彷徨えるジパング~蒙古襲来編~

花田 一劫

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第17章 モンゴル帝国との会談は上手くいくのか

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前方に設置されている大スクリーンモニターに男(橘田総理)が映し出した。ヒンドゥ総帥と従者3人は、人が入れないような奥行きが薄い大平面の箱の中に巨人が現れたため、驚き立ち上がり身構えた。
郭がヒンドゥの耳元で小声で何かを話していた。ヒンドゥは安堵したのか、従者と共に再び椅子に座った。
箱から声がしてきた。「初めまして、私は日本国の内閣総理大臣をしております橘田郁生(きった いくお)と申します。本日は壱岐の島ホールまでお出で頂きありがとうございます。今日の会談はお互いの国にとってより良きものになりますように願っています。」画面の中から橘田が頭を下げた。
「私の名はヒンドゥ。モンゴル帝国の皇帝フビライ・か・ら・の・使者と・し・て、倭国へ・ま・い・り・ま・し・つ・た。おね・がいし・ます。」
ヒンドゥは拙い日本語で挨拶した。
「これか・ら・は、倭国(日本語)の言葉が分・か・る。我が、従者・の・郭か・ら・説明・な・ど・させ・ます。」
「通訳の郭さんのことは了解しました。それでは早速ですが、私共は歴史書等により、史実(元寇襲来)の結果を理解しています。皆さん方(モンゴル帝国の方)に観光でもと言いたいところですが、戦をした史実もあり武装した兵隊達を日本は受け入れる訳にはいきませんので、なるべく早く日本国土から退去願いたい。」
「モンゴル帝国通訳の郭と申します。よろしくお願いいたします。さて、昨日に頂いた全兵士用の食糧及び水には、
感謝しております。ありがとうございます。しかし…。まさか、7百数十年後の未来の倭国(日本国)が現れるとは全く信じられなかったのですが、この見たこともない造形の建物や、からくり紙芝居(モニター)を見ているだけでも未来から来た(日本)国だと理解できます。そんな、比類ない技術を持った倭国(日本国)に対して、我がモンゴル帝国は争いは起こしません。」
「ご理解してくれて、国民を代表し感謝します。」
「ところで、橘田さん。他国を頼れない状況の中、自国だけで、あれだけの国民向けの高等な無数の設備保有や裕福な食糧を倭国(日本国)の隅々まで保持することは大変ではございませんか。」
橘田は原油は今のところはもっているが、専門家の知見により後5ヶ月したら備蓄が無くなることを知っていた。
原油が無くなるイコール、日本全体のエネルギーの約4割方を失い。その波及たるは石油製品全般、輸送業まで及ぶ。どうしたものか…。
まてよ。モンゴル帝国に弱みを見せることはない。鷹揚に構えるべきだな。
「我が日本国では、今迄、時代変遷にあっても、国内で自活できているのですよ。北条時宗の時代のように今でも出来るのですよ。ア・ハ・ハ・ハ。」
橘田は、眼鏡を外し拭った。
やれやれ、橘田はホントに馬鹿だな。と言うか。馬、鹿が勿体無い。単なるアホだな。北条時宗の話をしたり、大笑いをしたり、鷹揚に見られようにしているが…笑える。まあ、それで我が国(慧国)も、過去から日本からの貢ぎ物(詐取金)を取り潤ったし、アホ(な日本の政治家)達のお陰で我が国(慧国)ものんびり武島に居座ることが出来たが…。
しかし、日本国もこのままでは半年も経済維持は難しいであろうな。
郭は、心の中で呆れ果てながら、自分の野望(世界の大王となる)の為にも日本国の早期破綻を願っていた。
「自活出来るとは、羨ましい国ですね。」
「まあ、日本国としても、この時代(鎌倉時代)にあっても、国際交流は大事ですので、モンゴル帝国さんとは、是非、物流(資源の交流)を図りたいが…。(如何でしょうか。ね~頼みます。)」
「分かりました。早速、皇帝フビライへ伺いを立てます。」
「和平、万歳ですな。吉報をお待ちしております。」

野蛮なあいつら(モンゴル帝国)を利用できれば、資源の確保が出来るかも…な。
橘田は心の中で笑っていた。
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