Black Daiamond

Ray

文字の大きさ
17 / 18

16, 科学の授業

しおりを挟む
「やっと終わった~」
「次は科学だ」
「後、4時間ありましテ」
    半泣き状態のティアに追い討ちをかけてみる。

「ブラック、僕の書いてよー」
「ブラック姉様にやらせるとは…呪いますヨ」
    科学の教室に移動して席に着きながらルナのガチトーンの声に苦笑をする。
「まぁやってやりたいのはやりたいんだが、生憎と私はアラビア語が書けないんだよ。英語なら書けるんだが…」
    ティアは、「えーー」と、やや残念そうな声をあげた。後、様々な国の語の簡単な単語のみ。あまり使い道はない。
「…ブラック姉様は、その英語が書けると言うのは日本の学校で習ったからですカ?」
「いや、小学校では簡単な英会話しかやらない」
「じゃあ、どうやって覚えたの?」
    話にティアが入り込んできた。ルナがやや眉をひそめる。
「あぁ、その事か。こう見えて私は出生地は、アメリカなんだよ」
「え、でもブラックって日本人だよね?ハーフなの?」
「いや、ハーフではない。祖母あたりまで遡っていくと分からないが、父さんも母さんも日本人だ」
「でしたらどうしてアメリカニ?」
「アメリカに暫く住んでいたんだよ。妹が産まれる前まで。…多分、3年くらいだな。だからか、住んでいた記憶はないが話していたのは英語だったからある程度話せるし、書くことも出来る。それに時々家族旅行で行くのも他の県よりもっぱらアメリカだしな」
「成る程ね」
「大体分かりましたワ」
    机に筆記用具、ノート、教科書を置きながら話を続ける。
「2人は出生地はやはりフィリピンとエジプトなのか?」
「えぇ、そうですワ」
「そうだよ。そもそもエジプトから出たことがないよ。魔法界は、別だけど」
「旅行、行かないのか?家族旅行とか」
    長期休暇になると行く人も多いと聞いたが…。
「家族旅行、行くんだけどさ、全部エジプト内なんだよ」
「わたくしは、両親のお陰で色々な国に行きますワ」
    …そう言えば、
「ルナの家族は金持ちなのか?話し方もお嬢様言葉だし」
「フィリピンでも、富裕層の位置にいますワ。
    もっとも、わたくしの両親はスラムなどの貧困層の人達を少しでも生活がしやすいように魔法をあまり使わずできる限りのことをやり、他の国を見て回りより良い方向へ導いていますワ」
    そう淡々と言っているがその顔は、
「誇らしいんだな。ルナにとって両親は」
「えぇ…!誇りですワ」
    …確かフィリピンは、貧富ひんぷの差が激しかったんだっけ?大体90%の世帯が貧困層だったはずだ。
    でも、フィリピンよりも貧しい国はアジアに沢山ある。これをどうにかしてあげたいが出来ないのが現実だ。どれだけ店にある募金箱に金を入れたとしても、救われた人がいたとしてもそれは一時的にしか過ぎない。根本的から直さないといけない。しかし、そんなうまくは出来ないものだ。これは、人の思考、経済、社会の移り変わりそんなもので意図も簡単に変わってしまう。こうやって比べてみると日本はまだ良い方なのか?…話が逸れたな。

「…と、ちょっと待て。ルナ、さっきフィリピンでも・・と言うと…」
「えぇ、魔法界でも・・ですワ」
    …マジか。
    コロコロと笑っているルナを見て、もはや呆れてくる。

    「それに、」と、僅かに顔を曇らせながらルナは話を続けた。
「わたくし達、魔法使いは基本的に人間界に行きませン」
「何故…?」
    顔を曇らせながらも真剣な顔で話すルナに準備をしていた手を止め、聞いてみる。
「時間の流れが、違うからでス」
「………」
「先生方が話された通り、わたくし達は100分の1しか年をとることが出来ませン。だからこそ…親しくしていた人間の子が自分達より先に逝く、何て事が殆どでス。時にはそれを追って後を追う方も現れる程でス。
    だから…それが悲しいからこそ、恐ろしいからこそ、わたくし達は其々人間界に旅行などに行くことはありますが、深追いを…深い関係を持たない方が殆どでス」
「…そうか」
    泣きそうな顔でいるティアも見て、それだけ返した。



「科学は魔法と関係がないと思われがちですが、魔法は理解、想像力イメージそしてそのものの原則を知ることが大切です。また、人間界の科学の元は魔法です。
    そのため、科学とは魔法と関わりが深いです。しっかりと学んでいきましょう」
    そう説明するのは、カールかかった夜空のような瞳に絶えず色を変える瞳を持った先生──ルーだ。
「今日は、無属性の1つである重力についてです。教科書の18ページを開いてください」
    ここで使う教科書はぶっちゃけ小学校とかで使っていた教科書より見やすいし、分かりやすい。
「はじめに地球上にある全ての物体を地球から地球の中心に力を受けています。この事を“重力”と言います。
    私達が物を持ったときに感じる“重さ"を作り出す原因です。物体が他の物体に引き寄せられる現象、“力"に対する呼称です」
    教科書片手に黒板に書き込んでいくのを見ながらノートに写していく。
「力の大きさの単位には、ニュートン、記号だとNで表します。1Nは、100gの物体にはたらく重力の大きさにほぼ等しいと言えます。
    ばねばかりを使えば、物体にはたらく重力の大きさをはかることができますが、重力の大きさは場所によって全く異なる場合があります。例えば、月面上では重力の大きさは地球上の約6分の1しかありません。
場所が変わったとしてもその物体を作っている物質の量は変わりません。そのものの量を“質量”と言い、gグラムkgキログラムで表します」
    そこで黒板に書くのを止め、1冊の分厚い本を机に置き、指で右に押した。
「このように物体にはたらく力は、この指と本が接する点を始点とし、“力のはたらく点作用点”、右に押したことを“力の向き”と言い、その動かした長さを“力の大きさ”と言います」
    本から手を離しながら話を続ける。
「この本を置いただけにしても重力は物体全体にはたらいています。本の中心を作用点とすると垂直抗力のように面にはたらく力をその面の1点を作用点として考えられます」





「─────このようなことを理解をした上でやると物を浮かせることではなく物を大きくしたり、逆に縮めたりすることが出来ます」
   そう言いながら実践をして見せた。
「このようなことは、この後の基本の魔法学で学びます。今やったことを忘れないように頭に叩き込んでください」
    鐘の音が聞こえ、科学の授業は終わった。



「ティア、調子はどうだ?」
「ダメ。真面目に死ぬ」
    即答だな。
「だってさ、意味わからないよ。ニュートンってなに?圧力とか意味わからない上に水圧とかもっと無理だよ…大気圧も。
    …魔法を使うまでがこんなに大変だって思わなかった………」
「でも、ティア様は水属性だから水魔法でしたよネ?水を固めて球状にするウォーターボールは水圧の応用だったはずですワ…」
    死相が出てそうな表情でいるティアを見て、教科書やらを鞄に仕舞って纏めているルナが更に追い討ちをかける。
「うわーーーーーぁーー!!!魔法なんて嫌いだーーー!!」
    叫んだティアを見て、苦笑をする。何だかティアを見てると苦笑をする回数が多いような気がする。
    そう3人で話していると、
「ブラックちゃん、放課後湖の前に来て。友達も連れて来てもいいわ。待ってるわ」
    そう、通りすぎたルーに囁かれた。



















しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

処理中です...