彷徨えるジパング~バルチック艦隊編~

花田 一劫

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第4章 戦艦 VS 巡視船 の戦闘開始か?

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タイムスリップした日本国土から蒙古軍が去った後、それから半年が過ぎたが、政治は滞っていた。
政府は海外から物資の調達を図ろうとしたが、神の意志なのか、海や空に見えないバリアーがあり、船や飛行機なども領海から出ることができず困り果てていた。
そのような状況の中で橘田総理大臣は辞意を表明したが、国民から人呼んで『ダーティームーミン』と言われてる芦破が事由政策党の総裁となり、衆議院選挙戦に臨んだが惨敗し、連立政権で過半数を取りこみ何とか総理大臣となっていた。

そんな時、令和6年5月18日に遭ったような違和感が…またか?

『日本国土全ての地面が大きく軋みクウオオンと列島が呻きを出し始めた。地震とは違う二回目の感覚…。日本国に住んでいる人々皆がキーンと鼓膜がなり始め、脳を揺さぶられたような…。一瞬だが皆、違和感を感じていた。
それと同時に急に地面の高度が上ったような感じがして、多くの人がめまい、頭痛、吐き気をし出した…。』

日本国土に住んでいる日本人や外国人の皆が、動揺していた。
「鎌倉時代の次はどの時代へ行くのか?まさか原始時代?」と思っている人達や「やっと2024年に戻れる~ぞ!」と期待している人々。様々であった。

その頃、北九州市にある第七管区海上保安庁本部に、地元業船から『対馬あたりで慧国方面から来た謎の大型不審船が現れた。』と連絡があり、くにがみ型巡視船の『だいせん』が向かうことになった。

対馬海峡には濃い海霧が出てきていて、不審船の姿が確認できたのは、約1.2kmに迫って来てからだった。
「せ・せ・船長、不審船は昔の戦艦と思われます。その船は、日本の国旗を掲げています。」
と、主任航海士の松山三等海上保安正が操舵室にいる船長他に報告をした。
航海長の山木一等海上保安正が双眼鏡をかけながら、呆然した。
あれは戦艦三笠だ。横須賀の三笠公園で記念艦となっている戦艦三笠と瓜二つ。間違いない。
それが勢いよく黒煙を吹きつつ、こちらに向かい進んでいる。
と言うことは、西暦2024年の日本国土が鎌倉時代へ行った後に明治時代へ来たのかもしれない…。
「(上野浩之)船長、また、信じられないことが起こっています。不審船は日本帝国海軍の戦艦三笠です。」
上野は、肉眼でも観えて来た三笠を直視しながら、「相手は戦艦だとしたら、こちらへ砲弾を撃つ可能性があるな…。明治後期では、まだ通信機能は進歩していなから…。誰か甲板から三笠へ手旗信号をしてほいいが…。山木、行けるか。こちらの船の巡視の目的と、相手の意図を探ってほしい。」と、指示を出した。
「はっ。了解しました。」
「山木航海長。因みに、戦艦三笠の主砲の最大射程距離は知っているか?」
「確か。10㎞前後だと思います。」
「と言うことは、この距離(約1.2km)だと、だいせんに当てるのは百発百中か。」
上野は乗組員達69名の姿がよぎっていた。何とかせねば…。
蒙古襲来の次はもしかして日本海海戦なのか…。神よ、また彷徨えばいいのか。
「行って来ます。」山木は、手旗信号を取りに走っていった。

戦艦三笠では、艦橋部の操舵室にいる東郷平八郎大将と秋山真之中佐が海の上を進んでいる奇妙な船を確認しながら話をしていた。
「司令官(東郷大将)、あの白の船は、どこの船でありましょうか。船の船中にエゲレス(イギリス)の文字で。Japan Coast Guardと、船首にはPLH10と書いてあります。あっ、日本の国旗を掲げています。」と双眼鏡を覗きながら秋山が言った。
秋山は今まで西欧でも見たこともない船影に、生まれて初めて恐れを抱いた。
あの船、なんて速さだ。三笠の最大速力の18ノットを有に越している。見た目だが23ノット以上は出ている。
しかも煙突から黒煙を吐いていない。何を動力にしているのか。
「年かな、双眼鏡でもよく見えないな。秋山君、あの船の大きさはどの位に見える?それに、砲塔はあるのか。」
「司令官。三笠の131.7mよりは小さく100m位に見えます。船首等に小さい砲塔が2門見えますが、それだけで、余り戦闘力が無いような気がします。」
「そうか、ありがとう。あの船との距離を取ろう。走力停止せよ。主砲の標的は、白い船のそのままで待て。」
と、東郷は下士官へ指示をした。
「走力、停~止。主砲の標的はそのままで(発砲を)待て。」更に下へと伝達され、直立3気筒3連成レシプロ式機関が荒ぶる物(エンジン)からアイドリング状態へとなっていた。
「おや?司令官。あの船の甲板に男が立ち、旗を振っていますが…。あっ、手旗信号です。」
「秋山君、あの船はなんて言ってるのかね。」
「こ・ち・ら・は。に・ほ・ん・こ・く・の。か・い・じょう・ほ・あ・ん・ちょう・の。じゅん・し・せ・ん・で・す。それを繰り返し旗を振っています。」
「秋山君、こちらも手旗信号で返信をしよう。白鳥優(中尉)君、露天の指揮所へ手旗を持って来て、私の言ったことを、あの船に手旗伝達をしてほいいが。」
「はい。承知致しました。」
戦艦三笠の主砲がよだれを出しつつ、巡視船だいせんを睨み続けていた。
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