彷徨えるジパング~バルチック艦隊編~

花田 一劫

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第14章 救助へ

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「クニャージに白旗が揚がりました。三笠が勝ちました。」と、山木航海長が喜び勇んで上野船長へ報告をしに来た。
二人共に三笠の無事に安堵しつつ、上野が山木へ、「双眼鏡で戦況を見ていたが、あれだけの激突をしたのだから三笠乗組員にも複数の怪我人が出てるであろう。直ぐに救助へ行こう。」と言った。

巡視船だいせんが現場へ着くよりも、コロシア帝国軍の戦艦ボノジノとオリョールがクニャージの所に早く着き、人命救助を始めていた。
クニャージは浸水により船体は右斜めから沈み始めているなか、2百名を超す死傷者で甲板が埋め尽くされていた。

だいせんも三笠の所に着き、三笠船員達の重軽傷者への救助にあたっていたが、隣接しているクニャージの悲惨な状況をだいせんから見ていて、「赤羽君、コロシア語が出来る君がクニャージの船員の救護に行っては貰えないか。」と、上野は言い出した。
「船長、了解しました。」
「松山主任航海士、だいせんから出来るだけの多くの医療品持って、クニャージへの救護班を編成し連れて行ってくれないか。」
「船長、分かりました。直ぐに用意します。」と言い、松山と赤羽の二人は準備にかかった。
上野は、幾度か応援要請をイージス艦2隻(ちょうかい、はぐろ)に出したのに、「準備中です。」との返答ばかりで、海上自衛隊、いや、政府に対し疑心暗鬼になっていた。

沢山の医療品と救護員12名を連れて、松山と赤羽は小型ボート(複合型ゴムボート)へ乗りクニャージへ向かった。
赤羽達は、腕に赤十字マークの腕章を着けて、クニャージの船体近くに着き、「我々は、救護員でありまぁーす。医療品を持って参りました。貴船へ入船させて頂きたぁーい。」と、赤羽はコロシア語で大声で叫んだ。
暫くして、クニャージから入船許可の返答があり、乗船することが出来た。
その後、クニャージでは、松山の指示のもと苦しんでいる船員達の救護にあたっていたが、その時。バアーン、バアーン、バアーン、と銃声がこだました。
しゃがみながら手当てをしていた、だいせんの救護員3名の身体から鮮血が飛び散りばたりばたりと床に倒れた。
松山と赤羽は、はっとなり、「しっかりしろ。」と言い、3人の身体の止血をしようとしたが、既に命が途絶えていた。
更に、3発の銃声がした。バタ、バタ、バタと、倒れる救護員達。
「おのれぃ。くそ野郎ども。」赤羽は立ち上がり、救護員達を狙っている銃を必死に探した。
「あっ、あいつらか。」こちらを向いている銃口があった。それは隣接していた戦艦ボノジノからのものであった。
コロシア人3人が、タバコを口に銜え笑みを浮かべながらこちらへ銃を構えていた。
「げっ外道め、コロシア人の命を救おうと懸命に治療をしていた公人(公務員)たちを…。許さない…。絶対に許さない…。もう使うもんか。くっそコロシア語を…。」赤羽は憤怒の形相で、他の救護員を守ろうとして両手を広げた。
コロシア人の1人が、「ハッハッハアー。日本のちびが。」と大きく笑い赤羽を狙った。
バアーン。
「いてーなぁ。」赤羽の左腕を弾丸が貫通していた。
赤羽はひるまず、コロシア人に背中を向けおしりを突き出した。
くそのコロシア人にはこれが似合いさ。
自分の尻を右手で思いっきり叩いた。
「餓鬼どもお尻、ペンペンだー。ぺぇーん。ペン、ペン。」
コロシア人3人は、その所作に腹が立ち全ての銃口は赤羽を狙った。
「危なーい。」松山が赤羽の前に出ようとした。その時、
「ぴぃうー。」「たうんー。」「ぴぃうー。」
3本の聖矢が波の上を滑るように舞い進んできた。赤鬼コロシア非人へ向かって…。
聖矢よ、イケー。イケー。イケーエ。
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