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第12章 未来の力
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小船は、コロシア帝国軍側の承諾の答えを得ると、旗艦クニャージの50m手前まで来て、小船の乗組員5名は、旗艦クニャージの船員達が見えるように素早く制服を脱ぎ、ふんどし姿(秋山)やパンツ姿(松山ほか)になった。
旗艦クニャージの船上では、その姿を観て多くのコロシア兵が笑いやお道化ていたが、ロジェストヴェンスキーが、「笑うんじゃない。相当に肝が据わってないと、銃を持った敵兵の前で出来るものではない。君たちは出来るか?」と窘めた。
日本人の表情までもが見えるが、その中の一人が気になる。ローインクロース(ふんどし)を穿いた男は眼光がただ物ではないな。
「君、日本人に対し本戦艦の前まで小船を進めるように旗を振ってくれたまえ。」
「ロジェストヴェンスキー司令官、了解致しました。」
直ぐに下士官は手旗を取り甲板へと出て旗を振った。
ロジェストヴェンスキーは、「直接、日本兵と会うのは危険です。お止めください。」と言う配下の諌める言葉を無視して甲板へと向かった。
甲板にはコロシア帝国兵50名程が、近くに横付けされている小船に対し銃を構えていた。
ロジェストヴェンスキーが甲板へ来ると、兵達は、司令官を守る陣形を取った。
それを見てパンツ男の一人が両手を頬に当てて、「ロジェストヴェンスキー中将殿であられますか。自分は赤羽と言う海上保安庁の職員であります。拙いコロシア語ですが貴国との通訳をしますので、よろしくお願いします。」と、揺れる小船の上から、よどみのないコロシア語で叫んだ。
実は赤羽晶一郎(二等海上保安正)は、元々民間の外資系金融会社に勤めたことがあり、コロシア語が堪能だった。
「紛れもなく、私がロジェストヴェンスキーです。」50半ばの見事な口髭を蓄えた男が答えた。
「ロジェストヴェンスキー中将殿とのお話をする内容については、我が国のトップ即ち首相から了解を得てます。先ずは私から我々の船の説明と、来た理由を述べたいと思います。我々は、日本国の海上を守るための警察組織である海上保安庁から来た海上巡視船であります。貴艦隊は我が国の了解もなく勝手に日本国の領海に入っていますので警告に来ました。直ちに領海外へ出てください。」と、赤羽は毅然と言った。
「いいですか。貴国とコロシア帝国は、戦時中であり、攻めるのに日本帝国の了解を取るのが必要か?そんな戦争は聞いたことがない。それが武士道ってやつか?」ロジェストヴェンスキーの言葉と両手を上げたジェスチャーにコロシア帝国兵達が笑い出した。
赤羽は、「日本帝国とロジェストヴェンスキー中将殿は言いましたが、私は日本国を守る組織と言いました。」と憮然と言った。
「何が違うのですか。」
「我々は、西暦2024年の日本国から来たのです。」
その言葉に、コロシア帝国兵達は皆、薄笑いを浮かべたが、ロジェストヴェンスキーは、赤羽の心の中を読み取ろうとした。
赤羽は話を続けて、「出来れば、貴戦艦に乗船させては頂けないでしょうか。」と、言った。
「何のために?」少し怪しんでロジェストヴェンスキーは聞いてきた。
「未来から来たことの証拠をお見せしたいと思いますが。」
「赤羽氏とやら、君一人でも構わないか?」
「私一人でも結構です。それと未来の力を示す道具を持って行きたいのですが。」
「良いが…。パンツのままの紳士(赤羽)をお乗せしたとあっては、コロシア帝国軍の名が廃れるので、衣服を着て乗船してください。」
「お止めください。日本には、忍者とか言うマヤカシを使う者がいると聞いております。」と、隣にいた下士官が止めに入ったが、ロジェストヴェンスキーは笑いながら、「私の周りには、諸君たち精鋭がいるから大丈夫と違うかね。」と兵50名に言い不安を遮った。
それから赤羽は、旗艦クニャージから降ろされたタラップを登りクニャージの甲板に着いた。
赤羽の背中のリュックにはプラスチックの小さな箱(コントロールパネル)が入っていて、コロシア帝国兵達にチェックされたが、箱が軽いし鋭利な刃物でもなく、重い爆発物でもないため、直ぐに返してもらえた。
「私が手を上げると、未来が近くに現れます。」と言って、右腕を挙げた。
一分・二分…五分が過ぎようとし、コロシア帝国兵達のイライラ感が伝わって来たが…。む・む…なんだ。
バルチック艦隊から10km離れてるイージス艦ちょうかいから無人水上ボートが水面へ放たれた。
赤羽が箱を取り親指で突起物を押し出すと、無人水上ボートが動き出した。
それは、波を切り裂き超高速で、バルチック艦隊へと向かって来ていた。
「ロジェストヴェンスキー司令官殿、あのボートは無人で動き、その操作はこの箱が行っています。ご覧ください。
先ずは、右に旋回。次は左に旋回。」赤羽が言った方向にボートが動き出した。
ロジェストヴェンスキーと配下の兵達は、余りの驚きに口をあんぐりと見開いて観ていた。
「ロジェストヴェンスキー司令官殿、操作してみませんか。やり方をお教えますので。」
「宜しいかな。」ロジェストヴェンスキーは、子供のような顔をしていた。
5分もすると、自由に操作できるようになった。
「これから、空よりこのボートを破壊しようとするものが現れますので、このボートを操作し逃がしてください。」
赤羽の言葉を聞き、ロジェストヴェンスキーは無邪気な顔で頷いた。
その時、遥か上空に米粒大の黒い点が二つ現れた。ボオオーンと言う音と共に。
それが、米粒にしか見えなかったものが、鳥に見え、鳥だと思ったら、大きな怪獣となり瞬足の速さで無人水上ボートへ近づき、その鳥から小鳥(ミサイル)が発射された。
ロジェストヴェンスキーが操作しているボートは、最大速力で右に左に逃げて行ったが、
小鳥は意思を持っているかの如く左右上下に揺れ目的を捜しながら音速で無人水上ボートへと当たって行った。
バッシャアッ~ン。バラ、バラ、バラ…。爆破した衝撃で大きな水柱が立ち、無人水上ボートは見事に粉砕された。
怪獣は轟音と風圧をまき散らして旗艦クニャージと小船の上空を抜き去って行った。
「これが未来の力です。」と赤羽は言った。
ロジェストヴェンスキーと兵達は、怪獣が通り過ぎる瞬間、恐怖で身体を伏せていたが、怪獣が遠くに行くと、立ち上がり、呆気になり黙って見送った。
なんだ、あの金属みたいなやつで出来た空飛ぶ怪獣は…。恐ろしく見たこともない戦闘能力…。この世のものではない。
空を飛ぶものと言えば、一昨年前(西暦1903年)にアンメリカのライト兄弟なるものが有人飛行をしたと、軍の報道で聞いたことがあるが、確か飛行時間はたったの何十秒と紙面に書いていた。
ロジェストヴェンスキーの思考回路がおかしくなってきた。
「現れた金属の空飛ぶ物体は、通称、ジェット戦闘機と言われるもので、あの空飛ぶ物体2機で、貴艦隊38隻を沈めることは、容易なことです。物体の搭乗員二人で、貴兵員約10000人を殺傷出来る。それが1世紀違う戦力の差です。」と赤羽は戦うことの無意味なことをロジェストヴェンスキーへ説いた。
海中だけでなく、空中までもか…。ロジェストヴェンスキーは黙り込んでしまった。
海中?て、なに?
旗艦クニャージの船上では、その姿を観て多くのコロシア兵が笑いやお道化ていたが、ロジェストヴェンスキーが、「笑うんじゃない。相当に肝が据わってないと、銃を持った敵兵の前で出来るものではない。君たちは出来るか?」と窘めた。
日本人の表情までもが見えるが、その中の一人が気になる。ローインクロース(ふんどし)を穿いた男は眼光がただ物ではないな。
「君、日本人に対し本戦艦の前まで小船を進めるように旗を振ってくれたまえ。」
「ロジェストヴェンスキー司令官、了解致しました。」
直ぐに下士官は手旗を取り甲板へと出て旗を振った。
ロジェストヴェンスキーは、「直接、日本兵と会うのは危険です。お止めください。」と言う配下の諌める言葉を無視して甲板へと向かった。
甲板にはコロシア帝国兵50名程が、近くに横付けされている小船に対し銃を構えていた。
ロジェストヴェンスキーが甲板へ来ると、兵達は、司令官を守る陣形を取った。
それを見てパンツ男の一人が両手を頬に当てて、「ロジェストヴェンスキー中将殿であられますか。自分は赤羽と言う海上保安庁の職員であります。拙いコロシア語ですが貴国との通訳をしますので、よろしくお願いします。」と、揺れる小船の上から、よどみのないコロシア語で叫んだ。
実は赤羽晶一郎(二等海上保安正)は、元々民間の外資系金融会社に勤めたことがあり、コロシア語が堪能だった。
「紛れもなく、私がロジェストヴェンスキーです。」50半ばの見事な口髭を蓄えた男が答えた。
「ロジェストヴェンスキー中将殿とのお話をする内容については、我が国のトップ即ち首相から了解を得てます。先ずは私から我々の船の説明と、来た理由を述べたいと思います。我々は、日本国の海上を守るための警察組織である海上保安庁から来た海上巡視船であります。貴艦隊は我が国の了解もなく勝手に日本国の領海に入っていますので警告に来ました。直ちに領海外へ出てください。」と、赤羽は毅然と言った。
「いいですか。貴国とコロシア帝国は、戦時中であり、攻めるのに日本帝国の了解を取るのが必要か?そんな戦争は聞いたことがない。それが武士道ってやつか?」ロジェストヴェンスキーの言葉と両手を上げたジェスチャーにコロシア帝国兵達が笑い出した。
赤羽は、「日本帝国とロジェストヴェンスキー中将殿は言いましたが、私は日本国を守る組織と言いました。」と憮然と言った。
「何が違うのですか。」
「我々は、西暦2024年の日本国から来たのです。」
その言葉に、コロシア帝国兵達は皆、薄笑いを浮かべたが、ロジェストヴェンスキーは、赤羽の心の中を読み取ろうとした。
赤羽は話を続けて、「出来れば、貴戦艦に乗船させては頂けないでしょうか。」と、言った。
「何のために?」少し怪しんでロジェストヴェンスキーは聞いてきた。
「未来から来たことの証拠をお見せしたいと思いますが。」
「赤羽氏とやら、君一人でも構わないか?」
「私一人でも結構です。それと未来の力を示す道具を持って行きたいのですが。」
「良いが…。パンツのままの紳士(赤羽)をお乗せしたとあっては、コロシア帝国軍の名が廃れるので、衣服を着て乗船してください。」
「お止めください。日本には、忍者とか言うマヤカシを使う者がいると聞いております。」と、隣にいた下士官が止めに入ったが、ロジェストヴェンスキーは笑いながら、「私の周りには、諸君たち精鋭がいるから大丈夫と違うかね。」と兵50名に言い不安を遮った。
それから赤羽は、旗艦クニャージから降ろされたタラップを登りクニャージの甲板に着いた。
赤羽の背中のリュックにはプラスチックの小さな箱(コントロールパネル)が入っていて、コロシア帝国兵達にチェックされたが、箱が軽いし鋭利な刃物でもなく、重い爆発物でもないため、直ぐに返してもらえた。
「私が手を上げると、未来が近くに現れます。」と言って、右腕を挙げた。
一分・二分…五分が過ぎようとし、コロシア帝国兵達のイライラ感が伝わって来たが…。む・む…なんだ。
バルチック艦隊から10km離れてるイージス艦ちょうかいから無人水上ボートが水面へ放たれた。
赤羽が箱を取り親指で突起物を押し出すと、無人水上ボートが動き出した。
それは、波を切り裂き超高速で、バルチック艦隊へと向かって来ていた。
「ロジェストヴェンスキー司令官殿、あのボートは無人で動き、その操作はこの箱が行っています。ご覧ください。
先ずは、右に旋回。次は左に旋回。」赤羽が言った方向にボートが動き出した。
ロジェストヴェンスキーと配下の兵達は、余りの驚きに口をあんぐりと見開いて観ていた。
「ロジェストヴェンスキー司令官殿、操作してみませんか。やり方をお教えますので。」
「宜しいかな。」ロジェストヴェンスキーは、子供のような顔をしていた。
5分もすると、自由に操作できるようになった。
「これから、空よりこのボートを破壊しようとするものが現れますので、このボートを操作し逃がしてください。」
赤羽の言葉を聞き、ロジェストヴェンスキーは無邪気な顔で頷いた。
その時、遥か上空に米粒大の黒い点が二つ現れた。ボオオーンと言う音と共に。
それが、米粒にしか見えなかったものが、鳥に見え、鳥だと思ったら、大きな怪獣となり瞬足の速さで無人水上ボートへ近づき、その鳥から小鳥(ミサイル)が発射された。
ロジェストヴェンスキーが操作しているボートは、最大速力で右に左に逃げて行ったが、
小鳥は意思を持っているかの如く左右上下に揺れ目的を捜しながら音速で無人水上ボートへと当たって行った。
バッシャアッ~ン。バラ、バラ、バラ…。爆破した衝撃で大きな水柱が立ち、無人水上ボートは見事に粉砕された。
怪獣は轟音と風圧をまき散らして旗艦クニャージと小船の上空を抜き去って行った。
「これが未来の力です。」と赤羽は言った。
ロジェストヴェンスキーと兵達は、怪獣が通り過ぎる瞬間、恐怖で身体を伏せていたが、怪獣が遠くに行くと、立ち上がり、呆気になり黙って見送った。
なんだ、あの金属みたいなやつで出来た空飛ぶ怪獣は…。恐ろしく見たこともない戦闘能力…。この世のものではない。
空を飛ぶものと言えば、一昨年前(西暦1903年)にアンメリカのライト兄弟なるものが有人飛行をしたと、軍の報道で聞いたことがあるが、確か飛行時間はたったの何十秒と紙面に書いていた。
ロジェストヴェンスキーの思考回路がおかしくなってきた。
「現れた金属の空飛ぶ物体は、通称、ジェット戦闘機と言われるもので、あの空飛ぶ物体2機で、貴艦隊38隻を沈めることは、容易なことです。物体の搭乗員二人で、貴兵員約10000人を殺傷出来る。それが1世紀違う戦力の差です。」と赤羽は戦うことの無意味なことをロジェストヴェンスキーへ説いた。
海中だけでなく、空中までもか…。ロジェストヴェンスキーは黙り込んでしまった。
海中?て、なに?
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