを使えば、物体にはたらく重力の大きさをはかることができますが、重力の大きさは場所によって全く異なる場合があります。例えば、月面上では重力の大きさは地球上の約6分の1しかありません。
場所が変わったとしてもその物体を作っている物質の量は変わりません。そのものの量を“質量”と言い、gとkgで表します」
そこで黒板に書くのを止め、1冊の分厚い本を机に置き、指で右に押した。
「このように物体にはたらく力は、この指と本が接する点を始点とし、“力のはたらく点”、右に押したことを“力の向き”と言い、その動かした長さを“力の大きさ”と言います」
本から手を離しながら話を続ける。
「この本を置いただけにしても重力は物体全体にはたらいています。本の中心を作用点とすると垂直抗力のように面にはたらく力をその面の1点を作用点として考えられます」
「─────このようなことを理解をした上でやると物を浮かせることではなく物を大きくしたり、逆に縮めたりすることが出来ます」
そう言いながら実践をして見せた。
「このようなことは、この後の基本の魔法学で学びます。今やったことを忘れないように頭に叩き込んでください」
鐘の音が聞こえ、科学の授業は終わった。
「ティア、調子はどうだ?」
「ダメ。真面目に死ぬ」
即答だな。
「だってさ、意味わからないよ。ニュートンってなに?圧力とか意味わからない上に水圧とかもっと無理だよ…大気圧も。
…魔法を使うまでがこんなに大変だって思わなかった………」
「でも、ティア様は水属性だから水魔法でしたよネ?水を固めて球状にするウォーターボールは水圧の応用だったはずですワ…」
死相が出てそうな表情でいるティアを見て、教科書やらを鞄に仕舞って纏めているルナが更に追い討ちをかける。
「うわーーーーーぁーー!!!魔法なんて嫌いだーーー!!」
叫んだティアを見て、苦笑をする。何だかティアを見てると苦笑をする回数が多いような気がする。
そう3人で話していると、
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