彷徨えるジパング~蒙古襲来編~

花田 一劫

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第10章 郭の決意

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郭は、獨島に駐留している兵士たち47名の命運を握っている自分へ問いかけていた。
ヘリコプターの情報が確かならば、信じられないことだが日本国がタイムスリップした可能性がある。そうなれば、このまま獨島に居ると、燃料、食料品類がやがて尽きてしまう…。
日本国に投降し援助をしてもらうか。いや、過去に、獨島の我が国(慧国)の駐留兵が日本の漁船狩りを行い日本人約4000人も抑留させ、中には、何人か殺してしまったことがある。本国(慧国)が無い今では、日本国民から兵士たちの命まで取られることも考えられる。
それとも高麗の国へ向かうか。私達の先祖がいる国だ。7百数十年前だとしても、使っている言葉も違わないと思う。ただ問題なのは、この頃、高麗は南宋を滅ぼしたモンゴル帝国に降伏しモンゴル帝国の下僕となっていたはずだ…が。
そうだ。元寇(モンゴル帝国)の軍へ合流し日本国を滅ぼすことができたら恩賞やら地位も思いもままになる。
獨島の保管庫には武器や日本の歴史書もあり、元寇に実際あった歴史的事実を伝え、同じ轍(台風による暴風により多くの船が沈没)を踏まないように元寇軍を説得すれば日本国に勝てる…かも。
元寇は未来の最新兵器も持っている我らを温かく迎えてくれるはずだ。

「日本人は、うそつきばかりですね。日本の我妻とか言う歴史専門家が、日本国土全てが『タイムスリップ』しただって。ハッハッハッ。この獨島は我が国慧国の物なのに。何で、獨島が日本国土なんだ。馬鹿げている。」
「本当、日本人は、馬鹿な者ばかり。皆死ねばいい。」兵士たちが談笑していた。
郭は、兵士たちに近づき、
「君達、申(シン)軍曹へ伝えてほしい。今すぐに日本の小型漁船一艘を拿捕し、乗組員全て素手で殺して、死体が着ている衣類を取って来て欲しい。と、以上だ。」と微笑みながら言った。
この作戦が成功すれば、(俺が)高麗の王になれるかもしれない。子供の頃から坊主の修行をしていた俺がだよ。いいや、俺には、この時代から7百数十年間の蓄積された知識が有る。やり方によっては世界征服ができるかもしれない。全世界の王か。「ウ・フ・フ。」郭は薄笑いを浮かべていた。



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